復興へ――、BCNランキングにみるPC・デジタル家電の震災インパクトとこれから

特集

2011/04/08 21:22

 BCNは、4月7日、「PC・デジタル家電の震災インパクト――主要製品群への影響とこれから」をテーマに記者会見を開催した。全国の大手家電量販店・ネット販売店の実売データを集計した「BCNランキング」データをもとに分析。3月11日の東日本大震災の影響は大きかったものの、「早くも復興需要が立ち上がっている」(道越一郎エグゼクティブアナリスト)ことを明らかにした。

被災地では大幅減だが全国へのインパクトは微減



 BCNランキングは、震災の影響で3月11-13日の販売データが一部欠落している。このため、この期間の数値は、前年比など絶対比較を欠落部分を推計した「推計値」として、また相対比較を「暫定値」として算出している。

 BCNランキングで収集しているPCや周辺機器、デジタル家電の実売データから全商品の平均単価と販売金額の前年同月比をまとめた「BCN指数」でみると、3月は販売金額が前年同月比75.6%と下回った。3月末にエコポイントが終了することで、液晶テレビなどに特需が出るとの期待があったが不発。震災の影響を物語っている。

 

 被害の大きかった岩手・宮城・福島の東北3県は、大きな影響を受けた。震災がなかった場合の売上推計値を100とした場合、3月11-31日のPC・デジタル家電全体の販売は、数量比で30.4、金額比で25.3。7割前後の減少というインパクトがあった。ただ、この3県は全国で占める割合が1.8%前後のため、全国では1.2%減にとどまった。

 


 地域別では、震災の影響が大きいのが北海道・東北と関東。震災発生の翌週(3月14-20日)のPC・デジタル家電全体の販売台数は、北海道・東北が前年同週比56.8%、関東が61.5%と落ち込んだ。この影響で、全国の販売台数は82.1%となった。ただ、北海道・東北、関東とも、週を重ねるごとに落ち込み幅が縮まり、3月28-4月3日の販売台数は全国で101.4%とプラスに転じた。

 販売金額は、台数と比べて動きはやや鈍いが、着実に回復に向かっている。全国のPC・デジタル家電全体の販売金額は、3月14-20日が前年同週比65.6%と最も落ち込んだものの、3月28-4月3日が同97.3%という結果になった。

薄型テレビやPCが好転、UPSは特需に



 需要復活のきっかけになったのは、やはり薄型テレビだった。2011年11月の特需に比べればエコポイント終了の効果は薄かったが、最終週に駆け込み需要があり、薄型テレビの販売台数は3月28-4月3日が前年同週比137.4%と大きく伸びた。地域別では関東の伸びが大きく、3月28-4月3日の販売台数は152.6%に達した。

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 急速に回復しているのはPC。PCの販売は、震災前にインテル第2世代プロセッサ(開発コード:Sandy Bridge)の不具合といったこともあり、ダブルパンチを受けることになったが、その傷が癒えはじめている。関東では、3月14-20日の販売台数が前年同週比69.6%だったが、3月28-4月3日に同105.5%と増加。これにより、全国では3月28-4月3日の販売台数が同106.6%まで伸びている。

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 震災によって特需が生まれたのはUPS。3月14-20日は、販売台数で前年同週比614.9%、販売金額で722.1%と大幅に伸びた。計画停電が関係しており、停電時の応急処置として購入しているケースが多いようだ。

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 今後の予測については、「アナログ停波のタイミングにサブテレビ需要が出てくる可能性があるほか、相前後して復興需要も今年後半から顕在化するのではないか」(道越エグゼクティブアナリスト)と分析している。


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。