最新ウォークマンの音楽をカーラジオで聞く、FMトランスミッターの実力

レビュー

2010/10/27 20:31

 紅葉のシーズンがやってきた。錦絵の渓谷美を堪能しようと、休日に景勝地へのロングドライブを計画している方は多いだろう。ドライブの楽しみの一つは、音楽を聞くこと。携帯オーディオに保存した音楽をFMラジオで聞くことができる「FMトランスミッター」を使えば、お気に入りの楽曲を高音質で再生できる。バッファローコクヨサプライの「BSFM33シリーズ」とソニーの最新ウォークマン「Aシリーズ(NW-A850シリーズ)」を組み合わせてクルマで試した。

クルマの中で携帯オーディオの音楽を楽しむ



 クルマをもっている多くの方は、車内でFMラジオかCDをかけて音楽を楽しんでいるはず。FM放送が受信できるカーラジオはほぼすべてのクルマが搭載しているし、CDプレーヤー付きのカーオーディオやカーナビを搭載しているクルマも今や一般的だ。

 しかし、FM放送はいつも自分の好きな曲をオンエアしてくれるわけではない。また、放送エリア圏外や山間部に入ると受信できなくなる。CDは、ロングドライブ中に同じ曲ばかり聞き続けたくなければ、何度も交換する必要がある。

BSFM33シリーズとウォークマン NW-A850

 そこで活用したいのが、携帯オーディオで再生する音楽をFM電波に乗せて飛ばすことができる「FMトランスミッター」だ。その地域のFM放送局などが使っていない周波数でFM電波を発信するので、カーラジオをその周波数に合わせれば、携帯オーディオの音楽がラジオから聞こえてくるという仕組みだ。

ソニー公式ライセンス「Designed for Walkman」モデル



 ソニーのウォークマンのユーザーにオススメなのが、バッファローコクヨサプライのFMトランスミッター「BSFM33シリーズ」。ソニーの公式ライセンス「Designed for Walkman」に準拠したウォークマン専用のFMトランスミッターである。

ウォークマン NW-A850のホワイトには白い「BSFM33シリーズ」がよく似合う

 本体には、周辺機器を接続するウォークマン専用の「WMポート」のコネクタを備え、WMポート搭載のウォークマンならどれでも装着できる。今回はウォークマン「NW-A850シリーズ」のホワイトを装着した。「BSFM33シリーズ」はホワイトとブラックの2色をラインアップするので、手持ちのウォークマンやクルマの室内色に合わせて選ぶといい。このほか、クルマのエンジンと連動して、ウォークマンの電源がオン・オフになるものうれしい機能だ。

シガープラグ部をクルマのシガーソケットに挿入する

 使い方はいたって簡単。シガープラグ部をクルマのシガーソケットに差し込み、本体にウォークマンを装着して「AUTO」と書いてあるボタンを押す。このボタンは、FM電波の空いている周波数を自動で検出するオートスキャンのボタンだ。表示する周波数にカーラジオのFMチューナーの周波数を合わせれば、準備は完了。あとはウォークマンを再生すれば、カーラジオから音楽が聞こえてくる。
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 ドライブの最中に、ミニFM局など無数のFM放送局が存在する都心部などで、空いている周波数を手動で探すのは意外と面倒だ。また、長距離ドライブでは、県や地域ごとにFM放送局があって使っている周波数が異なるため、県境を越えるたびに空いている周波数を探し出して設定し直す手間がかかる。

 その点、「オートスキャン機能」を搭載するBSFM33シリーズ」なら、自動的に最適な周波数を検出するので、設定の変更も簡単。試用時は、クリアに音楽を再生できる周波数として90.0Mhzが検出された。

「AUTO」ボタンを押すだけでクリアな周波数を自動で検出する

 使用中に混信やノイズが気になったら、「AUTO」ボタンを再び押して、表示された周波数にカーラジオのFMチューナーを合わせよう。これでノイズのないクリアな音で音楽が楽しめるようになる。なお、本体のモニタにはバックライトがなく、夜間などは「オートスキャン機能」が自動検出した周波数の数字が見えにくい。車内灯を点けて確認すればよいが、これは少々手間ではある。

周波数を90.0Mhzに合わせると、ウォークマンで再生している音楽がカーラジオから流れてきた

「バーチャル3Dサラウンド」で広がりのある高音質を実現



 さて、気になる音質だが、「BSFM33シリーズ」は音声を立体的に再生する機能「バーチャル3Dサラウンド」を搭載しているだけあって、広がりのある臨場感豊かなサウンドで音楽を楽しむことができた。試聴に使ったクルマは、左右の前のドアにスピーカーが各1個ついているだけだったが、まるで前後左右に4つのスピーカーがあるようなサラウンド効果が得られた。

包み込まれるような音場を体験できる「バーチャル3Dサラウンド」

 デジタルオーディオ機器の中には、サラウンドを強調するあまり、楽器の音ばかりが目立ってしまって、肝心のボーカルの声がこもったように聞こえるものがある。しかし、「BSFM33シリーズ」は、ボーカルの声をしっかりと際立たせながら、音楽全体を立体的に再現する、まさに「バーチャル3Dサラウンド」だった。まるで、搭載しているカーオーディオが少しグレードアップしたようだった。なお、「BSFM33シリーズ」の「バーチャル3Dサラウンド」機能は常にオンの状態で、オフにすることはできない。

 試しに、「BSFM33シリーズ」の弟分に当たる「BSFM31シリーズ」で同じ曲を聞き比べた。「BSFM31シリーズ」は、「バーチャル3Dサラウンド」機能を搭載していないので、一般的なステレオによる再生。やはり「バーチャル3Dサラウンド」の効果は歴然で、一度「BSFM33シリーズ」を使って音楽を聞いてしまうと、ステレオ効果だけの「BSFM31シリーズ」では物足りなくなってしまった。

(左から)BSFM31シリーズとBSFM33シリーズ

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 走行中、周囲の電波状態によっては、再生音に雑音が混じったり、音量が低くなったり、曲間にホワイトノイズ(放送局が見つからないときのザーッというノイズ音)が聞こえることがあったが、これはFM電波で聞いている以上、仕方ないだろう。また、車のFMアンテナの位置によっても、聞こえ方は微妙に違ってくるようだ。さらに、試聴したクルマでは、「BSFM33シリーズ」を装着したウォークマンを床に置くとやや音質が悪くなり、ダッシュボードの位置に置くと最良の音質になった。

シガープラグ部と本体をつなぐケーブルの長さを調節して、車内のウォークマンの置き場所をうまく確保しよう

シガーソケットでウォークマンの充電もOK!



 「BSFM33シリーズ」はクルマのシガーソケットに挿して使うので、音楽を再生しながら同時にウォークマンの充電ができる。また、FMトランスミッターのなかには、装着した携帯オーディオから給電するものや、乾電池や充電池を電源にしたものなどがあるが、それだと常に電池切れの不安がつきまとう。その点、「BSFM33シリーズ」はクルマの電源を使うので電池切れの心配がなく、安心だ。

音楽の再生中にウォークマンの充電ができる

 シガープラグ部にはUSBポートがある。このUSBポートは最大1Aの充電ができるので、USBケーブルを用意すれば、例えばウォークマンを再生中にスマートフォンを充電する、といったこともできて便利だ。

シガープラグ部にはUSBポートを1基備える

 最後に、一つだけ気になった点を挙げておこう。ウォークマンのAシリーズは、WMポートがある本体下部の面が緩やかにカーブを描くデザインになっている。一方、「BSFM33シリーズ」の本体のコネクタがある面は直線だ。そのため、装着すると接合部に隙間が生じる。使用中にコネクタが抜けるようなことはさすがになかったが、欲を言えば、ぴったりとフィットして接続できるよう、Aシリーズのカーブに合わせたアタッチメントのようなものが付属しているとよかった。

本体とウォークマンの接合部に少し隙間ができてしまう

 もしあなたがウォークマンユーザーで、クルマの中でもウォークマンに保存した音楽を聞きながらドライブしたいなら、FMトランスミッターを活用しよう。バッファローコクヨサプライの「BSFM33シリーズ」なら、音質も操作性も、オススメのモデルであることは間違いない。これからの行楽シーズンで大活躍することうけあいだ。(フリーライター・榎木夏彦)