ウエスタンデジタルが2012年HDDベアドライブ市場でNO.1に! 1月にはシェア5割を突破
PCの記憶容量の増量や、PCや外付けHDDの自作に欠かせないのが、HDDベアドライブ。2012年は11年に発生したタイ洪水被害のダメージから抜け出し、市場は上昇へと転じた。そんな2012年のHDDベアドライブ市場を制したのは、ウエスタンデジタルだった。
HDDベアドライブとは、むき出しの状態で販売しているHDDのこと。出荷時にばらで梱包されていることからバルクHDDとも呼ばれる。例えば、PCの記憶容量がいっぱいになったら、内蔵しているHDDと大容量のHDDベアドライブと交換して容量を増やしたり、タワー型PCであれば直接増設したりできる。USB端子などを備えたHDDケースに組み込んで外付けHDDを自作したりする際にも活躍する。もちろん、自作PCをつくるときには欠かせないパーツでもある。
HDD市場は、HDDの主要生産国の一つ、タイを襲った11年の大洪水以降、品薄状態が続き、価格が高騰したが、12年に入って品薄が解消され始めた。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」で、12年1月の販売台数を1としてみた月ごとの販売台数指数は、右肩上がりで推移。6月は1.59、7月は1.77と順調に市場が回復している。
自作需要が高まる12年12月には2.51まで盛り上がり、タイの洪水のダメージから完全に抜け出している。この好調を支えているのが、ウエスタンデジタルだ。
HDDベアドライブ市場はメーカーの統廃合が進み、現在、市場に残っているのは数社。なかでも日立GSTを買収したウエスタンデジタルと、サムスンのHDD部門を買収したシーゲイトの2社が市場をけん引している。この2社がつくるHDDは、HDDベアドライブとして市場に流通するだけでなく、PCメーカーや外付けHDDなどの周辺機器メーカー、BDレコーダーメーカーなどに幅広くOEM提供され、身近なところでも活躍している。
では、メーカー別の販売台数シェアをみていこう。ウエスタンデジタルとシーゲイトは、12年10月まで抜きつ抜かれつの大激戦を繰り広げていたが、11月にウエスタンデジタルが42.8%のシェアを獲得して1位に立った。12月はウエスタンデジタル48.6%、シーゲイト33.0%と差を広げ、さらに13年1月には53.8%と5割を超えるシェアを獲得した。
ウエスタンデジタルの強みは、容量のバリエーションだけでなく、用途に合わせて選べる豊富なラインアップを揃えているところにある。例えば、外付けHDD向けの「WD GREEN」、自作PC向けの「WD BLUE」、ハイパフォーマンスの「WD BLACK」と、ユーザーは用途に合わせて最適なHDDベアドライブを選ぶことができる。
なかでも世界で累計1億台以上販売した人気の「WD GREEN」は、クラス最高レベルの静音性と低消費電力を実現したエコモデルだ。さらに、12年8月には24時間365日の稼働保証や3年保証などの安心を売りにしたNAS向けの「WD RED」を追加。「WD GREEN」よりやや割高だが、ハイエンドユーザーを中心に支持を集めている。こうした豊富なラインアップとHDDトップベンダーとしての製品への信頼が、ウエスタンデジタルの強みといえるだろう。
最新のHDDベアドライブの売れ筋をチェックしよう。13年1月の月間機種別ランキング1位はウエスタンデジタルの「WD GREENシリーズ WD20EZRX(2TB)」で、シェアは22.1%だった。
2位も同じシリーズの「WD30EZRX(3TB)」で、シェアは15.0%。「WD GREEN」シリーズには代理店による2年保証がついており、1年保証中心の他メーカーに比べて長め。駆動部が多いHDDは、そのぶん故障の危険性もはらんでいるので、こうした配慮はユーザーの心をつかんでいる。また、上位モデルの「WD RED」シリーズは9位、10位に入っていた。
3位はシーゲイトの「Barracuda 7200.14 2TB ST-2000DM001」で、シェアは10.4%。3.5インチのPC用のHDDベアドライブで、7200回転の高速モデルだ。
最近は、HDDに代わるストレージとしてSSDが注目されている。SSDはHDDのようなディスクがなく、読取り装置(ヘッド)の移動やディスク回転の待ち時間がなく、高速で読み書きできる。また、駆動部がないので、作動音がしない。
しかし、SSDは価格が下がっているとはいえ、同容量のHDDに比べればまだまだ高価。特に大容量モデルは手が出しにくい。そこで、比較的安い容量の小さなSSDをOSなどのシステムドライブにして、データの保存には低価格の大容量HDDを利用するセパレート(ハイブリッド)方式がトレンドになっている。
ウエスタンデジタルも、HDDにフラッシュメモリをキャッシュとして搭載した「ハイブリッドHDD」を近々発売する予定だ。一台でHDDの大容量とSSDのハイスピードの恩恵が受けられ、特にHDDとSSDの両方を組み込むことができなかったノートPCユーザーにとっては救世主となるだろう。ウエスタンデジタルの今後の動向に注目したい。(BCN・山下彰子)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコンやデジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
回復著しいHDDベアドライブ市場
HDDベアドライブとは、むき出しの状態で販売しているHDDのこと。出荷時にばらで梱包されていることからバルクHDDとも呼ばれる。例えば、PCの記憶容量がいっぱいになったら、内蔵しているHDDと大容量のHDDベアドライブと交換して容量を増やしたり、タワー型PCであれば直接増設したりできる。USB端子などを備えたHDDケースに組み込んで外付けHDDを自作したりする際にも活躍する。もちろん、自作PCをつくるときには欠かせないパーツでもある。
HDD市場は、HDDの主要生産国の一つ、タイを襲った11年の大洪水以降、品薄状態が続き、価格が高騰したが、12年に入って品薄が解消され始めた。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」で、12年1月の販売台数を1としてみた月ごとの販売台数指数は、右肩上がりで推移。6月は1.59、7月は1.77と順調に市場が回復している。
自作需要が高まる12年12月には2.51まで盛り上がり、タイの洪水のダメージから完全に抜け出している。この好調を支えているのが、ウエスタンデジタルだ。
統廃合が進むHDDベアドライブ市場 ウエスタンデジタルが3か月連続で1位に
HDDベアドライブ市場はメーカーの統廃合が進み、現在、市場に残っているのは数社。なかでも日立GSTを買収したウエスタンデジタルと、サムスンのHDD部門を買収したシーゲイトの2社が市場をけん引している。この2社がつくるHDDは、HDDベアドライブとして市場に流通するだけでなく、PCメーカーや外付けHDDなどの周辺機器メーカー、BDレコーダーメーカーなどに幅広くOEM提供され、身近なところでも活躍している。
では、メーカー別の販売台数シェアをみていこう。ウエスタンデジタルとシーゲイトは、12年10月まで抜きつ抜かれつの大激戦を繰り広げていたが、11月にウエスタンデジタルが42.8%のシェアを獲得して1位に立った。12月はウエスタンデジタル48.6%、シーゲイト33.0%と差を広げ、さらに13年1月には53.8%と5割を超えるシェアを獲得した。
ウエスタンデジタルの強みは、容量のバリエーションだけでなく、用途に合わせて選べる豊富なラインアップを揃えているところにある。例えば、外付けHDD向けの「WD GREEN」、自作PC向けの「WD BLUE」、ハイパフォーマンスの「WD BLACK」と、ユーザーは用途に合わせて最適なHDDベアドライブを選ぶことができる。
左が外付けHDD向けの「WD GREEN」、右がNAS向けの「WD RED」
なかでも世界で累計1億台以上販売した人気の「WD GREEN」は、クラス最高レベルの静音性と低消費電力を実現したエコモデルだ。さらに、12年8月には24時間365日の稼働保証や3年保証などの安心を売りにしたNAS向けの「WD RED」を追加。「WD GREEN」よりやや割高だが、ハイエンドユーザーを中心に支持を集めている。こうした豊富なラインアップとHDDトップベンダーとしての製品への信頼が、ウエスタンデジタルの強みといえるだろう。
1月の月間機種別ランキングもウエスタンデジタルが制する
最新のHDDベアドライブの売れ筋をチェックしよう。13年1月の月間機種別ランキング1位はウエスタンデジタルの「WD GREENシリーズ WD20EZRX(2TB)」で、シェアは22.1%だった。
順位 | メーカー名 | 品名 | 型番 | 容量 | 販売台数 シェア(%) |
1 | WesternDigital | WD Green 2TB | WD20EZRX | 2TB | 22.1 |
2 | WesternDigital | WD Green 3TB | WD30EZRX | 3TB | 15.0 |
3 | Seagate | Barracuda 7200.14 2TB | ST-2000DM001 | 2TB | 10.4 |
4 | Seagate | Barracuda 7200.12 1TB | ST-1000DM003 | 1TB | 6.5 |
5 | Seagate | Barracuda 7200.12 3TB | ST-3000DM001 | 3TB | 5.5 |
6 | WesternDigital | WD Blue 1TB | WD10EZEX | 1TB | 3.7 |
7 | Seagate | Barracuda 7200.12 500GB | ST-500DM002 | 500GB | 2.9 |
8 | WesternDigital | WD Blue 500GB | WD5000AAKX | 500GB | 2.7 |
9 | WesternDigital | WD Red 3TB | WD30EFRX | 3TB | 2.2 |
10 | WesternDigital | WD Red 2TB | WD20EFRX | 2TB | 2.2 |
「BCNランキング」2013年1月 月次<最大パネル>
2位も同じシリーズの「WD30EZRX(3TB)」で、シェアは15.0%。「WD GREEN」シリーズには代理店による2年保証がついており、1年保証中心の他メーカーに比べて長め。駆動部が多いHDDは、そのぶん故障の危険性もはらんでいるので、こうした配慮はユーザーの心をつかんでいる。また、上位モデルの「WD RED」シリーズは9位、10位に入っていた。
3位はシーゲイトの「Barracuda 7200.14 2TB ST-2000DM001」で、シェアは10.4%。3.5インチのPC用のHDDベアドライブで、7200回転の高速モデルだ。
HDDとSSDの共存へ「ハイブリッドHDD」が誕生
最近は、HDDに代わるストレージとしてSSDが注目されている。SSDはHDDのようなディスクがなく、読取り装置(ヘッド)の移動やディスク回転の待ち時間がなく、高速で読み書きできる。また、駆動部がないので、作動音がしない。
しかし、SSDは価格が下がっているとはいえ、同容量のHDDに比べればまだまだ高価。特に大容量モデルは手が出しにくい。そこで、比較的安い容量の小さなSSDをOSなどのシステムドライブにして、データの保存には低価格の大容量HDDを利用するセパレート(ハイブリッド)方式がトレンドになっている。
ウエスタンデジタルも、HDDにフラッシュメモリをキャッシュとして搭載した「ハイブリッドHDD」を近々発売する予定だ。一台でHDDの大容量とSSDのハイスピードの恩恵が受けられ、特にHDDとSSDの両方を組み込むことができなかったノートPCユーザーにとっては救世主となるだろう。ウエスタンデジタルの今後の動向に注目したい。(BCN・山下彰子)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコンやデジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。