BCN、10月の薄型テレビ販売が過去最高を記録、“待ちの人”一気に動く
BCN(奥田喜久男社長)は、11月10日、「テレビ特需、年末商戦にどう効く? 売上3倍増の構造と今後の展望」をテーマに記者会見を開催し、テレビ、デジタルカメラ、PC、携帯電話などの販売動向を発表した。全国大手家電量販店・ネット販売店のPOSデータを集計した「BCNランキング」データをもとに分析した。
薄型テレビの2010年10月の販売台数は、台数ベースで前年同月の3.2倍、金額ベースで2.3倍となり、いずれも過去最高を記録した。道越一郎エグゼクティブアナリストは、「11月末以降のエコポイント減額が決まったことを受け、これまで買い替えの時期を待っていた人が一気に動き始めた」と要因を解説。「11月第1週の台数では前年同週比約5倍となっている。11月は過去最高を更新するだろう」との見解を示した。また、薄型テレビの伸びと連動して、レコーダーも過去最高の伸びとなった。
薄型テレビのサイズ別では30、40型台の台数が急伸。10月は30型台が前年同月比339.7%、40型が346.9%となった。金額ベースでは、20型が273.9%となり、サブテレビの需要が顕著だった。平均単価は下落を続け、台数構成比4割を占める人気の30型台は、前年同月比で31.8%減、次に人気の40型は28.9%減となった。
薄型テレビ全体に占める3D対応テレビの10月の販売台数は、3.0%だった。メーカー別にみると、パナソニックが2.2%、東芝が0.3%、シャープが1.6%。ソニーが1.8%。しかし、別売のトランスミッタを追加すれば3D対応になるソニーの「レディ」モデルは、「3Dコンテンツが少ないなかで、『今はまだいらないが、3D対応コンテンツが増えてきたら見たい』という消費者の心理を突き、受け入れられている」(道越エグゼクティブアナリスト)と、ソニーのなかで9.6%を占める突出ぶりだ。また、レコーダーの3D対応モデルは、全体の販売台数のうち14%を占めた。
内蔵のHDD/BDレコーダーや、別売の外付けHDDなどの録画機能を備えた「録画テレビ」は、9月に全体の販売台数の30%を突破。10月も31.9%となった。内訳は外付けHDDに録画するタイプが45%を占め、依然として人気を得ている。
道越エグゼクティブアナリストは、「10月は、エコポイント制度見直し前の駆け込み特需で大幅に拡大した3月の販売台数を超えた。11月はさらに伸びる見通しだが、販売店の欠品で頭打ちになる可能性がある」との懸念を示した。また、薄型テレビに引っ張られ、10月に台数ベースで195.6%、金額ベースで163.0%を記録したレコーダーについても、「売り場で欠品が出てきている製品がある」とした。
コンパクトデジタルカメラは、台数ベースは二桁伸長を維持しているものの、金額ベースは前年割れが続いている。10月の金額は前年同月比10.9%減だった。平均単価は1万7800円で、前年同月に比べておよそ半額になっている。機能は向上しているが、単価が上がられない状況になっていることが浮き彫りになった。
一方、一眼などのレンズ交換型は、台数ベースで前年同月比160%前後、金額ベースで130%前後を維持し、大きな単価下落もなく、好調に推移している。メーカー別では、「キヤノンとニコンの二強にソニーが加わり、三強体制といえるところにまできている。ソニーの存在感は高まっている」(道越エグゼクティブアナリスト)。ミラーレス一眼の好調が後押しして、ソニーのシェアは、6月に19.4%に急伸。9月は21.2%を獲得し、24.4%のニコンに急接近した。ただし10月は15.8%とシェアを落とし、その差は再び12.3ポイント差まで広がっている。
PCは、Windows 7発売から1年が経過したが、旺盛な需要を維持している。森英二チーフアナリストは、「夏以降、新しい『Microsoft Office 2010』を搭載したPCが登場したことで弾みがついたことに加え、テレビを目的に店頭に足を運んだ人が、地デジが見られる『地デジPC』にひかれてPC売り場に流れている可能性がある」と分析。とくにデスクトップの伸びが引き続き好調で、今夏以降、台数ベースで20-30%増、金額ベースで20-50%増を示している。デスクに比べると低いものの、ノートも実台数では、ネットブック人気に沸いた08-09年に匹敵する規模を維持している。
地上デジタルチューナーを搭載する「地デジPC」は、デスクトップとノートを合わせた台数ベースで、5月以降、前年同月比2倍以上で推移。森チーフアナリストは、「地デジPCは、『テレビとレコーダーを別々に買って揃えるより割安』と購入する人が出てきている」とした。
10月のPCの台数構成比は、デスクトップが19.7%、ノートが74.5%、iPadなどのスレート(タッチパネルを搭載した板状の汎用モバイル端末)が5.8%。6月の10.3%、7月の9.1%、8月、9月の6.9%と比べると、スレートの比率が減少し、iPadの一服感が表れている。森アナリストは、「6-7月に購入したアーリーアダプタを除き、iPadを使うにはPCが必要ということを知らなかった一般層などには、ハードルが高かった」と分析。道越エグゼクティブアナリストは、「電子書籍市場がまだ立ち上がっていない日本では、iPadの利便性がまだ伝わらない。iPhoneでも十分という見方もある。スレート端末は、まだまだ用途提案ができていない状況だ。利用方法が定まっていけば、再びiPadは伸びるはず」とした。
10月の携帯電話販売台数に占めるスマートフォンの割合は3割台に突入し、スマートフォンの存在感が高まっている。キャリア別では、ソフトバンクモバイルが71.9%と最も高く、NTTドコモが23.6%、au(KDDI)が6.3%だった。
話題のNTTドコモのサムスン電子製スマートフォン「GALAXY S」の販売動向も分析。iPhone 3G発売初日(08年7月11日)の販売台数を1とすると、「GALAXY S」発売後7日間(10月28日-11月3日)の累計販売台数指数は1.87。iPhone 4(6月24-30日)の1.59を上回った。「発売初日は、在庫切れが影響して伸び悩んだが、初動ではGALAXY SがiPhone 4を超えた」(森チーフアナリスト)。
*BCNでは、2010年以降に発売された製品で、画面サイズが5型以上12.1型以下、Wi-Fiや3Gなどによるインターネット接続が可能で、タッチパネルを搭載した板状の汎用モバイル端末を「スレート」と定義しています(電子書籍専用端末、PNDなどは除く)。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などのPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
薄型テレビは駆け込み特需、3D対応は「レディ」モデルが人気
薄型テレビの2010年10月の販売台数は、台数ベースで前年同月の3.2倍、金額ベースで2.3倍となり、いずれも過去最高を記録した。道越一郎エグゼクティブアナリストは、「11月末以降のエコポイント減額が決まったことを受け、これまで買い替えの時期を待っていた人が一気に動き始めた」と要因を解説。「11月第1週の台数では前年同週比約5倍となっている。11月は過去最高を更新するだろう」との見解を示した。また、薄型テレビの伸びと連動して、レコーダーも過去最高の伸びとなった。
薄型テレビのサイズ別では30、40型台の台数が急伸。10月は30型台が前年同月比339.7%、40型が346.9%となった。金額ベースでは、20型が273.9%となり、サブテレビの需要が顕著だった。平均単価は下落を続け、台数構成比4割を占める人気の30型台は、前年同月比で31.8%減、次に人気の40型は28.9%減となった。
薄型テレビ全体に占める3D対応テレビの10月の販売台数は、3.0%だった。メーカー別にみると、パナソニックが2.2%、東芝が0.3%、シャープが1.6%。ソニーが1.8%。しかし、別売のトランスミッタを追加すれば3D対応になるソニーの「レディ」モデルは、「3Dコンテンツが少ないなかで、『今はまだいらないが、3D対応コンテンツが増えてきたら見たい』という消費者の心理を突き、受け入れられている」(道越エグゼクティブアナリスト)と、ソニーのなかで9.6%を占める突出ぶりだ。また、レコーダーの3D対応モデルは、全体の販売台数のうち14%を占めた。
内蔵のHDD/BDレコーダーや、別売の外付けHDDなどの録画機能を備えた「録画テレビ」は、9月に全体の販売台数の30%を突破。10月も31.9%となった。内訳は外付けHDDに録画するタイプが45%を占め、依然として人気を得ている。
道越エグゼクティブアナリストは、「10月は、エコポイント制度見直し前の駆け込み特需で大幅に拡大した3月の販売台数を超えた。11月はさらに伸びる見通しだが、販売店の欠品で頭打ちになる可能性がある」との懸念を示した。また、薄型テレビに引っ張られ、10月に台数ベースで195.6%、金額ベースで163.0%を記録したレコーダーについても、「売り場で欠品が出てきている製品がある」とした。
道越一郎エグゼクティブアナリスト
コンデジは機能向上も単価は前年の半額、10月は平均単価1万7800円に
コンパクトデジタルカメラは、台数ベースは二桁伸長を維持しているものの、金額ベースは前年割れが続いている。10月の金額は前年同月比10.9%減だった。平均単価は1万7800円で、前年同月に比べておよそ半額になっている。機能は向上しているが、単価が上がられない状況になっていることが浮き彫りになった。
一方、一眼などのレンズ交換型は、台数ベースで前年同月比160%前後、金額ベースで130%前後を維持し、大きな単価下落もなく、好調に推移している。メーカー別では、「キヤノンとニコンの二強にソニーが加わり、三強体制といえるところにまできている。ソニーの存在感は高まっている」(道越エグゼクティブアナリスト)。ミラーレス一眼の好調が後押しして、ソニーのシェアは、6月に19.4%に急伸。9月は21.2%を獲得し、24.4%のニコンに急接近した。ただし10月は15.8%とシェアを落とし、その差は再び12.3ポイント差まで広がっている。
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Microsoft OfficeでPCに弾み、iPadには一服感
PCは、Windows 7発売から1年が経過したが、旺盛な需要を維持している。森英二チーフアナリストは、「夏以降、新しい『Microsoft Office 2010』を搭載したPCが登場したことで弾みがついたことに加え、テレビを目的に店頭に足を運んだ人が、地デジが見られる『地デジPC』にひかれてPC売り場に流れている可能性がある」と分析。とくにデスクトップの伸びが引き続き好調で、今夏以降、台数ベースで20-30%増、金額ベースで20-50%増を示している。デスクに比べると低いものの、ノートも実台数では、ネットブック人気に沸いた08-09年に匹敵する規模を維持している。
地上デジタルチューナーを搭載する「地デジPC」は、デスクトップとノートを合わせた台数ベースで、5月以降、前年同月比2倍以上で推移。森チーフアナリストは、「地デジPCは、『テレビとレコーダーを別々に買って揃えるより割安』と購入する人が出てきている」とした。
10月のPCの台数構成比は、デスクトップが19.7%、ノートが74.5%、iPadなどのスレート(タッチパネルを搭載した板状の汎用モバイル端末)が5.8%。6月の10.3%、7月の9.1%、8月、9月の6.9%と比べると、スレートの比率が減少し、iPadの一服感が表れている。森アナリストは、「6-7月に購入したアーリーアダプタを除き、iPadを使うにはPCが必要ということを知らなかった一般層などには、ハードルが高かった」と分析。道越エグゼクティブアナリストは、「電子書籍市場がまだ立ち上がっていない日本では、iPadの利便性がまだ伝わらない。iPhoneでも十分という見方もある。スレート端末は、まだまだ用途提案ができていない状況だ。利用方法が定まっていけば、再びiPadは伸びるはず」とした。
森英二チーフアナリスト
「GALAXY S」初動ではiPhone 4超え
10月の携帯電話販売台数に占めるスマートフォンの割合は3割台に突入し、スマートフォンの存在感が高まっている。キャリア別では、ソフトバンクモバイルが71.9%と最も高く、NTTドコモが23.6%、au(KDDI)が6.3%だった。
話題のNTTドコモのサムスン電子製スマートフォン「GALAXY S」の販売動向も分析。iPhone 3G発売初日(08年7月11日)の販売台数を1とすると、「GALAXY S」発売後7日間(10月28日-11月3日)の累計販売台数指数は1.87。iPhone 4(6月24-30日)の1.59を上回った。「発売初日は、在庫切れが影響して伸び悩んだが、初動ではGALAXY SがiPhone 4を超えた」(森チーフアナリスト)。
*BCNでは、2010年以降に発売された製品で、画面サイズが5型以上12.1型以下、Wi-Fiや3Gなどによるインターネット接続が可能で、タッチパネルを搭載した板状の汎用モバイル端末を「スレート」と定義しています(電子書籍専用端末、PNDなどは除く)。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などのPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。