平均単価3万円台、安いのにバッテリ駆動時間が長い「節電・節約ノートPC」に注目
この夏のキーワード「節電」。とにかく電気代を下げたいなら、24時間365日、常に節電を意識しよう。そこまでシビアに節約する気がなくとも、電力の供給不足が心配されるピーク時間帯は、不必要な電気を使わないよう心がけたい。今回は、「BCNランキング」をもとに、ピーク時の節電にも役立つ、長時間バッテリ搭載ノートPCに注目。スペックは若干劣るものの、バッテリ駆動時間が長く、価格が手頃な海外メーカー製ノートPCが売れているのだ。
比較のために、まず、ノートPC全体のランキングからみることにしよう。カラーバリエーションを合算したシリーズ別集計での2011年7月の1位はNECの「LaVie Sシリーズ」の「LS150/ES6」、2位は同じくNECの「LaVie Lシリーズ」の「LL750/ES6」、3位は東芝の「dynabook T351」の「T351/57C(PT35157CBF)」だった。いずれも15.6型ワイド液晶を搭載したスタンダードモデルで、バッテリ駆動時間は1.8~2.3時間と短い。基本的に家のなかだけで使うのデスクトップ代わりのノートPCだ。
今年4月に公開した記事「計画停電対策や節電に! バッテリ駆動5時間以上のノートPCランキング」同様、「バッテリ駆動時間5時間以上」の製品を「長時間バッテリのノートPC」と定義し、それらに限って集計すると、1位はASUSの「K53U(K53U-SXE350)」、2位はレノボ・ジャパンの「Lenovo G560e(105052J)」、3位は、アップルの「MacBook Pro」の13.3インチモデルで、CPUにCore i5 2.3Ghzを搭載した「MC700J/A」だった。
バッテリ駆動時間5時間以上に限ると、東芝・NEC・富士通・ソニーの国内有力メーカー4社の製品が並ぶノートPC全体とは異なり、上位10機種中、レノボが4機種、ASUS、アップルがそれぞれ2機種と、海外メーカーが多くを占める。
シェア6.9%で1位のASUSの「K53U-SXE350」は、AMD製APU(CPU+GPU)を搭載したスタンダードノートPC。15.6型ワイド液晶、2GBのメモリ、320GBのHDD、DVDスーパーマルチドライブなど、オフィスソフトが付属しない点を除き、売れ筋の国内メーカー製ノートPCとそれほど遜色のないスペックながら、価格はネットブック並みの3万円台とかなり安い。しかも、バッテリ駆動時間は約6.2時間と長いのだから、これは驚きの安さといえる。
1位とわずか0.5ポイント差で2位につけたレノボ・ジャパンの「Lenovo G560e」も、15.6型ワイド液晶を搭載したスタンダードノートPC。スペックは「K53U-SXE350」とほぼ同じで、平均単価はやはり3万円台。バッテリ駆動時間は約5.1時間。2機種とも、メモリ容量が2GBと少ないので、メモリを増設するといいだろう。
9位には、新OS「Lion」の発売に合わせて7月21日に発売された「MacBook Air」の11.6インチモデルで、ストレージ容量128GBの上位機種「MC969J/A」がランクイン。上位20位まで範囲を広げると、アップル製品がさらに3機種増え、11位・12位に「MacBook Pro」の13.3インチ・Core i7 2.7Ghz搭載モデル「MC724J/A」、15.4インチ・Core i7 2Ghz搭載モデル「MC721J/A」、17位・18位に「MacBook Air」の13.3インチ・128GBモデル「MC965J/A」、11.6インチ・64GBモデル「MC968J/A」が入ってくる。
バッテリ駆動時間の長いモバイルノートPCは、薄型・軽量化や堅牢化、処理速度の高速化などによって、これまでは一般的なノートPCより価格が高めだった。そうしたバッテリ駆動時間が長い=高性能=高いという従来のイメージを覆す“バッテリ駆動時間の長いごく普通のスタンダードノートPC”が海外メーカーから登場し、ある程度売れていることは、これまでにない新たな動きといえるだろう。
もちろん、国内メーカー製の売れ筋モデルに比べると、CPUやメモリ、HDD容量など、スペックは劣る。性能の違いをきちんと把握したうえでの購入なら、かなりお買い得だ。なお、ノートPC全体では、「K53U-SXE350」はシェア1.7%で14位、「Lenovo G560e」は1.5%で15位にとどまる。取り扱い店舗が限られることもあって、全体ではそこまでシェアは大きくない。
最後に、バッテリ駆動時間が長く、個性的なモバイルノートPCが欲しい向けに、アップルの「MacBook Air」と、8月13日発売予定のソニーの「VAIO Z」を紹介しよう。
「MacBook Air」は前述の通り、7月にモデルチェンジしたばかり。高速の新インターフェース「Thunderbolt」や次世代プロセッサを搭載し、重さ1.35kgの13.3インチモデルは最長7時間、重さ1.08kgの11.6インチモデルは最長5時間、バッテリ駆動で動作する。最大の特徴は、最も薄いところでわずか0.3cmという極薄ボディ。7月に1台以上売れた長時間バッテリのノートPCのうち、「MacBook Air」の次に薄い製品の厚さは1.2cmなので、ダントツの薄さだ。すでに購入したユーザーからは、モバイル用途はもちろん、メインマシンとして十分に使えるとの評価も高い。
一方、「VAIO Z」は、13.1型ワイド液晶を搭載したモバイルノートPCに、GPUやDVDスーパーマルチドライブなどを搭載したドッキングステーション「Power Media Dock」が付属し、このドッキングステーションをノートPC本体に接続すればグラフィック性能や拡張性が向上するという非常にユニークな製品だ。
ノートPC単体の重さは約1.165kg、薄さは約16.65mmで、「MacBook Air」の13インチモデルよりわずかに軽い。バッテリ駆動時間も長く、内蔵バッテリだけで約9時間、別売の拡張用のシートバッテリを追加で装着すると、何と最長約17.5時間になる。実勢価格は、店頭販売する標準仕様モデルで約25万円の見込みとかなり高価だが、自宅用のメインPCとモバイルPCの2台分だと考えれば、それほど高くはないかもしれない。
一般的に、デスクトップPCよりノートPCのほうが消費電力が少ない。デスクトップPCの代わりにノートPCを使い、電気使用量の少ない夜間・早朝に充電し、日中はバッテリで運用すれば、ピーク時の節電につながる。デスクトップPCユーザーはもちろん、起動が遅い、好きなサイト・ネットサービスの動作が重いなど、いま使っているPCに不満があったら買い替え・買い増しを検討してはいかがだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
「バッテリ駆動時間5時間以上」では、ASUS・レノボの廉価モデルが1位・2位に
比較のために、まず、ノートPC全体のランキングからみることにしよう。カラーバリエーションを合算したシリーズ別集計での2011年7月の1位はNECの「LaVie Sシリーズ」の「LS150/ES6」、2位は同じくNECの「LaVie Lシリーズ」の「LL750/ES6」、3位は東芝の「dynabook T351」の「T351/57C(PT35157CBF)」だった。いずれも15.6型ワイド液晶を搭載したスタンダードモデルで、バッテリ駆動時間は1.8~2.3時間と短い。基本的に家のなかだけで使うのデスクトップ代わりのノートPCだ。
順位 | メーカー | 型番・シリーズ名 | 画面サイズ (インチ) | CPU | HDD容量 (GB) | 光学ドライブ | 販売台数 シェア(%) |
1 | NEC | LS150/ES6 | 15.6 | Pentium Dual-Core | 640 | DVDマルチ | 6.0 |
2 | NEC | LL750/ES6 | 15.6 | Core i7 | 750 | BDマルチ | 4.4 |
3 | 東芝 | PT35157CBF | 15.6 | Core i5 | 750 | BDマルチ | 4.1 |
4 | 富士通 | FMVA56D | 15.6 | Core i5 | 750 | BDマルチ | 4.02 |
5 | 東芝 | PT35134CSF | 15.6 | Pentium Dual-Core | 640 | DVDマルチ | 3.98 |
6 | NEC | LS550/ES6 | 15.6 | Core i5 | 750 | BDマルチ | 3.9 |
7 | 富士通 | FMVA42D | 15.6 | Pentium Dual-Core | 640 | DVDマルチ | 3.5 |
8 | ソニー | VPCEH18FJ | 15.5 | Core i3 | 640 | DVDマルチ | 2.9 |
9 | ソニー | VPCEH19FJ | 15.5 | Core i5 | 640 | BDマルチ | 2.7 |
10 | 富士通 | FMVA54D | 15.6 | Core i3 | 640 | DVDマルチ | 2.5 |
※カラーバリエーションの違いなどを合算して集計
今年4月に公開した記事「計画停電対策や節電に! バッテリ駆動5時間以上のノートPCランキング」同様、「バッテリ駆動時間5時間以上」の製品を「長時間バッテリのノートPC」と定義し、それらに限って集計すると、1位はASUSの「K53U(K53U-SXE350)」、2位はレノボ・ジャパンの「Lenovo G560e(105052J)」、3位は、アップルの「MacBook Pro」の13.3インチモデルで、CPUにCore i5 2.3Ghzを搭載した「MC700J/A」だった。
順位 | メーカー | 型番・シリーズ名 | 画面サイズ (インチ) | CPU | HDD・SSD 容量(GB) | バッテリ 駆動時間 | 販売台数 シェア(%) |
1 | ASUS | K53U-SXE350 | 15.6 | AMD E-350 | 320 | 6.2 | 6.9 |
2 | レノボ・ジャパン | 105052J | 15.6 | Celeron Dual-Core | 320 | 5.1 | 6.4 |
3 | アップル | MC700J/A | 13.3 | Core i5 | 320 | 7.0 | 5.8 |
4 | レノボ・ジャパン | 433449J | 15.6 | Core i5 | 640 | 6.2 | 4.5 |
5 | レノボ・ジャパン | 436022J | 14.0 | AMD E-350 | 250 | 5.6 | 3.14 |
6 | レノボ・ジャパン | 433432J | 15.6 | Core i3 | 500 | 5.5 | 3.10 |
7 | 東芝 | PR73136CRF | 13.3 | Core i3 | 640 | 11.0 | 2.5 |
8 | ASUS | K53E-SX | 15.6 | Core i5 | 640 | 6.1 | 2.3 |
9 | アップル | MC969J/A | 11.6 | Core i5 | 128(SSD) | 5.0 | 2.0 |
10 | ソニー | VPCYB29KJ | 11.6 | AMD E-350 | 500 | 6.0 | 1.8 |
※太字は光学ドライブ非搭載
「BCNランキング」2011年7月 月次<最大パネル>
バッテリ駆動時間5時間以上に限ると、東芝・NEC・富士通・ソニーの国内有力メーカー4社の製品が並ぶノートPC全体とは異なり、上位10機種中、レノボが4機種、ASUS、アップルがそれぞれ2機種と、海外メーカーが多くを占める。
驚きの安さ、15.6インチのスタンダードモデルで平均単価3万円台
シェア6.9%で1位のASUSの「K53U-SXE350」は、AMD製APU(CPU+GPU)を搭載したスタンダードノートPC。15.6型ワイド液晶、2GBのメモリ、320GBのHDD、DVDスーパーマルチドライブなど、オフィスソフトが付属しない点を除き、売れ筋の国内メーカー製ノートPCとそれほど遜色のないスペックながら、価格はネットブック並みの3万円台とかなり安い。しかも、バッテリ駆動時間は約6.2時間と長いのだから、これは驚きの安さといえる。
ASUSの「K53U」。
Microsoft Office Personal 2010付属モデル「K53U-SXE350S」もラインアップする
Microsoft Office Personal 2010付属モデル「K53U-SXE350S」もラインアップする
1位とわずか0.5ポイント差で2位につけたレノボ・ジャパンの「Lenovo G560e」も、15.6型ワイド液晶を搭載したスタンダードノートPC。スペックは「K53U-SXE350」とほぼ同じで、平均単価はやはり3万円台。バッテリ駆動時間は約5.1時間。2機種とも、メモリ容量が2GBと少ないので、メモリを増設するといいだろう。
レノボ・ジャパンの「Lenovo G560e(105052J)」
9位には、新OS「Lion」の発売に合わせて7月21日に発売された「MacBook Air」の11.6インチモデルで、ストレージ容量128GBの上位機種「MC969J/A」がランクイン。上位20位まで範囲を広げると、アップル製品がさらに3機種増え、11位・12位に「MacBook Pro」の13.3インチ・Core i7 2.7Ghz搭載モデル「MC724J/A」、15.4インチ・Core i7 2Ghz搭載モデル「MC721J/A」、17位・18位に「MacBook Air」の13.3インチ・128GBモデル「MC965J/A」、11.6インチ・64GBモデル「MC968J/A」が入ってくる。
バッテリ駆動時間の長いモバイルノートPCは、薄型・軽量化や堅牢化、処理速度の高速化などによって、これまでは一般的なノートPCより価格が高めだった。そうしたバッテリ駆動時間が長い=高性能=高いという従来のイメージを覆す“バッテリ駆動時間の長いごく普通のスタンダードノートPC”が海外メーカーから登場し、ある程度売れていることは、これまでにない新たな動きといえるだろう。
もちろん、国内メーカー製の売れ筋モデルに比べると、CPUやメモリ、HDD容量など、スペックは劣る。性能の違いをきちんと把握したうえでの購入なら、かなりお買い得だ。なお、ノートPC全体では、「K53U-SXE350」はシェア1.7%で14位、「Lenovo G560e」は1.5%で15位にとどまる。取り扱い店舗が限られることもあって、全体ではそこまでシェアは大きくない。
薄さにこだわるなら「MacBook Air」、メイン・モバイル兼用の「VAIO Z」も
最後に、バッテリ駆動時間が長く、個性的なモバイルノートPCが欲しい向けに、アップルの「MacBook Air」と、8月13日発売予定のソニーの「VAIO Z」を紹介しよう。
「MacBook Air」は前述の通り、7月にモデルチェンジしたばかり。高速の新インターフェース「Thunderbolt」や次世代プロセッサを搭載し、重さ1.35kgの13.3インチモデルは最長7時間、重さ1.08kgの11.6インチモデルは最長5時間、バッテリ駆動で動作する。最大の特徴は、最も薄いところでわずか0.3cmという極薄ボディ。7月に1台以上売れた長時間バッテリのノートPCのうち、「MacBook Air」の次に薄い製品の厚さは1.2cmなので、ダントツの薄さだ。すでに購入したユーザーからは、モバイル用途はもちろん、メインマシンとして十分に使えるとの評価も高い。
MacBook Air(左から、11インチ、13インチモデル)
一方、「VAIO Z」は、13.1型ワイド液晶を搭載したモバイルノートPCに、GPUやDVDスーパーマルチドライブなどを搭載したドッキングステーション「Power Media Dock」が付属し、このドッキングステーションをノートPC本体に接続すればグラフィック性能や拡張性が向上するという非常にユニークな製品だ。
ノートPC単体の重さは約1.165kg、薄さは約16.65mmで、「MacBook Air」の13インチモデルよりわずかに軽い。バッテリ駆動時間も長く、内蔵バッテリだけで約9時間、別売の拡張用のシートバッテリを追加で装着すると、何と最長約17.5時間になる。実勢価格は、店頭販売する標準仕様モデルで約25万円の見込みとかなり高価だが、自宅用のメインPCとモバイルPCの2台分だと考えれば、それほど高くはないかもしれない。
VAIO Z(標準仕様モデルのVPCZ219FJ/B)
一般的に、デスクトップPCよりノートPCのほうが消費電力が少ない。デスクトップPCの代わりにノートPCを使い、電気使用量の少ない夜間・早朝に充電し、日中はバッテリで運用すれば、ピーク時の節電につながる。デスクトップPCユーザーはもちろん、起動が遅い、好きなサイト・ネットサービスの動作が重いなど、いま使っているPCに不満があったら買い替え・買い増しを検討してはいかがだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。