計画停電対策や節電に! バッテリ駆動5時間以上のノートPCランキング
3月14日から、東京電力のサービスエリア内では、一部の除外地域を除き、5つのグループ(細分化後は25グループ)に分けてグループごとに電力供給を停止する「計画停電」が実施されている。東日本大震災による発電所の被災などの影響で、電力の供給不足は長期にわたって続く見通しだ。現在、対象外の地域や他の電力会社のサービスエリアでも、電力消費量が増える夏や冬は、同様の計画停電が実施される可能性があり、全国的に「節電」の取り組みが求められている。そこで今回は、「BCNランキング」をもとに、停電時や外出先で安心して使えるバッテリ駆動時間の長いノートPCのランキングを紹介しよう。
「計画停電」の内容を初めて知ったとき、バッテリで動作するノートPCやiPadなどのタブレット端末、スマートフォン、携帯型ゲーム機があれば、停電中、暇をもてあまさずに済むと思った。読書や仮眠でもいい。現状の計画停電のように停電時間が3時間程度と短く、特に昼間の明るい時間帯なら、電気がなくても何とか過ごせるだろう。
残念ながらデスクトップPCは、過去に発売された一部のバッテリ搭載モデルを除き、停電中はまったく使えない。地震後、にわかに注目を集めているUPS(無停電電源装置)も、電力の遮断後からおよそ2-10分程度しか電力を供給できず、デスクトップPCやサーバーをシャットダウンする時間を稼ぐ効果しかない。
ノートPCの場合、停電になるとルーターの電源が切れてしまうので、携帯電話・PHSのデータ通信サービスを契約していない限り、メールやインターネットはできなくなる。テキストの作成やファイルの整理など、それ以外の作業はOKだ。ただ、モバイル向け以外の一般的なノートPCは、バッテリ駆動時間はおおむね1~3時間程度と、あまり長くない。
現在、東京電力のサービスエリア内では、ムダな電気を使わない「節電」と、電気使用量が増える時間帯をずらして使う「ピークシフト」が求められている。経済産業省やマイクロソフトのWindows情報ページなど、さまざまなウェブサイトで節電テクニックやバッテリのもちを長くする方法などが紹介されているので、パソコン使用時は、それらを参考にできるだけ節電を心がけよう。
バッテリ駆動時間が長いノートPCなら、電気使用量の少ない夜間に充電しておき、日中はバッテリで運用するといった使い方ができ、「節電」と「ピークシフト」の両方に貢献できる。今回は、「計画停電中、フルで使い続けられること」「外出先などモバイル環境で安心して使えること」を条件に、「バッテリ駆動時間が5時間以上」の製品を「長時間バッテリのノートPC」と定義し、カラーバリエーションを合算したシリーズ別で集計した。
計画停電が始まった2011年3月第2週(2011年3月14日-3月20日)の「長時間バッテリのノートPC」の1位は、アップルの「MacBook Pro」の13インチモデルで、CPUにCore i5 2.3Ghzを搭載した「MC700J/A」だった。シェアは6.3%。2月にモデルチェンジした新しい「MacBook Pro」のなかで最も価格が安く、コストパフォーマンスの良さから多く売れたのだろう。バッテリ駆動時間は7時間。10位に光学ドライブのない「MacBook Air」の11.6インチモデル「MC505J/A」も入っている。
2位は、富士通の13.3型ワイド液晶を搭載したモバイルノートPC「FMV-LIFEBOOK SH」シリーズの「FMVS53C」だった。シェアは、1位とはわずか0.3ポイント、3位とは1.6ポイントの差の6.0%。オフィスソフト「Office Home and Business 2010」や指紋認証、WiMAX、人感センサー対応Webカメラなどを搭載し、軽量・堅牢でプライベートでもビジネスでも使える一台だ。バッテリ駆動時間は、付属の内蔵バッテリパック(L)装着時で約8.5時間。
3位はNECのモバイルノートPC「LaVie M」シリーズの「LM550/DS6」、4位は日本エイサーの「Aspire Timeline X(AS3820T-F52C)」、5位は東芝のネットノート「dynabook N510(PN51004BMT)」だった。画面サイズは、「LM550/DS6」と「Aspire Timeline X」が13.3型ワイド、「PN51004BMT」が11.6型ワイドで、バッテリ駆動時間は「LM550/DS6」が10時間とやや長い。
一部のノートPCは、オプションで長時間バッテリや増設バッテリを用意している。例えば、2位に入った富士通の「FMVS53C」の場合、標準バッテリに加え、別売の増設用内蔵バッテリユニットを装着すると、駆動時間は約11.5時間に延びる。上位モデル「FMVS76C」なら約14.6時間だ。
発売日の関係で今回の集計ではトップ10圏外だったが、ソニーの「VAIO」Sシリーズの新モデル「VPCSB18FJ/B・W・P」は、内蔵バッテリで約8.5時間、別売のリチャージャブルバッテリーパック(拡張用)を装着すれば最長約17時間もの長時間駆動が可能だ。本格的にモバイル環境で使い倒したいなら、オプションバッテリの購入を検討しよう。
バッテリ駆動時間が5時間以上となると、該当する製品は少なく、選択肢はそれほど多くない。売れ筋の15~16型ワイド液晶を搭載したスタンダードノートPCに比べ、やや割高なモバイルノートPCが中心だ。3月第2週のノートPCのバッテリ駆動時間別販売台数構成比をみると、「1時間以上2時間未満」が33.6%、「2時間以上3時間未満」が21.3%を占め、「5時間以上」は22.1%と、全体の2割にとどまる。さらに、「10時間以上」となると、以前よりは増えたものの、わずか6.2%に過ぎない。
決して売れ筋とはいえないが、こうしたバッテリ駆動時間の長いモバイルノートPCは、薄さ・軽さやデザイン、起動の速さ、堅牢性など、各社の独自の工夫や技術力が光るモデルが多い。「節電」とは関係なく、「持ち運びしやすいノートPC」や「個性的なノートPC」を欲しい人にもおすすめしたい。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
「節電」と「ピークシフト」の心がけを
「計画停電」の内容を初めて知ったとき、バッテリで動作するノートPCやiPadなどのタブレット端末、スマートフォン、携帯型ゲーム機があれば、停電中、暇をもてあまさずに済むと思った。読書や仮眠でもいい。現状の計画停電のように停電時間が3時間程度と短く、特に昼間の明るい時間帯なら、電気がなくても何とか過ごせるだろう。
バッテリで動作するさまざまなデジタル機器(左上のiPad 2は日本では未発売)
残念ながらデスクトップPCは、過去に発売された一部のバッテリ搭載モデルを除き、停電中はまったく使えない。地震後、にわかに注目を集めているUPS(無停電電源装置)も、電力の遮断後からおよそ2-10分程度しか電力を供給できず、デスクトップPCやサーバーをシャットダウンする時間を稼ぐ効果しかない。
ノートPCの場合、停電になるとルーターの電源が切れてしまうので、携帯電話・PHSのデータ通信サービスを契約していない限り、メールやインターネットはできなくなる。テキストの作成やファイルの整理など、それ以外の作業はOKだ。ただ、モバイル向け以外の一般的なノートPCは、バッテリ駆動時間はおおむね1~3時間程度と、あまり長くない。
現在、東京電力のサービスエリア内では、ムダな電気を使わない「節電」と、電気使用量が増える時間帯をずらして使う「ピークシフト」が求められている。経済産業省やマイクロソフトのWindows情報ページなど、さまざまなウェブサイトで節電テクニックやバッテリのもちを長くする方法などが紹介されているので、パソコン使用時は、それらを参考にできるだけ節電を心がけよう。
長時間バッテリノート、1位はMacBook Pro、2位はLIFEBOOK SHシリーズ
バッテリ駆動時間が長いノートPCなら、電気使用量の少ない夜間に充電しておき、日中はバッテリで運用するといった使い方ができ、「節電」と「ピークシフト」の両方に貢献できる。今回は、「計画停電中、フルで使い続けられること」「外出先などモバイル環境で安心して使えること」を条件に、「バッテリ駆動時間が5時間以上」の製品を「長時間バッテリのノートPC」と定義し、カラーバリエーションを合算したシリーズ別で集計した。
順位 | メーカー | 型番・シリーズ名 | 画面サイズ | バッテリ駆動時間(時間) | 重量(kg) | 発売年月 | 販売台数シェア(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | アップル | MC700J/A | 13.3 | 7.0 | 2.0 | 2011/02 | 6.3 |
2 | 富士通 | FMVS53C | 13.3 | 8.5 | 1.9 | 2011/01 | 6.0 |
3 | NEC | LM550/DS6 | 13.3 | 10.0 | 1.9 | 2011/02 | 4.4 |
4 | 日本エイサー | AS3820T-F52C | 13.3 | 8.0 | 1.8 | 2011/02 | 3.9 |
5 | 東芝 | PN51004BMT | 11.6 | 6.1 | 1.5 | 2011/01 | 3.1 |
6 | ソニー | VPCS149FJ | 13.3 | 5.5 | 2.0 | 2011/01 | 3.1 |
7 | パナソニック | CF-S10AYPDR | 12.1 | 15.5 | 1.3 | 2011/02 | 2.8 |
8 | パナソニック | CF-S10AY_DR | 12.1 | 15.5 | 1.3 | 2011/02 | 2.6 |
9 | 日本エイサー | AS1830Z-F52C | 11.6 | 7.0 | 1.4 | 2011/02 | 2.3 |
10 | アップル | MC505J/A | 11.6 | 5.0 | 1.1 | 2010/10 | 2.2 |
※太字は光学ドライブ非搭載
「BCNランキング」2011年3月第2週 週次<最大パネル>
計画停電が始まった2011年3月第2週(2011年3月14日-3月20日)の「長時間バッテリのノートPC」の1位は、アップルの「MacBook Pro」の13インチモデルで、CPUにCore i5 2.3Ghzを搭載した「MC700J/A」だった。シェアは6.3%。2月にモデルチェンジした新しい「MacBook Pro」のなかで最も価格が安く、コストパフォーマンスの良さから多く売れたのだろう。バッテリ駆動時間は7時間。10位に光学ドライブのない「MacBook Air」の11.6インチモデル「MC505J/A」も入っている。
アップルの「MacBook Pro」(13インチモデル)
2位は、富士通の13.3型ワイド液晶を搭載したモバイルノートPC「FMV-LIFEBOOK SH」シリーズの「FMVS53C」だった。シェアは、1位とはわずか0.3ポイント、3位とは1.6ポイントの差の6.0%。オフィスソフト「Office Home and Business 2010」や指紋認証、WiMAX、人感センサー対応Webカメラなどを搭載し、軽量・堅牢でプライベートでもビジネスでも使える一台だ。バッテリ駆動時間は、付属の内蔵バッテリパック(L)装着時で約8.5時間。
富士通の「FMVS53C」(左からエボニーブラック、アーバンホワイト)
3位はNECのモバイルノートPC「LaVie M」シリーズの「LM550/DS6」、4位は日本エイサーの「Aspire Timeline X(AS3820T-F52C)」、5位は東芝のネットノート「dynabook N510(PN51004BMT)」だった。画面サイズは、「LM550/DS6」と「Aspire Timeline X」が13.3型ワイド、「PN51004BMT」が11.6型ワイドで、バッテリ駆動時間は「LM550/DS6」が10時間とやや長い。
増設バッテリの併用で、バッテリ駆動10時間超えのモデルも
一部のノートPCは、オプションで長時間バッテリや増設バッテリを用意している。例えば、2位に入った富士通の「FMVS53C」の場合、標準バッテリに加え、別売の増設用内蔵バッテリユニットを装着すると、駆動時間は約11.5時間に延びる。上位モデル「FMVS76C」なら約14.6時間だ。
発売日の関係で今回の集計ではトップ10圏外だったが、ソニーの「VAIO」Sシリーズの新モデル「VPCSB18FJ/B・W・P」は、内蔵バッテリで約8.5時間、別売のリチャージャブルバッテリーパック(拡張用)を装着すれば最長約17時間もの長時間駆動が可能だ。本格的にモバイル環境で使い倒したいなら、オプションバッテリの購入を検討しよう。
ソニーの「VAIO」Sシリーズ(VPCSB18FJ/B・W・P)
バッテリ駆動時間が5時間以上となると、該当する製品は少なく、選択肢はそれほど多くない。売れ筋の15~16型ワイド液晶を搭載したスタンダードノートPCに比べ、やや割高なモバイルノートPCが中心だ。3月第2週のノートPCのバッテリ駆動時間別販売台数構成比をみると、「1時間以上2時間未満」が33.6%、「2時間以上3時間未満」が21.3%を占め、「5時間以上」は22.1%と、全体の2割にとどまる。さらに、「10時間以上」となると、以前よりは増えたものの、わずか6.2%に過ぎない。
決して売れ筋とはいえないが、こうしたバッテリ駆動時間の長いモバイルノートPCは、薄さ・軽さやデザイン、起動の速さ、堅牢性など、各社の独自の工夫や技術力が光るモデルが多い。「節電」とは関係なく、「持ち運びしやすいノートPC」や「個性的なノートPC」を欲しい人にもおすすめしたい。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。