「EOS Kiss X4」の勢い止まらず 2011年2月のデジタル一眼ランキング
フィルムカメラを愛用していた写真愛好家から、子どものいるファミリー、若い女性まで、ユーザー層が広がっているデジタル一眼カメラ(デジイチ)。いま、このカテゴリでは、「ミラーレス一眼」に注目が集まっている。従来の重厚な感じのデジタル一眼レフカメラとは構造が違い、軽量・コンパクトで、コンパクトデジタルカメラのような感覚で使えるレンズ交換型カメラだ。一眼レフとはまったくの別物、という考え方もあるが、少なくともレンズを変えていろいろな撮影が楽しめる守備範囲の広さは、一眼レフと同じ。量販店の実売データを集計した「BCNランキング」に基づいて、両タイプを合算した「デジイチ」のランキングを紹介しよう。
ボディカラーや付属レンズの違いを合算したレンズ交換式デジタルカメラ(デジタル一眼カメラ)の2011年2月のシリーズ別販売台数1位は、キヤノンのエントリー向けデジタル一眼レフ「EOS Kiss X4」だった。シェアは、トップ10唯一の10%台の16.8%。1位獲得は、昨年12月から3か月連続となる。2位・3位には、ニコンのデジタル一眼レフ「D3100」「D90」がシェア8.74%、8.65%の僅差で続いた。
「EOS Kiss X4」は、昨年2月の発売以来、2010年3月、5月、7月~10月、12月、そして2011年1月、2月と、この1年間に月間トップを累計9回も獲得。1位を逃した月もトップ3以内に入っており、翌月は1位に返り咲いている。
ボディ単体、3種類のレンズキットの計4モデルのうち、2月は標準ズームレンズ「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS」と望遠ズームレンズ「EF-S55-250mm F4-5.6 IS」が付属するダブルズームキット「KISSX4-WKIT」が、EOS Kiss X4全体の販売台数の65.5%を占め、一番人気だった。以下、高倍率ズームレンズ「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS」が付属する「EF-S18-135 IS レンズキット」(26.9%)、標準ズームレンズが付属する「EF-S18-55 IS レンズキット」(7.1%)、ボディ単体(0.6%)の順となっており、購入後、すぐに撮影できるレンズキットがほとんどを占めている。こうした売れ筋の傾向から、購入者の多くは、デジタル一眼の初心者や他社製カメラからの乗り換えユーザーだと思われる。
トップ10のタイプ別内訳は、デジタル一眼レフが6機種、ミラーレス一眼が4機種。ミラーレス機は、シェア7.5%で4位に入ったパナソニックの「LUMIX DMC-GF2」を筆頭に、7位にオリンパスの「OLYMPUS PEN Lite E-PL1」、9位と10位にソニーの「NEX-5」「NEX-3」がランクインしている。「OLYMPUS PEN Lite E-PL1」は前月3位、「NEX-5」は前月4位から大きくダウン。逆に「LUMIX DMC-GF2」は、6位から4位へ順位を上げている。
デジタル一眼カメラ全体の販売台数に占めるミラーレス一眼の構成比は、昨年6月、ソニーの「NEX-5」「NEX-3」の発売をきっかけに、初めて3割を突破。その後、9月、10月は20%台後半に下がったが、年末商戦期に入って再び上昇に転じ、2010年12月には過去最大の36.7%を記録した。2011年2月の構成比は、前月から4.9ポイント下がって31.2%。およそ3台に1台がミラーレス機、残り2台がデジタル一眼レフとなる計算だ。
市場が新たに立ち上がったばかりのミラーレス一眼カメラは、2010年7月以降、前年同月比219.7%~352.6%と大幅な伸びを示している。デジタル一眼レフも、99.2%にとどまった2011年1月を除き、前年同月比107.1%~150.1%と高い伸び率を保っており、ミラーレス機に需要を奪われ、売れ行きが鈍っているわけではない。デジタル一眼カメラ全体では、台数・金額ともに前年割れはなく、拡大傾向が続いている。ミラーレス機が市場を刺激していることが、この傾向の一因とみていいだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
1位は、2010年年間No.1メーカー・キヤノンの「EOS Kiss X4」
ボディカラーや付属レンズの違いを合算したレンズ交換式デジタルカメラ(デジタル一眼カメラ)の2011年2月のシリーズ別販売台数1位は、キヤノンのエントリー向けデジタル一眼レフ「EOS Kiss X4」だった。シェアは、トップ10唯一の10%台の16.8%。1位獲得は、昨年12月から3か月連続となる。2位・3位には、ニコンのデジタル一眼レフ「D3100」「D90」がシェア8.74%、8.65%の僅差で続いた。
順位 | メーカー名 | 型番・シリーズ名 | 対応マウント | 画素数 (万画素) | 販売台数 シェア(%) | 発売年月 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | キヤノン | EOS Kiss X4 | キヤノンEF | 1,800 | 16.8 | 2010/02 |
2 | ニコン | D3100 | ニコンF | 1,420 | 8.74 | 2010/09 |
3 | ニコン | D90 | ニコンF | 1,230 | 8.65 | 2008/09 |
4 | パナソニック | LUMIX DMC-GF2 | マイクロフォーサーズ | 1,210 | 7.5 | 2010/12 |
5 | キヤノン | EOS 60D | キヤノンEF | 1,800 | 6.7 | 2010/09 |
6 | キヤノン | EOS Kiss X3 | キヤノンEF | 1,510 | 5.7 | 2009/04 |
7 | オリンパス | OLYMPUS PEN Lite E-PL1 | マイクロフォーサーズ | 1,230 | 5.7 | 2010/03 |
8 | ニコン | D7000 | ニコンF | 1,620 | 5.5 | 2010/10 |
9 | ソニー | NEX-5 | ソニーE | 1,420 | 5.0 | 2010/06 |
10 | ソニー | NEX-3 | ソニーE | 1,420 | 4.0 | 2010/06 |
※カラーバリエーション・付属レンズの違いなどは合算して集計
「BCNランキング」2011年2月 月次 <最大パネル>
「BCNランキング」2011年2月 月次 <最大パネル>
「EOS Kiss X4」は、昨年2月の発売以来、2010年3月、5月、7月~10月、12月、そして2011年1月、2月と、この1年間に月間トップを累計9回も獲得。1位を逃した月もトップ3以内に入っており、翌月は1位に返り咲いている。
ボディ単体、3種類のレンズキットの計4モデルのうち、2月は標準ズームレンズ「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS」と望遠ズームレンズ「EF-S55-250mm F4-5.6 IS」が付属するダブルズームキット「KISSX4-WKIT」が、EOS Kiss X4全体の販売台数の65.5%を占め、一番人気だった。以下、高倍率ズームレンズ「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS」が付属する「EF-S18-135 IS レンズキット」(26.9%)、標準ズームレンズが付属する「EF-S18-55 IS レンズキット」(7.1%)、ボディ単体(0.6%)の順となっており、購入後、すぐに撮影できるレンズキットがほとんどを占めている。こうした売れ筋の傾向から、購入者の多くは、デジタル一眼の初心者や他社製カメラからの乗り換えユーザーだと思われる。
EOS Kiss X4 ダブルズームキット
トップ10のタイプ別内訳は、デジタル一眼レフが6機種、ミラーレス一眼が4機種。ミラーレス機は、シェア7.5%で4位に入ったパナソニックの「LUMIX DMC-GF2」を筆頭に、7位にオリンパスの「OLYMPUS PEN Lite E-PL1」、9位と10位にソニーの「NEX-5」「NEX-3」がランクインしている。「OLYMPUS PEN Lite E-PL1」は前月3位、「NEX-5」は前月4位から大きくダウン。逆に「LUMIX DMC-GF2」は、6位から4位へ順位を上げている。
左上から時計回りに、LUMIX DMC-GF2(シェルホワイト、レンズキット「LUMIX DMC-GF2W」付属の標準ズームレンズ装着時)、OLYMPUS PEN Lite E-PL1(ホワイト、M.ZUIKO DIGITAL ED14-42mm F3.5-5.6L装着時)、NEX-5 ダブルレンズキット(2月10日発売の新色ゴールド)
ミラーレス機は前年比200%超え、デジタル一眼全体でも拡大傾向
キヤノンは、「BCNランキング」に基づき、ジャンル別に年間で最も販売台数の多かったメーカーを表彰する賞「BCN AWARD」のデジタルカメラ(レンズ交換型)部門の最優秀賞を、2008年度から3年連続で受賞している。2010年上半期の集計では、ニコンがメーカー別1位だったが、キヤノンが追い上げて9月末時点で順位が逆転した。最終的にキヤノンがシェア32.0%で2010年の年間トップとなり、ニコンは29.4%で2位に甘んじた。3位はソニー(13.1%)、4位はパナソニック(10.2%)、5位はオリンパス(8.2%)で、上位2社のシェアの合計は61.4%と、以前に比べ下がっている。
順位 | メーカー | 販売台数シェア(%) | 販売金額シェア(%) | 平均単価(円) |
1 | キヤノン | 32.0 | 36.9 | 91,685 |
2 | ニコン | 29.4 | 31.7 | 85,394 |
3 | ソニー | 13.1 | 10.7 | 64,311 |
4 | パナソニック | 10.2 | 7.6 | 58,833 |
5 | オリンパス | 8.2 | 7.3 | 70,546 |
「BCNランキング」2010年 年次<最大パネル>
デジタル一眼カメラ全体の販売台数に占めるミラーレス一眼の構成比は、昨年6月、ソニーの「NEX-5」「NEX-3」の発売をきっかけに、初めて3割を突破。その後、9月、10月は20%台後半に下がったが、年末商戦期に入って再び上昇に転じ、2010年12月には過去最大の36.7%を記録した。2011年2月の構成比は、前月から4.9ポイント下がって31.2%。およそ3台に1台がミラーレス機、残り2台がデジタル一眼レフとなる計算だ。
市場が新たに立ち上がったばかりのミラーレス一眼カメラは、2010年7月以降、前年同月比219.7%~352.6%と大幅な伸びを示している。デジタル一眼レフも、99.2%にとどまった2011年1月を除き、前年同月比107.1%~150.1%と高い伸び率を保っており、ミラーレス機に需要を奪われ、売れ行きが鈍っているわけではない。デジタル一眼カメラ全体では、台数・金額ともに前年割れはなく、拡大傾向が続いている。ミラーレス機が市場を刺激していることが、この傾向の一因とみていいだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。