<地域No.1店舗の売れる秘訣・コジマアウトレット幕張店>近隣の家電量販店と競争しない郊外型アウトレット家電量販店
ビックカメラグループのコジマが、千葉県千葉市美浜区で、これまでの家電量販店とはまったく異なる業態のビジネスを開始した。2014年1月25日、コジマにとって初のアウトレットショップとなるコジマアウトレット幕張店をオープンさせたのだ。郊外型アウトレット家電量販店を定着させ、近隣の大型家電量販店とは競争しないという戦略で売り上げを伸ばす。(取材・文/佐相彰彦)
コジマアウトレット幕張店
店舗データ
住所 千葉県千葉市美浜区幕張西1-1-7
オープン日 2014年1月25日
売り場面積 約3100m2
従業員数 25人前後
千葉県千葉市の花見川区と美浜区をまたぐ幕張地区。1990年代のマンション建設ラッシュによってベッドタウン化が進んだ街だ。JR海浜幕張駅周辺には多くのビルが建ち並び、大規模イベントホールの幕張メッセ、ショッピングモールの三井アウトレットパークなどがある。昨年12月20日には、360店舗が入る大規模ショッピングモール、イオンモール幕張新都心がオープンし、多くの買い物客で賑わっている。一方、JR幕張駅や幕張本郷駅の周辺には古くからの街並みが残るが、国道14号沿いには飲食店や総合スーパーなどが建ち並び、こちらもショッピングエリアとして活況を呈している。
家電量販店やパソコン専門店の出店も多い。国道14号線沿いには、ヤマダ電機テックランドNew幕張本店やピーシーデポコーポレーションのPC DEPOT幕張インター店などが出店。とくに、ヤマダ電機テックランドNew幕張本店は、売り場面積が6700m2以上という郊外店のなかでも大型の店舗で、高齢者を中心に近隣の住民を固定客としてしっかりと確保。クルマの便がいいことから、遠方からも家族連れが来店している。また、人気のスポットのイオンモール幕張新都心にはノジマがテナント出店している。
こうした情勢にあって、ビックカメラグループのコジマは、既存のコジマNEW幕張インター店をリニューアル。コジマアウトレット幕張店として、1月25日にオープンした。もともと京葉道路の幕張インターチェンジ近くという好立地で、お客様を確保していたが、売り場面積が3000m2級と競合店より小さく、近年は苦戦していた。その失地回復の大胆な一手が、これまでと異なるアウトレットという業態だった。
コジマアウトレット幕張店では、コジマ各店の展示品や旧モデル、開梱品などの生活家電やデジタル家電を特別価格で販売している。価格については、アイテムや商品の傷み具合、機種の型落ち度合いなどによって異なるが、確実にいえるのは一般の新品よりかなり安いということ。なかには半額以下で購入できる商品もある。渡部達也店長は、「通常の家電量販店で売られているものよりもはるかに安く、同じ機種がずらりと並んでいるので、そのなかからお客様は『説明書がなくても大丈夫』『この程度の傷でこの値段なら許せる』などと、納得してお買い求めいただいている」と店舗の特徴を語る。
入り口近くでは、お菓子や飲料水、ティッシュペーパーなどの日用品を販売。お客様の興味を引くように、その日限りの特売品なども置いている。「近くにお住まいの方が、帰りに寄ることを想定している」という。
店内は通路を広く確保して、お客様が入り口から奥まで見渡せるようなレイアウトに仕上げた。家電量販店では珍しいカートを用意して、入り口に少額の商品、奥へ進むにつれて徐々に高額の商品を置くようにしている。デジタル機器の購入で来店したお客様に、カートを引いて目当ての商品を自分でレジまで運ぶことを意識してもらうほか、カートに商品を入れて店内を自由に回ってもらおうという狙いがある。「奥に高額の商品を置けば、レジにたどり着くまでに少額商品も目に入る。必要なものをついで買いしていただく戦略」(渡部店長)という。さらに通路の至るところに掘り出し物を展示して、お客様の購買意欲を喚起している。これら一連の取り組みは、ホームセンターや総合スーパーの商品陳列を意識しているようだ。
接客については、「親切でていねいであることは、基本中の基本。加えて、簡潔で効率的な接客を徹底している」(渡部店長)という。デジタル機器を購入するお客様の多くが、ほかの家電量販店で新品の価格を把握したうえで来店しているからだ。お客様とスタッフの会話は、商品の機能を説明するというよりも、その価格に設定した理由の説明が中心になる。渡部店長によれば、「アウトレット品は、基本的にお客様が価格で納得されることが大事。価格設定の理由を理解していただければ売れる」そうだ。さらに案内を省力化するために、柱に番号を表示して「お客様にその番号を伝えれば、お目あての商品にたどり着けるようにしている」という。
コジマにとって、コジマアウトレット幕張店は新しいビジネスモデル。「近隣の家電量販店とは競争しない」(渡部店長)戦略で、幕張地区での郊外型アウトレット家電量販店の定着に力を注ぐ。
ビックカメラにもアウトレットショップはあるが、駅前での展開。「郊外にアウトレットの家電量販店をつくる」という企画が現実になり、店長に任命された。
スタッフは、コジマNEW幕張インター店で勤務していた人材で固めている。「まずは近隣のお客様を固定客として確保して、クチコミで広げていく」。コジマアウトレット幕張店が成功すれば、他地域への横展開などで、コジマのビジネスの幅は大きく広がる。
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年2月17日付 vol.1518より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは
コジマアウトレット幕張店
店舗データ
住所 千葉県千葉市美浜区幕張西1-1-7
オープン日 2014年1月25日
売り場面積 約3100m2
従業員数 25人前後
発展し続ける幕張地区 業界の枠を越えた競争が激化
千葉県千葉市の花見川区と美浜区をまたぐ幕張地区。1990年代のマンション建設ラッシュによってベッドタウン化が進んだ街だ。JR海浜幕張駅周辺には多くのビルが建ち並び、大規模イベントホールの幕張メッセ、ショッピングモールの三井アウトレットパークなどがある。昨年12月20日には、360店舗が入る大規模ショッピングモール、イオンモール幕張新都心がオープンし、多くの買い物客で賑わっている。一方、JR幕張駅や幕張本郷駅の周辺には古くからの街並みが残るが、国道14号沿いには飲食店や総合スーパーなどが建ち並び、こちらもショッピングエリアとして活況を呈している。
家電量販店やパソコン専門店の出店も多い。国道14号線沿いには、ヤマダ電機テックランドNew幕張本店やピーシーデポコーポレーションのPC DEPOT幕張インター店などが出店。とくに、ヤマダ電機テックランドNew幕張本店は、売り場面積が6700m2以上という郊外店のなかでも大型の店舗で、高齢者を中心に近隣の住民を固定客としてしっかりと確保。クルマの便がいいことから、遠方からも家族連れが来店している。また、人気のスポットのイオンモール幕張新都心にはノジマがテナント出店している。
コジマアウトレット幕張店の近くには京葉道路の幕張インターチェンジがあって遠方からも来店しやすい
こうした情勢にあって、ビックカメラグループのコジマは、既存のコジマNEW幕張インター店をリニューアル。コジマアウトレット幕張店として、1月25日にオープンした。もともと京葉道路の幕張インターチェンジ近くという好立地で、お客様を確保していたが、売り場面積が3000m2級と競合店より小さく、近年は苦戦していた。その失地回復の大胆な一手が、これまでと異なるアウトレットという業態だった。
近隣にはヤマダ電機テックランドNew幕張本店が大型の店舗を構えている
総合スーパーを意識したレイアウト 親切で簡潔な接客が好評
コジマアウトレット幕張店では、コジマ各店の展示品や旧モデル、開梱品などの生活家電やデジタル家電を特別価格で販売している。価格については、アイテムや商品の傷み具合、機種の型落ち度合いなどによって異なるが、確実にいえるのは一般の新品よりかなり安いということ。なかには半額以下で購入できる商品もある。渡部達也店長は、「通常の家電量販店で売られているものよりもはるかに安く、同じ機種がずらりと並んでいるので、そのなかからお客様は『説明書がなくても大丈夫』『この程度の傷でこの値段なら許せる』などと、納得してお買い求めいただいている」と店舗の特徴を語る。
価格は商品によって異なるが、一般の新品よりかなり安い
入り口近くでは、お菓子や飲料水、ティッシュペーパーなどの日用品を販売。お客様の興味を引くように、その日限りの特売品なども置いている。「近くにお住まいの方が、帰りに寄ることを想定している」という。
興味を引くよう、入り口近くに日用品を陳列
店内は通路を広く確保して、お客様が入り口から奥まで見渡せるようなレイアウトに仕上げた。家電量販店では珍しいカートを用意して、入り口に少額の商品、奥へ進むにつれて徐々に高額の商品を置くようにしている。デジタル機器の購入で来店したお客様に、カートを引いて目当ての商品を自分でレジまで運ぶことを意識してもらうほか、カートに商品を入れて店内を自由に回ってもらおうという狙いがある。「奥に高額の商品を置けば、レジにたどり着くまでに少額商品も目に入る。必要なものをついで買いしていただく戦略」(渡部店長)という。さらに通路の至るところに掘り出し物を展示して、お客様の購買意欲を喚起している。これら一連の取り組みは、ホームセンターや総合スーパーの商品陳列を意識しているようだ。
通路に掘り出し物を展示する
接客については、「親切でていねいであることは、基本中の基本。加えて、簡潔で効率的な接客を徹底している」(渡部店長)という。デジタル機器を購入するお客様の多くが、ほかの家電量販店で新品の価格を把握したうえで来店しているからだ。お客様とスタッフの会話は、商品の機能を説明するというよりも、その価格に設定した理由の説明が中心になる。渡部店長によれば、「アウトレット品は、基本的にお客様が価格で納得されることが大事。価格設定の理由を理解していただければ売れる」そうだ。さらに案内を省力化するために、柱に番号を表示して「お客様にその番号を伝えれば、お目あての商品にたどり着けるようにしている」という。
案内を省力化するために、柱に番号を表示している
コジマにとって、コジマアウトレット幕張店は新しいビジネスモデル。「近隣の家電量販店とは競争しない」(渡部店長)戦略で、幕張地区での郊外型アウトレット家電量販店の定着に力を注ぐ。
店長が語る人気の理由――渡部達也 店長
ビックカメラの池袋本店PC館や渋谷東口店で勤務。営業部の経験ももつ。スタッフとして、また仕入れ担当者として、「もっと商品を有効にお客様に提供する策はないか」と考えた。
ビックカメラにもアウトレットショップはあるが、駅前での展開。「郊外にアウトレットの家電量販店をつくる」という企画が現実になり、店長に任命された。
スタッフは、コジマNEW幕張インター店で勤務していた人材で固めている。「まずは近隣のお客様を固定客として確保して、クチコミで広げていく」。コジマアウトレット幕張店が成功すれば、他地域への横展開などで、コジマのビジネスの幅は大きく広がる。
■人気の理由
・デジタル機器、生活家電に加えて日用品が充実
・ホームセンターや総合スーパーのようなレイアウト
・親切でていねい。しかし簡潔で効率のよい接客
・デジタル機器、生活家電に加えて日用品が充実
・ホームセンターや総合スーパーのようなレイアウト
・親切でていねい。しかし簡潔で効率のよい接客
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年2月17日付 vol.1518より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは