<インタビュー・時の人>NECパーソナルコンピュータ 代表取締役執行役員社長 高塚 栄
2011年7月、NECとレノボの合弁会社として誕生したNECパーソナルコンピュータ。今年1月1日付で、高塚栄氏がトップとして指揮を執ることになった。国内パソコン市場でトップシェアを維持する理由。それは、安心・快適・簡単なパソコンを出し続けていることにある。しかし高塚社長は、「これに加え、新しい環境が生む『おもしろいパソコン』の発売にもチャレンジしていく」と力を込める。何が生まれるのだろうか。(取材・文/佐相彰彦)
◎プロフィール
高塚 栄(たかつか さかえ)
1953年5月生まれ。東京都出身。76年3月、早稲田大学理工学部を卒業し、NECに入社。マイコンの販売業務に従事し、その後、一貫してパソコン関連のビジネスに携わる。03年7月、NECパーソナルプロダクツ設立に伴い、パソコン事業本部営業事業部長に就任。執行役員兼パソコン事業本部マーケティング本部長や取締役執行役員常務兼パソコン事業本部長を歴任。11年7月、NECとレノボの合弁会社であるNECパーソナルコンピュータの設立と同時に執行役員常務兼パソコン事業本部長に就任。12年1月、代表取締役執行役員社長に就任。パソコン事業本部長も兼務する。
Q. 社長に就任して、今、どのような方向に会社を導こうと考えているのか。
A. NECのパソコン事業は歴史があり、販売パートナーやお客様からはご信頼いただいている。お客様に安心して、快適・簡単に使っていただけるパソコンの提供という、以前から掲げてきたコンセプトを変えるつもりはない。ただ、「高塚さんが社長になって変わることはあるのか」との声が多くの販売パートナーから上がっており、これには応えたい。われわれはレノボとの合弁で誕生し、業界に大きなインパクトを与えた。これを踏まえて、挑戦的なパソコンを発売していく。これまで、手堅い売れ筋モデルを発売していたが、これは裏を返せば、販売パートナーに新しいことを提案するモデルではなかったということ。これからは、安心・快適・簡単をきっちり守りながら、「おもしろい」と評価されるパソコンを開発していく。
Q. 「おもしろいパソコン」の開発にあたっての課題は?
A. 現在、パソコンやテレビ、そしてスマートフォンやタブレット端末など、さまざまなデバイスがあり、それらのシームレスな連携に注目が集まっている。当社は、パソコンを核にスマートフォンやタブレット端末がつながる世界を描いているが、それはパソコン側からだけで発想していては実現しない。そこで、開発者をはじめとする社員が、スマートフォンやタブレット端末を日常生活で実際に使って、目の前の現実に「疑問」を抱くことから始めた。これが、新しい製品を生むと確信している。
「疑問」をビジネスに落とし込むには、組織と組織の関係を密にして、日頃から考えを共有しておくことが必要だ。そこで、まずは執行役員が活発に意見を出し合う場をつくった。この「執行役員連絡会議」では、資料はA4判で1枚だけ。わからないことはその場で質問する、というルールを設けている。組織の責任を任されるようになると保守的になりがちなので、それを打破するために設置したのだが、予想以上にコミュニケーションが活発になった。今後は、部長レベルや現場レベルで、組織を越えてコミュニケーションを図る環境を整える。
Q. NECとレノボが、合弁会社として設立したメリットは出ているのか。
A. 「ThinkPad」の堅牢性をNECブランドのパソコンに取り入れることや、地デジチューナーの技術をレノボブランドのパソコンに生かすなど、技術的な連携を強化する。設立1年を迎える今夏頃には、現実のものにする。
Q. パソコン市場でトップシェアを維持できるか。
A. トップであり続けることにはこだわっていく。当社のパソコンを選べば、スマートフォンやタブレット端末との連携を含めて、誰でも安心・快適・簡単におもしろい使い方ができる。そのようなイメージを浸透させたい。
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2012年3月12日付 vol.1423より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは
◎プロフィール
高塚 栄(たかつか さかえ)
1953年5月生まれ。東京都出身。76年3月、早稲田大学理工学部を卒業し、NECに入社。マイコンの販売業務に従事し、その後、一貫してパソコン関連のビジネスに携わる。03年7月、NECパーソナルプロダクツ設立に伴い、パソコン事業本部営業事業部長に就任。執行役員兼パソコン事業本部マーケティング本部長や取締役執行役員常務兼パソコン事業本部長を歴任。11年7月、NECとレノボの合弁会社であるNECパーソナルコンピュータの設立と同時に執行役員常務兼パソコン事業本部長に就任。12年1月、代表取締役執行役員社長に就任。パソコン事業本部長も兼務する。
目の前の現実に疑問を抱くことが「おもしろいパソコン」につながる
Q. 社長に就任して、今、どのような方向に会社を導こうと考えているのか。
A. NECのパソコン事業は歴史があり、販売パートナーやお客様からはご信頼いただいている。お客様に安心して、快適・簡単に使っていただけるパソコンの提供という、以前から掲げてきたコンセプトを変えるつもりはない。ただ、「高塚さんが社長になって変わることはあるのか」との声が多くの販売パートナーから上がっており、これには応えたい。われわれはレノボとの合弁で誕生し、業界に大きなインパクトを与えた。これを踏まえて、挑戦的なパソコンを発売していく。これまで、手堅い売れ筋モデルを発売していたが、これは裏を返せば、販売パートナーに新しいことを提案するモデルではなかったということ。これからは、安心・快適・簡単をきっちり守りながら、「おもしろい」と評価されるパソコンを開発していく。
Q. 「おもしろいパソコン」の開発にあたっての課題は?
A. 現在、パソコンやテレビ、そしてスマートフォンやタブレット端末など、さまざまなデバイスがあり、それらのシームレスな連携に注目が集まっている。当社は、パソコンを核にスマートフォンやタブレット端末がつながる世界を描いているが、それはパソコン側からだけで発想していては実現しない。そこで、開発者をはじめとする社員が、スマートフォンやタブレット端末を日常生活で実際に使って、目の前の現実に「疑問」を抱くことから始めた。これが、新しい製品を生むと確信している。
「疑問」をビジネスに落とし込むには、組織と組織の関係を密にして、日頃から考えを共有しておくことが必要だ。そこで、まずは執行役員が活発に意見を出し合う場をつくった。この「執行役員連絡会議」では、資料はA4判で1枚だけ。わからないことはその場で質問する、というルールを設けている。組織の責任を任されるようになると保守的になりがちなので、それを打破するために設置したのだが、予想以上にコミュニケーションが活発になった。今後は、部長レベルや現場レベルで、組織を越えてコミュニケーションを図る環境を整える。
Q. NECとレノボが、合弁会社として設立したメリットは出ているのか。
A. 「ThinkPad」の堅牢性をNECブランドのパソコンに取り入れることや、地デジチューナーの技術をレノボブランドのパソコンに生かすなど、技術的な連携を強化する。設立1年を迎える今夏頃には、現実のものにする。
Q. パソコン市場でトップシェアを維持できるか。
A. トップであり続けることにはこだわっていく。当社のパソコンを選べば、スマートフォンやタブレット端末との連携を含めて、誰でも安心・快適・簡単におもしろい使い方ができる。そのようなイメージを浸透させたい。
・Turning Point
NECに入社し、マイクロコンピュータの販売部門に配属された。1979年の「PC-8001」発売からは、必然的にパソコンの販売に従事した。今もパソコン関連事業に携わっており、しかもトップとして手腕を振るう。「30年以上もこんな魅力的なアイテムに関わっていられるのは、本当に幸せだ」と語る。
パソコン部門に配属された時は、「何が何だかわからなかったが、がむしゃらだった」と振り返る。しかし、「パソコンが誕生した時のワクワク感は、今でも忘れられない」という。その後、ワクワク感はむしろ色濃くなっていった。入社時点で、すでにターニング・ポイントが訪れていたのである。
NECに入社し、マイクロコンピュータの販売部門に配属された。1979年の「PC-8001」発売からは、必然的にパソコンの販売に従事した。今もパソコン関連事業に携わっており、しかもトップとして手腕を振るう。「30年以上もこんな魅力的なアイテムに関わっていられるのは、本当に幸せだ」と語る。
パソコン部門に配属された時は、「何が何だかわからなかったが、がむしゃらだった」と振り返る。しかし、「パソコンが誕生した時のワクワク感は、今でも忘れられない」という。その後、ワクワク感はむしろ色濃くなっていった。入社時点で、すでにターニング・ポイントが訪れていたのである。
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2012年3月12日付 vol.1423より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは