好みの食感のごはんを追求! 自在に「炊き分ける」蒸気レスIH炊飯器を試した
外食を控え、家族と自宅で食べる「内食」志向が高まっているいま、実売10万円前後の高級炊飯器に注目が集まっている。今回は、この高級炊飯器市場の先駆けとなった三菱の「本炭釜」蒸気レスIHジャー炊飯器「NJ-XW103J」を借りて、使い勝手とごはんのおいしさを確かめた。
2006年、三菱が内釜に炭を使用した「本炭釜」炊飯器「NJ-WS10」を発売した。当時の炊飯器は安いもので1万円ぐらい、高くても4万円台が一般的だったが、「NJ-WS10」の当時の価格は11万5000円前後とびっくりするほど高価。しかし、炊き上がりのおいしさで大ヒットし、その後、各社から高級炊飯器が次々と登場するようになった。
さらに三菱は、2009年に炊飯時に蒸気が出ない「蒸気レスIH」炊飯器「NJ-XS10J」を発売。蒸気によるヤケドの心配がない、蒸気が出ないので置き場所を選ばないなどの点が好評で、またもや大ヒットとなる。今回の「NJ-XW103J」は、「本炭釜」を採用した「蒸気レスIH」の4代目となるモデルで、三菱のIHジャー炊飯器の最上位モデルだ。
三菱が特にこだわった「本炭釜」は、IHと相性がよく、発熱性にすぐれる炭素材料を使用。約100日間かけて職人が手作業で削り出した本炭釜は、全体的に厚みがあり、特に釜底中央部では7.5mmとかなり厚い。しかし、銅や鉄などの内釜に比べると、とても軽く感じられる。
蒸気を逃がさない独特の構造は、使い勝手を高めるだけではなく、米のおいしさを逃さない効果もある。「はじめチョロチョロ中パッパ」と歌われる通り、沸騰後、大火力で炊くとごはんはおいしく仕上がる。しかし、大火力で炊くと蒸気量が増えてしまい、さらに吹きこぼれとともにうまみ成分が逃げてしまう。
三菱の「蒸気レスIH」は、内蔵カートリッジでうまみ成分を含む吹きこぼれをキャッチ。蒸気はカートリッジを通過した先の水冷タンクで冷やして水に戻すことで、蒸気を外に出さない構造になっている。そのため、吹きこぼれを気にせずに連続煮沸することができ、大火力をキープしたまましっかり加熱する。
実際にごはんを炊いた。ごはんをおいしく炊くコツは、米と水の量をきっちり量ることだ。三菱の内釜は、はっきりと大きくプリントした「Vピタ目盛」で水の量を確認しやすい。
さらにごはんをおいしくするこだわりの機能の一つが「重量センサー」だ。同じ米を使い、きっちり米/水の量を計測しても炊飯量が変わると仕上がりが変わってしまうことがある。これは、炊飯量が変わっても加熱時間や温度が同じだと、炊飯量が少ないと加熱しすぎてしまい、逆に炊飯量が多いと加熱不足になってしまうからだ。「NJ-XW103J」は底面に「重量センサー」を備え、自動で炊飯量を計測。炊飯量に応じた加熱をするので、少量でも多量でも最適に加熱する。
「NJ-XW103J」は、新たに硬さや粘りを細かく調整できる「炊分け名人」機能を搭載する。ごはんを「もちもち~しゃっきり」の3段階の粘りと、「かため~やわらか」の5段階の硬さ、合計15モードに設定できる。
他社の高級炊飯器も硬さを調整できる機能を備えているが、3~5段階程度がほとんど。15段階と細かく設定できるのは、三菱だけだ。また、「NJ-XW103J」は、その炊き分けがどんなメニューに適しているかわかりやすく表示しているので、どの設定にしたらいいか悩むこともない。
まず、標準設定で炊くと、圧力IH炊飯器に比べやや堅めだが、ふっくらしたごはんが炊き上がった。大火力と本炭釜のおかげで芯が残ることもなく、うまみもたっぷり。そのまま保温しておいても、蒸気口がないのでごはんが乾燥することが少なく、変色や香りの変化もごく少ない。
次に「炊分け名人」の効果を確認するために、4通りの設定で炊き比べた。硬さ、粘りの設定を1マス変えるだけで想像以上に食感は変わったが、どの設定でもおいしく食べられた。
それぞれの設定で炊いたごはんの感想をまとめよう。今回使用した米は新潟産のコシヒカリで、それぞれ3合ずつ炊いた。ちなみに、炊き分けは火力と時間調整によって行われるので、炊き上がりの設定によって炊飯時間は大きく異なる。なお、炊き上がりは米の銘柄によっても大きく変わってくるので、参考程度にみてほしい。
◆かため[+2]/もちもち【丼ぶり向き】 炊飯時間:59分
噛むと弾力があって食べ応えがある。お米同士はくっついているのでまとまりがあって食べやすい。丼にして食べると、上の具と一体感が出て、かつ食べ応えがあって満足感が得られる。
◆かため[+2]/しゃっきり【すし・カレー向き】 炊飯時間:46分
硬めの炊きあがりで歯ごたえがある。お米同士が見た目はまとまっているが、口に入れるとすぐにほぐれる。カレーで食べるとサラサラとおいしく食べられる
◆やわらか[+2]/もちもち【お弁当向き】 炊飯時間:92分
お米が柔らかいが、ベタついておらず、おかずと一緒に食べるととても引き立つ。お弁当に使うと時間がたっても硬くなりにくく、食べやすい
◆やわらか[+2]/しゃっきり【おにぎり・お弁当向き】 炊飯時間:86分
お米の風味が引き立っていて、ごはん単体で食べてもおいしい。おにぎりにして食べると、きれいに握りやすいうえに、食べたとき食べ応えもあって本当においしい
いろいろ試した結果、私は標準の設定より、「やわらか[+2]/しゃっきり」が一番おいしく感じた。また、各炊き分けがおすすめしている料理にもよく合った。特に、普段は丼やカレー用に「やわらかめ」で炊いていたのだが、「炊分け名人」がすすめる「かため」で炊いたごはんがびっくりするほど合った。
三菱の家電は、他社にはない「オンリーワン」の機能を備えた製品が多いが、この炊飯器もその一つ。「炊分け名人」でいろいろな設定で炊き比べて、ぜひあなた好みの味を発見してほしい。(フリーライター・西村敦子)
三菱の「NJ-XW103J」
高級炊飯器ブームの火付け役「本炭釜」の最新モデル
2006年、三菱が内釜に炭を使用した「本炭釜」炊飯器「NJ-WS10」を発売した。当時の炊飯器は安いもので1万円ぐらい、高くても4万円台が一般的だったが、「NJ-WS10」の当時の価格は11万5000円前後とびっくりするほど高価。しかし、炊き上がりのおいしさで大ヒットし、その後、各社から高級炊飯器が次々と登場するようになった。
さらに三菱は、2009年に炊飯時に蒸気が出ない「蒸気レスIH」炊飯器「NJ-XS10J」を発売。蒸気によるヤケドの心配がない、蒸気が出ないので置き場所を選ばないなどの点が好評で、またもや大ヒットとなる。今回の「NJ-XW103J」は、「本炭釜」を採用した「蒸気レスIH」の4代目となるモデルで、三菱のIHジャー炊飯器の最上位モデルだ。
三菱が特にこだわった「本炭釜」は、IHと相性がよく、発熱性にすぐれる炭素材料を使用。約100日間かけて職人が手作業で削り出した本炭釜は、全体的に厚みがあり、特に釜底中央部では7.5mmとかなり厚い。しかし、銅や鉄などの内釜に比べると、とても軽く感じられる。
こだわりの本炭釜。驚くほど軽い
蒸気を逃がさない独特の構造は、使い勝手を高めるだけではなく、米のおいしさを逃さない効果もある。「はじめチョロチョロ中パッパ」と歌われる通り、沸騰後、大火力で炊くとごはんはおいしく仕上がる。しかし、大火力で炊くと蒸気量が増えてしまい、さらに吹きこぼれとともにうまみ成分が逃げてしまう。
三菱の「蒸気レスIH」は、内蔵カートリッジでうまみ成分を含む吹きこぼれをキャッチ。蒸気はカートリッジを通過した先の水冷タンクで冷やして水に戻すことで、蒸気を外に出さない構造になっている。そのため、吹きこぼれを気にせずに連続煮沸することができ、大火力をキープしたまましっかり加熱する。
吹きこぼれとともに出たうまみ成分をカートリッジでキャッチし、蒸らし時に還元する
おいしいごはんを炊くコツは最適の米/水の量と火加減
実際にごはんを炊いた。ごはんをおいしく炊くコツは、米と水の量をきっちり量ることだ。三菱の内釜は、はっきりと大きくプリントした「Vピタ目盛」で水の量を確認しやすい。
釜内側の「Vピタ目盛」。大きな目盛りと両側のギザギザで水の量が量りやすい
さらにごはんをおいしくするこだわりの機能の一つが「重量センサー」だ。同じ米を使い、きっちり米/水の量を計測しても炊飯量が変わると仕上がりが変わってしまうことがある。これは、炊飯量が変わっても加熱時間や温度が同じだと、炊飯量が少ないと加熱しすぎてしまい、逆に炊飯量が多いと加熱不足になってしまうからだ。「NJ-XW103J」は底面に「重量センサー」を備え、自動で炊飯量を計測。炊飯量に応じた加熱をするので、少量でも多量でも最適に加熱する。
「NJ-XW103J」は、新たに硬さや粘りを細かく調整できる「炊分け名人」機能を搭載する。ごはんを「もちもち~しゃっきり」の3段階の粘りと、「かため~やわらか」の5段階の硬さ、合計15モードに設定できる。
「炊分け名人」の設定画面。右の十字ボタンで炊きたい設定にごはん粒マークを移動する
他社の高級炊飯器も硬さを調整できる機能を備えているが、3~5段階程度がほとんど。15段階と細かく設定できるのは、三菱だけだ。また、「NJ-XW103J」は、その炊き分けがどんなメニューに適しているかわかりやすく表示しているので、どの設定にしたらいいか悩むこともない。
実際にやってみた炊き分けによる食感の違い
まず、標準設定で炊くと、圧力IH炊飯器に比べやや堅めだが、ふっくらしたごはんが炊き上がった。大火力と本炭釜のおかげで芯が残ることもなく、うまみもたっぷり。そのまま保温しておいても、蒸気口がないのでごはんが乾燥することが少なく、変色や香りの変化もごく少ない。
次に「炊分け名人」の効果を確認するために、4通りの設定で炊き比べた。硬さ、粘りの設定を1マス変えるだけで想像以上に食感は変わったが、どの設定でもおいしく食べられた。
それぞれの設定で炊いたごはんの感想をまとめよう。今回使用した米は新潟産のコシヒカリで、それぞれ3合ずつ炊いた。ちなみに、炊き分けは火力と時間調整によって行われるので、炊き上がりの設定によって炊飯時間は大きく異なる。なお、炊き上がりは米の銘柄によっても大きく変わってくるので、参考程度にみてほしい。
◆かため[+2]/もちもち【丼ぶり向き】 炊飯時間:59分
噛むと弾力があって食べ応えがある。お米同士はくっついているのでまとまりがあって食べやすい。丼にして食べると、上の具と一体感が出て、かつ食べ応えがあって満足感が得られる。
◆かため[+2]/しゃっきり【すし・カレー向き】 炊飯時間:46分
硬めの炊きあがりで歯ごたえがある。お米同士が見た目はまとまっているが、口に入れるとすぐにほぐれる。カレーで食べるとサラサラとおいしく食べられる
◆やわらか[+2]/もちもち【お弁当向き】 炊飯時間:92分
お米が柔らかいが、ベタついておらず、おかずと一緒に食べるととても引き立つ。お弁当に使うと時間がたっても硬くなりにくく、食べやすい
◆やわらか[+2]/しゃっきり【おにぎり・お弁当向き】 炊飯時間:86分
お米の風味が引き立っていて、ごはん単体で食べてもおいしい。おにぎりにして食べると、きれいに握りやすいうえに、食べたとき食べ応えもあって本当においしい
いろいろ試した結果、私は標準の設定より、「やわらか[+2]/しゃっきり」が一番おいしく感じた。また、各炊き分けがおすすめしている料理にもよく合った。特に、普段は丼やカレー用に「やわらかめ」で炊いていたのだが、「炊分け名人」がすすめる「かため」で炊いたごはんがびっくりするほど合った。
三菱の家電は、他社にはない「オンリーワン」の機能を備えた製品が多いが、この炊飯器もその一つ。「炊分け名人」でいろいろな設定で炊き比べて、ぜひあなた好みの味を発見してほしい。(フリーライター・西村敦子)