ヤマハ、歌声合成ソフトの新バージョン「VOCALOID 3」を開発、歌声ライブラリは別売に

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2011/06/08 19:32

 ヤマハは、6月8日、「初音ミク」などが採用する歌声合成ソフト「VOCALOID(ボーカロイド)」の新バージョン「VOCALOID3」を開発し、9月末に楽曲制作ソフト「VOCALOID3 Editor」を発売すると発表した。

「VOCALOID3 Editor」の画面イメージ

 「VOCALOID」は、歌詞とメロディを入力するだけで楽曲のボーカルパートを制作できる歌声合成ソフト。2003年に開発し、2007年からバージョンアップした「VOCALOID2」を提供している。この「VOCALOID2」のライセンス提供を受けたクリプトン・フューチャー・メディアの「VOCALOID 2 初音ミク」をきっかけに、「ニコニコ動画」や「YouTube」などの動画共有サイトに「VOCALOID」を使用した楽曲が数多く発表されるようになり、バーチャルシンガーによる楽曲は、いまや音楽の一ジャンルとして定着しつつある。

 新バージョン「VOCALOID3」は、「VOCALOID2」をバージョンアップし、合成音を改良した。従来の「VOCALOID」「VOCALOID2」の合成音に比べ、さらにリアルな歌声を合成できる。これまで苦手だった早口の合成音や、音程の変化についても改良を加えた。

 また、これまで一体で提供していた楽曲制作ソフト「VOCALOID3 Editor」と歌声ライブラリ(歌手の声のデータ)を分離して提供する方式に変更。「VOCALOID3 Editor」を購入すれば共通して使用でき、歌声ライブラリだけを選んで追加していくことができる。なお、「VOCALOID2」の歌声ライブラリは、「V2 Library Import Tool」を使って「VOCALOID3 Editor」でも使用できる(一部のライブラリ限定)。

 「VOCALOID3 Editor」は、より使いやすいユーザインターフェースに一新。従来のピアノロールスタイルのエディタ画面に加えて、各トラックを管理しやすくするために、「DAW」のようなトラックビュー画面も導入した。これまでなかった伴奏(オーディオファイル)再生機能や「VST Host」機能を搭載し、「VOCALOID3 Editor」単体でひと通りの楽曲制作ができるようになった。「VOCALOID Job Plugin」機能によって、歌声トラックの編集機能を拡張したり、外部モジュールで音符やコントロールパラメータなどの内部データにアクセスし、変更したりすることも可能になる。対応OSはWindows 7/Vista/XP。

 従来の日本語と英語に加え、新たに中国語、韓国語、スペイン語に対応。各国語の歌声ライブラリを用意すれば、その言語での歌声を合成することができる。同社とライセンス契約を結んだ法人や個人に対して、合成エンジンのAPIを公開。「VOCALOID Job Plugin」についても仕様を公開する。さらに、合成エンジン自体のライセンスも開始する。

 「VOCALOID3 Editor」は、ビープラッツが運営するVOCALOID関連商品専門のオンラインショップ「VOCALOID Store(ボーカロイドストア)」から、9月末に発売する予定。歌声ライブラリについては、これまで通り、ライセンス提供を受けた各社から順次発売される。なお、歌声ライブラリには、機能限定版の楽曲制作ソフト「Tiny VOCALOID3 Editor」が付属する。