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2011年12月の携帯電話ランキング、実質1位は「iPhone 4S」だが国内メーカー製Androidも大健闘

特集

2012/01/20 22:55

 昨年末は、多くのAndroid搭載スマートフォンの新製品が登場した。なかでも、NTTドコモ(ドコモ)の「AQUOS PHONE SH-01D」「ARROWS X LTE F-05D」と「GALAXY S II LTE SC-03D」、auの「ARROWS Z ISW11F」は、大いに売れた。「GALAXY S II LTE」以外は、国内メーカーが開発し、ワンセグやおサイフケータイなど、従来の携帯電話と同様の機能を搭載する日本仕様のスマートフォンだ。これらは、海外メーカー製のグローバルモデルと区別するために、一部では「ガラスマ」とも呼ばれている。「iPhone 4S」の好調な売れ行きも加わり、量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、2011年12月の月間携帯電話販売台数に占めるスマートフォンの割合は、過去最高だった2011年10月を7ポイント上回る77.0%に達した。新規購入に限ると、もはやほとんどがスマートフォンだ。

ドコモのAndroid搭載機がスマートフォンの過半数を占める



 スマートフォンの販売比率が8割近くまで上昇した要因は、ドコモとauのスマートフォンの販売台数が、前月に比べて大幅に増加したことにある。従来型携帯電話(フィーチャーフォン)の販売台数は前月比115.8%の微増にとどまったが、スマートフォンは187.1%と大幅に伸び、特にドコモは302.6%と、直前の11月の3倍に膨らんだ。その結果、スマートフォンに限った2011年12月のキャリア別販売台数シェアは、ドコモがほぼ過半数の51.7%を占め、9月以来、久しぶりにトップに立った。どうやら既存のドコモユーザーが、新製品待ちの買い控えから一転、購入に動いたようだ。


 iPhoneを含むスマートフォンの販売台数は、従来型の携帯電話がまだ全体の7割弱を占めていた2010年10月の3.5倍、日本での初代iPhoneである「iPhone 3G」が発売された2008年7月の10.8倍に拡大。集計開始以来、最大を記録した。

[クリックすると、より詳細な大きなサイズの表を表示します]

 その一方で、国民生活センターによると、「修理に出しても不具合が続く」「すぐに電池がなくなる」などのクレームが増えているという(2011年12月1日公表『急増するスマートフォンのトラブル』)。昨年末には、iモードのメールアドレスをスマートフォンでも使い続けたいユーザーにとっては欠かせない「spモードメール」で、一部ユーザーのメールアドレスが別のユーザーのアドレスに置き換わってしまうというトラブルも発生した。今のところ、売れ行きに明確な影響は出ていないが、長期的な視点では、不具合を起こしたドコモや、スマートフォンそのものに対する不信感が増す恐れがある。

予想外の人気!? 月間1位はドコモの「AQUOS PHONE SH-01D」



 前置きが長くなってしまったが、2011年12月の機種別の月間ランキングをみていこう。量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、SIMフリー端末を含む携帯電話全体の12月の販売台数1位は、シェア8.9%で、ドコモのシャープ製Android搭載スマートフォン「AQUOS PHONE SH-01D」だった。

2011年12月 携帯電話
販売台数ランキング<全キャリア合算>
順位 キャリア メーカー 品名 型番 販売台数
シェア(%)
発売年月
1 NTTドコモ シャープ AQUOS PHONE SH-01D SH-01D 8.9 2011/12
2 NTTドコモ 富士通 ARROWS X LTE F-05D 6.7 2011/12
3 SoftBank アップル iPhone 4S 16GB(SoftBank) iPhone 4S 16GB(SoftBank) 6.4 2011/10
4 SoftBank アップル iPhone 4S 32GB(SoftBank) iPhone 4S 32GB(SoftBank) 4.9 2011/10
5 au/WiMAX 富士通東芝モバイルコミュニケーションズ ARROWS Z ISW11F 4.5 2011/12
6 NTTドコモ SAMSUNG GALAXY S II LTE SC-03D 4.2 2011/11
7 NTTドコモ 富士通 REGZA Phone T-01D T-01D 2.6 2011/12
8 NTTドコモ 富士通 ARROWS Kiss F-03D 2.6 2011/12
9 au アップル iPhone 4S 16GB(au) iPhone 4S 16GB(au) 2.5 2011/10
10 SoftBank アップル iPhone 4S 64GB(SoftBank) iPhone 4S 64GB(SoftBank) 2.4 2011/10
「BCNランキング」2011年12月 月次<最大パネル>

 現時点まで、発売日を含む2011年11月第4週(11月28日~12月4日)、12月第1週(12月5日~11日)、2012年1月第1週(1月2日~8日)、1月第2週(1月9日~15日)の4度にわたって1位を獲得。ドコモの2011-2012冬春モデルのなかで、いまのところ最も多く売れている。防水・防塵、デュアルコアCPU、有効約1210万画素のカメラなどの高いスペックと、ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信の定番3機能が入った安心感、バランスのよさが好評のようだ。

AQUOS PHONE SH-01D

 2位には、同じくドコモの富士通製のAndroid搭載スマートフォン「ARROWS X LTE F-05D」が入った。週間ランキングでは、2011年12月第3週(12月19日~25日)と12月第4週(12月26日~2012年1月1日)の2回、1位を獲得。特に12月第4週は、ソフトバンクモバイルの「iPhone 4S」の販売台数の合計を上回るほどの売れ行きだった。

 学校や勤務先、よく出かけるスポットなどが、すでにドコモのLTEサービス「Xi(クロッシィ)」対応エリアになっており、データ通信の速度が速いほうがいいという人は、「ARROWS X LTE」などの「Xi」対応モデルを選んだほうが満足できるはず。同じ「ARROWS」ブランドで、LTEとは別方式の高速データ通信サービス「WiMAX」に対応するauの「ARROWS Z ISW11F」も、2011年12月第2週(12月12日~18日)の週間ランキングで1位を獲得し、月間でも5位につけている。

 今後、ハイエンド機種を中心に、「Xi」や「WiMAX」などの高速データ通信対応モデルのラインアップが増えてくる。端末選びのポイントとして、デザインや基本性能だけではなく、後から追加できず、キャリアによる差が大きい「高速データ通信サービス」の対応の有無やその速度、対応エリアなども、購入前にチェックするようにしたい。

ドコモのLTEサービス「Xi」対応モデルの一つ、ARROWS X LTE F-05D。
製品名に「LTE」と入っている機種は、いずれも、受信時最大75Mbps、送信時最大25Mbps(Xiエリアの一部のみ)の高速データ通信ができる「Xi」に対応している

実質1位はSB版「iPhone 4S」、シェアは2位と4.8ポイント差の13.7%



 「BCNランキング」では、キャリア・容量ごとに「iPhone 4S」を6機種に分けて集計しているが、ここからは、「iPhone 4S/4」は、わかりやすくキャリアごとに容量を合算し、1機種としてカウントした順位をみていこう。

昨年10月14日の発売以来、売れ続けるiPhone 4S

 容量を合算したときの1位は、ソフトバンクモバイル(SB)の「iPhone 4S」。販売台数シェアは、2位の「AQUOS PHONE SH-01D」を4.8ポイント上回る13.7%だった。一方、auの「iPhone 4S」は、「AQUOS PHONE SH-01D」「ARROWS X LTE F-05D」に続く4位にとどまった。SB版、au版を合算すると「iPhone 4S」の販売台数シェアは19.9%。SB版、au版ともに、前月より販売台数は増えたものの、シェアは9.1ポイント下がった。ただし、スマートフォンの販売比率が急上昇した2010年12月の「iPhone 4」のシェアより、2011年12月の「iPhone 4S」のシェアのほうが若干高く、販売台数もかなり多い。直近のランキングの順位だけを見て、「iPhone失速」と判断するのは早計だろう。



auは引き続き「iPhone 4S」が1位、“全部入り”の「ARROWS Z」も2位につける



 続いて、主要3キャリア、ドコモ・KDDI(au)・ソフトバンクモバイルの12月のキャリア別月間トップ10を紹介しよう。ドコモは8位の「P-07B」以外はすべてスマートフォンで、発売されたばかりの最新モデルがほとんどを占めた。

2011年12月 携帯電話
キャリア別 販売台数ランキング<NTTドコモ>
順位 メーカー 品名 型番 メインカメラの有効画素数(万画素) 販売台数
シェア(%)
発売年月
1 シャープ AQUOS PHONE SH-01D SH-01D 1210 17.5 2011/12
2 富士通 ARROWS X LTE F-05D 1310 13.1 2011/12
3 SAMSUNG GALAXY S II LTE SC-03D 810 8.2 2011/11
4 富士通 REGZA Phone T-01D T-01D 1310 5.2 2011/11
5 富士通 ARROWS Kiss F-03D 810 5.1 2011/11
6 SAMSUNG GALAXY S II SC-02C 810 4.5 2011/06
7 LGエレクトロニクス Optimus LTE L-01D 810 4.2 2011/12
8 パナソニック モバイルコミュニケーションズ P-07B P-07B 510 3.5 2010/09
9 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ Xperia acro SO-02C 810 2.9 2011/07
10 パナソニック モバイルコミュニケーションズ LUMIX Phone P-02D P-02D 1320 2.8 2011/12
※太字はスマートフォン
「BCNランキング」2011年12月 月次<最大パネル>

 auは2010年10月、11月に続き、「iPhone 4S」がトップ。しかし、シェアは月を追うごとに下がっており、「選べるラインアップの一つ」のポジションに落ちつきつつある。一方、ソフトバンクモバイルは、「iPhone 4S」が1位という点はauと同じだが、そのシェアは66.0%と非常に高く、iPhoneに偏った販売状況になっている。キャリア別に「iPhone 4S」の累計販売台数シェアを集計するとほぼ6対4で、auを上回っているとはいえ、その差はもっと広げたいところだろう。

2011年12月 携帯電話
キャリア別 販売台数ランキング<au>

※「iPhone 4S」は容量の異なるモデルを合算
順位 メーカー 品名 型番 メインカメラの有効画素数(万画素) 販売台数
シェア(%)
発売年月
1 アップル iPhone 4S(au) - 800 23.1 2011/10
2 富士通東芝モバイルコミュニケーションズ ARROWS Z ISW11F 1310 16.7 2011/12
3 京セラ DIGNO ISW11K 808 5.6 2011/11
4 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ XPERIA acro IS11S IS11S 810 5.3 2011/06
5 シャープ AQUOS PHONE IS13SH IS13SH 804 5.3 2011/11
6 シャープ INFOBAR A01 SHX11 805 3.1 2011/06
7 京セラ K009 K009 808 2.6 2011/06
8 京セラ K006 K006 331 2.4 2010/09
9 京セラ 簡単ケータイ K010 515 2.2 2011/05
10 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ URBANO AFFARE SOY05 810 2.1 2011/10


2011年12月携帯電話
キャリア別 販売台数ランキング<SoftBank>

※「iPhone 4S/4」は容量の異なるモデルを合算
順位 メーカー 品名 型番 メインカメラの有効画素数(万画素) 販売台数
シェア(%)
発売年月
1 アップル iPhone 4S(SoftBank) - 800 66.0 2011/10
2 ZTE みまもりケータイ 005Z - 8.2 2011/03
3 アップル iPhone 4 - 500 8.1 2010/06
4 パナソニック モバイルコミュニケーションズ COLOR LIFE 2 002P 320 3.0 2011/02
5 シャープ PANTONE 3 001SH 320 2.8 2010/11
6 シャープ AQUOS PHONE 102SH 102SH 1210 2.7 2011/12
7 シャープ かんたん携帯 008SH 320 1.5 2011/07
8 シャープ THE PREMIUM7 WATERPROOF 004SH 960 1.2 2011/01
9 シャープ AQUOS PHONE THE HYBRID 007SH 1610 1.0 2011/06
10 パナソニック モバイルコミュニケーションズ Sweety 003P 510 0.9 2011/08
※太字はスマートフォン
「BCNランキング」2011年12月 月次<最大パネル>

 KDDIは、1月16日、ブランドロゴの変更や、FTTHなどの指定の固定通信サービスと組み合わせると利用料金を割り引く「auスマートバリュー」などの新しいサービス・キャンペーンを一挙に発表した。「マルチデバイス」「マルチネットワーク」「マルチユース」の三つの頭文字から取った「3M戦略」を掲げるKDDIの発表を受け、ドコモやソフトバンクモバイルも新たな策を打ち出してくるはず。また、今年は、最初に買ったスマートフォンから別のスマートフォンへの買い替えの動きも出てくるだろう。目が離せない年になりそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。

【BCNからのお知らせ】
近日中に、スマートフォン・タブレット端末の年間ランキングを紹介する記事を掲載する予定です。OS別シェアの推移など、2011年の販売動向は、そちらの記事にてより詳しく分析・解説する予定です。

一番売れたデジタル製品は? 2011年の年間ランキング