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<インタビュー・時の人>LGエレクトロニクス・ジャパン 統括部長兼モバイルコミュニケーションセールスチーム チーム長 首藤 晃

特集

2012/07/24 11:13

 スマートフォン人気が定着するなかで、端末メーカーの戦いが激しさを増している。人気ブランドが次第に固定化し、各メーカーの市場でのポジションが確立しつつあるなかで、LGエレクトロニクス・ジャパンの「Optimus」について首藤晃・統括部長兼モバイルコミュニケーションセールスチーム長は、「日本ではブランドが浸透していない」と認める。首藤統括部長に、ブランド力向上策を聞いた。

◎プロフィール
首藤 晃(しゅとう あきら)
1962年12月生まれ、福岡県出身。85年、熊本大学工学部機械工学科を卒業し、日産自動車に入社。技術業務に従事する。96年、デジタルツーカー九州に出向。00年、デジタルツーカーから社名変更したジェイフォンに転籍し、長崎支店長などを務める。その後、ジェイフォンから社名変更したVodafoneで四国支店長や北東北支店長を歴任。08年、モバイル事業の責任者としてLGエレクトロニクス・ジャパンに入社。現在に至る。

「Optimus」を身近な存在に ブランドイメージの確立に取り組む



Q. スマートフォン市場をどう捉えているか。

A.
 高速通信規格であるLTEへのシフトやCPUの性能向上など、スマートフォン自体は進化を遂げている。市場での評価は高まっているが、セールスの立場からいえば、技術面の強化は当社に限らず他社でも進めていることで、各社の端末に大きな差はない。そのなかで、日本市場に「Optimus」ブランドが浸透していないことを認めざるを得ない。最も気になるのは、スマートフォン市場が拡大するにつれて、特定ブランドによる寡占化が起き始めていること。日本では、アップルの「iPhone」、サムスン電子の「GALAXY」、ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia」、富士通の「ARROWS」の4ブランドが確立しつつある。この状況を打破しなければならない。 


Q. 打破への具体的な策は?

A.
 「Optimus」を身近な存在にしていくことだ。実は、家電量販店や通信キャリア直営店のスタッフの方々は、「Optimus」を高く評価してくれている。とくに昨年冬に発売した「Optimus LTE」は、LTE技術をいち早く取り入れて好評を博した。このように販売店からの評判はいいのだが、彼らからは「お客様から指名買いがない」という指摘を受けている。要するに、当社のPRが足りないということだ。そこで、これまでイメージキャラクターだった韓国アイドルグループのKARAに代わって、俳優の向井理さんをイメージキャラクターに起用した。これまでは、韓国メーカーの色が少し強かったのではないかと捉えている。今後は、PR面で日本のお客様から評価を得る取り組みを進めていく。また、今年に入ってから家電量販店へのラウンダーを3倍に増やし、端末をアピールすることも取り組んでいる。

Q. 価格で他社との差異化を図る手もあるが……。

A.
 以前、テレビ事業で低価格路線を敷いたことがあるが、「安かろう悪かろう」との声が上がって失敗した。今、お客様がスマートフォンに求めているのは、価格の安さではない。いかに自分に合ったスマートフォンを持てるかということだ。価格競争には絶対に踏み込まない。

Q. どのようなブランドイメージを確立するのか。

A.
 先進技術とファッション性をあわせもつ機能とデザインで、お客様がファンになってくれるようなブランドイメージを確立する。夏モデルでは、この訴求ポイントを実現した。コンパクトなボディに防水やワンセグ、おサイフケータイなどの機能を備えた「Optimus IT」と、5インチIPS液晶ディスプレイを搭載した少し大きめの「Optimus Vu」だ。「IT」をコンパクトでオシャレな端末を求めている女性に、また「Vu」をPDAを愛用していたビジネスマンにそれぞれアピールしていく。

・Turning Point

 大学卒業後、日産自動車に入社。子どもの頃から夢だったエンジニアになって充実した日々を送っていたとき、日産と日本テレコムが共同出資で携帯電話の新会社を立ち上げるという話がもち上がった。入社から10年以上が経過し、エンジニアとしての腕も確かなものになっていたが、「ふと試してみたいという考えが頭をよぎった」ことで、新会社の立ち上げプロジェクトに志願。これがターニングポイントとなった。

 デジタルツーカーに出向し、キャリアとしてモバイル関連の業務に就いた。そして、今は端末メーカーに。LGエレクトロニクス・ジャパン入社当時は、売る立場と売ってもらう立場の違いを痛感した。4年が経過した今、感じるのは「LGはまだ日本に根づいたとはいえない」ということ。「Optimus」のブランドが日本に定着すれば、それが第二のターニングポイントになる。


※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2012年7月23日付 vol.1441より転載したものです。
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