2014年の液晶ディスプレイ市場 ポイントは25インチ以上の高解像度モデル

特集

2014/01/15 18:32

 タブレット端末が急速に普及した2013年。PC市場ではデスクトップPCの販売台数構成比が11.1%まで下がり、代わりにタブレット端末の構成比が32.4%に達した。秋にWindows 8.1搭載モデルが登場したことで12月に急激な伸びがみられ、今後も伸びていきそうだ。では、PCの関連製品である液晶ディスプレイはどうだろうか。13年を振り返りながら、14年のトレンドを占った。

2013年 パソコンタイプ別 販売台数構成比

 

健闘する液晶ディスプレイ、フルHDのワイドモデルが主流



 デスクトップPCの周辺機器のイメージが強い液晶ディスプレイ。デスクトップPCが不調ないま、液晶ディスプレイの販売も縮小しているのだろうか。家電量販店の実売データを集計している「BCNランキング」で、デスクトップPCと液晶ディスプレイの2013年の動きをチェックした。

 デスクトップPCは、販売台数、金額とも、前年実績から2ケタのポイント減が続いているが、液晶ディスプレイは前年実績をかろうじて前年並みで推移し、13年は前年に比べて金額ベースで109.3%、台数ベースで98.0%だった。
 

デスクトップPC/液晶ディスプレイの販売台数・金額前年同月比の推移


 液晶ディスプレイは、デスクトップPCのメインディスプレイ用途のほか、ノートPCのセカンドディスプレイや、据置型のゲーム機の専用ディスプレイとしても使われることが多い。最近は、スマートフォン/タブレット端末と接続できるMHL(Mobile High-definition Link)端子を備えたモデルが増えていて、モバイルデバイスの映像を大画面で楽しむこともできる。液晶ディスプレイは、接続端子の充実によって、新たなニーズを開拓しているのだ。

 液晶ディスプレイは、テレビと違ってアスペクト比(横縦比)のバリエーションがさまざまで、インチサイズや解像度でも選択肢が多い。そのなかで主流になっているのが、解像度が1920×1080や1920×1200のフルHDのモデルだ。13年の台数シェアは81.7%で、12月には84.3%に達した。
 

液晶ディスプレイ 解像度別 販売台数構成比の推移


 アスペクト比では15:9や16:9、16:10のいわゆるワイド画面のモデルがほとんど。13年の台数シェアは92.5%で、12月には93.8%に達した。また、ワイド画面よりも横幅のある21:9のウルトラワイドモデルも登場している。つまり、液晶ディスプレイはフルHD解像度のワイド画面モデルが主流、ということだ。画面サイズでは23~25インチ未満のモデルが最も多く、13年は47.7%、12月は48.6%、次いでシェアが高い21~23インチ未満のモデルが24.0%だった。
 

液晶ディスプレイ 画面サイズ帯別 販売台数構成比の推移

 

今後期待が高まる高解像度ウルトラワイドモデル



 さて、では今年はどのクラスが主流になるのだろうか。13年の月次データの推移で市場動向を確認すると、解像度ではほぼ横ばいに推移しているようにみえるが、ハイビジョン画質のモデルの台数シェアが減少している。それに対して微増しているのが、2560×1080や2560×1440など、横の走査線が2000を超える高解像度モデルだ。

 画面サイズが同じでも、解像度が高いと一度に表示できる情報量が増える。特に恩恵を受けるのが、Excelなどの表計算ソフトだ。セルを一画面にたくさん表示できるので全体が確認でき、スクロールする回数を減らすことができる。また、重ねずに複数のウィンドウを開いて効率よく作業できる。

 また、13年1月には4000×2000前後の解像度をもつ4K画質のモデルが登場し、じわじわとシェアを伸ばしている。4Kはまだ実際に見ることのできるコンテンツが少なく、本格的に普及するのはまだ先だが、ゲームや映像など4Kコンテンツの配信が始まればシェアを伸ばしていくだろう。

 画面サイズでは、主流の23~25インチ未満モデルが徐々に減速している。12年12月と13年1月に5割あったシェアは、13年10月には43.5%に落ち、年末商戦の12月には48.3%まで盛り返したが、これは一時的なもので、今後は次第にシェアを落としていくだろう。

 代わりに台頭しているのが、さらに大きな25~29インチ未満のモデルだ。13年2月に10.4%と1割を超えると少しずつシェアを伸ばし、12月には13.8%に。まだ製品数は少ないが、今後各社が力を入れていくことは間違いないので、さらに拡大が見込まれる。2014年は、フルHD以上の高解像度モデル、25インチ以上のモデルに注目したい。
 

フルHDの約1.8倍の解像度 I・OデータのWQHDモデル「LCD-MF272CGBR」



 今年注目したいモデルにアイ・オー・データ機器(I・Oデータ)の「LCD-MF272CGBR」がある。フルHDの約1.8倍の2560×1440の解像度をもつ27インチのワイドモデルで、アスペクト比は16:9だ。
 

LCD-MF272CGBR

LCD-MF272CGBR

 フルHDよりも解像度が高く、Excelなどの表計算ソフトなら全体を見ながら作業でき、さらに画像編集作業ならフルHD画質を縮小表示やスクロールすることなく、編集メニューといっしょに表示できる。スクロールやメニューを開く手間がなくなれば、作業効率はぐんと向上するはずだ。一般的なB5ノートPCの解像度(1366×768)と比べると、Excelで表示できるセル数は約4.4倍だ。

 フルHDの映像やゲームをプレイすると横にスペースが空くので、そこにTwitterやチャットなどのブラウザを並べて表示できる。映画やゲームを楽しみながら、情報検索をしたり、同じ趣味の人とコミュニケーションを取ったりできる。フレームとパネルに段差のないフレームレスパネルは、タブレット端末を大きくしたような気品があるデザインで、非常に見やすい。パネルには従来のIPSパネルよりも透過率が向上したAH-IPSパネルを採用し、上下左右178°の広視野角を実現。見える位置や角度による色やコントラストの変化が少ない。

 液晶ディスプレイは、ほかのデジタル家電と比べ多機能・高機能化しにくい製品だ。性能はじわじわと上がっているが、消費者は変化に気がつかないことがあるかもしれない。しかし、一度買ったら最低でも数年は使い続けるものなので、先を見越して、トレンドをしっかり押さえた高性能の一台を選ぶことをおすすめする。


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。