インクジェットプリンタ市場が盛況、対前年金額比が2年間で最高値に
インクジェットプリンタ市場の勢いが増している。2010年6月、「BCNランキング」の対前年同月比で販売台数・金額ともに前年超えし、10月は販売台数112.7%。販売金額については110.4%で、直近2年間(08年9月-10年10月)で最高値に達した。年賀状需要で盛り上がる年末商戦では、さらに拡大が見込めそうだ。
販売金額の伸びは、セイコーエプソンの「EP-803A」とキヤノンの「PIXUS MG6130」の2モデルがけん引している。機種のカラーバリエーションを合算した10月のシリーズ別販売台数では、「EP-803A」がシェア15.5%で1位、「PIXUS MG6130」が14.4%で2位を獲得した。
いずれも9月に発売した新製品で、税別の平均単価(以下、平均単価)がともに2万5000円程度で市場全体の1万9000円程度よりも高く、販売金額を押し上げた。「EP-803A」が売れている理由を、エプソン広報は「当社のお勧めモデルとして展開している。部屋のインテリアとマッチする色として、昨年の従来モデルにはなかったホワイトを用意したことがユーザーの選択肢を広げた」と分析する。
キヤノン広報は、「PIXUS MG6130は写真と文字の両方を美しく印刷できる基本性能と、操作手順を光でナビゲートする機能『インテリジェントタッチシステム』が評価された。また、テレビCMや雑誌広告の訴求で、ユーザーの認知が高まった」ことが背景にあるとしている。
メーカー別では、この3年間(07年10月-10年10月)は、キヤノンとエプソンの二強が競り合う構図が続いている。10年は、6月にキヤノンがエプソンを抜いて販売台数シェアで1位を獲得。その後、キヤノンは首位を維持し、10月はキヤノンがシェア47.9%、エプソンは38.0%で、その差は9.9ポイントとなっている。
しかし、販売金額に目を向けると、二社の差はそれほど大きくない。キヤノンが44.2%、エプソンは40.6%で3.6ポイントの開きだ。この背景には、二社の平均単価の違いが影響している。直近3年間の平均単価を10月に限定して比較すると、市場全体では07年10月が2万円程度、08年10月と09年10月、10年10月は1万9000円程度で、1000円ほど下がっている。
一方、メーカー別では、キヤノンは平均単価より低く、エプソンは逆に高い値で推移している。キヤノンは07年10月が2万円程度、08年10月は1万7000円程度と3000円ほど下げ、その後、09年10月は1万8000円程度、10年10月は1万7000円程度だった。一方、エプソンは、07年10月から10年10月まで2万程度で定位置をキープしている。
平均単価について、キヤノン広報は「戦略として掲げている点はとくにはない」とする。エプソン広報は、「9月に発売した『E-810』のような、フォトプリンタ『Colorio me』の上位モデルの単価が5万円前後と高く、当社全体の単価を押し上げていると考えられる。基本的には、製品の機能やユーザーの購買意欲などを踏まえて価格を決めている」と話す。
メーカーシェアは、台数ベースではキヤノンが優勢だが、金額ベースではエプソンがフォトプリンタで健闘し、インクジェットプリンタ市場全体の販売金額の底上げを図っている。(BCN・井上真希子)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などのPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
販売金額の伸びは、セイコーエプソンの「EP-803A」とキヤノンの「PIXUS MG6130」の2モデルがけん引している。機種のカラーバリエーションを合算した10月のシリーズ別販売台数では、「EP-803A」がシェア15.5%で1位、「PIXUS MG6130」が14.4%で2位を獲得した。
セイコーエプソンのEP-803A(左)とキヤノンのPIXUS MG6130(右)
いずれも9月に発売した新製品で、税別の平均単価(以下、平均単価)がともに2万5000円程度で市場全体の1万9000円程度よりも高く、販売金額を押し上げた。「EP-803A」が売れている理由を、エプソン広報は「当社のお勧めモデルとして展開している。部屋のインテリアとマッチする色として、昨年の従来モデルにはなかったホワイトを用意したことがユーザーの選択肢を広げた」と分析する。
キヤノン広報は、「PIXUS MG6130は写真と文字の両方を美しく印刷できる基本性能と、操作手順を光でナビゲートする機能『インテリジェントタッチシステム』が評価された。また、テレビCMや雑誌広告の訴求で、ユーザーの認知が高まった」ことが背景にあるとしている。
メーカー別では、この3年間(07年10月-10年10月)は、キヤノンとエプソンの二強が競り合う構図が続いている。10年は、6月にキヤノンがエプソンを抜いて販売台数シェアで1位を獲得。その後、キヤノンは首位を維持し、10月はキヤノンがシェア47.9%、エプソンは38.0%で、その差は9.9ポイントとなっている。
しかし、販売金額に目を向けると、二社の差はそれほど大きくない。キヤノンが44.2%、エプソンは40.6%で3.6ポイントの開きだ。この背景には、二社の平均単価の違いが影響している。直近3年間の平均単価を10月に限定して比較すると、市場全体では07年10月が2万円程度、08年10月と09年10月、10年10月は1万9000円程度で、1000円ほど下がっている。
一方、メーカー別では、キヤノンは平均単価より低く、エプソンは逆に高い値で推移している。キヤノンは07年10月が2万円程度、08年10月は1万7000円程度と3000円ほど下げ、その後、09年10月は1万8000円程度、10年10月は1万7000円程度だった。一方、エプソンは、07年10月から10年10月まで2万程度で定位置をキープしている。
平均単価について、キヤノン広報は「戦略として掲げている点はとくにはない」とする。エプソン広報は、「9月に発売した『E-810』のような、フォトプリンタ『Colorio me』の上位モデルの単価が5万円前後と高く、当社全体の単価を押し上げていると考えられる。基本的には、製品の機能やユーザーの購買意欲などを踏まえて価格を決めている」と話す。
メーカーシェアは、台数ベースではキヤノンが優勢だが、金額ベースではエプソンがフォトプリンタで健闘し、インクジェットプリンタ市場全体の販売金額の底上げを図っている。(BCN・井上真希子)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などのPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。