2013年4月の携帯電話ランキング、2キャリアの「iPhone 5」が僅差で競う

特集

2013/05/24 20:11

 2010年秋以降、携帯電話主要3キャリアは、スマートフォン中心のラインアップに舵を切った。きっかけは、10年4月にドコモが発売したAndroid搭載スマートフォン「Xperia SO-01B」のヒットだろう。当時、すでにスマートフォンの代名詞だった「iPhone」以外のスマートフォンでも国内で売れるとわかり、まずドコモが、少し遅れてKDDI(au)が、キャリア独自の仕様にできるAndroid OSのスマートフォンに力を入れはじめた。現在は、ドコモはAndroidだけ、auとソフトバンクモバイルは「iPhone」を主力に据えながらAndroid搭載スマートフォンも取り揃え、「iPhone」を巡ってし烈なユーザー獲得争いを繰り広げている。

2012年9月の発売以来、売れ続けている「iPhone 5」


キャリアはドコモ、端末はアップルの「iPhone 5」がトップ



 家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、今年4月の携帯電話全体の販売台数1位は、ソフトバンクモバイルの「iPhone 5」の16GBモデル、2位はauの「iPhone 5」の16GBモデルだった。ソフトバンクモバイルの「iPhone 5」16GBモデルの1位獲得は、今年1月以来、2回目。ソフトバンクモバイルの「iPhone 5」としては、発売直後の12年10月11月12月と合わせ、5回目だ。

2013年4月 携帯電話
販売台数ランキング<全キャリア合算>
順位 キャリア メーカー 品名 型番 販売台数
シェア(%)
発売年月
1 SoftBank アップル iPhone 5 16GB(SoftBank) 同左 9.0 2012/09
2 au アップル iPhone 5 16GB(au) 同左 7.8 2012/09
3 NTTドコモ ソニーモバイル
コミュニケーションズ
Xperia Z SO-02E 7.6 2013/02
4 SoftBank アップル iPhone 5 32GB(SoftBank) 同左 4.6 2012/09
5 NTTドコモ パナソニック 
モバイルコミュニケーションズ
P-01E P-01E 4.1 2012/11
6 au アップル iPhone 5 32GB(au) 同左 3.6 2012/09
7 SoftBank ZTE みまもりケータイ2 101Z 3.2 2012/04
8 NTTドコモ シャープ AQUOS PHONE EX SH-04E 3.1 2013/01
9 NTTドコモ ソニーモバイル
コミュニケーションズ
Xperia acro HD SO-03D 2.8 2012/03
10 NTTドコモ シャープ SH-03E SH-03E 2.5 2012/12
「BCNランキング」2013年4月 月次<最大パネル>

 通常はキャリア・容量ごとにカウントしている「iPhone 5」をキャリアごとに合算すると、ソフトバンクモバイルの「iPhone 5」(14.7%)、auの「iPhone 5」(12.3%)、ドコモのAndroid搭載スマートフォン「Xperia Z SO-02E」(7.6%)の順となり、前月同様、僅差でソフトバンクモバイルの「iPhone 5」がトップを制した。

 2キャリアを合わせた「iPhone 5」のシェアは、前月とほぼ同じ27.0%。ただし販売台数は、キャンペーンや季節需要によって大量に売れた3月の6割弱程度だった。今年1月以降、スマートフォンの販売台数は前年を下回り、モデルチェンジ前の端境期だった4月は前年同月比92.8%と大きく落ち込んだ。このなかで「iPhone」は、前年同月比120.6%~136.1%と継続して前年を上回り、好調を維持している。


 スマートフォンに限った4月のキャリア別販売台数シェアは、契約数No.1のドコモが41.2%、auが32.2%、ソフトバンクモバイルが24.0%。12年12月以降、ドコモは4割以上、auも3割前後のシェアを保ち、キャリアはドコモだが、製品はドコモだけが取り扱っていない「iPhone 5」が最も多く売れているという不思議な状況が続いている。


 主要3キャリア、ドコモ・au・ソフトバンクモバイルのキャリア別月間トップ10をみると、スマートフォンに混じって、キッズ向けの防犯ブザー付き端末を含め、従来型携帯電話がランクインしている。auとソフトバンクモバイルは、前月までと同じく「iPhone 5」がトップ。シェアはそれぞれ4割を超え、2位以下を大きく引き離している。

2013年4月 携帯電話
キャリア別 販売台数ランキング<NTTドコモ>
順位 メーカー 品名 型番 メインカメラの有効画素数(万画素) 販売台数
シェア(%)
発売年月
1 ソニーモバイルコミュニケーションズ Xperia Z SO-02E 1310 17.3 2013/02
2 パナソニック モバイルコミュニケーションズ P-01E P-01E 510 9.3 2012/11
3 シャープ AQUOS PHONE EX SH-04E 1310 7.1 2013/01
4 ソニーモバイルコミュニケーションズ Xperia acro HD SO-03D 1210 6.4 2012/03
5 シャープ SH-03E SH-03E 500 5.7 2012/12
6 富士通 ARROWS X F-02E 1630 5.2 2013/02
7 Huawei Technologies キッズケータイ HW-01D - 4.8 2012/09
8 SAMSUNG GALAXY S III α SC-03E 810 4.5 2012/12
9 パナソニック モバイルコミュニケーションズ ELUGA X P-02E 1320 4.3 2013/01
10 シャープ AQUOS PHONE ZETA SH-02E SH-02E 1630 3.4 2012/11

2013年4月 携帯電話
キャリア別 販売台数ランキング<au>

※「iPhone 5/4S」は容量の異なるモデルを合算
順位 メーカー 品名 型番 メインカメラの有効画素数(万画素) 販売台数
シェア(%)
発売年月
1 アップル iPhone 5 (au) - 800 41.6 2012/09
2 HTC HTC J butterfly HTL21 800 8.0 2012/12
3 京セラ mamorino3 KYY05 - 4.7 2013/01
4 富士通モバイル
コミュニケーションズ
ARROWS ef FJL21 810 4.5 2012/11
5 ソニーモバイル
コミュニケーションズ
Xperia VL SOL21 1300 4.3 2012/11
6 HTC INFOBAR A02 HTX21 800 3.8 2013/02
7 京セラ K011 K011 808 3.6 2012/06
8 京セラ 簡単ケータイ K012 K012 515 3.3 2012/05
9 シャープ AQUOS PHONE SERIE SHL21 SHL21 1312 3.1 2012/11
10 Pantech 
Wireless Japan
PT003 PT003 511 3.1 2012/09

2013年4月 携帯電話
キャリア別 販売台数ランキング<SoftBank>

※「iPhone 5/4S/4」は容量の異なるモデルを合算
順位 メーカー 品名 型番 メインカメラの有効画素数(万画素) 販売台数
シェア(%)
発売年月
1 アップル iPhone 5 (SoftBank) - 800 59.1 2012/09
2 ZTE みまもりケータイ2 101Z - 12.8 2012/04
3 シャープ PANTONE WATERPROOF 202SH 320 5.9 2013/01
4 シャープ PANTONE 6 200SH 1310 3.9 2012/12
5 シャープ AQUOS PHONE Xx 203SH 203SH 1630 3.9 2013/03
6 シャープ かんたん携帯 108SH 108SH 320 2.9 2012/07
7 パナソニック モバイルコミュニケーションズ COLOR LIFE 3 103P 510 1.9 2012/07
8 シャープ THE PREMIUM9 WATERPROOF 109SH 1210 1.3 2012/09
9 京セラ HONEY BEE 201K 201K 800 1.0 2013/01
10 シャープ PANTONE 5 107SH 490 1.0 2012/07
「BCNランキング」2013年4月 月次<最大パネル>

夏モデルは機種を厳選 流れは変わるか?



 従来型携帯電話の全盛期、各キャリアは、好みやライフスタイル、予算などに合わせて選べるよう、豊富なラインアップを取り揃えていた。スマートフォン時代になっても、これまでと変わらず機種数を競い合っていたが、タッチパネル操作のスマートフォンは似たような外観・スペックの機種が多く、ユーザーから「どれを選べばいいのかわからない」という不満の声が上がっていたという。

 5月に発表した夏モデルでは、各キャリアとも機種数を絞り、そのなかで、フルセグ(地上デジタル放送)対応、大画面フルHD、コンパクト、シニア向けなどの特徴をもたせた。シーズンごとに買い替えるようなスマートフォン愛好者にはもの足りないかもしれないが、2~3年に一度買い替える一般ユーザーにとっては十分だろう。もし気に入った機種がなければ、遜色のないスペックをもつ2013年春モデル、2012年秋冬モデルから選べばいい。

 ドコモは、従来のiモードケータイからスマートフォンへの機種変更をうながすために、「ツートップ」と位置づけたおすすめの2機種を端末価格や宣伝などの面で優遇する方針を打ち出した。条件を満たしていれば、通常、MNP・新規契約に比べ、端末代が割高になる機種変更でも、かなり安い実質負担額で購入できる(詳しくは、<ドコモの2013年夏モデル「ツートップ」、勝つのはどっちだ!?>を参照)。この「ツートップ」戦略によって、これまでの「キャリアはドコモ、端末はiPhoneが人気」という状況が変わるのか、今後の動向に注目したい。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。