<プロジェクター>大画面ニーズで好調な販売 手頃な価格で人気が高まる
プロジェクターの販売が伸びている。テレビよりも大画面で、しかも価格が手頃ということで人気が高まっているようだ。最近では、持ち運びができるモバイル型のモデルも人気で、多様な使われ方をしているのがわかる。
コンシューマ向けのプロジェクターは、かつては自宅にホームシアターをつくるなど、映像や音響にこだわるユーザーが購入するケースが多かった。「シアター」だから、投映面積は最低でも70インチ以上。中には150インチ以上の画面を専用室に設置する人もいるなど、いわば限られた層のためのデジタル製品という趣があった。
ところが近年は、薄型テレビの普及とともに、ユーザー層が広がってきている。ある家電量販店によれば、例えば昨年7月の地上デジタル放送への完全移行に際して薄型テレビを購入したユーザーのなかには、画面の大きさに満足できなかった人がいるのだという。地デジ化を急いで、とりあえず店頭に並んでいる当時の売れ筋──32インチ前後の薄型テレビを買ったのはいいが、いざ自宅に置いてみると、「もっと大画面にすればよかった」と後悔したユーザーだ。それでも、40~50インチを超える大画面テレビに買い替える予算がある人は少ない。こうした人たちが、10万円以下の価格帯であって、40インチ以上の薄型テレビと比べれば安いプロジェクターを購入しているそうだ。
実際、家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」で昨年11月から今年4月までの販売台数前年同月比をみると、11月が136.3%、12月に161.4%と伸びている。今年に入ってからは、1月に166.7%と成長を維持し、2月に176.0%、3月には179.8%まで伸びている。4月は138.2%と少し落ち着いたもののボリュームは維持している。地デジ移行後、低迷が続く薄型テレビと対を成すような好調ぶりで、テレビを買い増す感覚でプロジェクターを購入する人が多くなっていることがうかがえる。
もちろん、これまで通り映像・音響にこだわる層の需要もある。家電量販店のなかには、プロジェクターを軸に、HDMIリンク機能をもつサラウンドシステムなどを組み合わせて「ホームシアターコーナー」を設けているところもある。アナログ時代と違って、デジタルは最新の機器が最高の機能をもつ。比較的、懐に余裕のある層が、こうした体験展示によって啓発され、購入に結びついている。
プロジェクターの映像は、確実に進化している。16:9の画面サイズ、最大解像度1920×1080など、ハイビジョン放送やブルーレイディスク/DVDなどの映像に最適なスペックは今やあたりまえ。輝度やコントラスト比も上がって、明るい部屋でも気軽に大画面を楽しめるようになってきた。操作も電源コードを抜いてすぐに片づけられるダイレクトパワーオン/オフやオートフォーカス、自動台形補正機能を備えるなど、ひと昔前のプロジェクターとは段違いの使いやすさだ。レコーダーなど、テレビチューナーを内蔵した機器につなげば、ドラマやスポーツなどのテレビ番組を楽しめるので、薄型テレビの買い増しという目的からも気軽に購入できる。さらに最近では、小型・軽量のモデルが増え、旅行に持って行って、ビデオカメラで撮影した映像を仲間と一緒に大画面で楽しむといった用途も出ているようだ。
プロジェクターの人気が再浮上しているのは、地デジ化によって高精細なデジタル放送に触れた薄型テレビのユーザーが、さまざまなコンテンツをより大きな画面で楽しみたいと考えはじめたから。手軽に始められる「大画面生活」の核になる製品として、好調な現在だけでなく、コンテンツ量が拡大していく将来にわたって楽しみな製品だ。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコンやデジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2012年5月21日付 vol.1432より転載したものです。 >> 週刊BCNとは
薄型テレビの「買い増し」で購入 3月の販売台数は昨年の約1.8倍
コンシューマ向けのプロジェクターは、かつては自宅にホームシアターをつくるなど、映像や音響にこだわるユーザーが購入するケースが多かった。「シアター」だから、投映面積は最低でも70インチ以上。中には150インチ以上の画面を専用室に設置する人もいるなど、いわば限られた層のためのデジタル製品という趣があった。
ところが近年は、薄型テレビの普及とともに、ユーザー層が広がってきている。ある家電量販店によれば、例えば昨年7月の地上デジタル放送への完全移行に際して薄型テレビを購入したユーザーのなかには、画面の大きさに満足できなかった人がいるのだという。地デジ化を急いで、とりあえず店頭に並んでいる当時の売れ筋──32インチ前後の薄型テレビを買ったのはいいが、いざ自宅に置いてみると、「もっと大画面にすればよかった」と後悔したユーザーだ。それでも、40~50インチを超える大画面テレビに買い替える予算がある人は少ない。こうした人たちが、10万円以下の価格帯であって、40インチ以上の薄型テレビと比べれば安いプロジェクターを購入しているそうだ。
実際、家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」で昨年11月から今年4月までの販売台数前年同月比をみると、11月が136.3%、12月に161.4%と伸びている。今年に入ってからは、1月に166.7%と成長を維持し、2月に176.0%、3月には179.8%まで伸びている。4月は138.2%と少し落ち着いたもののボリュームは維持している。地デジ移行後、低迷が続く薄型テレビと対を成すような好調ぶりで、テレビを買い増す感覚でプロジェクターを購入する人が多くなっていることがうかがえる。
持ち運んでレジャーで使用 大勢で視聴するツールとして
もちろん、これまで通り映像・音響にこだわる層の需要もある。家電量販店のなかには、プロジェクターを軸に、HDMIリンク機能をもつサラウンドシステムなどを組み合わせて「ホームシアターコーナー」を設けているところもある。アナログ時代と違って、デジタルは最新の機器が最高の機能をもつ。比較的、懐に余裕のある層が、こうした体験展示によって啓発され、購入に結びついている。
プロジェクターなら手軽に大画面が楽しめる
プロジェクターの映像は、確実に進化している。16:9の画面サイズ、最大解像度1920×1080など、ハイビジョン放送やブルーレイディスク/DVDなどの映像に最適なスペックは今やあたりまえ。輝度やコントラスト比も上がって、明るい部屋でも気軽に大画面を楽しめるようになってきた。操作も電源コードを抜いてすぐに片づけられるダイレクトパワーオン/オフやオートフォーカス、自動台形補正機能を備えるなど、ひと昔前のプロジェクターとは段違いの使いやすさだ。レコーダーなど、テレビチューナーを内蔵した機器につなげば、ドラマやスポーツなどのテレビ番組を楽しめるので、薄型テレビの買い増しという目的からも気軽に購入できる。さらに最近では、小型・軽量のモデルが増え、旅行に持って行って、ビデオカメラで撮影した映像を仲間と一緒に大画面で楽しむといった用途も出ているようだ。
プロジェクターの人気が再浮上しているのは、地デジ化によって高精細なデジタル放送に触れた薄型テレビのユーザーが、さまざまなコンテンツをより大きな画面で楽しみたいと考えはじめたから。手軽に始められる「大画面生活」の核になる製品として、好調な現在だけでなく、コンテンツ量が拡大していく将来にわたって楽しみな製品だ。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコンやデジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2012年5月21日付 vol.1432より転載したものです。 >> 週刊BCNとは