広がるデジタル機器のサポートサービス ユーザー拡大のカギに
PCだけでなく、スマートフォンやテレビなどが次々にインターネットにつながるようになって、デジタル機器はどんどん便利になっている。しかし、機器のインターネット接続設定や、機器同士の連携、さらにはコンテンツの利用設定など、初心者やデジタル機器に不慣れな人には煩雑な作業で、またわからないことも多い。販売店やメーカーにとって、デジタル機器の普及のために、サポートサービスビジネスが重要になりつつある。
ピーシーデポコーポレーション(PCデポ)は、2010年春にスマートフォンの取り扱いをはじめたときから、サポートサービスカウンター「パソコンクリニック」にスマートフォンとPCの接続サービスを追加するなど、スマートフォン向けのサービスに力を入れてきた。11年には、携帯電話からスマートフォンへの「アドレス帳移行サービス」(5000円)や、「Twitter設定サービス」(5000円)などを開始。現在は無料・有料合わせて13種類のサポートサービスを提供している。PCのサービスで培ったノウハウを強みとする同社にとって、スマートフォンやタブレット端末、テレビ、ゲーム機など、インターネット対応デバイスの広がりは、ビジネス拡大の追い風になる。10月7日に発表した11年度上期の直営店の前年比売上高は、ハードウェアが98.7%だった一方で、サービス全体は125.4%と好調だ。サポートサービスに対するニーズの高まりが、如実に表れている。
ビックカメラは、10月8日、東京・有楽町店に「らくらくスマホサポートカウンター」を開設した。従来の携帯電話と比べると、どうしても初期設定や操作などが複雑になってしまうスマートフォンが急速に普及したことで、使い方や設定に関する問い合わせが急増。「お客様の声に応えてサービスを始めた」(広報担当者)という。基本設定とメール設定、アドレス帳の移行、アプリのインストールをセットにした「ベーシックパック」(通常価格4000円)、スマートフォンの基本設定とメール設定、アドレス帳移行、Twitterやスカイプ、mixiなどのSNS設定、操作説明をセットにした「コミュニケーションパック」(通常価格7000円)などのパックや、単体のサービスメニューを用意し、スマートフォン初心者から上級者まで、幅広いユーザーが利用しているという。
さらにビックカメラは、新宿西口店にデジタル家電の操作説明や設定代行などをサポートする「ソフマップ デジタルサポートカウンター」を設置するなど、アフターサポートを含めたサービス強化に力を注いでいる。新しい商品や技術が登場して顧客のニーズが多様化するなかで、商品の提案だけでなく、サポートにも力を入れていく方針だ。
一方、製品そのものにサポートを付加したのが、NECパーソナルコンピュータが11月2日に発売する「とことんサポートPC」だ。ハードウェアはノートPC「LaVie S」シリーズがベースで、インターネット回線への接続や、ブラウザ、メール、セキュリティソフトなどの設定、プリンタやデジタルカメラとの接続設定など、所要時間90分程度の初期設定出張サービスメニューが標準で付属する。さらに、自社の製品だけでなく、他社製のPC周辺機器やソフトに関する質問にも応じる。コンシューマPC商品企画本部の栗山浩一本部長は、「商品化にあたって、初心者向けのPCがどうあるべきかについて、他の機種以上に調査と検討を重ねた」という。実勢価格は14万円と、CPUなどの基本スペックは違うが、最も近いモデルだとする「LaVie S LS150」の発売時の実勢価格と比べると、4万円ほど高価。わからないことが聞ける人が近くにいないという初心者に向けて、サポートを付加価値として打ち出している。
すでに2008年から初心者をターゲットに「らくらくパソコン」を発売している富士通の佐相秀幸執行役員副社長は、「省エネモデルや地上デジタルチューナー搭載モデルなどと同様、好調に推移している」という。ハードウェアを初心者向けに工夫するだけでなく、専用の電話相談窓口を設けてサポート体制を付加価値にしている。
「CEATEC JAPAN 2011」では、メーカー各社が、PC、スマートフォン、タブレット端末、テレビが連携することで広がる新しい世界を描いてみせた。しかし、PC初心者層は、「SNSやブログ、チャット、ファイル共有などを利用する意向があっても実際に使っている人は少ない」(NECの栗山本部長)という実態がある。急速に進化するハードウェアやソフトウェアの魅力を伝え、使いこなすためのノウハウを提供し、実際に快適に使ってもらうこと──サポートビジネスは、デジタルライフのより一層の普及・定着に不可欠な活動になっている。(田沢理恵)
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2011年10月24日付 vol.1404より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは
量販店はサポート窓口に注力
ピーシーデポコーポレーション(PCデポ)は、2010年春にスマートフォンの取り扱いをはじめたときから、サポートサービスカウンター「パソコンクリニック」にスマートフォンとPCの接続サービスを追加するなど、スマートフォン向けのサービスに力を入れてきた。11年には、携帯電話からスマートフォンへの「アドレス帳移行サービス」(5000円)や、「Twitter設定サービス」(5000円)などを開始。現在は無料・有料合わせて13種類のサポートサービスを提供している。PCのサービスで培ったノウハウを強みとする同社にとって、スマートフォンやタブレット端末、テレビ、ゲーム機など、インターネット対応デバイスの広がりは、ビジネス拡大の追い風になる。10月7日に発表した11年度上期の直営店の前年比売上高は、ハードウェアが98.7%だった一方で、サービス全体は125.4%と好調だ。サポートサービスに対するニーズの高まりが、如実に表れている。
ビックカメラは、10月8日、東京・有楽町店に「らくらくスマホサポートカウンター」を開設した。従来の携帯電話と比べると、どうしても初期設定や操作などが複雑になってしまうスマートフォンが急速に普及したことで、使い方や設定に関する問い合わせが急増。「お客様の声に応えてサービスを始めた」(広報担当者)という。基本設定とメール設定、アドレス帳の移行、アプリのインストールをセットにした「ベーシックパック」(通常価格4000円)、スマートフォンの基本設定とメール設定、アドレス帳移行、Twitterやスカイプ、mixiなどのSNS設定、操作説明をセットにした「コミュニケーションパック」(通常価格7000円)などのパックや、単体のサービスメニューを用意し、スマートフォン初心者から上級者まで、幅広いユーザーが利用しているという。
ビックカメラは、有楽町店に「らくらくスマホサポートカウンター」を、新宿西口店に「ソフマップ デジタルサポートカウンター」を設置
さらにビックカメラは、新宿西口店にデジタル家電の操作説明や設定代行などをサポートする「ソフマップ デジタルサポートカウンター」を設置するなど、アフターサポートを含めたサービス強化に力を注いでいる。新しい商品や技術が登場して顧客のニーズが多様化するなかで、商品の提案だけでなく、サポートにも力を入れていく方針だ。
NECが初期設定出張サービス付きPCを商品化
一方、製品そのものにサポートを付加したのが、NECパーソナルコンピュータが11月2日に発売する「とことんサポートPC」だ。ハードウェアはノートPC「LaVie S」シリーズがベースで、インターネット回線への接続や、ブラウザ、メール、セキュリティソフトなどの設定、プリンタやデジタルカメラとの接続設定など、所要時間90分程度の初期設定出張サービスメニューが標準で付属する。さらに、自社の製品だけでなく、他社製のPC周辺機器やソフトに関する質問にも応じる。コンシューマPC商品企画本部の栗山浩一本部長は、「商品化にあたって、初心者向けのPCがどうあるべきかについて、他の機種以上に調査と検討を重ねた」という。実勢価格は14万円と、CPUなどの基本スペックは違うが、最も近いモデルだとする「LaVie S LS150」の発売時の実勢価格と比べると、4万円ほど高価。わからないことが聞ける人が近くにいないという初心者に向けて、サポートを付加価値として打ち出している。
NECパーソナルコンピュータが11月2日に発売する「とことんサポートPC」。
初期設定出張サービスメニューが標準で付属する
初期設定出張サービスメニューが標準で付属する
すでに2008年から初心者をターゲットに「らくらくパソコン」を発売している富士通の佐相秀幸執行役員副社長は、「省エネモデルや地上デジタルチューナー搭載モデルなどと同様、好調に推移している」という。ハードウェアを初心者向けに工夫するだけでなく、専用の電話相談窓口を設けてサポート体制を付加価値にしている。
「CEATEC JAPAN 2011」では、メーカー各社が、PC、スマートフォン、タブレット端末、テレビが連携することで広がる新しい世界を描いてみせた。しかし、PC初心者層は、「SNSやブログ、チャット、ファイル共有などを利用する意向があっても実際に使っている人は少ない」(NECの栗山本部長)という実態がある。急速に進化するハードウェアやソフトウェアの魅力を伝え、使いこなすためのノウハウを提供し、実際に快適に使ってもらうこと──サポートビジネスは、デジタルライフのより一層の普及・定着に不可欠な活動になっている。(田沢理恵)
「CEATEC JAPAN 2011」では、各社がPC、スマートフォン、タブレット端末、テレビなどの連携で広がる新しい世界を提示
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2011年10月24日付 vol.1404より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは