ケータイのように使いやすい! 1台3役のスマートフォン「smart bar」を満喫

レビュー

2011/09/30 19:17

 スマートフォンが人気を集めるなかで、関心を持ちながらも、「何もかもタッチ操作というのはちょっと……」と躊躇している人に朗報だ。イー・アクセスが、イー・モバイルのブランドで国内初のテンキー付きストレート(縦)型スマートフォン「smart bar(S42HW)」を発売した。実際に使ってみると“ケータイのようなスマートフォン”は、想像以上に便利だった。

国内初のテンキー付きストレート型スマートフォン「smart bar(S42HW)」

見た目はまさにケータイ、高解像度で画面の文字は滑らか



 「smart bar」は、幅51.0×高さ133.0×厚さ10.5mm(最厚部は11.5mm)の縦型ボディに、決定ボタンを備えた十字キーと、その左右にメールやアドレス、ウェブブラウザなどを起動する四つの機能キーを配している。さらに、電話のオン/オフと「C(クリア)」「0~9」「*」「#」のキーも備える。重さは約115g。見た目も手にした感じも、これまでのケータイそのものだ。しかし、OSはAndroid 2.3。れっきとしたスマートフォンなのである。

 約3インチの液晶画面は、800×480ドット。このインチで高解像だと、文字が小さくて見づらいのではないかと危惧したが、それはいい意味で裏切られた。確かに、ウェブサイトを表示すると、PCと同じウェブページを3インチのサイズで表示することになるので、文字はかなり小さくなる。

ウェブブラウザを起動してウェブサイトを表示

 その場合、画面上でピンチ操作(親指と人差し指でつまむ/開くようなジェスチャー操作)によって、表示を任意の大きさに拡大することになるわけだが、このときのフォントのエッジがとても滑らかなのだ。滑らかなラインの文字は、見やすさが違う。とくに画数の多い漢字は、細かい線を滑らかに表示しているかどうかで視認性がずいぶんと違ってくる。「smart bar」の液晶画面は、あまり拡大しなくても文字がはっきりと読めるのである。

ピンチ操作で表示は任意の大きさに拡大できる。800×480ドットの解像度で文字を滑らかに表示するので、少し拡大すればかなり見やすくなる

画面タッチとテンキーによる2種類の操作



 直感的なタッチ操作と片手だけで操作できるテンキーの両方が使えるのは、実に便利だ。例えば、ニュースサイトで記事のヘッドラインから詳細な記事本文を読みたいとき、画面上のヘッドラインを指先で直接タッチしてもいいし、十字キーでカーソルをヘッドラインに合わせて決定ボタンを押してもいい。

 テンキーを備えていることで、ECサイトなどで買い物したときも、最後の「購入」をテンキーの決定ボタンで確実に押すことができる。タッチ操作で押し間違いや二度押しの不安がある人(私のことだ)は、テンキーがあるだけで安心感が違ってくるのだ。

テンキーは一つひとつのキーに微妙な段差がある。これがキーの押しやすさを高めている。ネイルをした女性の指先でも確実に押すことができる

 液晶画面の下部には、ホームキーや検索キーなど、タッチセンサ方式の四つのキーが並んでいる。一つ前の画面に戻ったり、ホーム画面に戻ったりといった基本操作は、すべてここを使う。テンキーではないが、キー入力を認識すると本体が振動するように設定しておくことで、確実なキー操作ができる。
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 文字入力でも、多くのスマートフォン同様、画面上にソフトウェアキーボードを表示してタッチして文字を入力する方法と、ケータイと同じくテンキーを押して文字を打ち込む方法、どちらでも好みの方法を選ぶことができる。キーボードタイプは、「設定」アプリで指定するようになっていて、ソフトウェアキーボードにはPCのようなQWERTYキーのほか、テンキーや手書き文字認識を備えている。

画面にタッチして文字入力するソフトウェアキーボードは、テンキー、QWERTY、手書きの3タイプ。ソフトウェアキーボードを表示させずに、テンキーだけでも文字入力ができる

 ソフトウェアキーボードとテンキーを併用して、画面上のQWERTYキーをタッチして、かな漢字をローマ字入力しながら数字をテンキーの0~9を押して直接入力することもできておもしろい。日本語入力ソフトは、富士ソフトの「FSKAREN」を採用。かな漢字変換などの精度はストレスを感じない。スマートフォンなので、絵文字やデコメには対応していないが、変換候補に顔文字が多く揃っているので、表現の幅は広がりそうだ。

QWERTYは、PCのキーボードとほぼ同じキー配列のソフトウェアキーボード

スマートフォンとしての基本機能+ケータイの便利機能



 Androidマーケットからさまざまなアプリをダウンロードすることで、自分なりの使いやすい端末に育てていくことができるのも、Androidスマートフォンならではの楽しみだ。交通案内、ニュース、天気予報、それにちょっとしたゲームなどを入れておくのは必須といえる。

Androidマーケットにはさまざまなアプリが揃っている。好みのアプリをインストールして自分仕様に仕立てられるのはスマートフォンならでは

 ダウンロードしたアプリは、本体またはmicroSD/SDHCカードに保存する。また、本体背面に搭載する500万画素のオートフォーカスカメラで撮影した写真や動画はmicroSD/SDHCカードに保存するので、なるべく容量の大きなカードを用意しておきたい。

約500万画素のオートフォーカスカメラを搭載。静止画の場合は最大解像度2592×1944のJPEG画像が撮影できる。動画の場合は最大640×480

 アプリを使って、カメラ撮影時にフィルター効果を加えたり、撮影した画像を加工・編集したりと、多彩な楽しみ方ができるのは、さすがスマートフォン。ケータイではこうはいかない。一方で、本体の側面に赤外線(IrDA)ポートを備えていて、アドレスデータを赤外線通信で送受信する機能も搭載している。ケータイの便利な機能もしっかり取り入れているところは、よく考えられている。

側面には赤外線(IrDA)ポート、音量調節ボタン、スリープボタンを兼ねた電源ボタン、カメラの起動・撮影用のシャッターボタンが並ぶ。本体カラーがブラウンのモデルは側面が高級感のあるゴールド。この色の組み合わせはオシャレ

 搭載するCPUはクアルコム製の「MSM7227T」。型番の最後にある「T」は、「ターボ」を意味するそうだが、実際にウェブサイトを表示すると、速い速い。通信速度は、下り最大7.2Mbps、上り最大5.8Mbps。体感的には、ハイスピードのケータイよりもかなり速い印象を受けた。ウェブページをたちどころに表示するし、Androidマーケットからのダウンロードもサクサク進む。CPUの性能はもちろんだが、800MHzのクロック周波数、合計で1GBを搭載するメモリなど、総合的な組み合わせとチューニングで体感速度をアップしているのではないかと思われる。
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Wi-Fiルータ機能を搭載



 この通信速度を生かして、ほかの機器からインターネットに接続するためのアクセスポイントとして利用できるWi-Fiルータ機能(テザリング機能)を備えているので、無線LAN規格のIEEE802.11b/gに準拠したノートPCや携帯ゲーム機など、最大5台までのWi-Fi対応機器を同時にインターネットに接続することができる。無線LANの親機として、家庭でも外出先でもインターネットが思う存分利用できるのである。

Wi-Fi設定画面。Wi-Fi非対応機器はUSBケーブルで「smart bar」とつないで利用できる

 イー・モバイルには、「Pocket WiFi(GP02)」のようなモバイルWi-Fiルータ専用機器もあって、こちらも人気だ。一方、「smart bar」はスマートフォンとして通話ができて、アプリをインストールしてハンドヘルドPCのように使え、さらにモバイルWi-Fiルータとしても利用することができる。まさに、1台3役の存在だ。

テザリング機能でノートPCをWi-Fiでインターネットに接続。同時に「smart bar」もインターネットに接続して同じウェブサイトを表示した。ページ移動が遅くなることはない

 通話しながらノートPCでインターネットに接続して仕事をしたり、Twitterをチェックしながら携帯ゲーム機でインターネット対戦を楽しんだりといったことが、ストレスなくできてしまうのである。実際に、通話しながらテザリングを試したところ、PCのインターネット接続が遅くなることはなかった。

テザリング機能でノートPCをWi-Fiでインターネットに接続してウェブサイトを表示。一方、「smart bar」は携帯電話回線で117(時報)に電話した。電話とネット接続(テザリング)が同時に使えるのも大きな魅力だ。この状態でもネット接続にストレスはない

国内通話が今なら誰とでも0円



 実は、海外にはテザリングに対応しているスマートフォンが多いのだが、日本ではまだ数は少ない。しかも、テザリングを利用すると通常のパケット定額に収まらず、追加の通信料かかってしまう場合が少なくない。ところがイー・モバイルは、テザリングの利用料金は定額内。追加料金が発生するようなことはない。

 料金プランは、2段階定額制の「スマートプランライト(シンプルにねん)」の場合、580~4980円。さらに今なら、他社のケータイやスマートフォン、PHS、固定電話を含む国内通話が1回あたり10分以内で1か月300回まで無料になる「通話定額オプション」の月額利用料金(1400円)を、最大で25か月割り引くキャペーンを10月31日まで実施中だ。

 ということは、契約事務手数料や端末代金などは別途必要にはなるが、「smart bar」を国内通話だけで使用するなら月額580円、国内通話に加えてメール送受信やウェブ閲覧、通信機能を使うアプリやゲーム、テザリングによるWi-Fi機器のインターネット接続などをフルに使っても、月額4980円で済んでしまうのである。最近、ケータイとスマートフォンの2台持ち、もしくはスマートフォンの2台持ちの人がよくいるが、「smart bar」なら1台持ちで十分ということだ。

 スマートフォンとしての多彩な機能を扱い慣れたケータイと同じ感覚で操作でき、さらにテザリング対応のモバイルWi-Fiルータとしても活躍してくれるスグレモノの「smart bar(S42HW)」。9月22日に、まずブラックとブラウンの2色が発売になった。カラーバリエーションは、ほかにホワイトが10月上旬に発売となる予定。ケータイやスマートフォンの機種変更や買い増しを検討しているのなら、ぜひ候補として検討してほしい。(フリーライター・榎木夏彦)