Androidタブレットの本命登場? Sony Tablet Sシリーズ Wi-Fiモデルの発売1週目の売れ行き
家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」の最新の週次データにもとづき、話題の新製品の順位などのトピックスをお届けする。今回は、「タブレット端末」をピックアップした。ソニーが満を持して9月17日に発売した「Sony Tablet Sシリーズ」のWi-Fiモデルを中心に、最新のランキングを紹介する。
アップルのiPadが創造したといってもいい新ジャンル「タブレット」。指やペンで操作するタッチパネル対応のノートPC・デスクトップPCは以前からあったが、OSはWindowsで、従来のPCの延長線上の製品に過ぎなかった。しかし、iPhoneと同じiOSを搭載したiPadが登場して以来、「タブレット」はPCのバリエーションの一つから独立したジャンルへと、大きな変貌を遂げた。もはや“別モノ”である。
現在、BCNでは、「タブレット端末」を「2010年以降に発売されたおおむね画面サイズ5インチ以上のタッチパネルを搭載した板状・折りたたみ形状の製品」と定義している。iPod touchのように、画面サイズが5インチ以下で、音楽再生機能が中心の製品の場合は、分類は「携帯オーディオプレーヤー」となる。
では、さっそくランキングをみていこう。2011年9月第2週(9月12日~9月18日)のタブレット端末の機種別ランキングは、9月17日発売のソニーのSony Tablet SシリーズのWi-Fi 32GBモデル「SGPT112JP/S」がシェア12.3%で1位を獲得した。さらに、iPad 2 Wi-Fi 16GBモデルのホワイト「MC979J/A」に続き、3位には、同じくSony Tablet SシリーズのWi-Fi 16GBモデル「SGPT111JP/S」が入った。
「BCNランキング」では、JANコードにもとづいて、メモリ容量・タイプ・カラーが異なる製品を別の製品としてカウントしている。そのため、トップ10内にアップルのiPad 2 Wi-Fiモデルが6機種ランクインしている。Sony Tablet SシリーズのWi-Fiモデル2機種のシェアの合算値は21.4%。対してiPad 2 Wi-Fiモデル計6機種のシェアの合算値は38.9%で、トータルでは、Sony Tablet Sシリーズは、発売から4か月以上たって売れ行きがやや鈍ってきたiPad 2を超えることはできなかった。
とはいえ、Sony Tabletは、今年10月~11月にNTTドコモから、Sシリーズ・Pシリーズの3G+Wi-Fiモデルの発売が控えている。やや新鮮味に欠ける板状デザインのSシリーズより、折りたたみ式デュアルディスプレイを搭載したPシリーズに興味をもつ人も多そうだ。メイン機種をこれら3G+Wi-Fiモデルだと考えると、先行発売したWi-Fiモデル2機種は、まずまず好調なスタートを切ったといえるだろう。
発売直後の週末に訪れた量販店では、Sony Tablet Sシリーズを正面入り口前、VAIOコーナー、「ICONIA TAB A500」「GALAPAGOS A01SH」などが並ぶAndroidタブレットコーナーなど、複数の売り場で展開。販売には力が入っている。ソニーのテレビの脇にも実機を用意し、音楽・動画の再生、インターネット、メール、電子書籍、Androidアプリ、ゲームなどの定番機能に加え、赤外線機能でテレビなどさまざまな機器のリモコンとしても使えるSony Tablet Sの魅力を体験できるようにしていた。時間帯が悪く、お客様はまばらだったが、店舗によっては大いに盛り上がっていたようだ。
ゲームに関しては、Sシリーズ・Pシリーズともに「PlayStation Certifiedプログラム」に対応し、初代プレイステーションのタイトルなどを楽しめる。発売時には、「みんなのGOLF 2」「Pinball Heroes」をプリインストール。ゲームをはじめ、ソニーならではの充実したエンタテインメント機能が、他のAndroidタブレットとの差異化のポイントになっている。
常設のタブレット端末のランキングページ(http://bcnranking.jp/category/subcategory_0126.html)では、機種別ランキングを自動で公開・更新しているので、iPad 2のようにカラー・容量のバリエーションを多くもつ製品は人気が分散してしまい、1位を獲得しにくくなる。そこで記事では、カラーバリエーションを合算した「シリーズ別集計」での結果を売れ筋ランキングとして紹介している。しかし、iPadやSony Tabletの場合、Wi-Fi/3Gのタイプの違いやメモリ容量の違いを集約できず、シリーズ別集計でも販売動向がわかりにくい。
こうなると、一番わかりやすいのは、すべてのモデルを合算したメーカー別のシェアだろう。9月第2週のタブレット端末のメーカー別販売台数シェア1位はアップル(47.6%)、2位はソニー(21.4%)、3位は日本エイサー(11.1%)だった。先行するアップルとソニーの差は大きい。
ただし、2010年はタブレット端末の総販売台数の9割以上をアップルのiPadが占め、ほぼ独占状態だったことを考えると、アップルのシェアは大きく下がったことになる。しかも、今年4月のiPad 2発売以来、初めて週次集計で5割を切ってしまった。ただ、他のメーカーが新製品を発売して少したつと、いったん下がったアップルのシェアが再び上昇するという状況が続いており、少なくともタブレット市場での「アップル対ソニー」は、Sony Tabletの3G+Wi-Fiモデルが発売になるまでは帰趨は明らかにならない。
今年に入って、さまざまなメーカーがAndroid搭載タブレット端末を発売しており、今後もどんどん増えていくだろう。「GALAXY Tab」や「ARROWS Tab」のように、携帯電話キャリアが販売する製品や、OSにWindows 7を搭載したWindows搭載タブレットもある。家庭やオフィス、モバイル環境で、新しい使い方を提案する「タブレット」の広がりに期待したい。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
*当サイトで公開している「週間ランキング」は、「BCNランキング」に基づき、週1回、毎週火曜日の午後に最新データ(前週月曜日~日曜日の1週間の週次データ)に更新しています。更新時期やスケジュールなど、詳細はこちらでご確認ください。
機種別1位はSony Tablet Sシリーズの32GBモデル「SGPT112JP/S」
アップルのiPadが創造したといってもいい新ジャンル「タブレット」。指やペンで操作するタッチパネル対応のノートPC・デスクトップPCは以前からあったが、OSはWindowsで、従来のPCの延長線上の製品に過ぎなかった。しかし、iPhoneと同じiOSを搭載したiPadが登場して以来、「タブレット」はPCのバリエーションの一つから独立したジャンルへと、大きな変貌を遂げた。もはや“別モノ”である。
現在、BCNでは、「タブレット端末」を「2010年以降に発売されたおおむね画面サイズ5インチ以上のタッチパネルを搭載した板状・折りたたみ形状の製品」と定義している。iPod touchのように、画面サイズが5インチ以下で、音楽再生機能が中心の製品の場合は、分類は「携帯オーディオプレーヤー」となる。
では、さっそくランキングをみていこう。2011年9月第2週(9月12日~9月18日)のタブレット端末の機種別ランキングは、9月17日発売のソニーのSony Tablet SシリーズのWi-Fi 32GBモデル「SGPT112JP/S」がシェア12.3%で1位を獲得した。さらに、iPad 2 Wi-Fi 16GBモデルのホワイト「MC979J/A」に続き、3位には、同じくSony Tablet SシリーズのWi-Fi 16GBモデル「SGPT111JP/S」が入った。
順位 | メーカー | 品名 | 型番 | OS | ストレージ容量(GB) | 販売台数 シェア (%) |
1 | ソニー | Sony Tablet S Wi-Fi 32GB | SGPT112JP/S | Android | 32 | 12.3 |
2 | アップル | iPad 2 Wi-Fi 16GB ホワイト | MC979J/A | iOS | 16 | 9.9 |
3 | ソニー | Sony Tablet S Wi-Fi 16GB | SGPT111JP/S | Android | 16 | 9.1 |
4 | 日本エイサー | ICONIA TAB A500 | ICONIA TAB A500-10S16 | Android | 16 | 8.6 |
5 | アップル | iPad 2 Wi-Fi 16GB ブラック | MC769J/A | iOS | 16 | 6.8 |
6 | アップル | iPad 2 Wi-Fi 32GB ホワイト | MC980J/A | iOS | 32 | 6.3 |
7 | アップル | iPad 2 Wi-Fi 64GB ホワイト | MC981J/A | iOS | 64 | 5.5 |
8 | アップル | iPad 2 Wi-Fi 32GB ブラック | MC770J/A | iOS | 32 | 5.3 |
9 | アップル | iPad 2 Wi-Fi 64GB ブラック | MC916J/A | iOS | 64 | 5.1 |
10 | SAMSUNG | SMT-i9100 | SMT-i9100 | Android | 4 | 4.2 |
※機種別(JANコード別)でのランキングです。メモリ容量・タイプ・カラー別に、それぞれ別機種としてカウントしています。
「BCNランキング」2011年9月第2週 週次<最大パネル>
「BCNランキング」では、JANコードにもとづいて、メモリ容量・タイプ・カラーが異なる製品を別の製品としてカウントしている。そのため、トップ10内にアップルのiPad 2 Wi-Fiモデルが6機種ランクインしている。Sony Tablet SシリーズのWi-Fiモデル2機種のシェアの合算値は21.4%。対してiPad 2 Wi-Fiモデル計6機種のシェアの合算値は38.9%で、トータルでは、Sony Tablet Sシリーズは、発売から4か月以上たって売れ行きがやや鈍ってきたiPad 2を超えることはできなかった。
9.4型の大型ディスプレイ、NVIDIA Tegra 2 モバイルプロセッサを搭載したSony Tablet Sシリーズ。9月17日発売のWi-FiモデルのOSはAndroid 3.1だが、後日、3G+Wi-Fiモデルと同じ、Android 3.2へアップデートを予定している
とはいえ、Sony Tabletは、今年10月~11月にNTTドコモから、Sシリーズ・Pシリーズの3G+Wi-Fiモデルの発売が控えている。やや新鮮味に欠ける板状デザインのSシリーズより、折りたたみ式デュアルディスプレイを搭載したPシリーズに興味をもつ人も多そうだ。メイン機種をこれら3G+Wi-Fiモデルだと考えると、先行発売したWi-Fiモデル2機種は、まずまず好調なスタートを切ったといえるだろう。
今年10月~11月発売予定のSony Tablet Pシリーズ(3G+Wi-Fiモデル)
発売直後の週末に訪れた量販店では、Sony Tablet Sシリーズを正面入り口前、VAIOコーナー、「ICONIA TAB A500」「GALAPAGOS A01SH」などが並ぶAndroidタブレットコーナーなど、複数の売り場で展開。販売には力が入っている。ソニーのテレビの脇にも実機を用意し、音楽・動画の再生、インターネット、メール、電子書籍、Androidアプリ、ゲームなどの定番機能に加え、赤外線機能でテレビなどさまざまな機器のリモコンとしても使えるSony Tablet Sの魅力を体験できるようにしていた。時間帯が悪く、お客様はまばらだったが、店舗によっては大いに盛り上がっていたようだ。
ゲームに関しては、Sシリーズ・Pシリーズともに「PlayStation Certifiedプログラム」に対応し、初代プレイステーションのタイトルなどを楽しめる。発売時には、「みんなのGOLF 2」「Pinball Heroes」をプリインストール。ゲームをはじめ、ソニーならではの充実したエンタテインメント機能が、他のAndroidタブレットとの差異化のポイントになっている。
メーカー別販売台数シェアはソニー21.4%、アップルは5割を切る
常設のタブレット端末のランキングページ(http://bcnranking.jp/category/subcategory_0126.html)では、機種別ランキングを自動で公開・更新しているので、iPad 2のようにカラー・容量のバリエーションを多くもつ製品は人気が分散してしまい、1位を獲得しにくくなる。そこで記事では、カラーバリエーションを合算した「シリーズ別集計」での結果を売れ筋ランキングとして紹介している。しかし、iPadやSony Tabletの場合、Wi-Fi/3Gのタイプの違いやメモリ容量の違いを集約できず、シリーズ別集計でも販売動向がわかりにくい。
こうなると、一番わかりやすいのは、すべてのモデルを合算したメーカー別のシェアだろう。9月第2週のタブレット端末のメーカー別販売台数シェア1位はアップル(47.6%)、2位はソニー(21.4%)、3位は日本エイサー(11.1%)だった。先行するアップルとソニーの差は大きい。
ただし、2010年はタブレット端末の総販売台数の9割以上をアップルのiPadが占め、ほぼ独占状態だったことを考えると、アップルのシェアは大きく下がったことになる。しかも、今年4月のiPad 2発売以来、初めて週次集計で5割を切ってしまった。ただ、他のメーカーが新製品を発売して少したつと、いったん下がったアップルのシェアが再び上昇するという状況が続いており、少なくともタブレット市場での「アップル対ソニー」は、Sony Tabletの3G+Wi-Fiモデルが発売になるまでは帰趨は明らかにならない。
メーカー名 | 販売台数シェア(%) | ||
年月 | 2011年6月 | 2011年7月 | 2011年8月 |
アップル | 71.7 | 63.5 | 59.8 |
日本エイサー | 13.1 | 20.4 | 16.2 |
SAMSUNG | 2.7 | 2.2 | 6.7 |
ASUS | 7.1 | 7.7 | 5.6 |
東芝 | - | 2.3 | 4.3 |
「BCNランキング」2011年6月~8月 月次<最大パネル>
今年に入って、さまざまなメーカーがAndroid搭載タブレット端末を発売しており、今後もどんどん増えていくだろう。「GALAXY Tab」や「ARROWS Tab」のように、携帯電話キャリアが販売する製品や、OSにWindows 7を搭載したWindows搭載タブレットもある。家庭やオフィス、モバイル環境で、新しい使い方を提案する「タブレット」の広がりに期待したい。(BCN・嵯峨野 芙美)
▼タブレット端末の定義
・タッチパネルを搭載
・ハードウェアキーボードを持たない(分離可能な製品は除く)
・2010年以降に発売された製品
・パネルサイズは、概ね5インチ超
・バッテリ駆動
・汎用OSを備えアプリケーションの追加、カスタマイズが可能
・ハードウェアキーボードを持たない(分離可能な製品は除く)
・2010年以降に発売された製品
・パネルサイズは、概ね5インチ超
・バッテリ駆動
・汎用OSを備えアプリケーションの追加、カスタマイズが可能
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
*当サイトで公開している「週間ランキング」は、「BCNランキング」に基づき、週1回、毎週火曜日の午後に最新データ(前週月曜日~日曜日の1週間の週次データ)に更新しています。更新時期やスケジュールなど、詳細はこちらでご確認ください。