ソニーが携帯オーディオで大躍進、月間・週間ともに初のシェア5割超え
ついに「ウォークマン」の時代がやって来たのか? 「BCNランキング」による携帯オーディオプレーヤーのメーカー別販売台数シェアで、2010年12月、ソニーは月次・週次集計ともに1位を獲得。長年トップを独走していたアップルに対し、月次では9.2ポイント、週次では最大19.9ポイントの大差をつけた。
まず、これまでの動きを簡単に振り返っておこう。携帯オーディオプレーヤーは、かつて国内外の多数のメーカーから発売されていたが、撤退が相次ぎ、ここ1、2年はアップルの「iPod」とソニーの「ウォークマン」以外の製品は、店頭ではほとんど見かけなくなってしまった。2009年10月以降、この上位2社だけで携帯オーディオ全体の販売台数の9割以上を占め、シェア40~50%台のアップルをソニーが追うという構図になっていた。
2010年4月以降、2社の販売台数シェアは次第に接近し、40%台で並んだ。そして、ついにiPodのモデルチェンジを控えた2010年8月、ソニーがメーカー別月間販売台数1位を獲得し、2002年8月から2010年7月までの96か月、およそ8年間も続いていたアップルの連続1位記録にストップをかけた。
9月にはアップルが1位に返り咲き、10月、11月と続けて1位を獲得したものの、12月はソニーがシェア52.1%でトップの座を奪還した。アップルの1位独走が始まった2002年8月以降、アップル以外のメーカーがシェア5割を突破するのは、もちろん初めてだ。2位のアップルのシェアは42.9%で、1位とは9.2ポイントもの差がついている。
メーカー別だけではなく、カラーバリエーションを合算して集計したシリーズ別のランキングでも、ソニーのウォークマン Sシリーズの「NW-S754K」がシェア12.6%で1位を獲得。そのほかトップ10内に5機種が入った。いずれも10月発売の新製品で、1位の「NW-S754K」、9位の「NW-E052K」、10位の「NW-S755K」はスピーカー付きモデルだ。外ではイヤホンを使い、自宅では付属のスピーカーでイヤホンを装着せずに音楽を聴ける点が好評のようだ。
週次集計では、2010年11月第2週(2010年11月8日-14日)、ソニーはシェア47.0%で、8月最終週(8月30日-9月5日)以来、10週ぶりに1位を獲得していた。アップルは9月に第4世代iPod touchや第6世代iPod nanoなどの新製品を発売したばかりで、11月半ばでのシェアの逆転はこれまでになかった現象だ。
翌11月第3週から11月最終週まではアップルが1位に戻り、ソニーは2位に後退。そのまま年末商戦に突入するかと思いきや、再び逆転を果たし、12月第1週(12月6日-12日)以降、直近の12月最終週まで、4週連続でソニーが1位を獲得している。
特に、年末年始をまたいだ12月最終週(2010年12月27日-2011年1月2日)は、ソニーのシェアは6割近い57.6%に達し、逆にアップルのシェアは、4割を切る37.7%まで落ち込んだ。その差は19.9ポイントで、ソニーがアップルを上回ったパターンとしては過去最大だ。
年末年始は、例年、AV機器が最も売れる時期。エコポイント制度改定の影響を受けた薄型テレビは振るわなかったが、携帯オーディオプレーヤーの販売台数は、前年同月比106.6%と好調だった。2010年を通じても12月は最も販売台数が多かった。
携帯オーディオに関しては、ユーザーがiPhoneをはじめとする音楽再生機能をもつスマートフォンや携帯電話に流れ、需要が減っている、という見方もある。しかしこの数字を見る限り、市場が大きく縮小しているわけではなさそうだ。ただし、メーカー別に集計すると、アップルは前年同月比84.7%にとどまり、ソニーは前年同月比142.7%の大幅増を記録した。確かにiPodの販売台数は、前年に比べて減少している。
2010年8月のアップルとソニーの逆転劇は、iPodの購入を検討していた層が買い控えたことが最大の要因と思われた。しかしその分析は、今回はあてはまらない。ソニーの販売台数シェアは、そのまま「ウォークマン」の人気を物語っている。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などのPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
ウォークマンが年末商戦を制す、メーカー別/シリーズ別ともにトップ
まず、これまでの動きを簡単に振り返っておこう。携帯オーディオプレーヤーは、かつて国内外の多数のメーカーから発売されていたが、撤退が相次ぎ、ここ1、2年はアップルの「iPod」とソニーの「ウォークマン」以外の製品は、店頭ではほとんど見かけなくなってしまった。2009年10月以降、この上位2社だけで携帯オーディオ全体の販売台数の9割以上を占め、シェア40~50%台のアップルをソニーが追うという構図になっていた。
2010年4月以降、2社の販売台数シェアは次第に接近し、40%台で並んだ。そして、ついにiPodのモデルチェンジを控えた2010年8月、ソニーがメーカー別月間販売台数1位を獲得し、2002年8月から2010年7月までの96か月、およそ8年間も続いていたアップルの連続1位記録にストップをかけた。
9月にはアップルが1位に返り咲き、10月、11月と続けて1位を獲得したものの、12月はソニーがシェア52.1%でトップの座を奪還した。アップルの1位独走が始まった2002年8月以降、アップル以外のメーカーがシェア5割を突破するのは、もちろん初めてだ。2位のアップルのシェアは42.9%で、1位とは9.2ポイントもの差がついている。
ソニーのウォークマン Sシリーズの「S750Kシリーズ」。
2010年12月は、8GBの「NW-S754K」がトップを獲得した
2010年12月は、8GBの「NW-S754K」がトップを獲得した
メーカー別だけではなく、カラーバリエーションを合算して集計したシリーズ別のランキングでも、ソニーのウォークマン Sシリーズの「NW-S754K」がシェア12.6%で1位を獲得。そのほかトップ10内に5機種が入った。いずれも10月発売の新製品で、1位の「NW-S754K」、9位の「NW-E052K」、10位の「NW-S755K」はスピーカー付きモデルだ。外ではイヤホンを使い、自宅では付属のスピーカーでイヤホンを装着せずに音楽を聴ける点が好評のようだ。
順位 | メーカー | シリーズ・型番 | 容量 | 動画再生 | FMラジオ | 販売台数シェア(%) |
1 | ソニー | NW-S754K | 8GB | 対応 | あり | 12.6 |
2 | アップル | iPod nano 8GB(6th) | 8GB | 非対応 | あり | 11.1 |
3 | ソニー | NW-S754 | 8GB | 対応 | あり | 9.7 |
4 | アップル | iPod touch 32GB(4th) | 32GB | 対応 | なし | 9.7 |
5 | アップル | iPod nano 16GB(6th) | 16GB | 非対応 | あり | 6.2 |
6 | ソニー | NW-E052 | 2GB | 非対応 | あり | 6.0 |
7 | アップル | iPod touch 8GB(4th) | 8GB | 対応 | なし | 5.0 |
8 | アップル | iPod shuffle 2GB(7th) | 2GB | 非対応 | なし | 5.0 |
9 | ソニー | NW-E052K | 2GB | 非対応 | あり | 4.8 |
10 | ソニー | NW-S755K | 16GB | 対応 | あり | 4.6 |
※同じ容量のカラーバリエーションは合算して集計
「BCNランキング」2010年12月 月次<最大パネル>
「BCNランキング」2010年12月 月次<最大パネル>
12月最終週のシェアは6割目前、アップルに約20ポイントの差をつける
週次集計では、2010年11月第2週(2010年11月8日-14日)、ソニーはシェア47.0%で、8月最終週(8月30日-9月5日)以来、10週ぶりに1位を獲得していた。アップルは9月に第4世代iPod touchや第6世代iPod nanoなどの新製品を発売したばかりで、11月半ばでのシェアの逆転はこれまでになかった現象だ。
翌11月第3週から11月最終週まではアップルが1位に戻り、ソニーは2位に後退。そのまま年末商戦に突入するかと思いきや、再び逆転を果たし、12月第1週(12月6日-12日)以降、直近の12月最終週まで、4週連続でソニーが1位を獲得している。
特に、年末年始をまたいだ12月最終週(2010年12月27日-2011年1月2日)は、ソニーのシェアは6割近い57.6%に達し、逆にアップルのシェアは、4割を切る37.7%まで落ち込んだ。その差は19.9ポイントで、ソニーがアップルを上回ったパターンとしては過去最大だ。
年末年始は、例年、AV機器が最も売れる時期。エコポイント制度改定の影響を受けた薄型テレビは振るわなかったが、携帯オーディオプレーヤーの販売台数は、前年同月比106.6%と好調だった。2010年を通じても12月は最も販売台数が多かった。
携帯オーディオに関しては、ユーザーがiPhoneをはじめとする音楽再生機能をもつスマートフォンや携帯電話に流れ、需要が減っている、という見方もある。しかしこの数字を見る限り、市場が大きく縮小しているわけではなさそうだ。ただし、メーカー別に集計すると、アップルは前年同月比84.7%にとどまり、ソニーは前年同月比142.7%の大幅増を記録した。確かにiPodの販売台数は、前年に比べて減少している。
2010年8月のアップルとソニーの逆転劇は、iPodの購入を検討していた層が買い控えたことが最大の要因と思われた。しかしその分析は、今回はあてはまらない。ソニーの販売台数シェアは、そのまま「ウォークマン」の人気を物語っている。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などのPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。