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<インタビュー・時の人>東芝ホームアプライアンス リビング機器事業部 リビング機器企画部 クリーン商品企画担当グループ長 森田いづみ

特集

2012/02/01 10:44

 主婦は、家事に手を抜いてはいけない──。もはや、そんな時代ではない。ひと昔前だったら受け入れられなかったはずのロボット掃除機に、今、人々が関心を寄せている。昨年10月、「Smarbo(スマーボ)」を発売した東芝ホームアプライアンスに、発売の背景と今後の展望を聞いた。(取材・文/田沢理恵)

◎プロフィール
(もりた いずみ)愛知県出身。1993年、名古屋大学大学院農学部農芸化学科修士課程を修了し、東芝に入社。洗濯機の技術開発、商品企画を担当した後、東芝ホームアプライアンス国内営業本部営業企画担当グループ長(ママゴコロ家電推進室長を兼務)などを経て、11年4月から現職。

専業主婦も利用するロボット掃除機
「スマーボ」で市場を拡大



Q. ロボット掃除機市場をどのようにみているか。

A.
 当社の調べでは、2010年度のロボット掃除機市場は約10万台だった。11年度は、約17万台に拡大すると見込んでいる。今、非常に成長している市場なので、実は見込みよりもやや伸びるのではないかとみている。 


Q. 東芝が参入した背景は?

A.
 10年前に、「Electrolux(エレクトロラックス)by東芝」として「トリロバイト」という製品を投入したことがある。その後もロボット掃除機市場はなかなか拡大しなかったのだが、08年度から米アイロボットの「ルンバ」の人気が高まり、市場が伸びてきた。その背景にあるのは、仕事をする既婚女性が増えてきたことや、消費者の家事に対する考え方が変わってきたことなど。2010年頃から再参入の検討を開始した。製品化を前に、ロボット掃除機ユーザーの購入動機を調べたところ、「掃除に費やす時間を自分の時間に使える」ことがトップだった。こうしたなかで、「Smarbo(スマーボ)」を発売した。

Q. 「スマーボ」の特徴は?

A.
 「スマーボ」は、「スマートロボットクリーナー」を語源としている。「スマート」を打ち出している通り、賢いことが一番の特徴だ。カメラとセンサで情報を検知して、ムダな動きをしない。自動モードの場合、約2畳分の広さが約2分で掃除できるなど、短い時間で掃除ができ、電気代も抑えられる。また、運転音は52dBと静かで、集合住宅でも隣家に迷惑をかけない。ダストボックスが水洗いできることも特徴だ。

Q. どのようなユーザーが購入しているのか。

A.
 30~40代の仕事をもつ既婚女性が半数を占めているが、専業主婦のユーザーも多い。専業主婦の外出時間は、過去の調査結果に比べ、圧倒的に増えている。子どもの学校や塾などの送り迎えなどで、在宅時間は短くなっている。「スマーボ」が専業主婦にも受け入れられているのは、こうした変化が影響しているのではないか。昔だったら普及しなかったような商品も、専業主婦に支持されるようになってきている傾向がある。

Q. 今後、どのように販売拡大を図っていくのか。

A.
 ロボット掃除機は、まだまだ普及というまでには至っていない。ロボット掃除機を使って、時間の有効活用や、既存の掃除機と組み合わせて家事を効率化できるというメリットを訴求して、普及させていきたい。掃除機全体の市場規模は、年間510万~570万台。一家に1台という家庭が大半なので、ロボット掃除機が2台目として普及していけば、市場全体の拡大につながると期待している。年末にテレビCMや雑誌などでの広告展開を行ったが、今後は店頭での実演による訴求を強化していく。また、直近ではないが、ラインアップの拡充も考えている。

・Turning Point

 もともとは技術者で、入社後5~6年間は洗濯機の技術を担当した。技術スタッフは、営業スタッフから、「こんな製品をつくってほしい」という要望を受ける。しかし、あれもこれもという営業側の要望を完全に満たす製品を生み出すのは難しい。どこに力をかけるべきか、ポイントを正確に押さえるために、商品企画への異動を志願。いったんは技術に戻ったが、再び商品企画や販売を担当している。

 現在担当している掃除機は、ロボット掃除機を除けば、ユーザー自身が動かしながら掃除をするという「人」に負荷がかかる製品だ。「家事労働の負荷を低減していくことが目標」と、意欲を燃やしている。


※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2012年1月30日付 vol.1417より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは