高性能メモリのすすめ、ハイパフォーマンス×大容量でパソコンを快適に!

レビュー

2010/09/27 12:09

 最新の高性能CPUやHDD、ビデオカードを組み込んだパソコンでも、メモリの搭載容量が少ないと性能を生かしきることはできない。本来の性能を引き出すには、今回紹介するトランセンドのデスクトップパソコン用大容量メモリ「TX2400KLU-4GK」「TX2000KLU-4GK」「TS256MLK64V3U」のような高性能・大容量・信頼性の高いメモリがいい。とくに、TX2400KLU-4GKやTX2000KLU-4GKは、通常のメモリを大きく上回る高速動作に対応した特別バージョンで、自作PCユーザーにオススメの製品だ。

DDR3-2400で動作する2GBのメモリを2枚組み合わせた「TX2400KLU-4GK」。実勢価格は2万円前後

DDR3-2000で動作する2GBのメモリを2枚組み合わせた「TX2000KLU-4GK」。実勢価格は1万6000円前後

DDR3-1333で動作する2GBのメモリ「TS256MLK64V3U」。実勢価格は6000円前後

メモリは“作業机”、多ければ多いほど効率がアップする



 まずは、パソコンという機械のなかでメモリが担う役割を簡単に説明したい。パソコンをオフィスに例えると、CPUは「働いている人」、HDDはふだんはあまり使わないものを整理して格納している「キャビネット」、そしてメモリは働いている人が使っている「机」になる。机が小さいと、仕事でよく使う道具類だけで机の上が埋まってしまう。メモリの搭載容量が小さい時でも同じで、OSが使用する機能だけでメモリを使い切ってしまうのだ。

 しかし、机が十分に大きければ(搭載メモリが多ければ)、いつも作業で使う道具類とともに、作業に必要な材料、作業中に見たい資料類など、仕事に必要なものをすべて机の上に広げられる。作業効率も高まるし、もちろん仕事が終わるまでの時間も短くなる。

 表1は、メモリの容量を1GB、2GB、4GBに変更し、今話題のゲーム『ファイナルファンタジーXIV』が、どの程度快適に動作するかをテストできる「ファイナルファンタジーXIVオフィシャルベンチマークソフト」(スクウェア・エニックス)を動作させた時のベンチマークスコアの結果である。メモリが1GBの時は描画の停止も頻繁に生じ、スコアも2GBや4GBと比べるとかなり低い。しかし2GB以上なら、1GBで生じていた描画の停止は起きない。

■表1 環境と実験内容
CPU:Core i7-860(2.8GHz)
マザーボード:GA-P55-USB3(BIOSはF8)
チップセット:Intel P55
ビデオカード:ZOTAC GeForce GTS 450 AMP
HDD:Deskstar 7K1000.C HDS721050CLA362(500GB)
メモリを1GB、2GB、4GBに変更し、ファイナルファンタジーXIVオフィシャルベンチマークソフトを実行したときのテスト結果

ファイナルファンタジーXIV
オフィシャルベンチマークソフト
  Low High
1GB 3832 1984
2GB 4053 2216
4GB 4055 2216
※数値が大きい方が性能が高い

 しかし、だからといって「2GBあれば十分」ということでもない。デジタルカメラが普及し、一般的に20枚や30枚の画像を一度に開いてレタッチすることも珍しいことではなくなった。1200万~1500万画素クラスの大きな画像を何十枚も開いて快適にレタッチ作業を行うには、2GB程度ではとても足りない。また、複数のウェブページに同時にアクセスし、上部にある「タブ」をクリックしながら切り替えて表示できるウェブブラウザが増えているが、これもメモリを非常に多く使うソフトのひとつだ。
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 Windows 7で追加された「Windows XPモード」を快適に使いたい場合も、メモリの搭載容量は非常に重要。XPモードとは、Windows 7のなかに仮想的に作られたパソコン、すなわちバーチャルマシン上で動作するWindows XPで、各種ソフトウェアを動作させる機能だ。バーチャルマシンにメモリを割り振ると、Windows 7が使えるメモリはその分減る。2GBしかないパソコンでバーチャルマシン用に1GB割り当てると、1GBしか残らない。Windows 7側が不安定になれば、その上で動いているバーチャルマシンも不安定になるわけで、当然大容量のメモリが必要になる。

「Windows XPモード」の設定画面。バーチャルマシンにも最低1GBのメモリを割り当てたいところだが、「Windows 7」側の搭載メモリが少ないと、そういうわけにもいかない

 こうしたことを考え合わせると、Windows 7では、最低でも4GB程度は搭載したいところ。今回紹介するTX2400KLU-4GKやTX2000KLU-4GKは、2GBのデスクトップパソコン用メモリを2枚組み合わせたパッケージで合計4GB。TS256MLK64V3Uは、1枚で2GBのデスクトップパソコン用メモリなので、2枚組み合わせれば4GB。これらをパソコンに増設する、あるいは元から差してあったメモリと交換することで、4GBの最低ラインを確保できる。

 また、トランセンドのメモリは、「永久保証」であることにも注目したい。推奨された環境での通常の使用で故障が生じた場合であれば、何年後でも無償で修理や交換に応じてもらえる。

メモリ設定の手間を省くXMP対応高速メモリ



 ここまでは一般的なメモリ増設のメリットについて解説してきたが、次にTX2400KLU-4GKやTX2000KLU-4GKの一般的なメモリとは異なるユニークな特徴を説明しよう。それは、より高速に動作する選別品であること、そしてその高速設定が簡単にできる「XMP(Intel Extreme Memory Profile)」という規格に対応しているということだ。

 CPUの駆動周波数を規定の数値以上で動作させる「オーバークロック」を行う場合、メモリにも高速に動作するものが必要になることが多い。しかし、メモリを高速動作させる場合、単に高速動作をうたうメモリを買って装着するだけではダメ。マザーボード上の設定項目をいろいろと調整し、高速で安定して動作するか、しないかを確かめるテストなども行わなければならない。

 XMPは、Intelが2007年6月に正式にリリースした高速動作するメモリを簡単に使うための設定機能だ。XMP対応の高速メモリには、安定して動作させるための設定情報があらかじめ書き込まれている。Intel製の最新チップセット「Intel P55」などを搭載するマザーボードで、このXMPに対応した製品であれば、XMPを有効にするだけで書き込まれた情報に基づいて設定を行い、メモリを高速動作させることができる。ASUSTeK ComputerやGIGABYTE TECHNOLOGYなど大手マザーボードメーカーでは、マザーボードのスペック欄でこのXMPへの対応を確認できるようにしている。
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 今回は「GA-P55-USB3」(GIGABYTE TECHNOLOGY、BIOSはF8)にDDR3-2400(駆動周波数2.4GHz、通常のDDR3-1333対応メモリの駆動周波数は1.333GHz)をサポートするTX2400KLU-4GKを装着したところ、BIOSの設定項目にXMPに対応する項目が現れた。このXMPを有効にすれば、メモリの高速動作に関する設定は完了。あとは、CPUの駆動倍率や駆動電圧などを適宜調整してCPUのオーバークロックを試していけばよい。

「GA-P55-USB3」に高速動作に対応しない「TS256MLK64V3U」を装着したところ。BIOS画面には特別変化はない。XMPに関する設定項目も表示されない

一方、XMPと高速動作に対応する「TX2400KLU-4GK」や「TX2000KLU-4GK」を装着すると、メモリの設定項目の一番上に「Extreme Memory Profile(X.M.P.)」という設定項目が現れる。この項目で「Profile1」を選択すると、メモリが高速で動作するよう自動的に設定が行われる

 表2は、規定の駆動周波数が2.8GHzのCore i7-860を3.2GHzまでオーバークロックして動作させたときに、どの程度性能が向上するのかを調べたもの。約2000の3Dオブジェクトを、CPUを使ってレンダリングし、その速度を計測する「CINEBENCH R11.5」では、約15%の性能向上がみられた。前述のファイナルファンタジーXIVオフィシャルベンチマークソフトでも約6%前後の性能向上がみられる。なお、オーバークロックの成功率はCPUの個体差にも影響されるので、どんなCPUでも今回のようにオーバークロックできるとは限らないので要注意だ。

■表2 環境と実験内容
CPU:Core i7-860(2.8GHz)
マザーボード:GA-P55-USB3(BIOSはF8)
メモリ:TX2400KLU-4GK(DDR3-2400動作)
チップセット:Intel P55
ビデオカード:ZOTAC GeForce GTS 450 AMP
HDD:Deskstar 7K1000.C HDS721050CLA362(500GB)
Core i7の駆動周波数を3.2GHzにオーバークロックしたときのベンチマークスコアを、通常の2.8GHzで動作させたときのベンチマークスコアと比較したもの

  CINEBENCH ファイナルファンタジーXIV
オフィシャルベンチマークソフト
Low High
Core i7-860(2.8GHz動作) 4.8 4055 2216
Core i7-860(3.2GHz動作) 5.55 4298 2295
※数字が大きい方が性能が高い

環境に合わせて最適なメモリを選択しよう



 ただ、高速動作するメモリは選別品だけに、それなりに高価だ。実勢価格は、DDR3-2400対応のTX2400KLU-4GKが2万円前後、DDR3-2000対応のTX2000KLU-4GKが1万6000円前後。一方、DDR3-1333対応のTS256MLK64V3Uは1枚で6000円前後、2枚で4GB分購入しても1万2000円前後だ。メーカーパソコンに増設するなど、PC自体の動作クロックが低く固定されている環境であれば、安いTS256MLK64V3Uの組み合わせでもいいだろう。

 逆に自作パソコンでXMP対応のマザーボードを使っているのであれば、多少高くても、TX2400KLU-4GKやTX2000KLU-4GKのような高性能メモリを組み合わせたほうが楽しみを増やせるというものだろう。自分の環境に合わせて、最適なメモリを増設したい。(ライター・竹内亮介)