ライトユーザーの需要が本格化 地デジ化目前でレコーダーに値頃感
2011年7月24日の地上デジタル放送完全移行を目前に控え、レコーダーの地デジ化を急ぐ動きが加速している。BCNランキングによると、今年6月のレコーダーの販売台数は、前年同月の120%増を記録。またテレビでは、録画機能搭載テレビの台数構成比が5割を突破した。地デジ化完全移行直前の動きを追った。
東日本大震災で被災した東北地方の岩手、宮城、福島の3県を除き、7月24日、テレビ放送は地上デジタル放送へ完全移行する。地デジ化に向けては、エコポイント対象基準の切り替えを前にした昨年11月に、テレビの販売台数が前年比5.5倍という驚異的な伸びを示すなど、テレビの買い替え需要が先行してきた。
レコーダーについても、前年を上回って推移してきたものの、エコポイント対象外だったことや、平均単価が7万円前後と高価格だったために、地デジ完全移行まで様子をみるなど、買い替えを後回しにしてきた人が少なくない。また、そもそもレコーダーもテレビと同じように地デジ化しなければならないことを知らない人もいた。パナソニックがゴールデンウィーク明けに実施した「録画機のデジタル化」に関する調査でも、地デジ移行に向けて録画機(BD・DVDレコーダー)を買い替えたと答えた人は52.7%という結果だった。
BCNランキングでレコーダーの販売台数をみると、4月は前年比69.7%増、5月には87.2%増、6月には120%増と伸びているほか、レコーダー単体だけでなく、録画機能を備えたテレビの需要も拡大している。薄型テレビ全体に占める録画テレビの台数構成比は、昨年6月は20%だったが、今年6月には54.9%に拡大。テレビとレコーダーをまとめて地デジ化できる簡便さ、そしてテレビとレコーダーを別々に買うよりもお得感があることが、ライトユーザーの心を確実に掴んでいる。
レコーダーに関しては、一昨年は7万円前後、昨年は6万円前後だった税別平均単価が、今年4月に5万円を切り、値頃感がでてきたことも、買い替えを促した大きな要因となっている。2011年6月のカラーバリエーションを合算したシリーズ別シェアでトップのパナソニック「DMR-BR585」や2位のソニー「BDZ-AT300S」は、シングルチューナーのエントリーモデルであり、平均単価は3万円強から4万円程度。こうした低価格モデルが人気を集めている。
レコーダーは、日頃から番組を録画する習慣がなければ、7月24日までに急いで地デジ化しなくても、それほど大きな支障はない。そのため、『いずれ対応すればいい』と考えている人々の需要が、9月頃まで続くという見方もあり、7月24日以降も一定の販売量を確保していく可能性が高い。
これまでのレコーダーは、長時間録画、3D対応、容量100GBのBD「BDXL」ドライブ搭載、複数のBDのデータをいったんHDDに戻して1枚のBDXLに集約する「ムーブバック」機能、無線LAN対応、DLNA対応などハードウェアの機能向上を中心に訴求し、成功を収めてきた。
しかし、今後は、スマートフォンユーザーの拡大を背景に、専用アプリを使った録画予約などの利便性など、ソフト面の強化を分かりやすく打ち出すことで、新たな魅力がユーザーに伝わるのではないだろうか。(田沢理恵)
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2011年7月18日付 vol.1391より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは
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各社のブルーレイディスク(BD)レコーダー
(左から8月6日発売予定のソニーの「BDZ-AT750W」、三菱電機の「DVR-BZ450」、シャープの「BD-H50」)
(左から8月6日発売予定のソニーの「BDZ-AT750W」、三菱電機の「DVR-BZ450」、シャープの「BD-H50」)
レコーダーの前年比は120%増 録画テレビの構成比は5割に
東日本大震災で被災した東北地方の岩手、宮城、福島の3県を除き、7月24日、テレビ放送は地上デジタル放送へ完全移行する。地デジ化に向けては、エコポイント対象基準の切り替えを前にした昨年11月に、テレビの販売台数が前年比5.5倍という驚異的な伸びを示すなど、テレビの買い替え需要が先行してきた。
レコーダーについても、前年を上回って推移してきたものの、エコポイント対象外だったことや、平均単価が7万円前後と高価格だったために、地デジ完全移行まで様子をみるなど、買い替えを後回しにしてきた人が少なくない。また、そもそもレコーダーもテレビと同じように地デジ化しなければならないことを知らない人もいた。パナソニックがゴールデンウィーク明けに実施した「録画機のデジタル化」に関する調査でも、地デジ移行に向けて録画機(BD・DVDレコーダー)を買い替えたと答えた人は52.7%という結果だった。
BCNランキングでレコーダーの販売台数をみると、4月は前年比69.7%増、5月には87.2%増、6月には120%増と伸びているほか、レコーダー単体だけでなく、録画機能を備えたテレビの需要も拡大している。薄型テレビ全体に占める録画テレビの台数構成比は、昨年6月は20%だったが、今年6月には54.9%に拡大。テレビとレコーダーをまとめて地デジ化できる簡便さ、そしてテレビとレコーダーを別々に買うよりもお得感があることが、ライトユーザーの心を確実に掴んでいる。
7万円前後だった単価は4月に5万円以下に
レコーダーに関しては、一昨年は7万円前後、昨年は6万円前後だった税別平均単価が、今年4月に5万円を切り、値頃感がでてきたことも、買い替えを促した大きな要因となっている。2011年6月のカラーバリエーションを合算したシリーズ別シェアでトップのパナソニック「DMR-BR585」や2位のソニー「BDZ-AT300S」は、シングルチューナーのエントリーモデルであり、平均単価は3万円強から4万円程度。こうした低価格モデルが人気を集めている。
レコーダーは、日頃から番組を録画する習慣がなければ、7月24日までに急いで地デジ化しなくても、それほど大きな支障はない。そのため、『いずれ対応すればいい』と考えている人々の需要が、9月頃まで続くという見方もあり、7月24日以降も一定の販売量を確保していく可能性が高い。
これまでのレコーダーは、長時間録画、3D対応、容量100GBのBD「BDXL」ドライブ搭載、複数のBDのデータをいったんHDDに戻して1枚のBDXLに集約する「ムーブバック」機能、無線LAN対応、DLNA対応などハードウェアの機能向上を中心に訴求し、成功を収めてきた。
しかし、今後は、スマートフォンユーザーの拡大を背景に、専用アプリを使った録画予約などの利便性など、ソフト面の強化を分かりやすく打ち出すことで、新たな魅力がユーザーに伝わるのではないだろうか。(田沢理恵)
※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2011年7月18日付 vol.1391より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは
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