防水デジカメ「Tough TG-810」はGPSがスゴイ! 撮影記録を地図に残して楽しみ倍増
高倍率ズームや3D撮影など、個性を競い合っているコンパクトデジタルカメラ。注目は、ここ数年、対応機種が増え、選択肢が広がっている防水・防塵・耐衝撃性能にすぐれたアウトドア向けのカメラだ。オリンパスイメージングが3月下旬に発売する「OLYMPUS Tough TG-810」は、防水性能をもつ「OLYMPUS Toughシリーズ」最上位モデル。シリーズで初めてGPS機能を搭載し、使いやすさに磨きをかけている。この「OLYMPUS Tough TG-810」を、山梨県の山中湖周辺に連れ出して撮影を試みた。
「OLYMPUS Tough TG-810」は、撮像素子が有効1400万画素の1/2.3型CCD、レンズは焦点距離が28-140mm相当(35mmフィルムカメラ換算)でF3.9-5.9の光学5倍ズームレンズを搭載するコンパクトデジタルカメラ。撮像素子やレンズなどの基本スペックは従来モデル「μTOUGH-8010」と同じだが、画像処理エンジンは、「μTOUGH-8010」の「TruePic III」から「TruePic III+」に進化している。
静止画のほか、MPEG-4AVC/H.264方式の1280×720ピクセルのハイビジョン動画撮影ができる。記録メディアはSDXC/SDHC/SDカードに対応。このほか、新たに無線LAN内蔵のSDHCカード「Eye-Fiカード」にも対応した。
モニタには、反射を抑える特殊コートを施した「ハイパークリスタルIII液晶」を採用している。晴天下の屋外でも視認性が高く、ハードコートと撥水コートを施しているので、アウトドアで使うときも心強い。画面サイズは「μTOUGH-8010」の約23万ドット2.7型から、約92万ドットの3型に向上している。解像度が従来比で約4倍になり、再生したとき、画像を拡大して細かいところまでくっきり見えるようになった。
背面のモニタを大型化したことで、各種ボタンも変更している。「μTOUGH-8010」との一番の違いは、メニュー選択などを行う十字キーがなくなり、代わりにジョイスティックを採用したことだ。ジョイスティックとは、バーを上下左右に倒してメニュー項目などを選択する操作と、バーを垂直に押し込んで「OK」を選ぶ操作を一つのボタンで行うもの。
背面の限られたスペースに十字キーを搭載すると、ボタンのサイズが小さくなってしまう。そこで、「Tough TG-810」は十字キーではなく、ジョイスティックにすることで、省スペース化と同時に操作性の向上を図った。
しかし、実際にジョイスティックを使うと、思うように操作できないことがあった。例えば、バーを上向きに倒すつもりが「OK」になってしまったり、逆に、「OK」にしようとしてバーを倒してしまったりして、十字キーに比べると使いにくさを感じてしまった。扱いには、ある程度の慣れが必要だろう。
スノーボードや登山、キャンプなど、手袋を付けて操作することがあるアウトドア向けモデルなら、モニタのサイズは大きくせずに、ボタン類をなるべく大きく、余裕をもった配置にして、操作のしやすいデザインでもよかったのでは、と感じた。
防水デジカメの楽しみの一つが水中撮影だ。一般的に、水中で写真を撮ると、全体的に青味がかった色になる。そのため、オートホワイトバランスは青色を補正するように働く。しかし、その状態のまま水中でフラッシュ撮影を行うと、色のバランスが変わってしまうケースがある。
これを防ぐため、「Tough TG-810」では、シーンモードが「水中スナップ」「水中ワイド1」「水中ワイド2」「水中マクロ」のとき、「水中オートホワイトバランス」が働くようになった。「水中オートホワイトバランス」では、フラッシュ撮影時に色味を自動で判断して、水中での最適なホワイトバランスを自動調整してくれる。
モードダイヤルにある「iAUTO」は、撮影シーンや被写体をカメラが自動で識別して、最適な撮影モードを選択するという便利な機能だ。「iAUTO」に設定すると、例えば風景撮影では、シーンモードで「風景」を選ばなくても、カメラを遠景に向けただけで自動的に「風景」の設定になり、使いやすさが実感できた。
ちなみに、今回は季節が冬ということで、本格的な水中撮影を試すことはできなかったが、湖の浅瀬で試すと、カメラが水中に入ったことを自動で検知して、水中での人物撮影に最適な「水中スナップ」モードに自動的に切り替わった。「iAUTO」のシーンモードとして、「Tough TG-810」には「水中スナップ」が加わっており、水中撮影が手軽に楽しめる。
撮影時にさまざまな効果を画像に加えることができる「マジックフィルター」も備えている。「Tough TG-810」は「μTOUGH-8010」がもつ「ポップ」「ピンホール」「スケッチ」「フィッシュアイ」の4種類から、「水彩」「クリスタル」などを追加した8種類に増えている。しかも、静止画だけでなく、動画にも効果が適用できるようになった。ちなみに、動画に使えるフィルターは6種類だ。
気になる防水・防塵・耐衝撃性能性能だが、100kgの耐荷重、水深10mの防水、高さ2mから落とす耐衝撃、マイナス10度の耐低温性能などは、前モデル「μTOUGH-8010」と基本的に同じだ。
「μTOUGH-8010」は、映像・音響関連のすぐれた製品を表彰するEISA(European Imaging & Sound Association)の「EISA AWARD ヨーロピアン オールウェザーコンパクトカメラ 2010-2011」賞を受賞しており、そのタフ性能は海外でも高く評価されている。「Tough TG-810」は、その卓越したタフさを受け継いでいる。
「Tough TG-810」は圧力センサを内蔵していて、水深10m近くになるとアラームが鳴る。この点は「μTOUGH-8010」と同じだ。圧力センサによって、撮影した画像のExif情報には、撮影時の水深や標高が記録できる。例えば、標高なら、登山やトレッキングなど山で頻繁に写真を撮るユーザーには行動記録になって便利だろう。
「撮影の行動を記録する」という点で、最も注目したい新機能が、GPS機能と電子コンパスだ。GPS機能によって、測位した現在地の緯度・経度の情報を、撮影した画像のExif情報に記録。画像を再生表示したときに確認できる。
また、付属の画像管理ソフト「ib」やオリンパスのオンラインの写真共有サービス「ib on the net」で、どの写真をどこで撮影したのか、地図に落とし込んで見ることもできる。Googleマップなどでも、位置情報付きの画像を地図上に表示することができて、便利に使える。
例えば、友人と一緒に旅行したときなど、「ib on the net」でそれぞれが撮った写真を一つの地図上で共有することで、お互いにどこで、どんな写真を撮ったのか、旅の足跡をたどりながら思い出を楽しむことができる。また、登山が趣味の人なら、歩いたルートの記録としても使えるだろう。
位置情報として、世界194の国/地域の約70万件のランドマークを内蔵。ランドマーク情報をGPS機能や電子コンパスで利用することができる。日本国内については昭文社の地図の地名・ランドマークのデータを使用していて、測位した場所の市区町村名などをカタカナで表示する。
電子コンパスは、GPS機能と連動して、モニタに方位を表示する。撮影時はこの方位情報も画像に記録するから、あとで地図と照らし合わせることで撮影した方角を確認することができる。コンパスの左側には、緯度・経度、気圧・標高などの情報を示す。
画面では、付近のランドマークを緑色の点で表示し、カーソルを合わせるとそのランドマークの名称をカタカナで表示する。電子コンパスの画面は、中心が現在地で、半径約10kmを表示しているので、ランドマークまでの方角と距離がおおよそ把握できるというわけだ。
___page___
注意したいのは、GPS測位は衛星を使って実行しているので、衛星からの電波がキャッチできないような環境では、正しく測位できないことがある点だ。例えば、室内や地下、高層ビルの近くなど、GPS機能が使えない条件がいくつかある。実際に試すと、屋外の空が開けた場所では位置情報を取得できたが、室内や電車内ではうまくいかなかった。
今回、「Tough TG-810」を持ち歩いていて、本体が濡れたり汚れたりしても気にしなくていいというのは、撮影をしていてとてもらくだった。しかも、カメラまかせで実によく写る。「iAUTO」に設定して、あとはシャッターを押すだけで、美しい写真が撮れていた。
それに、GPS機能で、地図上に画像を表示することができるというのも便利で楽しい。これから訪れるゴールデンウィークにアウトドアレジャーの機会が増えることを考えると、「Tough TG-810」はぜひ手に入れておきたい一台だ。(フリーライター・榎木夏彦)
液晶モニタは3型、細部までくっきり
「OLYMPUS Tough TG-810」は、撮像素子が有効1400万画素の1/2.3型CCD、レンズは焦点距離が28-140mm相当(35mmフィルムカメラ換算)でF3.9-5.9の光学5倍ズームレンズを搭載するコンパクトデジタルカメラ。撮像素子やレンズなどの基本スペックは従来モデル「μTOUGH-8010」と同じだが、画像処理エンジンは、「μTOUGH-8010」の「TruePic III」から「TruePic III+」に進化している。
OLYMPUS Tough TG-810
静止画のほか、MPEG-4AVC/H.264方式の1280×720ピクセルのハイビジョン動画撮影ができる。記録メディアはSDXC/SDHC/SDカードに対応。このほか、新たに無線LAN内蔵のSDHCカード「Eye-Fiカード」にも対応した。
モニタには、反射を抑える特殊コートを施した「ハイパークリスタルIII液晶」を採用している。晴天下の屋外でも視認性が高く、ハードコートと撥水コートを施しているので、アウトドアで使うときも心強い。画面サイズは「μTOUGH-8010」の約23万ドット2.7型から、約92万ドットの3型に向上している。解像度が従来比で約4倍になり、再生したとき、画像を拡大して細かいところまでくっきり見えるようになった。
レンズを保護する金属製の開閉式レンズカバー
新たに採用したジョイスティック
背面のモニタを大型化したことで、各種ボタンも変更している。「μTOUGH-8010」との一番の違いは、メニュー選択などを行う十字キーがなくなり、代わりにジョイスティックを採用したことだ。ジョイスティックとは、バーを上下左右に倒してメニュー項目などを選択する操作と、バーを垂直に押し込んで「OK」を選ぶ操作を一つのボタンで行うもの。
背面の限られたスペースに十字キーを搭載すると、ボタンのサイズが小さくなってしまう。そこで、「Tough TG-810」は十字キーではなく、ジョイスティックにすることで、省スペース化と同時に操作性の向上を図った。
ジョイスティックの操作は慣れが必要
しかし、実際にジョイスティックを使うと、思うように操作できないことがあった。例えば、バーを上向きに倒すつもりが「OK」になってしまったり、逆に、「OK」にしようとしてバーを倒してしまったりして、十字キーに比べると使いにくさを感じてしまった。扱いには、ある程度の慣れが必要だろう。
スノーボードや登山、キャンプなど、手袋を付けて操作することがあるアウトドア向けモデルなら、モニタのサイズは大きくせずに、ボタン類をなるべく大きく、余裕をもった配置にして、操作のしやすいデザインでもよかったのでは、と感じた。
オートホワイトバランスが進化
防水デジカメの楽しみの一つが水中撮影だ。一般的に、水中で写真を撮ると、全体的に青味がかった色になる。そのため、オートホワイトバランスは青色を補正するように働く。しかし、その状態のまま水中でフラッシュ撮影を行うと、色のバランスが変わってしまうケースがある。
これを防ぐため、「Tough TG-810」では、シーンモードが「水中スナップ」「水中ワイド1」「水中ワイド2」「水中マクロ」のとき、「水中オートホワイトバランス」が働くようになった。「水中オートホワイトバランス」では、フラッシュ撮影時に色味を自動で判断して、水中での最適なホワイトバランスを自動調整してくれる。
「パノラマ」モードで撮影。手持ちのままで簡単にパノラマ写真を撮ることができる。
140mm相当(35mmフィルムカメラ換算)のズームの望遠端で撮影
___page___カメラまかせで撮影してもキレイな「iAUTO」
モードダイヤルにある「iAUTO」は、撮影シーンや被写体をカメラが自動で識別して、最適な撮影モードを選択するという便利な機能だ。「iAUTO」に設定すると、例えば風景撮影では、シーンモードで「風景」を選ばなくても、カメラを遠景に向けただけで自動的に「風景」の設定になり、使いやすさが実感できた。
山中湖畔から冠雪の富士山を望む(iAUTOで撮影)
ちなみに、今回は季節が冬ということで、本格的な水中撮影を試すことはできなかったが、湖の浅瀬で試すと、カメラが水中に入ったことを自動で検知して、水中での人物撮影に最適な「水中スナップ」モードに自動的に切り替わった。「iAUTO」のシーンモードとして、「Tough TG-810」には「水中スナップ」が加わっており、水中撮影が手軽に楽しめる。
「風景」に設定され、空の青や雲の白、山肌の陰影がしっかり描かれている(iAUTOで撮影)
撮影時にさまざまな効果を画像に加えることができる「マジックフィルター」も備えている。「Tough TG-810」は「μTOUGH-8010」がもつ「ポップ」「ピンホール」「スケッチ」「フィッシュアイ」の4種類から、「水彩」「クリスタル」などを追加した8種類に増えている。しかも、静止画だけでなく、動画にも効果が適用できるようになった。ちなみに、動画に使えるフィルターは6種類だ。
「マジックフィルター」の「ピンホール」で撮影
防水・防塵・耐衝撃性能にすぐれる
気になる防水・防塵・耐衝撃性能性能だが、100kgの耐荷重、水深10mの防水、高さ2mから落とす耐衝撃、マイナス10度の耐低温性能などは、前モデル「μTOUGH-8010」と基本的に同じだ。
「μTOUGH-8010」は、映像・音響関連のすぐれた製品を表彰するEISA(European Imaging & Sound Association)の「EISA AWARD ヨーロピアン オールウェザーコンパクトカメラ 2010-2011」賞を受賞しており、そのタフ性能は海外でも高く評価されている。「Tough TG-810」は、その卓越したタフさを受け継いでいる。
雪の中でも水中でも、思う存分撮影できる
「Tough TG-810」は圧力センサを内蔵していて、水深10m近くになるとアラームが鳴る。この点は「μTOUGH-8010」と同じだ。圧力センサによって、撮影した画像のExif情報には、撮影時の水深や標高が記録できる。例えば、標高なら、登山やトレッキングなど山で頻繁に写真を撮るユーザーには行動記録になって便利だろう。
充電はバッテリを本体に装着したままUSBケーブル経由で
___page___Toughシリーズ初、GPS機能と電子コンパスを搭載
「撮影の行動を記録する」という点で、最も注目したい新機能が、GPS機能と電子コンパスだ。GPS機能によって、測位した現在地の緯度・経度の情報を、撮影した画像のExif情報に記録。画像を再生表示したときに確認できる。
GPS機能をオンにして撮影すると、写真に測位情報や地名を表示する
また、付属の画像管理ソフト「ib」やオリンパスのオンラインの写真共有サービス「ib on the net」で、どの写真をどこで撮影したのか、地図に落とし込んで見ることもできる。Googleマップなどでも、位置情報付きの画像を地図上に表示することができて、便利に使える。
例えば、友人と一緒に旅行したときなど、「ib on the net」でそれぞれが撮った写真を一つの地図上で共有することで、お互いにどこで、どんな写真を撮ったのか、旅の足跡をたどりながら思い出を楽しむことができる。また、登山が趣味の人なら、歩いたルートの記録としても使えるだろう。
「ib on the net」に写真をアップロードして地図に表示した
位置情報として、世界194の国/地域の約70万件のランドマークを内蔵。ランドマーク情報をGPS機能や電子コンパスで利用することができる。日本国内については昭文社の地図の地名・ランドマークのデータを使用していて、測位した場所の市区町村名などをカタカナで表示する。
GPSの測位情報をもとに、撮影した地点に自動で画像をマッピング
電子コンパスは、GPS機能と連動して、モニタに方位を表示する。撮影時はこの方位情報も画像に記録するから、あとで地図と照らし合わせることで撮影した方角を確認することができる。コンパスの左側には、緯度・経度、気圧・標高などの情報を示す。
電子コンパスを表示したところ
画面では、付近のランドマークを緑色の点で表示し、カーソルを合わせるとそのランドマークの名称をカタカナで表示する。電子コンパスの画面は、中心が現在地で、半径約10kmを表示しているので、ランドマークまでの方角と距離がおおよそ把握できるというわけだ。
___page___
GPS機能は意外とバッテリを消耗する
注意したいのは、GPS測位は衛星を使って実行しているので、衛星からの電波がキャッチできないような環境では、正しく測位できないことがある点だ。例えば、室内や地下、高層ビルの近くなど、GPS機能が使えない条件がいくつかある。実際に試すと、屋外の空が開けた場所では位置情報を取得できたが、室内や電車内ではうまくいかなかった。
メニューの「GPS機能」から「情報」を表示。残念ながら、地図の拡大・縮小はできない。
今回、「Tough TG-810」を持ち歩いていて、本体が濡れたり汚れたりしても気にしなくていいというのは、撮影をしていてとてもらくだった。しかも、カメラまかせで実によく写る。「iAUTO」に設定して、あとはシャッターを押すだけで、美しい写真が撮れていた。
「道の駅 朝霧高原」からは富士山を間近に眺めることができた
それに、GPS機能で、地図上に画像を表示することができるというのも便利で楽しい。これから訪れるゴールデンウィークにアウトドアレジャーの機会が増えることを考えると、「Tough TG-810」はぜひ手に入れておきたい一台だ。(フリーライター・榎木夏彦)