BDレコーダーはより便利に、より安く トリプルチューナーモデルは2割に拡大
HDD内蔵ブルーレイディスク(BD)レコーダーは、以前に比べ、かなり手頃になった。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、2013年4月のBDレコーダー(HDD内蔵タイプ)の税別平均単価は約4万4700円。3年前の10年4月に比べ、3万円ほど下がった。BDレコーダーを販売しているメーカーは10社以下だが、デジタル放送を2番組/3番組同時に録画できるダブルチューナー/トリプルチューナーモデル、チャンネルを丸ごと録画するタイムシフト視聴向けの「全録レコーダー」など、チューナー数(タイプ)やHDD容量の違いによるバリエーションは多い。底値と思われるいまのうちに、手持ちの古いレコーダーからの買替え・買増しを検討してどうだろう?
レコーダーは、テレビとセットで購入するケースが多いといわれる。内閣府が発表した消費動向調査によると、13年3月時点の世帯普及率は、薄型テレビが96.4%、BDレコーダー・プレーヤーが39.0%。BDレコーダー・プレーヤーの普及率は、前年に比べて3.3ポイント上昇したものの、再生専用のBDプレーヤーを含めても、ほぼ全世帯が所有している薄型テレビの半分以下にとどまっている。
11年あたりから、別売の外付けUSB HDDに録画できる薄型テレビ(録画対応テレビ)が増え、テレビ番組を録画するために、テレビとレコーダーをセットで購入する必要性は薄れている。YouTubeやニコニコ動画、ニコニコ生放送、Ustreamなどの無料・有料の動画配信サービスや、月額定額制の動画見放題サービスなど、テレビ番組以外の動画コンテンツも増えている。地上デジタル放送への移行を目的に薄型テレビが飛ぶように売れた地デジ特需が終わった11年8月以降、BDレコーダーの月間販売台数はずっと前年を下回り、今はほぼ地デジ特需前の水準に戻った。こうしたテレビと動画に関する環境の変化を考えると、BDレコーダーは、今後は国内でも、ドラマやアニメ、スポーツなど、特定ジャンルの番組の愛好者と、動画配信サービスになじめない層向けのニッチな機器になってしまうかもしれない。
BDレコーダーのメリットは、市販のBDソフトや自作のBDメディアを再生できることと、録画した番組やビデオカメラなどから取り込んだ映像をダビングして、自分だけの保存版ディスクを簡単に作成できること。BDレコーダー内蔵テレビやデジタルチューナー・BDドライブ搭載パソコンでも可能だが、録画する番組数が多い人、VHSビデオデッキをずっと使い続けていた人にとっては、専用機のBDレコーダーのほうが安心して使えるだろう。録画対応テレビの増加を受け、BDレコーダーも、外付けUSB HDDへの録画に対応するようになり、「HDD容量を増やせない」という欠点は解消した。内蔵HDDの容量も、大容量といわれていた500GB以上が主流になって、より便利に、より使いやすくなっている。
また、デジタル放送を2番組同時に録画できるダブルチューナーモデルに代わって、デジタル放送を3番組同時に録画できるトリプルチューナーモデル(一部の機種は2番組まで)が人気を集めつつある。地上デジタルチューナーを3基搭載したBDレコーダーの販売台数構成比は、今年2月に初めて2割を超え、4月は過去最高の22.4%を記録した。
カラーバリエーションを合算した2013年4月のBDレコーダーのシリーズ別販売台数1位はソニーの「BDZ-EW500」、2位はパナソニックの「DMR-BWT530」だった。ともにHDD容量500GBのダブルチューナーモデルで、実売価格は4万円前半。シェアは「BDZ-EW500」が9.60%、後継機種「DMR-BWT550」が4月30日に発売された「DMR-BWT530」が9.59%で、ほぼ同率1位といっていい。
5~7位には、「簡単操作」をウリにしたシングルチューナーモデルがシェア6.5~6.7%の僅差で並んだ。デジタル放送を3番組同時に録画できるトリプルチューナーモデルは、12~20位の間に、シャープの「BD-T1100」をはじめ、計6機種がランクインした。メーカー別販売台数シェアは、パナソニックが36.3%、シャープが24.7%、ソニーが23.5%、東芝が13.8%で、上位4社だけで95%以上を占めている。
市販のBDソフトを見るつもりがなく、録画した番組を見たらすぐに消す視聴スタイルなら、外付けHDDや内蔵HDDなどに録画できる薄型テレビの録画機能で十分。ただし、録画したテレビ番組をダビングして手元に保存しておきたいなら、BDレコーダーをおすすめしたい。家族全員で1台のレコーダーを共有したり、たくさんの番組を録画したりするなら、ダブルチューナーモデル、できればトリプルチューナーモデルがいいだろう。また、一定の予算内で機種を選ぶなら、HDD容量よりも、あとから増やせないチューナーや画質などの他の要素にこだわったほうがいい。現時点ではまだ2割程度だが、近い将来にはヘビーユーザーのニーズを満たすトリプルチューナーモデルが主流になりそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
メリットはBDの再生・作成と専用機ならではの「安心感」
レコーダーは、テレビとセットで購入するケースが多いといわれる。内閣府が発表した消費動向調査によると、13年3月時点の世帯普及率は、薄型テレビが96.4%、BDレコーダー・プレーヤーが39.0%。BDレコーダー・プレーヤーの普及率は、前年に比べて3.3ポイント上昇したものの、再生専用のBDプレーヤーを含めても、ほぼ全世帯が所有している薄型テレビの半分以下にとどまっている。
11年あたりから、別売の外付けUSB HDDに録画できる薄型テレビ(録画対応テレビ)が増え、テレビ番組を録画するために、テレビとレコーダーをセットで購入する必要性は薄れている。YouTubeやニコニコ動画、ニコニコ生放送、Ustreamなどの無料・有料の動画配信サービスや、月額定額制の動画見放題サービスなど、テレビ番組以外の動画コンテンツも増えている。地上デジタル放送への移行を目的に薄型テレビが飛ぶように売れた地デジ特需が終わった11年8月以降、BDレコーダーの月間販売台数はずっと前年を下回り、今はほぼ地デジ特需前の水準に戻った。こうしたテレビと動画に関する環境の変化を考えると、BDレコーダーは、今後は国内でも、ドラマやアニメ、スポーツなど、特定ジャンルの番組の愛好者と、動画配信サービスになじめない層向けのニッチな機器になってしまうかもしれない。
BDレコーダーのメリットは、市販のBDソフトや自作のBDメディアを再生できることと、録画した番組やビデオカメラなどから取り込んだ映像をダビングして、自分だけの保存版ディスクを簡単に作成できること。BDレコーダー内蔵テレビやデジタルチューナー・BDドライブ搭載パソコンでも可能だが、録画する番組数が多い人、VHSビデオデッキをずっと使い続けていた人にとっては、専用機のBDレコーダーのほうが安心して使えるだろう。録画対応テレビの増加を受け、BDレコーダーも、外付けUSB HDDへの録画に対応するようになり、「HDD容量を増やせない」という欠点は解消した。内蔵HDDの容量も、大容量といわれていた500GB以上が主流になって、より便利に、より使いやすくなっている。
また、デジタル放送を2番組同時に録画できるダブルチューナーモデルに代わって、デジタル放送を3番組同時に録画できるトリプルチューナーモデル(一部の機種は2番組まで)が人気を集めつつある。地上デジタルチューナーを3基搭載したBDレコーダーの販売台数構成比は、今年2月に初めて2割を超え、4月は過去最高の22.4%を記録した。
売れ筋は500GBのダブルチューナーモデル、トリプルチューナーも拡大
カラーバリエーションを合算した2013年4月のBDレコーダーのシリーズ別販売台数1位はソニーの「BDZ-EW500」、2位はパナソニックの「DMR-BWT530」だった。ともにHDD容量500GBのダブルチューナーモデルで、実売価格は4万円前半。シェアは「BDZ-EW500」が9.60%、後継機種「DMR-BWT550」が4月30日に発売された「DMR-BWT530」が9.59%で、ほぼ同率1位といっていい。
順位 | メーカー | 型番・品名 | 地上・BS・110度CS デジタルチューナー搭載数 | HDD容量 | 外付け HDD | 販売台数 シェア(%) | 備考 |
1 | ソニー | BDZ-EW500 | 2 | 500GB | ○ | 9.60 | |
2 | パナソニック | DMR-BWT530 | 2 | 500GB | ○ | 9.59 | |
3 | 東芝 | DBR-Z310 | 2 | 500GB | ○ | 7.2 | |
4 | パナソニック | DMR-BWT630 | 2 | 1TB | ○ | 7.0 | Wi-Fi搭載 |
5 | パナソニック | DMR-BR130 | 1 | 320GB | ○ | 6.7 | DRモード専用 |
6 | シャープ | BD-S520 | 1 | 500GB | × | 6.6 | |
7 | パナソニック | DMR-BRT230 | 1 | 500GB | ○ | 6.5 | |
8 | シャープ | BD-W520 | 3 ※うち1つは視聴専用 | 500GB | ○ | 5.8 | Wi-Fi搭載 |
9 | ソニー | BDZ-E500 | 1 | 500GB | ○ | 5.1 | カラー2色 |
10 | ソニー | BDZ-EW1000 | 2 | 1TB | ○ | 4.9 |
※カラーバリエーションは合算して集計
「BCNランキング」2013年4月 月次<最大パネル>
5~7位には、「簡単操作」をウリにしたシングルチューナーモデルがシェア6.5~6.7%の僅差で並んだ。デジタル放送を3番組同時に録画できるトリプルチューナーモデルは、12~20位の間に、シャープの「BD-T1100」をはじめ、計6機種がランクインした。メーカー別販売台数シェアは、パナソニックが36.3%、シャープが24.7%、ソニーが23.5%、東芝が13.8%で、上位4社だけで95%以上を占めている。
上から、ソニー「BDZ-EW500」、パナソニック「DMR-BWT530」、東芝「DBR-Z310」、シャープ「BD-T1100」
市販のBDソフトを見るつもりがなく、録画した番組を見たらすぐに消す視聴スタイルなら、外付けHDDや内蔵HDDなどに録画できる薄型テレビの録画機能で十分。ただし、録画したテレビ番組をダビングして手元に保存しておきたいなら、BDレコーダーをおすすめしたい。家族全員で1台のレコーダーを共有したり、たくさんの番組を録画したりするなら、ダブルチューナーモデル、できればトリプルチューナーモデルがいいだろう。また、一定の予算内で機種を選ぶなら、HDD容量よりも、あとから増やせないチューナーや画質などの他の要素にこだわったほうがいい。現時点ではまだ2割程度だが、近い将来にはヘビーユーザーのニーズを満たすトリプルチューナーモデルが主流になりそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。