伸びるスマートフォンケース、成長率は2ケタ、春モデル続々

特集

2013/01/31 10:00

 スマートフォンの2013年春モデルが続々と発表されている。スマートフォンは新モデルの発売時期が最も売上げが伸びるが、端末といっしょに同時購入する人が多いスマートフォンケースも、これから商戦期を迎えることになる。販売店は広いコーナーを設け、多様化するユーザーニーズに応えている。「BCNランキング」で2012年の動向を振り返り、2013年の市場を占った。

携帯電話市場で8割のシェアを占めるスマートフォン 2013年は安定成長



 全国の大手家電量販店の実売データを集計したBCNランキングをみると、スマートフォンは新製品が発売になる3月と7~8月、12~1月に売上げをぐっと伸ばす商品であることがわかる。

 携帯電話市場でのスマートフォンが占める割合は日々大きくなっている。2012年を振り返ろう。ちょうど1年前、2012年1月に販売された携帯電話のなかでスマートフォンが占める割合は66.5%だった。商戦期の3月は71.6%、8月は76.5%と構成比を伸ばし、11月には最高の80.9%をマークした。


 従来型携帯電話からの買替えが進んだこともあって、スマートフォンの勢いそのものは、2011年と比べると鈍化している。今後はスマートフォンからスマートフォンへの買替えが中心になり、市場は安定成長期に入るだろう。

成長率はスマートフォン超え、好調のスマートフォンケース市場



 スマートフォンの普及を背景に、スマートフォンケース市場が急速に伸びている。販売数の前年同月比をみると、スマートフォンケースは、本体のスマートフォンを超える伸びを示している。2012年12月だけをみても、スマートフォンが105.8%の微増だったのに対し、スマートフォンケースは139.6%と2ケタ成長だった。


 スマートフォンケース市場には、300社以上のメーカーがいる。2012年3月には、カメラアクセサリの老舗、ハクバ写真産業が参入するなど、活気のある市場だ。

 ただし、メーカーは多いが、市場シェアは上位の4社が占有している状態だ。2012年の年間メーカー別販売台数シェアでは、1位のレイ・アウトが32.0%、2位のエレコムが25.4%、3位のテレホンリースが13.7%、4位のバッファローは9.3%で、上位4社が市場の80.4%を押さえている。1位のレイ・アウトは、常に30%前後の高いシェアで、2位以降のメーカーを寄せつけずに首位を独走してきた。


 注目したいのが、3位のテレホンリースと4位のバッファローだ。2012年の年間販売台数No.1を表彰する「BCN AWARD 2013」では、ケースだけでなく、保護フィルム、バッテリなどを含めた「スマートフォンアクセサリ」部門をテレホンリースが制した。ケース単独でみると、そのシェアは13%前後で安定して推移している。そこに2012年の夏以降、4位のバッファローがじわじわとシェアを伸ばして迫ってきた。12月の2社の差は、わずか2.4ポイント。この春商戦でバッファローがテレホンリースを抜き、3位に浮上する可能性もありそうだ。


数千円のケースが売れている、こだわり派とシンプル派に分化?



 スマートフォンケースの種類は、シリコン、ソフトケース、ハードケース、レザーケースと多い。またラインアップも膨大で、大型家電量販店ともなれば、1万5000点以上のスマートフォンケースを揃えている。価格も、数百円から高いもので7000円ほどと幅がある。

 ユーザーがスマートフォンケースに求めるものは多様化している。キズから守るのならアルミや耐衝撃素材を採用したケースを、デザインを重視するのならレザーケースやデザイナーが手がけたケース、自分らしさを演出するのならキャラクターケースやデコレーションケースと、目的と好みに合わせて選んでいる。なかにはウェブサイトでオリジナルケースを注文する人や、自分でデコレーションを施す人もいる。一方で、こだわりのない人は安価なシリコンケースやソフトケースなど、数百円のケースですませている。ただし、こうした安価なケースなら、着せ替えも気軽にできるなど、別の楽しみ方もできる。


 BCNランキングで税別の平均価格帯別シェアをみると、2000円以上の商品のシェアは、2012年1月の8.2%から12月には11.6%に増えている。減少しているのが1500円以上2000円未満の層。1500円未満の層は変化がない。2013年のスマートフォンケース市場は、高価格の「こだわりケース」と、気軽に買える「シンプルケース」の二極化が進むのではないだろうか。(BCN・山下彰子)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。