ダイナコムウェアがBCN AWARD 2011フォントソフト部門でNo.1を獲得

特集

2011/01/24 18:24

 フォントソフトで定評のあるダイナコムウェア。文字の輪郭をデータ化することで、文字を拡大・縮小しても品質が劣化しないアウトラインフォント「ダイナフォント」を取り扱う。ダイナコムウェアは、「BCNランキング」の実売データで、年間の販売数量が最も多かったメーカーを表彰する「BCN AWARD」のフォントソフト部門を11年連続で受賞している。首位を獲得した理由と、今後の製品戦略を探った。

 フォントは、文字を扱う制作現場にはなくてはならない必需品だ。DTP(デスクトップパブリッシング)や印刷、ウェブサイトや広告制作など、さまざまな業界で活躍している。フォントソフトの「BCNランキング」年間メーカーシェアは、2010年、ダイナコムウェアがシェア32.8%で1位を獲得し、「BCN AWARD 2011」最優秀賞を受賞した。2位はモリサワで22.0%。3位はデータクラフトで9.6%だった。

(左から)DynaSmart、DynaSmart Plus

 ダイナコムウェアが提供している「ダイナフォント」は、文字の輪郭をデータ化することで、文字を拡大・縮小しても品質が劣化しないアウトラインフォント。バリエーションが豊富で、「驚き」「興奮」「かわいい」など、人間のさまざまな感情を表現しやすい書体があるなど、デザイナーが制作現場で活用しやすいのがポイントだ。

 「BCNランキング」でフォントソフトの年間シリーズ別販売本数シェアをみると、ダイナコムウェアは、2010年7月発売の「Dynafont プラチナパック TrueType for Windows」が好評を博し、メーカーシェアNo.1の獲得に結びついた。ユーザーが自分で書いた手書き文字がフォントになる「かんたん手書き工房」が付属する。

 「Dynafont プラチナパック TrueType for Windows」が売れた理由について、ダイナコムウェアマーケティング部は「1年ぶりに新書体を追加したことに加えて、ほぼすべてのダイナフォントが利用できること。さらに、価格が1万円台前半と手頃だったことが幅広い層に支持していただけたのでは」と分析している。

 このほか、Windows Vista/7が採用する「JIS2004字形」対応の180書体を収録する「DynaFont TrueType600+欧文3000 Vista対応版」や、Macに対応する「DynaFont プラチナパック TrueType for Macintosh」も人気を集めた。


 2011年、ダイナコムウェアが販売に力を入れるのは、2010年5月発売の、年間契約でダイナフォントが利用できる「DynaSmart」シリーズだ。OpenTypeフォーマットのダイナフォントを全書体使うことができるほか、毎年追加される最新のダイナフォントが追加・活用できる。新書体の発売ごとにフォントを購入する手間が省けるのがメリットだ。

 ラインアップは4種類。複数台のPCで利用できるものとして、契約台数や年数によってプランを選択できる「DynaSmart」と「DynaSmart Plus」。また、PC1台のみ利用できる個人向けとして「DynaSmart NOW!」「DynaSmart Plus NOW!」がある。

 同社は、「DynaSmart」シリーズを契約したユーザーに新しい書体を無償で提供する「アップグレードキット」を2011年夏に提供する予定だ。具体的には、「DynaSmart」または「DynaSmart NOW!」を契約したユーザーには、ダイナフォント36書体、「DynaSmart Plus」または「DynaSmart Plus NOW!」では、ダイナフォント58書体を提供する(2011年1月現在予定)。

(左から)DynaSmart NOW!、DynaSmart Plus NOW!

 提供する新書体は、例えば、プロ向けの「OpenType Pro 1-6書体シリーズ」、日本人名や中国人名に対応した「拡張人名外字書体シリーズ」、毛筆風の「雲海体」「跳美体」、文字の視認度を格段に向上させた「UD書体」など。

 「DynaSmart」シリーズは、法人が長期で利用しやすい年間ライセンスDynaSmartとそのアップグレードによって、デザイン会社や印刷会社などの導入も見込む。(BCN・井上真希子)


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