コンデジ市場最前線 2位カシオが1位キヤノンに迫る! 牽引しているのは「EX-ZR200」
スマートフォン、ミラーレス一眼などの人気に押され、低迷しているコンパクトデジタルカメラ市場。このコンパクトデジタルカメラ市場で、勢力図に変化があった。これまでメーカー別販売台数シェアで3位だったカシオ計算機がシェアを伸ばし、1位のキヤノンに迫っているのだ。2012年春の勢力図を「BCNランキング」でみた。
コンパクトデジタルカメラの2011年の年間メーカー別販売台数シェアは、1位がキヤノンで16.9%、2位がソニーで15.1%、3位がカシオで13.1%だった。ところが、2012年に入ってカシオがシェアを伸ばし、2012年4月のデータではソニーをかわし、1位のキヤノンに0.1ポイント差まで接近している。
今年に入ってからの月ごとのメーカー別シェアを確認しよう。1月はシェア10.4%で7位だったカシオは、2月に15.7%と大きくシェアを伸ばし、首位に躍り出た。その後、3月も17.0%とシェアを伸ばし首位をキープ。4月も17.9%とシェアを伸ばしたが、カシオ以上にシェアを伸ばしたキヤノンに追い抜かれた。
一方、1月は19.2%と高いシェアを獲得していたソニーは、2月に14.9%と大幅にダウン。他社がシェアを伸ばした結果だけではなく、端境期で販売が伸び悩んだようだ。
この4か月の変動をもっと詳しくみるために、週次のメーカー別販売台数シェア推移と、各社の主力モデルの販売台数シェアをみていこう。
キヤノンは、2月下旬までシェア12~13%のところでほぼ横ばいで推移してきた。3月第1週(3月5日~11日)では15.8%と大きくシェアを伸ばし、翌々週の第3週には17.6%、3月第4週に19.5%に達している。
この間、キヤノンのシェアを押し上げていたのが、2011年9月に発売した「IXY 600F」だ。厚さ22.1mmの薄型ボディに光学8倍のズームレンズを搭載したモデルで、春モデル発売に向けて徐々に価格が下がり、当初3万円前後だった価格は、5月第1週(5月7日~13日)には1万円台半ばまで下がった。
カシオは、1~2月は多少シェアが変動しているが、これは他社の変動に左右された結果だ。ところが2月第3週(2月20日~25日)には17.5%と大きくシェアを伸ばした。このとき、伸張の要因となったのが、昨年11月に発売した「EXILIM EX-ZR200」だ。
「EX-ZR200」は、実勢価格4万5000円で、現在、平均単価が下がり続けているコンパクトデジタルカメラ市場にあっては、高額な部類に入る。「EX-ZR200」が売れた理由は、テレビ番組に取り上げられ、注目度が高まったためだろう。
2月19日放映のフジテレビのバラエティ番組『ほこ×たて』に、「EX-ZR200」の特徴である1/25000秒の高速連写モードをクローズアップした内容で取り上げられた。これがユーザーの関心を集め、放送終了後の2月第2~3週(2月20日~3月4日)の2週間で大きくシェアを伸ばしている。これがカシオ全体のシェアも押し上げた。日がたつにつれて伸び率は鈍ったが、それでも4月第2週(4月9日~15日)まで右肩上がりで推移した。
キヤノン、カシオの快進撃に押され、1月以降シェアを落としたソニー。しかし、4月に入り、復調の兆しが見える。貢献しているのは、3月16日に発売した小型・軽量モデル「Cyber-shot WX100」だ。3月第1週(3月5日~11日)は11.0%と、この春最も低かったが、「Cyber-shot WX100」発売直後の3月第2週(3月19日~25日)は、13.4%と上昇し、V字回復を果たした。
ソニーはこのほか、2月に発売したシンプルモデル「Cyber-shot W610」も好調で、順調にシェアを取り戻している。
2012年前半は好調にシェアを伸ばしたカシオ。しかし、業界1位のキヤノンを始め、新製品を投入したソニーやニコンもシェアを伸ばしつつある。今後の市場の動向に注目したい。(BCN・山下彰子)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
キヤノンに迫るカシオ、ソニーは大幅なダウン
コンパクトデジタルカメラの2011年の年間メーカー別販売台数シェアは、1位がキヤノンで16.9%、2位がソニーで15.1%、3位がカシオで13.1%だった。ところが、2012年に入ってカシオがシェアを伸ばし、2012年4月のデータではソニーをかわし、1位のキヤノンに0.1ポイント差まで接近している。
今年に入ってからの月ごとのメーカー別シェアを確認しよう。1月はシェア10.4%で7位だったカシオは、2月に15.7%と大きくシェアを伸ばし、首位に躍り出た。その後、3月も17.0%とシェアを伸ばし首位をキープ。4月も17.9%とシェアを伸ばしたが、カシオ以上にシェアを伸ばしたキヤノンに追い抜かれた。
一方、1月は19.2%と高いシェアを獲得していたソニーは、2月に14.9%と大幅にダウン。他社がシェアを伸ばした結果だけではなく、端境期で販売が伸び悩んだようだ。
キヤノンは「IXY 600F」、カシオは「EX-ZR200」が好調
この4か月の変動をもっと詳しくみるために、週次のメーカー別販売台数シェア推移と、各社の主力モデルの販売台数シェアをみていこう。
キヤノンは、2月下旬までシェア12~13%のところでほぼ横ばいで推移してきた。3月第1週(3月5日~11日)では15.8%と大きくシェアを伸ばし、翌々週の第3週には17.6%、3月第4週に19.5%に達している。
この間、キヤノンのシェアを押し上げていたのが、2011年9月に発売した「IXY 600F」だ。厚さ22.1mmの薄型ボディに光学8倍のズームレンズを搭載したモデルで、春モデル発売に向けて徐々に価格が下がり、当初3万円前後だった価格は、5月第1週(5月7日~13日)には1万円台半ばまで下がった。
キヤノンの「IXY 600F」
カシオは、1~2月は多少シェアが変動しているが、これは他社の変動に左右された結果だ。ところが2月第3週(2月20日~25日)には17.5%と大きくシェアを伸ばした。このとき、伸張の要因となったのが、昨年11月に発売した「EXILIM EX-ZR200」だ。
カシオの「EXILIM EX-ZR200」
「EX-ZR200」は、実勢価格4万5000円で、現在、平均単価が下がり続けているコンパクトデジタルカメラ市場にあっては、高額な部類に入る。「EX-ZR200」が売れた理由は、テレビ番組に取り上げられ、注目度が高まったためだろう。
2月19日放映のフジテレビのバラエティ番組『ほこ×たて』に、「EX-ZR200」の特徴である1/25000秒の高速連写モードをクローズアップした内容で取り上げられた。これがユーザーの関心を集め、放送終了後の2月第2~3週(2月20日~3月4日)の2週間で大きくシェアを伸ばしている。これがカシオ全体のシェアも押し上げた。日がたつにつれて伸び率は鈍ったが、それでも4月第2週(4月9日~15日)まで右肩上がりで推移した。
キヤノン、カシオの快進撃に押され、1月以降シェアを落としたソニー。しかし、4月に入り、復調の兆しが見える。貢献しているのは、3月16日に発売した小型・軽量モデル「Cyber-shot WX100」だ。3月第1週(3月5日~11日)は11.0%と、この春最も低かったが、「Cyber-shot WX100」発売直後の3月第2週(3月19日~25日)は、13.4%と上昇し、V字回復を果たした。
ソニーの「Cyber-shot WX100」
ソニーはこのほか、2月に発売したシンプルモデル「Cyber-shot W610」も好調で、順調にシェアを取り戻している。
2012年前半は好調にシェアを伸ばしたカシオ。しかし、業界1位のキヤノンを始め、新製品を投入したソニーやニコンもシェアを伸ばしつつある。今後の市場の動向に注目したい。(BCN・山下彰子)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。