「iPhone 4S」の販売データを徹底比較! 売れてるキャリア、容量は?

特集

2012/08/24 20:13

 iPhoneのモデルチェンジのスパンは、「iPhone 4」と現行の「iPhone 4S」の間を除き、おおむね1年。そろそろ昨年10月の発売から1年を迎えるとあって、次期モデルや"iPad mini"的な新製品に対する噂が流れている。今回は、2012年7月末までの「iPhone 4S」の販売動向を振り返りつつ、いますぐ「iPhone 4S」を買ったほうがいい理由と、逆に次期モデルまで待ったほうがいい理由を考えてみた。

<キャリア別シェア>およそ「6対4」でソフトバンクモバイルが優勢



 量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、国内では2社が販売するアップルのスマートフォン「iPhone 4S」のキャリア別シェアは、2012年7月31日までの累計で、ソフトバンクモバイルが60.1%、KDDI(au)が39.9%。これまで何度かお伝えしたように、ソフトバンクモバイルが約20ポイントの差をつけて優勢だ。

 週次集計では、auがソフトバンクモバイルを上回ったこともあったが、月次集計では、ずっとソフトバンクモバイル、auの順は変わらず、2011年12月はソフトバンクモバイルが7割近い67.8%を占めた。12年3月以降は、auが40%台前半、ソフトバンクモバイルが50%後半で推移している。



 「iPhone 4S」の月間販売台数は、11年10月12年3月11年12月11年11月12年1月の順に多く、発売直後に大量に売れ、その後も高い水準で売れ続ける「初動+ロングセラー型」となっている。12年7月までの累計販売台数は、11年10月の6.7倍に達し、今年6月下旬には、前機種「iPhone 4」の累計販売台数を抜いた。「iPhone 4S」は、今のところ、国内で最も多く売れたスマートフォンだ。


<容量別シェア>初心者が多く購入? 16GBモデルが約半数を占める



 同じく2012年7月末までの累計での容量別シェアは、16GBが48.7%、32GBが35.7%、「iPhone 4S」から加わった64GBが15.5%で、両キャリアとも16GBが最も多く売れている。一番人気の16GBに限ると、ソフトバンクモバイル62.6%、au37.4%となり、ソフトバンクモバイルのシェアが若干高まる。

iPhone 4S全体・各容量の
キャリア別 累計販売台数シェア

(集計期間:2011年10月~2012年7月)

 キャリア

SoftBank au

全体

60.1%

39.9%

16GB

62.6%

37.4%

32GB

58.0%

42.0%

64GB

57.0%

43.0%


iPhone 4S 容量別 累計販売台数構成比
(集計期間:2011年10月~2012年7月)

容量 

全体 SoftBank au
16GB

48.7%

50.8%

45.6%

32GB

35.7%

34.5%

37.6%

64GB

15.5%

14.7%

16.8%

「BCNランキング」 月次合算<最大パネル>

 発売直後の2011年10月の容量別シェアは、32GBが38.1%、16GBが31.5%、64GBが30.4%で、16GBと64GBが1.1ポイント差で拮抗していたが、翌11月になると、16GBが32GBを抜いてトップに立った。その後、16GBの構成比は徐々に拡大し、12年2月以降は常に5割を超え、直近の7月は61.1%と約6割を占めた。対して、64GBの構成比は月を追うごとに低下し、12年3月以降は10%未満にとどまっている。一方、32GBの構成比は11年10月~12年2月は30%台後半、それ以降は30%前半と、iPhone全体の販売台数が上下しても、ほぼ一定の水準を保っている。


ヘビーユーザー中心から一般人へ、広がり続けるiPhone購入者



 メモリカードスロットのないiPhoneは、内蔵メモリの容量が少ないと、使っているうちに音楽や動画などのデータの保存やアプリのインストールができなくなる可能性があるので、個人的には32GB、予算に余裕があれば64GBをオススメしたい。しかし、最も価格の安い16GBに人気が偏っていることから、「iPhone 4S」の購入者は、初めてiPhoneを手にする「iPhone初心者」も多いのではないかと推測する。また、対照的な16GBと64GBモデルの構成比の動きから、大容量モデルを買い求めるヘビーユーザー中心から一般人へと、購入者層が広がっていることがわかる。

 ソフトバンクモバイル版「iPhone 4S」のアドバンテージは、下りの最大通信速度など、機能面の差を除くと、auのモデルパターンより安い通信料金、2年間継続利用時のトータル費用の安さ、そして2008年7月に発売した国内初代モデル「iPhone 3G」から培ってきた豊富なショップスタッフの知識、イメージにあるだろう。

 16GBモデルなら、ソフトバンクモバイル、auとも、端末代は実質無料で、月々の基本使用料・通信料だけで利用できる。例えば、16GBモデルを一括払いで購入した場合、割引適用後の月額費用は、ソフトバンクモバイルが3785円から、auが4615円から(詳しくは<いまがiPhone 4Sをおトクに買うチャンス! 現在実施中のキャンペーンまとめ>を参照)。au版より安いソフトバンクモバイルの維持費は、iPhone初心者には魅力的に映るはずだ。1社独占販売ではなくなった「iPhone 4S」でも、ソフトバンクモバイルが「累計で6割」という高いシェアを獲得できた要因は、料金をはじめとするさまざまな強みが、新規購入者を含む、より多くのユーザーに評価されたからだろう。

 ちなみに、「iPhone 4S」と「iPhone 4」の2012年7月までの累計販売台数を合算すると、ソフトバンクモバイルのシェアは約8割、79.1%まで上昇する。2世代以上前の「iPhone 3GS」や「iPhone 3G」を含めれば、シェアはさらに高くなる。iPhoneシリーズ全体でみれば、すでに4年以上の実績をもつソフトバンクモバイルのシェアは圧倒的で、新参のauとの差はまだ大きい。


いますぐ「iPhone 4S」を買うか、それとも待つか?



 「iPhone 4S」の発表直後から、次期iPhoneの噂は飛び交っていた。最近は、写真を伴った現実味の高い噂やリーク情報が海外メディアを中心に報じられている。こうした噂を見聞きし、「iPhone 4S」や他のスマートフォンを買うか買うまいか、悩んでいる人もいるだろう。

 auは8月31日まで最大2万1000円キャッシュバックする「WE ARE! auでiPhoneキャンペーン」を、ソフトバンクモバイルは9月30日まで「のりかえ割」との併用で合計2万3520円相当、通常よりおトクになる「iPhone かえトクキャンペーン」を実施している。さらに、一部の店舗では、追加で独自のキャッシュバックや値引きを行っている。いずれもMNP利用などの条件付きだが、うまく活用すればトータルコストをかなり抑えることができる。

iPhone かえトクキャンペーン


WE ARE! auでiPhoneキャンペーン


 「iPhone 4S」の最大のメリットは、デザインが同じiPhone 4用のものを含め、対応アクセサリの種類が豊富な点にある。また、今秋リリース予定の新OS「iOS 6」への無償アップデートに対応し、すぐに型落ちになる心配はない。iPhoneの次期モデルは、画面サイズの大型化やDockコネクタの変更、より高速でデータ通信できる高速通信規格「LTE」への対応など、かなり大きく変わると予想されている。デザインやコネクタの形状が変わると、対応アクセサリの一時的な減少や、既存のアクセサリが使えなくなるといった弊害が生じる。ディスプレイの大型化によって、持ちにくくなるかもしれない。iPhoneファンにとって、次期iPhoneは、「期待」と「不安」が半々といったところではないだろうか。

次期iPhoneはデザインが大きく変わるかも?

 LTEについては、新しいiPad(第3世代iPad)のように、日本では利用できない可能性がある。対応したとしても、速度が速くなった分、月額料金が値上げされては、手放しでは喜べない。NTTドコモ側の最近のコメントから、ドコモがiPhoneを取り扱う可能性は低いとみられ、取り扱いキャリアは現状の2社のままとなりそうだ。iPhoneをめぐるキャリア間のシェア争いは、iPhoneを利用したいドコモユーザーがどちらに流出するのか、言い替えると、ドコモユーザーをどれだけ多く取り込めるかがキーになる。

 常に最新機種を使いたいなら、悩むまでもなく、次期iPhoneを待ったほうがいい。どこまでもアップルについていく、という熱心なファンならなおさらだ。しかし、これまで一度もスマートフォンを使ったことがなく、使いこなせるのか心配な人や、できるだけ費用を抑えたい人は、対応アクセサリが豊富で完成度の高い「iPhone 4S」を検討したい。キャンペーン適用で通常よりおトクに買える今は、むしろ絶好の買いどきといえるかもしれない。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。


2012年8月27日追記:
 「WE ARE! auでiPhoneキャンペーン」の実施期間は、2012年9月30日までに延長されました。詳しくはこちら
【集計対象の変更に関して】
 BCNでは、「BCNランキング」の調査・分析精度の向上のために、随時カテゴリ(ジャンル)の変更や集計対象製品の見直し・追加などを行っています。これまで「販売金額0円」の製品は「販売」されたとはみなさず、集計対象外としていましたが、携帯電話・PHS、タブレット端末、デジタルフォトフレームに限り、集計対象に含めることにいたしました。

 この集計方法の変更に伴い、以前に掲載した記事の数値と本記事の数値が一部異なっております。ご了承ください。なお、以前に掲載した記事と記事内のグラフ・表の数値は変更いたしません。