シーゲイト「NAS HDD」に死角なし! 大容量・信頼性・省電力が揃い踏み

レビュー

2013/07/19 19:05

 近年、ハードディスクドライブ(HDD)を用いたソリューションの一つとして、PCを介さず直接ネットワークにつなげて利用するNAS(Network Attached Storage)環境を構築する人が増えている。オフィスユースはもちろん、個人ユーザーも高画質のデジタルカメラの画像やフルHDの動画など、大きなデータをネットワーク環境で利活用しようと、NASを導入する人が多い。そんなNASのニーズが高まるなかで、注目したいのがシーゲイトのNAS向けHDD「NAS HDD」だ。

シーゲイトのNAS向けHDD「NAS HDD」

シーゲイトのNAS向けHDD「NAS HDD」

業界唯一の4TB 5台組み合わせて20TBと超大容量のNAS環境が実現



 HDDのトップメーカーであるシーゲイトは、OEM向けから個人向けまで、あらゆるニーズに対応するHDDラインアップをもつ。そのなかで近年力を入れているのが、NAS向けのHDDだ。トップメーカーだけに、NAS向けのHDDでも他社にない強みをもっている。

 それを端的に表しているのが、業界最大の4TBのラインアップがあること。6月中旬に発売した「ST4000VN000」は、1台で4TBを実現した3.5インチNAS向けHDDだ。

 NASを組むユーザーは、複数台のHDDを装着できる大型のNASケースに4~5台のHDDを組み込み、大容量ストレージとして利用するのが一般的だ。例えば、HDDを5台組み込めるNASケースを使う場合、シーゲイトの「ST4000VN000」ならば4(TB)×5(台)=20TBという大容量NASシステムを実現することができる。これは3TBのHDDを5台組み込んだ場合に比べて容量の点で大きなアドバンテージとなる。

抜群の信頼性で24時間安心



 使用するときに電源を入れる一般的な外付けHDDと違い、NASの電源は入れっ放しのことが多い。つまりNAS向けのHDDには、過酷な使用条件・環境下での安定稼働が求められる。シーゲイトの「NAS HDD」は、これに応える信頼性の高いNASだ。

 「NAS HDD」は24時間の通年稼働を想定した設計で、MTBF(平均故障間隔)は100万時間を実現。加えて3年間の製品保証つきで、安心して使うことができる。

 さらに、信頼性を高める技術「NASWorks」テクノロジーを搭載する。これはNAS向けに最適化したエラー・リカバリ・コントロール、ドライブ振動の低減、高度な消費電力管理の三つの機能を備える。

 特に注目したいのが、消費電力管理と振動対策だ。24時間つけっ放しにしていることが多いNASだけに、消費電力は気になる。「NAS HDD」は、ユーザーの労働時間に合わせて動作するよう構築。常時稼働ではなく、1回数時間のオン/オフを繰り返す。さらに「NASWorks」テクノロジーが、スリープ・モードやスタンバイ・モードに適切に切り替わるようサポート。これによって、最大限の節電と最小限のデータ取得時間を実現している。

 HDDは磁気プラッタを回転させるため、小さい振動が発生する。ドライブ1台が起こす振動は微々たるものだが、複数台のHDDを搭載するNASは1台1台のHDDが発する振動が共鳴・増幅し、これが性能低下や故障の要因になりやすい。「NASWorks」テクノロジーは、「デュアル・プレーン・バランス」でドライブ・モーターのバランスを取り、ドライブの振動を緩和。マルチベイ環境での信頼性を向上している。

 場合によっては24時間365日の通年稼働など、過酷な条件下での使用が想定されるNAS向けHDDを選ぶとき重要なポイントは、信頼性、省電力、低振動の三点だ。「NASWorks」テクノロジーを搭載したシーゲイトの「NAS HDD」は、高度な信頼性が求められる用途でも安心して使うことができる。

複数台運用のNAS環境で大きくものをいう省電力



 省電力に関して、もう少し詳しく触れておこう。「NAS HDD」は、先に述べた「NASWorks」テクノロジーでNAS向けHDDに最適化した消費電力管理に加え、動作時の消費電力が2TBモデルの「ST2000VN000」で4.3W、3TBモデルの「ST2000VN000」と4TBモデルの「ST4000VN000」で4.8Wと低い。1台あたりの消費電力は、低ければ低いほどいい。年間のランニングコストに換算したとき、この省電力は大きくものをいうことになる。

 ディスクの回転速度も大きなポイントだ。一般的に性能を重視したHDDの場合は7200rpm、省電力を重視した場合は5400rpmという回転数を採用しているが、「NAS HDD」シリーズは5900rpmという独自の回転数で、省電力とパフォーマンスのいいとこ取りを実現。それでいて動作音は静かなのだから、技術力の高いシーゲイトならではの独自仕様だ。

 快適と感じる性能とすぐれた省電力を両立した「NAS HDD」は、NAS構築を志す人に高い満足を約束してくれる。ふだん使用しているPCのストレージベイに複数台のNAS HDDを実装して使うことを想定しているユーザーには、PCの快適性につながるパフォーマンスと信頼性を高いレベルで両立したシーゲイトの「NAS HDD」は最適なチョイスとなる。

主要メーカーのNASケースと高い互換性



 NASケースにHDDを組み込む際、ケースとの相性は実は重要なポイントだ。シーゲイト製品は、主要NASメーカーが動作検証を行っているので、ケースとHDDのマッチングで悩まされることはほぼない。LaCie、QNAP、Synology、Thecus、Droboといった主要メーカーのNASラックやドライブケース製品なら、まず失敗することはない。さらに、複数台使用を前提に設計・検証しているので、NASケースの電源容量不足や振動問題などで悩まされることも少ない。

 NAS向け3.5インチHDDでは業界初となる4TBという大容量や、省電力と高性能、静音を高いレベルで成立させる5900rpmという独自の回転数、NAS向けHDDとしての信頼性を決定づける「NASWorks」テクノロジーなど、ほかにはない価値をもつシーゲイトの「NAS HDD」。常に最前線でHDDの技術革新を牽引し、先駆者として新たな価値をもつHDD製品を市場に送り出し続けるトップメーカーならではの安心と満足を感じることができるはずだ。(ITジャーナリスト 市川 昭彦)