東京モーターショー2011開幕、注目はコンパクトでかわいい電動シティコミューター
最新の自動車や二輪車、そして最新技術を披露するクルマの祭典「第42回 東京モーターショー2011」が、12月3日に開幕した。
「世界はクルマで変えられる。」をテーマに掲げた今回は、前回に引き続き、環境にやさしいHV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)の出展が目立った。ただし、一昨年と大きく異なるのは、この2年でHVやEVが「未来の技術」であった時代は終わり、実用車としていかに現行のガソリン/ディーゼル車からの代替を図っていくか、いかに最先端の環境技術を盛り込んでいくか、インフラをどう整備していくかという実用段階に入っていることだ。
EVは、すでに日産「リーフ」、三菱「i-MiEV(アイ・ミーブ)」などが街中を走っている。こうした実用車は会場でももちろん注目を集めているが、さらに今回のモーターショーに華を添えているのが、近未来のコンパクトなEV、近距離の移動に特化した電動シティコミューターたちだ。
EVは大容量バッテリを搭載するため、どうしても車両価格が高くなってしまう。これに対して小型車は、バッテリ容量を小さくすることでユーザーの手が届きやすい価格に設定でき、普及が期待できる。電動シティコミューターは、EVの普及と都市内交通の改善の決め手として期待されている存在なのだ。
各社が出展している電動シティコミューターのほとんどは、助手席がなく、運転者のほかには後部座席に一人か二人が乗車するタイプ。各社とも、主に近所の買い物や送迎用として、気軽に乗れるコンパクトカーとして提案している。
参考展示品が多いなかで、ロボットメーカーのテムザックと医薬品・電気光学機器メーカーの興和が今年2月に設立したEV専門メーカー、興和テムザックは、今後発売予定の「KOBOT」を出品した。「KOBOT」は、一人乗りの3輪タイプ「kobot ν(ニュー)」「KOBOT β(ベータ)」と、二人乗りの4輪タイプ「KOBOT π(パイ)」の3タイプを展示している。3輪タイプは小回りよく動くよう後輪が小さく、最小回転半径は1.2m。座席を折りたたむ「トランスフォーム機能」で、駐車スペースを取らない。
4輪タイプの「KOBOT π」は、カボチャの馬車のような丸いデザイン。左右の扉は観音開きで、駐車中はシートを動かして運転席とナビシートを向かい合わせにすることができる。想定マーケットは、観光地のレンタカーや地域住民で共有するカーシェアリングという。
四輪車と二輪車の両方を製造するスズキは、「四輪車と二輪車の中間」という位置づけで、カタツムリのような丸いデザインの「Q-Concept」を出展。全長2.5m、幅1.3mのコンパクトなボディで、一人用の後部座席を設ける。
スマートフォンをハンドルに接続し、ヘッドアップディスプレイの一部として情報を表示したり、操作したりできる。また、車両周囲の危険箇所、接近する他車両などの警告もスマートフォンのモニタに表示する。
ホンダは、未来感覚たっぷりのデザインがかっこいい小型EV「MICRO COMMUTER CONCEPT」を出展。全長2.5mの小さなボディに、二人が乗車できる後部座席を設けた。フットワークよく移動できるよう、タイヤを可能な限り四隅にレイアウトし、それをフェンダーがカバーすることで、いまにも駆け出しそうなデザインに仕上げた。
通常のハンドルではなく、飛行機の操縦席のように2本のレバーを搭載し、レバーを傾けて運転する。キーの代わりにスマートフォンをインパネにセットして起動するほか、スマートフォンの情報をフロントガラスに表示することができる。
日産は、デザインだけではなく、まるで未来にいるかのようなカーライフを体感できる小型EVを出展した。2005年の東京モーターショーでデビューしたEVのコンセプトモデル、初代「PIVO」から数えて3代目となる「PIVO3」は、駐車の手間を省いた「オートメーテッド・バレーパーキング(AVP)」システムに対応している。
「AVP」は、ホテルの玄関で駐車係が客のクルマを預かり、駐車場まで移動するシステムの全自動版と思えばいい。ドライバーが「PIVO3」から降りると自動で駐車スペースまで走行し、自分で充電する。用事を終えたドライバーが携帯電話やスマートフォンで呼び出すと、指示に従って「PIVO3」が迎えにくる。つまり、駐車スペースを探したり、駐車場までクルマを取りに行ったりする必要がないのだ。
環境にやさしく、IT技術の粋を集めて「スマート化」が進むEV。実用化には至ったが、本格的な普及には、充電時間の短縮や航続距離の延長など、バッテリ性能の向上と充電インフラの整備が大きな課題となっている。電動シティコミューターが、EVの普及を加速させることを期待したい。
「東京モーターショー2011」は、12月11日まで、東京・お台場の東京ビッグサイトで開催。一昨年の前回はリーマン・ショック後の景気の低迷で欧米主要メーカーが出展を見送るなど、規模が縮小したが、今年は13か国・地域から約170社が参加し、活気を取り戻しつつある。
注目の電動シティコミューター
「世界はクルマで変えられる。」をテーマに掲げた今回は、前回に引き続き、環境にやさしいHV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)の出展が目立った。ただし、一昨年と大きく異なるのは、この2年でHVやEVが「未来の技術」であった時代は終わり、実用車としていかに現行のガソリン/ディーゼル車からの代替を図っていくか、いかに最先端の環境技術を盛り込んでいくか、インフラをどう整備していくかという実用段階に入っていることだ。
EVは、すでに日産「リーフ」、三菱「i-MiEV(アイ・ミーブ)」などが街中を走っている。こうした実用車は会場でももちろん注目を集めているが、さらに今回のモーターショーに華を添えているのが、近未来のコンパクトなEV、近距離の移動に特化した電動シティコミューターたちだ。
EVは大容量バッテリを搭載するため、どうしても車両価格が高くなってしまう。これに対して小型車は、バッテリ容量を小さくすることでユーザーの手が届きやすい価格に設定でき、普及が期待できる。電動シティコミューターは、EVの普及と都市内交通の改善の決め手として期待されている存在なのだ。
各社が出展している電動シティコミューターのほとんどは、助手席がなく、運転者のほかには後部座席に一人か二人が乗車するタイプ。各社とも、主に近所の買い物や送迎用として、気軽に乗れるコンパクトカーとして提案している。
参考展示品が多いなかで、ロボットメーカーのテムザックと医薬品・電気光学機器メーカーの興和が今年2月に設立したEV専門メーカー、興和テムザックは、今後発売予定の「KOBOT」を出品した。「KOBOT」は、一人乗りの3輪タイプ「kobot ν(ニュー)」「KOBOT β(ベータ)」と、二人乗りの4輪タイプ「KOBOT π(パイ)」の3タイプを展示している。3輪タイプは小回りよく動くよう後輪が小さく、最小回転半径は1.2m。座席を折りたたむ「トランスフォーム機能」で、駐車スペースを取らない。
テムザックの「KOBOT β(ベータ)」「kobot ν(ニュー)」「KOBOT π(パイ)」
4輪タイプの「KOBOT π」は、カボチャの馬車のような丸いデザイン。左右の扉は観音開きで、駐車中はシートを動かして運転席とナビシートを向かい合わせにすることができる。想定マーケットは、観光地のレンタカーや地域住民で共有するカーシェアリングという。
四輪車と二輪車の両方を製造するスズキは、「四輪車と二輪車の中間」という位置づけで、カタツムリのような丸いデザインの「Q-Concept」を出展。全長2.5m、幅1.3mのコンパクトなボディで、一人用の後部座席を設ける。
スマートフォンで操作できるスズキの「Q-Concept」
スマートフォンをハンドルに接続し、ヘッドアップディスプレイの一部として情報を表示したり、操作したりできる。また、車両周囲の危険箇所、接近する他車両などの警告もスマートフォンのモニタに表示する。
ホンダは、未来感覚たっぷりのデザインがかっこいい小型EV「MICRO COMMUTER CONCEPT」を出展。全長2.5mの小さなボディに、二人が乗車できる後部座席を設けた。フットワークよく移動できるよう、タイヤを可能な限り四隅にレイアウトし、それをフェンダーがカバーすることで、いまにも駆け出しそうなデザインに仕上げた。
飛行機のように操作するホンダの「MICRO COMMUTER CONCEPT」
通常のハンドルではなく、飛行機の操縦席のように2本のレバーを搭載し、レバーを傾けて運転する。キーの代わりにスマートフォンをインパネにセットして起動するほか、スマートフォンの情報をフロントガラスに表示することができる。
日産は、デザインだけではなく、まるで未来にいるかのようなカーライフを体感できる小型EVを出展した。2005年の東京モーターショーでデビューしたEVのコンセプトモデル、初代「PIVO」から数えて3代目となる「PIVO3」は、駐車の手間を省いた「オートメーテッド・バレーパーキング(AVP)」システムに対応している。
駐車場まで自動で走行する日産の「PIVO3」
「AVP」は、ホテルの玄関で駐車係が客のクルマを預かり、駐車場まで移動するシステムの全自動版と思えばいい。ドライバーが「PIVO3」から降りると自動で駐車スペースまで走行し、自分で充電する。用事を終えたドライバーが携帯電話やスマートフォンで呼び出すと、指示に従って「PIVO3」が迎えにくる。つまり、駐車スペースを探したり、駐車場までクルマを取りに行ったりする必要がないのだ。
環境にやさしく、IT技術の粋を集めて「スマート化」が進むEV。実用化には至ったが、本格的な普及には、充電時間の短縮や航続距離の延長など、バッテリ性能の向上と充電インフラの整備が大きな課題となっている。電動シティコミューターが、EVの普及を加速させることを期待したい。
「東京モーターショー2011」は、12月11日まで、東京・お台場の東京ビッグサイトで開催。一昨年の前回はリーマン・ショック後の景気の低迷で欧米主要メーカーが出展を見送るなど、規模が縮小したが、今年は13か国・地域から約170社が参加し、活気を取り戻しつつある。