「iPad mini」のWi-Fiモデルが前週比2倍に急増、一番人気は16GB
昨年秋以来、タブレット端末が売れている。スマートフォンと並ぶ今年一番の注目製品だろう。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、2010年4月から2013年1月までに、1台以上、タブレット端末に該当する製品を発売したメーカーは40社以上。ただし現時点では、アップルの「iPad」シリーズと、ASUSの「Nexus 7」以外の製品の売れ行きは低調だ。「Nexus 7」の発売前は「iPad」の独壇場で、モデルチェンジのたびに買い替える(買い足す)ような熱心なファンもついている。
しかし、12年10月24日に発表され、11月2日にWi-Fiモデルが先行発売された7.9インチの新モデル「iPad mini」は、人気のあまり、初回入荷分が完売すると品薄状態になった。一方、7.0インチのAndroid搭載タブレット「Nexus 7」は、発売直後の一時期を除き、在庫が豊富にあり、予約せずに購入できたため、12年12月は、「Nexus 7」を販売するASUSがそれまでずっと1位だったアップルを抜き、初めてタブレット端末の月間メーカー別販売台数1位を獲得した。「iPad」シリーズ全体の販売台数は、iPad mini発売前よりも大幅に増加しており、伸び率で負けてしまった格好だ。店舗への供給量の差が、そのまま販売台数の差につながったという見方もある。
週次集計では、12年12月第2週(12月10~16日)以降、ASUSがアップルを抜いてトップに立ち、両社のシェアの差は最大16.5ポイントまで開いたが、13年2月第2週(2月11~17日)はアップルが42.7%を占め、9週ぶりにトップに返り咲いた。
けん引役は、品薄のために12年12月半ばから「iPad Retinaディスプレイモデル(第4世代iPad)」のWi-Fiモデルの販売台数を下回っていた「iPad mini」のWi-Fiモデル。2月第2週の「iPad mini」Wi-Fiモデルの販売台数は前週比213.3%と、およそ前週の2倍に伸び、発売直後の数週間に次ぐ高水準を記録した。2月第2週は、通常より祝日が1日多く、そのぶんが上乗せになっているとはいえ、Wi-Fiモデル全体でも、前週比140.1%と好調だった。Apple Online Storeや直営店のApple Storeなど、「BCNランキング」の集計対象外の店舗での販売を加えると、伸び率はもっと大きいかもしれない。
突如として、13年2月第2週(2月11~17日)、「iPad mini」のWi-Fiモデルの販売台数が急増した要因は何だろうか? 一つには、店舗に大量の入荷があり、予約者の手に行き渡ったからだろう。もう一つは仮説になるが、「iPhone」とiPadの「Wi-Fi + Cellularモデル/Wi-Fiモデル」の両方を取り扱うソフトバンクモバイルが展開しているMNP(携帯電話番号ポータビリティ)向けキャンペーン「スマホタダ割」の特典の一つ、「iPad mini Wi-Fiモデル 16GB 実質無料プレゼント」の影響が考えられる。
このキャンペーンは、同じ携帯番号のままキャリアを乗り換えるMNPを利用して、「iPhone」をはじめとするソフトバンクモバイルのスマートフォンと同時に「iPad mini」「iPad Retinaディスプレイモデル(第4世代iPad)」のいずれかのWi-Fiモデルを購入すると、スマートフォンの利用料金から毎月1200円ずつ最大24回(24か月)、合計2万8800円を割り引くもの。例えば、通常価格2万8800円の「iPad mini」Wi-Fiモデルの16GBモデルを選んだ場合、キャンペーンによる割引額の合計と端末代が同額になり、差し引き0円=無料で手に入れることができる。
MNP限定で、別途、端末代や通信料金の支払いが必要なスマートフォンを2年以上継続して利用しないと値引き分全額が適用されず、「実質負担0円」にはならないという制約があるものの、スマートフォンと対象の「iPad」Wi-Fiモデルを別々に購入するより安く済む。ソフトバンクモバイルの広報によると、昨年12月1日に開始したこのキャンペーンに対する反響は大きく、手応えを感じているという。ちなみに、ソフトバンクショップや量販店でも、Wi-Fiモデルの在庫が薄い状況が続いていたが、2月半ばから、スマートフォンと一緒に当日持ち帰ることができる店舗が多くなっているそうだ。
「iPad mini」のWi-Fiモデルは、13年2月18日までの累計で、16GB(44.9%)、64GB(28.5%)、32GB(26.6%)の順に売れている。しかし、2月第2週に限ると、16GBモデルが56.6%を占め、飛び抜けて多かった。この16GBモデルに偏った売れ方をみると、「スマホタダ割」キャンペーンによる上乗せ効果はゼロではなさそうだ。Wi-Fiモデルに比べると、販売台数はだいぶ少ないが、ソフトバンクモバイルとKDDIが販売する「iPad mini」と「第4世代iPad」のWi-Fi + Cellularモデルもコンスタントに売れている。いずれにしても、発表以来、注目度の高い「iPad mini」の品薄の解消に伴って、さまざまな用途で活用できるタブレット端末の普及にますます弾みがつきそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
*Amazonの「Kindle Fire HD」「Kindle Fire」は、現在、「タブレット端末」の集計対象から除外しています。これまでの経緯と詳細はこちらをご覧ください。
従来のiPadに比べて小型・軽量になった「iPad mini」
しかし、12年10月24日に発表され、11月2日にWi-Fiモデルが先行発売された7.9インチの新モデル「iPad mini」は、人気のあまり、初回入荷分が完売すると品薄状態になった。一方、7.0インチのAndroid搭載タブレット「Nexus 7」は、発売直後の一時期を除き、在庫が豊富にあり、予約せずに購入できたため、12年12月は、「Nexus 7」を販売するASUSがそれまでずっと1位だったアップルを抜き、初めてタブレット端末の月間メーカー別販売台数1位を獲得した。「iPad」シリーズ全体の販売台数は、iPad mini発売前よりも大幅に増加しており、伸び率で負けてしまった格好だ。店舗への供給量の差が、そのまま販売台数の差につながったという見方もある。
週次集計では、12年12月第2週(12月10~16日)以降、ASUSがアップルを抜いてトップに立ち、両社のシェアの差は最大16.5ポイントまで開いたが、13年2月第2週(2月11~17日)はアップルが42.7%を占め、9週ぶりにトップに返り咲いた。
けん引役は、品薄のために12年12月半ばから「iPad Retinaディスプレイモデル(第4世代iPad)」のWi-Fiモデルの販売台数を下回っていた「iPad mini」のWi-Fiモデル。2月第2週の「iPad mini」Wi-Fiモデルの販売台数は前週比213.3%と、およそ前週の2倍に伸び、発売直後の数週間に次ぐ高水準を記録した。2月第2週は、通常より祝日が1日多く、そのぶんが上乗せになっているとはいえ、Wi-Fiモデル全体でも、前週比140.1%と好調だった。Apple Online Storeや直営店のApple Storeなど、「BCNランキング」の集計対象外の店舗での販売を加えると、伸び率はもっと大きいかもしれない。
「iPad mini」Wi-Fiモデルは16GBがダントツの人気、キャンペーンの影響も?
突如として、13年2月第2週(2月11~17日)、「iPad mini」のWi-Fiモデルの販売台数が急増した要因は何だろうか? 一つには、店舗に大量の入荷があり、予約者の手に行き渡ったからだろう。もう一つは仮説になるが、「iPhone」とiPadの「Wi-Fi + Cellularモデル/Wi-Fiモデル」の両方を取り扱うソフトバンクモバイルが展開しているMNP(携帯電話番号ポータビリティ)向けキャンペーン「スマホタダ割」の特典の一つ、「iPad mini Wi-Fiモデル 16GB 実質無料プレゼント」の影響が考えられる。
このキャンペーンは、同じ携帯番号のままキャリアを乗り換えるMNPを利用して、「iPhone」をはじめとするソフトバンクモバイルのスマートフォンと同時に「iPad mini」「iPad Retinaディスプレイモデル(第4世代iPad)」のいずれかのWi-Fiモデルを購入すると、スマートフォンの利用料金から毎月1200円ずつ最大24回(24か月)、合計2万8800円を割り引くもの。例えば、通常価格2万8800円の「iPad mini」Wi-Fiモデルの16GBモデルを選んだ場合、キャンペーンによる割引額の合計と端末代が同額になり、差し引き0円=無料で手に入れることができる。
ソフトバンクモバイルの「スマホタダ割」の紹介ページより
MNP限定で、別途、端末代や通信料金の支払いが必要なスマートフォンを2年以上継続して利用しないと値引き分全額が適用されず、「実質負担0円」にはならないという制約があるものの、スマートフォンと対象の「iPad」Wi-Fiモデルを別々に購入するより安く済む。ソフトバンクモバイルの広報によると、昨年12月1日に開始したこのキャンペーンに対する反響は大きく、手応えを感じているという。ちなみに、ソフトバンクショップや量販店でも、Wi-Fiモデルの在庫が薄い状況が続いていたが、2月半ばから、スマートフォンと一緒に当日持ち帰ることができる店舗が多くなっているそうだ。
「iPad mini」のWi-Fiモデルは、13年2月18日までの累計で、16GB(44.9%)、64GB(28.5%)、32GB(26.6%)の順に売れている。しかし、2月第2週に限ると、16GBモデルが56.6%を占め、飛び抜けて多かった。この16GBモデルに偏った売れ方をみると、「スマホタダ割」キャンペーンによる上乗せ効果はゼロではなさそうだ。Wi-Fiモデルに比べると、販売台数はだいぶ少ないが、ソフトバンクモバイルとKDDIが販売する「iPad mini」と「第4世代iPad」のWi-Fi + Cellularモデルもコンスタントに売れている。いずれにしても、発表以来、注目度の高い「iPad mini」の品薄の解消に伴って、さまざまな用途で活用できるタブレット端末の普及にますます弾みがつきそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
*Amazonの「Kindle Fire HD」「Kindle Fire」は、現在、「タブレット端末」の集計対象から除外しています。これまでの経緯と詳細はこちらをご覧ください。