BCN、テレビの「次」を探せ――「エコポイントの次」をテーマに記者会見を開催

特集

2011/01/13 22:20

 BCN(奥田喜久男社長)は、1月13日、「テレビの『次』を探せ――エコポイント特需の次に来るもの」をテーマに記者会見を開催し、テレビ、デジタルカメラ、PC、携帯電話などの販売動向を発表した。全国大手家電量販店・ネット販売店のPOSデータを集計した「BCNランキング」データをもとに分析した。

テレビにつながる製品が好調



 エコポイント需要を追い風に拡大した2010年の薄型テレビ市場は、11月は台数ベースで505.3%、金額ベースで381.6%を記録し爆発的な伸びを示したが、12月は台数ベースで前年同月比34.7%減、金額ベースで53.4%減となった。道越一郎エグゼクティブアナリストは、「BCNが薄型テレビの統計を開始して以来、最も大きなマイナス幅」と説明。しかし、「台数は08年と同じ水準。薄型テレビ市場は、09年にスタートしたエコポイント制度を追い風に拡大してきたが、エコポイント前のレベルに戻っただけだ」とした。


 年末商戦で大手メーカー各社のモデルが出揃った3Dテレビは、40型以上の販売台数構成比が12月に2割、薄型テレビ全体でも5%を超えた。レコーダーは、台数・金額ともに前年を上回って推移。11月に台数・金額ともに前年比2倍に伸長し、最高の伸びを記録したが、12月には前年割れとなるなど、テレビの伸びと連動する動きを示した。メーカー別では、東芝が12月に16.9%に上昇。シャープ、パナソニック、ソニーの三強に急接近した。


 録画機能内蔵モデルや、外付けHDDを接続して録画ができる録画対応テレビの台数構成比は、3割の水準を維持している。今やテレビ周辺機器でもある外付けHDD市場は、11月は台数前年比186.9%、12月は132.1%と好調に推移した。


 アナログテレビに接続するデジタルチューナーは、台数ベースで前年比3-4倍の勢いで推移。11月は4.5倍を記録した。道越エグゼクティブアナリストは、「地デジが見られればいいという需要は、7月に向けてさらに拡大していく。チューナーはこれからが本番になる」との見方を示した。

 今後は、薄型テレビの爆発的な拡大によって、「レコーダーやデジタルカメラ、ビデオカメラ、音質をフォローするサラウンドシステム、録画テレビに対応する外付けHDDなど、テレビに繋げる機器が期待できるほか、スマートフォンやスレートが本格化する」と、2011年の動向を分析した。

デジカメはミラーレスが人気、携帯オーディオでソニーの勢力拡大



 デジカメは、レンズ一体型(コンパクトタイプ)が台数・金額ともに依然として前年割れが続くなか、レンズ交換型がミラーレス人気を背景に活況を呈している。レンズ一体型と交換型を合わせたデジタルカメラ全体では、台数ベースで12月に36.6%と、4割に迫る勢いを示した。


 携帯オーディオは、売れ筋モデルがアップルの「iPod nano」からソニーの「WALKMAN Sシリーズ」に変わりつつある。メーカー別台数シェアでは、12月にソニーが5割を突破し、8月の逆転劇以来、再度アップルを逆転した。アップルの台数・金額伸び率は、9月以降、前年割れで推移。一方、ソニーは2ケタ伸長を維持している。


パソコン年末商戦は前年並み、スマートフォン市場12月急拡大



 09年10月のWindows 7発売後、好調だったパソコンの年末商戦は、その反動でほぼ前年並みにとどまった。メーカー別では、ノートPCは、東芝、NEC、富士通のシェア争いが続く。デスクトップPCは、2010年夏に参入したばかりの東芝が、12月に10%強を確保し、存在感を示している。


 スマートフォン市場は、年末に各キャリアの新製品発売を受けて急拡大。12月は、携帯電話の販売台数の約半数を占めた。スマートフォンのOS構成比をみると、Androidが11月に6割弱、12月には8割に迫っている。一方、iOS・iPhone OSは12月に2割に縮小した。キャリア別販売台数シェアでは、NTTドコモが55.0%を獲得。iPhone人気で最大で9割を占めていたソフトバンクは25.6%に減少した。森英二チーフアナリストは、「ソフトバンクが売れなくなったというわけではない。市場全体の規模が拡大している」と説明した。KDDI(au)のシェアは、11月に27.1%に伸長したものの、12月は17.0%にダウンした。



*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などのPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。