<地域No.1店舗の売れる秘訣・ノジマ浅草EKIMISE店>観光名所で家電を売る 下町で「ノジマ」を知ってもらう
下町情緒が漂う東京・浅草は、国内外からの観光客でいつも賑わっている。ここで、デジタル機器・白物家電が購入できる環境をつくろうとしているのがノジマだ。2012年11月、浅草EKIMISE店をオープンし、今では住民を常連にしながら、外国人観光客も来店するようになった。多くの人に「ノジマ」を知ってもらえるよう、さまざまな取り組みを進めている。(取材・文/佐相彰彦)
ノジマ浅草EKIMISE店
店舗データ
住所 東京都台東区花川戸1-4-1 浅草エキミセ6F
オープン日 2012年11月
売り場面積 2300m2
従業員数 約20人
国内外から年間4000万人以上の観光客が訪れる東京・台東区。そのなかでも日本を代表する観光地の一つである浅草には、浅草寺や仲見世通り、遊園地の浅草花やしき、寄席が楽しめる浅草演芸ホールなど、数々の観光スポットがある。すき焼きの浅草今半、バーの神谷バー、洋食のヨシカミ、どじょう鍋の駒形どぜうなど、老舗の飲食店も多く、下町情緒が溢れている。古くから住んでいる人が多く、さっぱりとした気風でいなせな江戸っ子の街というイメージが強い。
2012年5月には、隅田川を挟んだ墨田区押上に、高さ634mの電波塔、東京スカイツリーが開業。東京スカイツリーを見物した観光客が東武スカイツリーラインに乗って浅草を訪れることから、浅草駅周辺も変化している。
浅草駅ビルとして親しまれてきた商業ビルが、2012年11月、浅草EKIMISEとしてリニューアルオープン。飲食店やファッション関連のショップなどがテナント出店し、ショッピングスポットになっている。その浅草EKIMISEの6階フロアに入るのが、家電量販店・ノジマ浅草EKIMISE店だ。
観光地である浅草には、もともと家電量販店が少なく、住民の多くは秋葉原や錦糸町などに出向いて家電を購入していた。こうした状況から、成功を疑問視する業界関係者もいたが、オープン後は周辺住民と観光客という固定客と新規顧客の両方を安定して獲得している。樅山幹高店長は、「さまざまなお客様に対応するために、売り場づくり、品揃え、接客に工夫を施している」と自信をみせる。
ノジマ浅草EKIMISE店の固定客は、「近くに家電量販店ができて便利になった」と喜ぶ住民たちだ。一方、観光客、とくにアジアの国々から浅草観光にやって来た観光客は、もう一つの観光名所である秋葉原に行かなくても、ここでみやげとしての家電が購入できて一石二鳥。では、店舗ではお客様を増やすために、どのような取り組みを進めているのだろうか。
売り場面積は約2300m2で、標準的な郊外店と同程度。ただし、2フロア構成が一般的な郊外店とは異なり、1フロア構成で、形状は正方形ではなく長方形だ。細長いので、お客様は店内を回るのに苦労するが、それを逆にメリットにする工夫を施した。商品ジャンル別のコーナーに番号を記したのだ。目的の商品にたどり着きやすくすれば、お客様にくまなく店内を見てもらう点ではデメリットになるが、「観光客は、浅草を訪れたついでに来店する。家電の購入に時間をかけたくない方に対応した結果」とのことだ。また、こうした観光客にアピールするために、提灯の装飾で浅草らしさを出している。
品揃えについては、観光客の購入促進を目的に、電池やスマートフォンケースなど、気軽に購入できる商品を充実させ、それらのコーナーを店内のレイアウトに合わせてレジ近くに置いた。中国からの観光客はとくにデジタルカメラ、炊飯器や電子レンジ、理美容品を購入するケースが多いので、「在庫を切らさないよう、展示棚の下に在庫を置いている」。在庫の有無がひと目でわかる取り組みは、お客様の購入意欲をかき立てると同時に、お客様が自分でレジまで運んでくれる接客の効率化にもつながった。
固定客に向けては、忙しい主婦のために、電球などの消耗品はレジにできるだけ近い場所に陳列。また、冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどの生活家電を豊富に揃えている。「浅草にお住まいの方は、自分が納得しなければ購入することはない。つまり、価格にはこだわらない方が多い」というのが樅山店長の見立て。購入につなげるために「日常会話のなかから、お客様の生活シーンを聞き出し、最適な商品を紹介している」と、コミュニケーションの強化に力を入れている。
接客は、お客様に時間があるかどうかを判断しながら、時間を短縮した効率的な接客と、じっくりと時間をかける接客を使い分けている。とくに、効率的な接客で「短時間でも、わかりやすさを意識している」ということが、時間をかける接客での的確な説明につながっているという。
観光地・浅草という特異な立地で、ノジマ浅草EKIMISE店は家電量販店の一つのイメージを定着させつつある。
樅山店長は神奈川の4店舗で現場スタッフとして業務に従事。千葉の2店舗で店長を務めた経験をもつ。どの店舗も郊外店で、駅前店は今回が初めてだ。「テナント出店ということで、観光客のお客様が圧倒的に多い一方、近くにお住まいの方は何度も足を運んでくださる。人情味溢れる街」というのが、樅山店長の浅草の印象だ。
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年3月3日付 vol.1520より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは
ノジマ浅草EKIMISE店
店舗データ
住所 東京都台東区花川戸1-4-1 浅草エキミセ6F
オープン日 2012年11月
売り場面積 2300m2
従業員数 約20人
変化を続ける街 家電のイメージは皆無
国内外から年間4000万人以上の観光客が訪れる東京・台東区。そのなかでも日本を代表する観光地の一つである浅草には、浅草寺や仲見世通り、遊園地の浅草花やしき、寄席が楽しめる浅草演芸ホールなど、数々の観光スポットがある。すき焼きの浅草今半、バーの神谷バー、洋食のヨシカミ、どじょう鍋の駒形どぜうなど、老舗の飲食店も多く、下町情緒が溢れている。古くから住んでいる人が多く、さっぱりとした気風でいなせな江戸っ子の街というイメージが強い。
2012年5月には、隅田川を挟んだ墨田区押上に、高さ634mの電波塔、東京スカイツリーが開業。東京スカイツリーを見物した観光客が東武スカイツリーラインに乗って浅草を訪れることから、浅草駅周辺も変化している。
浅草駅ビルとして親しまれてきた商業ビルが、2012年11月、浅草EKIMISEとしてリニューアルオープン。飲食店やファッション関連のショップなどがテナント出店し、ショッピングスポットになっている。その浅草EKIMISEの6階フロアに入るのが、家電量販店・ノジマ浅草EKIMISE店だ。
東京スカイツリーの開業で、東武鉄道の浅草駅ビルは浅草EKIMISEに生まれ変わった
観光地である浅草には、もともと家電量販店が少なく、住民の多くは秋葉原や錦糸町などに出向いて家電を購入していた。こうした状況から、成功を疑問視する業界関係者もいたが、オープン後は周辺住民と観光客という固定客と新規顧客の両方を安定して獲得している。樅山幹高店長は、「さまざまなお客様に対応するために、売り場づくり、品揃え、接客に工夫を施している」と自信をみせる。
観光客で賑わう浅草寺の雷門
平日は固定客、休日は観光客 来店者が満足する品揃えと接客
ノジマ浅草EKIMISE店の固定客は、「近くに家電量販店ができて便利になった」と喜ぶ住民たちだ。一方、観光客、とくにアジアの国々から浅草観光にやって来た観光客は、もう一つの観光名所である秋葉原に行かなくても、ここでみやげとしての家電が購入できて一石二鳥。では、店舗ではお客様を増やすために、どのような取り組みを進めているのだろうか。
売り場面積は約2300m2で、標準的な郊外店と同程度。ただし、2フロア構成が一般的な郊外店とは異なり、1フロア構成で、形状は正方形ではなく長方形だ。細長いので、お客様は店内を回るのに苦労するが、それを逆にメリットにする工夫を施した。商品ジャンル別のコーナーに番号を記したのだ。目的の商品にたどり着きやすくすれば、お客様にくまなく店内を見てもらう点ではデメリットになるが、「観光客は、浅草を訪れたついでに来店する。家電の購入に時間をかけたくない方に対応した結果」とのことだ。また、こうした観光客にアピールするために、提灯の装飾で浅草らしさを出している。
長方形のフロアを生かし、商品ジャンル別のコーナーに番号を記した
提灯の装飾で浅草らしさを演出
品揃えについては、観光客の購入促進を目的に、電池やスマートフォンケースなど、気軽に購入できる商品を充実させ、それらのコーナーを店内のレイアウトに合わせてレジ近くに置いた。中国からの観光客はとくにデジタルカメラ、炊飯器や電子レンジ、理美容品を購入するケースが多いので、「在庫を切らさないよう、展示棚の下に在庫を置いている」。在庫の有無がひと目でわかる取り組みは、お客様の購入意欲をかき立てると同時に、お客様が自分でレジまで運んでくれる接客の効率化にもつながった。
電池など、気軽に購入できる商品をレジ近くに陳列
固定客に向けては、忙しい主婦のために、電球などの消耗品はレジにできるだけ近い場所に陳列。また、冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどの生活家電を豊富に揃えている。「浅草にお住まいの方は、自分が納得しなければ購入することはない。つまり、価格にはこだわらない方が多い」というのが樅山店長の見立て。購入につなげるために「日常会話のなかから、お客様の生活シーンを聞き出し、最適な商品を紹介している」と、コミュニケーションの強化に力を入れている。
在庫を切らさないよう、工夫している
接客は、お客様に時間があるかどうかを判断しながら、時間を短縮した効率的な接客と、じっくりと時間をかける接客を使い分けている。とくに、効率的な接客で「短時間でも、わかりやすさを意識している」ということが、時間をかける接客での的確な説明につながっているという。
観光地・浅草という特異な立地で、ノジマ浅草EKIMISE店は家電量販店の一つのイメージを定着させつつある。
店長が語る人気の理由――樅山幹高 店長
樅山店長は神奈川の4店舗で現場スタッフとして業務に従事。千葉の2店舗で店長を務めた経験をもつ。どの店舗も郊外店で、駅前店は今回が初めてだ。「テナント出店ということで、観光客のお客様が圧倒的に多い一方、近くにお住まいの方は何度も足を運んでくださる。人情味溢れる街」というのが、樅山店長の浅草の印象だ。
■人気の理由
・店内レイアウトを生かしたコーナーの設置
・固定客と観光客の両方に対応する品揃え
・お客様の時間の有無によって使い分ける接客方法
・店内レイアウトを生かしたコーナーの設置
・固定客と観光客の両方に対応する品揃え
・お客様の時間の有無によって使い分ける接客方法
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年3月3日付 vol.1520より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは