<地域No.1店舗の売れる秘訣・コジマNEW東店>本拠地の意地でシェアを堅持 “本丸”の店舗として期待に応える
ビックカメラグループがコジマの店舗を「コジマ×ビックカメラ」にリニューアルする動きを進めているなかで、コジマの店舗スタイルをそのままに残して住民から支持されている店舗が、栃木県宇都宮市のコジマNEW東店だ。大手家電量販店の大型店舗出店でシェア争いは激しくなっているが、本拠地の意地をみせてシェアを堅持。コジマの本丸として地元の期待に応えている。(取材・文/佐相彰彦)
コジマNEW東店
店舗データ
住所 栃木県宇都宮市東今泉2-5-31
オープン 1999年7月
売り場面積 約4400m2
従業員数 約70人
人口51万の宇都宮市は、ここ5年ほど、人の流入・流出が少なくなっている。JR宇都宮駅に東北新幹線と在来線の宇都宮線が通ることで、首都圏まで新幹線で1時間以内、在来線でも1時間30分程度と、通勤圏内に入っているからだ。もともと宇都宮出身で、東京に通勤する会社員も多いという。こうした市民は、休日になるとほとんどが宇都宮駅周辺かロードサイド店舗でショッピングをすませる。
一般的に栃木県民は「情に厚い」といわれ、一度気に入った店舗には何度も足を運ぶ傾向がある。身近な店舗で親しい店員から買う、という購買行動が普通になっているのだ。家電量販店にとっては固定客を獲得しやすいこともあって、ヤマダ電機やケーズデンキなど、郊外を得意とする大手家電量販店が複数の大型店舗をロードサイドに出店している。とくにヤマダ電機は、東京に勤務する会社員をポイントカード会員として獲得して、お客様の会社の近くにある都市型店舗LABIにも来店させるという戦略を採っている。
こうした環境のなかで、圧倒的なブランド力をもっているのが、宇都宮市を本拠地とするコジマだ。コジマは、栃木県に8店舗、そのうち宇都宮市に4店舗を構える。なかでも旗艦店に位置づけられるNEW東店は、近くに多くの競合店があるにもかかわらず、安定したシェアを維持している。約70人のスタッフを擁して、がっちりと固定客を確保。佐藤典之店長は、「地元コジマのブランドに恥じないよう、常連のお客様の要望に応えている」と説明する。高い知名度と競合店を寄せつけない取り組みで、お客様を確保しているのだ。
コジマNEW東店は、1999年7月にオープン。売り場面積は約4400m2で、地上4階建ての1階が250台を収容できる駐車場、2~4階が売り場という構成だ。商圏は半径約10kmと、郊外店としてはやや狭い。佐藤店長は、「宇都宮市民がお客様。宇都宮に本拠がある当社にとって、ここはいわば本丸だ。競合店には絶対に負けられない」と意気軒昂だ。
お客様は、平日は近隣に住む60歳以上の男性が多く、ほとんどが常連客。デジタル機器の修理を依頼するために来店する方もいて、「お客様にゆったりと接することが多い」(佐藤店長)という。冷蔵庫や洗濯機の機能をたずねてくるお客様が多く、「大型商品が売れるのは平日」。休日は、30~40代の家族連れが多く、「クルマで来店して、デジタルカメラなどの持ち帰り商品を購入する人が多い」という。
1年ほど前にリニューアルし、2階部分を白物家電と住宅関連、3階をパソコンなどデジタル機器、4階に玩具やゲーム関連機器のフロアにした。
佐藤店長は、「白物家電の売上比率が高いので、低層階に置いた。玩具は子ども連れのお客様に限定されることと、4階には遊び場を設けていることから、上の階でゆっくりと楽しんでもらえるようにした。デジタル家電はどの層にも興味をもっていただけるので、3階に置いた」と、改装後のフロア構成を説明する。通路は、広く確保しながら、掘り出し物などを置き、「お客様の目を引くようにした」という。
改装で重視したのが、お客様にとっての「スタッフの見える化」だった。展示商品に貼りつけているPOPにスタッフの顔写真を大きく使って、「お客様が、どのスタッフに聞けばいいのかがわかるようにした」(佐藤店長)という。POPの内容は、カタログに掲載していない用途も掲載。「スタッフが実際に使った感想を入れることで親近感をもってもらえるようにした」。
商品数は約4万点で、これは大手家電量販店の品揃えとしては少ないほう。「宇都宮のお客様は、どの製品もミドルクラスのモデルを選ぶ傾向がある」(佐藤店長)からで、あえて商品数を絞っているのだ。もちろん、「流行に敏感なお客様に向けて、デジタル機器の新製品は上位モデルを揃えている」という。さらに、中位モデルに絞って在庫の圧縮に成功したことで、「競合店との価格勝負ができるようになった」という。
こうした取り組みによって、もともとコジマブランドが定着している宇都宮市でリピート客をがっちり確保。「本拠地の意地をみせる」ことに成功しているのだ。
佐藤店長自身も宇都宮市出身で、「お客様の特性は十分に理解している。引っ込み思案なので、背中を押してあげることがポイントだ」と分析。「情が厚いので、スタッフを気に入っていただければ、必ずリピーターになっていただける」ことが、好循環を生んでいるようだ。
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年1月6日付 vol.1512より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは
コジマNEW東店
店舗データ
住所 栃木県宇都宮市東今泉2-5-31
オープン 1999年7月
売り場面積 約4400m2
従業員数 約70人
人の出入りが少ない都市 人情味溢れる地域特性
人口51万の宇都宮市は、ここ5年ほど、人の流入・流出が少なくなっている。JR宇都宮駅に東北新幹線と在来線の宇都宮線が通ることで、首都圏まで新幹線で1時間以内、在来線でも1時間30分程度と、通勤圏内に入っているからだ。もともと宇都宮出身で、東京に通勤する会社員も多いという。こうした市民は、休日になるとほとんどが宇都宮駅周辺かロードサイド店舗でショッピングをすませる。
宇都宮から東京に通勤する市民は多い
一般的に栃木県民は「情に厚い」といわれ、一度気に入った店舗には何度も足を運ぶ傾向がある。身近な店舗で親しい店員から買う、という購買行動が普通になっているのだ。家電量販店にとっては固定客を獲得しやすいこともあって、ヤマダ電機やケーズデンキなど、郊外を得意とする大手家電量販店が複数の大型店舗をロードサイドに出店している。とくにヤマダ電機は、東京に勤務する会社員をポイントカード会員として獲得して、お客様の会社の近くにある都市型店舗LABIにも来店させるという戦略を採っている。
ロードサイドには大手家電量販店が大型店を出店。コジマNEW東店と最も激しい競争を繰り広げているのがヤマダ電機テックランド宇都宮本店
こうした環境のなかで、圧倒的なブランド力をもっているのが、宇都宮市を本拠地とするコジマだ。コジマは、栃木県に8店舗、そのうち宇都宮市に4店舗を構える。なかでも旗艦店に位置づけられるNEW東店は、近くに多くの競合店があるにもかかわらず、安定したシェアを維持している。約70人のスタッフを擁して、がっちりと固定客を確保。佐藤典之店長は、「地元コジマのブランドに恥じないよう、常連のお客様の要望に応えている」と説明する。高い知名度と競合店を寄せつけない取り組みで、お客様を確保しているのだ。
客層に合わせて改装 「スタッフの見える化」も
コジマNEW東店は、1999年7月にオープン。売り場面積は約4400m2で、地上4階建ての1階が250台を収容できる駐車場、2~4階が売り場という構成だ。商圏は半径約10kmと、郊外店としてはやや狭い。佐藤店長は、「宇都宮市民がお客様。宇都宮に本拠がある当社にとって、ここはいわば本丸だ。競合店には絶対に負けられない」と意気軒昂だ。
白物家電の売上比率が高いという
お客様は、平日は近隣に住む60歳以上の男性が多く、ほとんどが常連客。デジタル機器の修理を依頼するために来店する方もいて、「お客様にゆったりと接することが多い」(佐藤店長)という。冷蔵庫や洗濯機の機能をたずねてくるお客様が多く、「大型商品が売れるのは平日」。休日は、30~40代の家族連れが多く、「クルマで来店して、デジタルカメラなどの持ち帰り商品を購入する人が多い」という。
1年ほど前にリニューアルし、2階部分を白物家電と住宅関連、3階をパソコンなどデジタル機器、4階に玩具やゲーム関連機器のフロアにした。
佐藤店長は、「白物家電の売上比率が高いので、低層階に置いた。玩具は子ども連れのお客様に限定されることと、4階には遊び場を設けていることから、上の階でゆっくりと楽しんでもらえるようにした。デジタル家電はどの層にも興味をもっていただけるので、3階に置いた」と、改装後のフロア構成を説明する。通路は、広く確保しながら、掘り出し物などを置き、「お客様の目を引くようにした」という。
4階の玩具・ゲーム関連機器のフロア
改装で重視したのが、お客様にとっての「スタッフの見える化」だった。展示商品に貼りつけているPOPにスタッフの顔写真を大きく使って、「お客様が、どのスタッフに聞けばいいのかがわかるようにした」(佐藤店長)という。POPの内容は、カタログに掲載していない用途も掲載。「スタッフが実際に使った感想を入れることで親近感をもってもらえるようにした」。
広めの通路に掘り出し物を積んだワゴンを設置する
商品数は約4万点で、これは大手家電量販店の品揃えとしては少ないほう。「宇都宮のお客様は、どの製品もミドルクラスのモデルを選ぶ傾向がある」(佐藤店長)からで、あえて商品数を絞っているのだ。もちろん、「流行に敏感なお客様に向けて、デジタル機器の新製品は上位モデルを揃えている」という。さらに、中位モデルに絞って在庫の圧縮に成功したことで、「競合店との価格勝負ができるようになった」という。
「スタッフの見える化」に取り組む
こうした取り組みによって、もともとコジマブランドが定着している宇都宮市でリピート客をがっちり確保。「本拠地の意地をみせる」ことに成功しているのだ。
店長が語る人気の理由――佐藤典之 店長
北関東を中心に複数の店舗で店長を務め、本社では営業も担当。1年前にNEW東店のマネジメントを任された。「旗艦店として他店舗の見本になる」というコンセプトの下、「宇都宮の競合店に、つけ入る隙を与えない」と気を引き締め、自らも現場に立って手本をみせている。
佐藤店長自身も宇都宮市出身で、「お客様の特性は十分に理解している。引っ込み思案なので、背中を押してあげることがポイントだ」と分析。「情が厚いので、スタッフを気に入っていただければ、必ずリピーターになっていただける」ことが、好循環を生んでいるようだ。
■人気の理由
・本拠地だからこそのブランド力
・お客様の特性に合わせた品揃え
・競合店に負けない価格競争力
・本拠地だからこそのブランド力
・お客様の特性に合わせた品揃え
・競合店に負けない価格競争力
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2014年1月6日付 vol.1512より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは