<地域No.1店舗の売れる秘訣・ヤマダ電機テックランド東京本店>閑静な住宅街で地域密着を目指す 競合がひしめくなかで着実に成長
住宅街にオープンしてから15年以上が経過し、地元住民に信頼される家電量販店がある。ヤマダ電機テックランド東京本店だ。閑静な住宅街の東京・上北沢に出店し、近隣の住民を常連客として確保。環状八号線沿いという立地で、荻窪や狛江、調布などからも、顧客を誘引する広い商圏をもつ。競合ひしめく世田谷区にあって、No.1店舗として着実に売上高を伸ばしている。(取材・文/佐相彰彦)
ヤマダ電機テックランド東京本店
店舗データ
住所 東京都世田谷区上北沢5-37-18
オープン日 1998年8月
売り場面積 約3300m2
従業員数 約90人(アルバイト含む)
約87万と、東京都区部のなかで最も人口が多い世田谷区。環状八号線や環状七号線、国道20号などの幹線道路や、小田急線、京王線、東急田園都市線などの鉄道が通り、交通網が非常によく整備されている。成城や用賀、等々力など、高級住宅街を抱えることでも知られる。
交通の便がよく、高所得者が住むことから、家電量販店は積極的に出店を進めてきた。コジマは、1999年12月にNEW用賀店をオープン。次いで、NEW若林店を出店した。2010年には世田谷区に隣接する杉並区高井戸にNEW高井戸東店を、11年には世田谷区成城に成城店をオープンさせた。現在、この4店舗で、世田谷区を囲むドミナント(高密度多店舗展開)戦略で収益向上に取り組んでいる。
コジマの多店舗攻勢に負けず、成長を持続しているのが、ヤマダ電機テックランド東京本店だ。閑静な住宅街が広がる上北沢に1998年8月に出店。約15年が経過し、近隣の住民をお客様として獲得する一方で、環状八号線沿いの出店ということで、商圏を半径7~10kmと想定。江越広明店長は、「平日は、スタッフと気軽に会話する50歳以上の常連の方が多い。休日は近隣の方だけでなく、荻窪や狛江、調布などから子ども連れの30~40歳代の方が来店される」と、平日と休日で客層が分かれていると説明する。
売り場面積は3300m2程度と、郊外店としては標準的な広さ。1階が駐車場、2~3階が売り場になっている。品揃えは通常の郊外店と異なり、パソコンやデジタルカメラなど、デジタル機器の最新機種を中心に、ニーズの高いボリュームゾーンの機種をバランスよく展示。「都心まで出向かなくても最新機種が買える」ことを売りにしている。
都心の店舗に負けない最新機種の品揃えに力を入れるテックランド東京本店は、一方でパソコン初心者層の獲得にも力を入れている。パソコンの設定やトラブルなどに対処する「PCサポートクリニック」のスペースを広く確保して、専任のスタッフを配置している。江越店長は、「お客様からは『パソコンに詳しくなくても安心して購入できる』という評価をいただいている」と自信をみせる。
冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどの白物家電については、下位機種から上位機種まで、さまざまなお客様の層や家庭内での活用場所を想定して多くの機種を揃える。子ども連れのファミリー向けには、玩具やゲーム機のコーナーを充実させているほか、帰宅途中の近隣住民に気軽に寄ってもらうために、日用品も販売している。「GMS(総合スーパー)のように、ほしいものが何でも購入できる店づくりを徹底する」ということをコンセプトに据える。
客層の異なる平日と休日では、接客も変えている。平日は、顔なじみのスタッフとの会話を楽しみながら商品を説明してもらいたいという常連客が多く、初めてのお客様は少ない。「ゆっくりと時間をかけて、しっかり説明することが販売につながる」とのことだ。
一方、休日は多くのお客様が来店されるので、「できるだけ多くの方に対応できるよう、スタッフ一人ひとりが、どの商品を購入しようか悩んでいるお客様を探すようにしている。多くのお客様と触れ合うことが販売増に結びつく」という。
最近力を入れているのは、2011年に子会社にしたヤマダ・エスバイエルホームとの連携による住宅関連だ。今年4月、2階のデジタル機器コーナーを3階に移し、2階を生活家電コーナーにして、エスカレータを上がった目の前に大きなスペースを確保してリフォーム関連コーナーを設置した。上北沢には、築10年以上の戸建て住宅が少なくない。また、とくにキッチンまわりにこだわる主婦も多いようだ。「常連のお客様が『近くに新築・リフォームのショールームがない』と話していたので増床し、大きくアピールすることにした」という。同店自身の“リフォーム”から約6か月が経過した今年10月末の時点で、「成約件数は前年を上回っている。また、多くの問い合わせをいただいている」と、増床の効果をアピールする。
全体の売り上げについても前年を上回っている状況で、品揃えや接客、増床などの工夫を施した結果が現れているといえるだろう。テックランドのなかでは、代表的な店舗の一つに位置づけられる。
スタッフには一つのコーナーを任せて、商品知識を習得してもらう。今年10月からは、関連する商品を組み合わせたソリューション提案にも取り組んでいる。「来年4月の消費増税をにらんで、高額の生活家電が売れてきている。リフォーム案件も増えているこの商機を、絶対に逃がさない」と、言葉にも力がこもる。成長に向けた活気がみなぎっていることが強みだ。
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2013年12月2日付 vol.1508より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは
ヤマダ電機テックランド東京本店
店舗データ
住所 東京都世田谷区上北沢5-37-18
オープン日 1998年8月
売り場面積 約3300m2
従業員数 約90人(アルバイト含む)
コジマが複数店舗を周辺に出店 近くの常連と遠方のお客様を獲得
約87万と、東京都区部のなかで最も人口が多い世田谷区。環状八号線や環状七号線、国道20号などの幹線道路や、小田急線、京王線、東急田園都市線などの鉄道が通り、交通網が非常によく整備されている。成城や用賀、等々力など、高級住宅街を抱えることでも知られる。
交通の便がよく、高所得者が住むことから、家電量販店は積極的に出店を進めてきた。コジマは、1999年12月にNEW用賀店をオープン。次いで、NEW若林店を出店した。2010年には世田谷区に隣接する杉並区高井戸にNEW高井戸東店を、11年には世田谷区成城に成城店をオープンさせた。現在、この4店舗で、世田谷区を囲むドミナント(高密度多店舗展開)戦略で収益向上に取り組んでいる。
テックランド東京本店の周辺にはコジマが複数の店舗を出店(写真はコジマNEW高井戸東店)
コジマの多店舗攻勢に負けず、成長を持続しているのが、ヤマダ電機テックランド東京本店だ。閑静な住宅街が広がる上北沢に1998年8月に出店。約15年が経過し、近隣の住民をお客様として獲得する一方で、環状八号線沿いの出店ということで、商圏を半径7~10kmと想定。江越広明店長は、「平日は、スタッフと気軽に会話する50歳以上の常連の方が多い。休日は近隣の方だけでなく、荻窪や狛江、調布などから子ども連れの30~40歳代の方が来店される」と、平日と休日で客層が分かれていると説明する。
テックランド東京本店は交通量の多い環状八号線沿いにある
売り場面積は3300m2程度と、郊外店としては標準的な広さ。1階が駐車場、2~3階が売り場になっている。品揃えは通常の郊外店と異なり、パソコンやデジタルカメラなど、デジタル機器の最新機種を中心に、ニーズの高いボリュームゾーンの機種をバランスよく展示。「都心まで出向かなくても最新機種が買える」ことを売りにしている。
平日と休日で異なる客層 新築・リフォーム需要の増大に対応
都心の店舗に負けない最新機種の品揃えに力を入れるテックランド東京本店は、一方でパソコン初心者層の獲得にも力を入れている。パソコンの設定やトラブルなどに対処する「PCサポートクリニック」のスペースを広く確保して、専任のスタッフを配置している。江越店長は、「お客様からは『パソコンに詳しくなくても安心して購入できる』という評価をいただいている」と自信をみせる。
スペースを広く確保した「PCサポートクリニック」
冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどの白物家電については、下位機種から上位機種まで、さまざまなお客様の層や家庭内での活用場所を想定して多くの機種を揃える。子ども連れのファミリー向けには、玩具やゲーム機のコーナーを充実させているほか、帰宅途中の近隣住民に気軽に寄ってもらうために、日用品も販売している。「GMS(総合スーパー)のように、ほしいものが何でも購入できる店づくりを徹底する」ということをコンセプトに据える。
日用品も販売する
客層の異なる平日と休日では、接客も変えている。平日は、顔なじみのスタッフとの会話を楽しみながら商品を説明してもらいたいという常連客が多く、初めてのお客様は少ない。「ゆっくりと時間をかけて、しっかり説明することが販売につながる」とのことだ。
平日/休日で接客を変える
一方、休日は多くのお客様が来店されるので、「できるだけ多くの方に対応できるよう、スタッフ一人ひとりが、どの商品を購入しようか悩んでいるお客様を探すようにしている。多くのお客様と触れ合うことが販売増に結びつく」という。
最近力を入れているのは、2011年に子会社にしたヤマダ・エスバイエルホームとの連携による住宅関連だ。今年4月、2階のデジタル機器コーナーを3階に移し、2階を生活家電コーナーにして、エスカレータを上がった目の前に大きなスペースを確保してリフォーム関連コーナーを設置した。上北沢には、築10年以上の戸建て住宅が少なくない。また、とくにキッチンまわりにこだわる主婦も多いようだ。「常連のお客様が『近くに新築・リフォームのショールームがない』と話していたので増床し、大きくアピールすることにした」という。同店自身の“リフォーム”から約6か月が経過した今年10月末の時点で、「成約件数は前年を上回っている。また、多くの問い合わせをいただいている」と、増床の効果をアピールする。
新築・リフォーム関連コーナーを拡充
全体の売り上げについても前年を上回っている状況で、品揃えや接客、増床などの工夫を施した結果が現れているといえるだろう。テックランドのなかでは、代表的な店舗の一つに位置づけられる。
店長が語る人気の理由――江越広明 店長
10年ほど前に副店長として赴任して以来、テックランド東京本店に勤務している。店長として店舗を任されたのは約3年前。「現場の声をよく聞いて、まずは自分が手本を見せる」を信条に、客層に合った店舗づくりに励んでいる。
スタッフには一つのコーナーを任せて、商品知識を習得してもらう。今年10月からは、関連する商品を組み合わせたソリューション提案にも取り組んでいる。「来年4月の消費増税をにらんで、高額の生活家電が売れてきている。リフォーム案件も増えているこの商機を、絶対に逃がさない」と、言葉にも力がこもる。成長に向けた活気がみなぎっていることが強みだ。
■人気の理由
・デジタル機器で都心に負けない最新機種の品揃え
・お客様の層に合わせて平日と休日で異なる接客を行う
・新築・リフォーム関連コーナーの拡充
・デジタル機器で都心に負けない最新機種の品揃え
・お客様の層に合わせて平日と休日で異なる接客を行う
・新築・リフォーム関連コーナーの拡充
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2013年12月2日付 vol.1508より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは