<LED電球・蛍光灯>市場は導入期から成長期へ 家電量販店の付加価値商材に
LED照明市場が拡大している。省エネの観点で法人から始まったLED導入の気運は、2011年3月の東日本大震災の影響で個人の節電意識が高まったことで、家庭にも急速に普及している。家電量販店は、LED電球・蛍光灯を主力商材に位置づけて、今夏も積極的に拡販。メーカー各社もラインアップを充実させている。
調査会社の富士経済によれば、住宅向けと法人向けの両方を合わせた昨年の国内LED照明関連市場は、前年の2.6倍にあたる2212億円になった。LEDシーリングライトなど、LEDを組み込んだ照明器具が2.4倍の1473億円、LED電球・蛍光灯が3.2倍の679億円、演出・看板用のLED照明が1.4倍の60億円という内訳だ。
LED照明市場が大きく成長しているのは、東日本大震災の影響による電力供給問題を受けて、法人・個人が節電を目的に採り入れたことが要因だ。なかでも住宅向け照明は、LEDシーリングライトがメーカー各社のラインアップ拡充で一気に広がって66.7倍の200億円に達したほか、LED電球が手堅く需要を確保して1.7倍の210億円となった。一般消費者の節電意識が高まっていることがわかる。
富士経済では、昨年の時点で国内LED照明市場が導入期から成長期に移行したとみて、市場規模は今年が2447億円、20年が3083億円と、今後も拡大傾向をたどるとしている。
照明器具全体に占めるLEDの比率は、一昨年の12.1%に対して昨年は24.7%と倍増。富士経済では、リビングルームの主照明としてシーリングライトを採り入れる家庭が多くなっていることなどから、今年は38.2%、20年には57.9%まで拡大すると予測している。また、管球ランプに占めるLED電球・蛍光灯の比率は、一昨年の2.7%から、昨年は7.7%まで上昇。従来型の管球ランプが落ち込んだ一方、節電対策として間引き点灯や点灯管理を実施するケースが多かったことが理由という。今後も、節電対策の需要が増えることを踏まえ、富士経済では今年が11.8%、20年に21.1%まで高まると分析している。
消費者のLED照明への関心が高いことから、家電量販店も力が入る。店頭では、コンサルティング型の接客が購入に結びついているようだ。ビックカメラでは、「LED電球・蛍光灯は注目が集まっている一方で、お客様の多くはどの製品を購入すればいいのかがわからないという声がある。そこで、店員が家の間取りや使用する場所などをおたずねして、それぞれの場所に適した商品を提示する接客に取り組んでいる」(広報担当者)という。お客様の多くは、LED電球・蛍光灯のいわば「初心者」。お客様が購入して「失敗した」と後悔することのないようにするのはもちろんだが、「まずは一か所だけ替えようと一つ購入するケースが多い。気に入っていただければ、リピーターとして来店してくれるようになる」ということが狙いだ。
また、デモコーナーで来店者の目を引くことで購入に結びつける家電量販店も出てきている。上新電機港北インター店は、LED照明に関して全国の同社店舗で最も多くの商品を揃え、「体感できる売り場」をコンセプトに展示スペースを広く確保している。ヤマダ電機のLABI新宿西口館では、LED照明関連のデモコーナーを設け、また店内照明にLED蛍光灯を用いるなど、実際に体験することをお客様へのアプローチにつなげている。
メーカー各社は、昨年から今年にかけて新製品を相次いで発売。シェア争いも過熱している。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によれば、今年4月までメーカー別販売本数シェアでパナソニックがトップを維持していたが、5月からは東芝ライテックがトップに立っている。LED電球「E-CORE」シリーズで、昨年3月に発売した「LDA6N/3」が平均単価700円台と安く、機種別販売本数シェアでトップを維持していることが寄与している。
消費者の高い節電意識と、メーカーのラインアップ拡充、さらには家電量販店の熱心な販売で、LED電球・蛍光灯は今後も伸びが予想される。使う人が多くなればなるほど量産効果で価格は下がり、さらには節電だけでなく、白熱電球と比べて寿命が長くトータルコストが安いというメリットが定着し、LED照明市場はさらに拡大していくだろう。(佐相彰彦)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコンやデジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2012年9月3日付 vol.1446より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは
LED照明市場は2.6倍に拡大 住宅向けではLED電球に手堅い需要
調査会社の富士経済によれば、住宅向けと法人向けの両方を合わせた昨年の国内LED照明関連市場は、前年の2.6倍にあたる2212億円になった。LEDシーリングライトなど、LEDを組み込んだ照明器具が2.4倍の1473億円、LED電球・蛍光灯が3.2倍の679億円、演出・看板用のLED照明が1.4倍の60億円という内訳だ。
LED照明市場が大きく成長しているのは、東日本大震災の影響による電力供給問題を受けて、法人・個人が節電を目的に採り入れたことが要因だ。なかでも住宅向け照明は、LEDシーリングライトがメーカー各社のラインアップ拡充で一気に広がって66.7倍の200億円に達したほか、LED電球が手堅く需要を確保して1.7倍の210億円となった。一般消費者の節電意識が高まっていることがわかる。
富士経済では、昨年の時点で国内LED照明市場が導入期から成長期に移行したとみて、市場規模は今年が2447億円、20年が3083億円と、今後も拡大傾向をたどるとしている。
照明器具全体に占めるLEDの比率は、一昨年の12.1%に対して昨年は24.7%と倍増。富士経済では、リビングルームの主照明としてシーリングライトを採り入れる家庭が多くなっていることなどから、今年は38.2%、20年には57.9%まで拡大すると予測している。また、管球ランプに占めるLED電球・蛍光灯の比率は、一昨年の2.7%から、昨年は7.7%まで上昇。従来型の管球ランプが落ち込んだ一方、節電対策として間引き点灯や点灯管理を実施するケースが多かったことが理由という。今後も、節電対策の需要が増えることを踏まえ、富士経済では今年が11.8%、20年に21.1%まで高まると分析している。
家電量販店は提案型でリピート促進 メーカー各社のシェア争いが激化
消費者のLED照明への関心が高いことから、家電量販店も力が入る。店頭では、コンサルティング型の接客が購入に結びついているようだ。ビックカメラでは、「LED電球・蛍光灯は注目が集まっている一方で、お客様の多くはどの製品を購入すればいいのかがわからないという声がある。そこで、店員が家の間取りや使用する場所などをおたずねして、それぞれの場所に適した商品を提示する接客に取り組んでいる」(広報担当者)という。お客様の多くは、LED電球・蛍光灯のいわば「初心者」。お客様が購入して「失敗した」と後悔することのないようにするのはもちろんだが、「まずは一か所だけ替えようと一つ購入するケースが多い。気に入っていただければ、リピーターとして来店してくれるようになる」ということが狙いだ。
家電量販店のLED電球コーナーが充実してきた(ビックカメラ有楽町店)
また、デモコーナーで来店者の目を引くことで購入に結びつける家電量販店も出てきている。上新電機港北インター店は、LED照明に関して全国の同社店舗で最も多くの商品を揃え、「体感できる売り場」をコンセプトに展示スペースを広く確保している。ヤマダ電機のLABI新宿西口館では、LED照明関連のデモコーナーを設け、また店内照明にLED蛍光灯を用いるなど、実際に体験することをお客様へのアプローチにつなげている。
メーカー各社は、昨年から今年にかけて新製品を相次いで発売。シェア争いも過熱している。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によれば、今年4月までメーカー別販売本数シェアでパナソニックがトップを維持していたが、5月からは東芝ライテックがトップに立っている。LED電球「E-CORE」シリーズで、昨年3月に発売した「LDA6N/3」が平均単価700円台と安く、機種別販売本数シェアでトップを維持していることが寄与している。
消費者の高い節電意識と、メーカーのラインアップ拡充、さらには家電量販店の熱心な販売で、LED電球・蛍光灯は今後も伸びが予想される。使う人が多くなればなるほど量産効果で価格は下がり、さらには節電だけでなく、白熱電球と比べて寿命が長くトータルコストが安いというメリットが定着し、LED照明市場はさらに拡大していくだろう。(佐相彰彦)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコンやデジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2012年9月3日付 vol.1446より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは