デビューから3年、初音ミク、高まるキャラ人気と広がるVOCALOID
2007年8月31日、クリプトン・フューチャー・メディア(クリプトン)がキャラクター・ボーカル(CV)・シリーズ(CVシリーズ)として、音声合成ソフト「VOCALOID 2 初音ミク」を発売した。それから3年。「初音ミク」は、同様の音声合成ソフトやDTMの代名詞として、あるいはCGMの成功例として、ネットだけではなく、多くの人に知られるようになった。動画共有サイトで人気を集めた初音ミクの楽曲はCD化され、2010年3月にはソロコンサートも開催された。今や「ボーカロイド」という音楽の一ジャンルを確立したといっていい。楽曲に加え、キャラクターとしての人気も高い。今回は、「BCNランキング」のデータをもとに、この3年間の軌跡を振り返ろう。
はじめに断っておくと、筆者は「初音ミク」の熱心なファンというわけではない。たまに「ニコニコ動画」や「YouTube」を見て、何枚かコンピレーションアルバムを聴いた程度だ。初音ミクの動画を見ると、世の中には才能のある人、センスのある人がたくさんいる、と思い知らされる。お気に入りのオリジナル曲は「supercell」の「ワールドイズマイン」。個性的なサウンドはもちろん、生身の人間では恥ずかしくて歌えないような印象的な歌詞が耳に残る。
まずはBCNランキングのデータに基づいて、発売直後の爆発的な売れ行きとその後のロングセラーぶりを紹介しよう。なお、今後は、PCソフトを指す場合は「初音ミク」、キャラクターを指す場合は初音ミクと表記する。
「BCNランキング」では、作曲やボーカル作成などの音楽制作ソフトと、パソコンやiPodなどに保存した音楽データの管理・バックアップを行うソフトなどをまとめて「サウンド関連ソフト」として分類している。クリプトンは、2007年から3年連続で、カテゴリごとに年間販売数量1位のメーカーを表彰する「BCN AWARD」を受賞。サウンド関連ソフト部門のNo.1に輝いている。その最大の原動力は「初音ミク」だ。
サウンド関連ソフトのうち、ヤマハの音声合成技術「VOCALOID」や「VOCALOID2」を利用したVOCALOIDソフトに絞って、2007年8月から2010年7月まで、過去3年間(36か月間)の累計販売本数を集計すると、「VOCALOID 2 初音ミク」がシェア48.2%でダントツの1位だった。
公式設定によれば、「初音ミク」は16歳、得意ジャンルはアイドルポップス/ダンス系ポップス。声質はキュートでかわいらしい感じのアニメ声。製品パッケージなどに描かれているイラストレーターのKEIさんによる公式イラストとの相乗効果で、キャラクターとしても高い人気を誇る歌姫だ。
2位は、双子の女の子と男の子の2人組「VOCALOID 2 鏡音リン・レン」、3位は日本語と英語の2つの音声データベースを収録したバイリンガル女性シンガー「VOCALOID 2 巡音ルカ」、4位は2006年発売の「Vocaloid Kaito」、5位は、ライブラリを一新した2008年7月発売の「鏡音リン・レン」のバージョンアップ版「VOCALOID2 鏡音リン・レン act2」だった。
VOCALOIDソフトは、2010年8月30日現在、国内メーカーではクリプトン、インターネット、AHSの3社しか発売していない。VOCALOID、VOCALOID2同士はベースとなる技術は同じだが、歌声データベースが異なるので、声質や歌い方にそれぞれ特徴がある。クリプトンの「鏡音レン」と「Kaito」、インターネットの「がくっぽいど」、AHSの「VOCALOID2 氷山キヨテル」は男性ボーカルで、それ以外はすべて女性ボーカルだ。
「初音ミク」は、発売直後から半年以上にわたり、爆発的に売れた。「ニコニコ動画」などの動画共有サイトに公開された曲に刺激を受け、自分も同じように曲を作って発表しようと、ソフトを買い求める人が続出したからだ。ピークは2007年10月で、「初音ミク」のサウンド関連ソフト全体の販売本数に占めるシェアは57.8%に達した。順位は当然1位だ。その後、シェアは緩やかに低下し、ここ1年間は5~9%の間で推移している。
クリプトンのCVシリーズの販売本数を合算して月別にみると、最も販売本数が多かったのは「鏡音リン・レン」が発売された2007年12月。その後は低下傾向にあったが、2009年1月に「巡音ルカ」が発売されると再び増加し、新製品効果が切れると、元の水準に戻った。今年4月30日発売の「初音ミク」用の拡張音源パック「HATSUNE MIKU APPEND」は、「鏡音リン・レン」や「巡音ルカ」ほど、押し上げ効果はなかったが、それでも2010年4月・5月の販売本数は、それ以前の数か月間よりも多かった。
CVシリーズでも「初音ミク」の人気は、ずば抜けて高い。過去3年間、2007年12月、2009年1月~3月、2009年6月、2010年4月・5月を除くすべての月でサウンド関連ソフト全体のなかで販売本数1位を記録。実に36か月のうち、29か月もトップに輝いた。新しいVOCALOIDが発売されると2位に後退するものの、やがて1位に返り咲く。「初音ミク」は、キャラの人気はもちろん、扱いやすさからVOCALOIDの定番になっており、新たに挑戦する人が今なお絶えないようだ。
過去3年間のサウンド関連ソフトの総販売本数は、VOCALOIDソフトの販売本数にほぼ比例する形で推移している。VOCALOIDソフト自体、過去3年間の累計で8割を占めるクリプトンのCVシリーズの売れ行きに左右されるところが大きく、全体的に大きく伸びているわけではない。
実は、VOCALOIDの“敷居”はやや高め。ソフトを購入すれば、誰でも簡単にボーカル曲を作成できるわけではなく、アカペラでない限り、BGMを作る音楽制作ソフトや機材が必要。何よりVOCALOIDを思いのままに歌わせる“調教”のテクニックが必要となる。とはいえ、DTM自体の敷居の高さやパソコンソフト全般の売れ行き不振を考慮すると、VOCALOIDという新しい分野を確立し、定着させたと断言していい。
「初音ミク」の3周年を記念するかのように、ここにきて、新しいVOCALOIDが続々と発表され、再び盛り上がりつつある。インターネットは、音楽グループ「m.o.v.e」のボーカリストが声をあてた「VOCALOID2 Lily」を8月25日に発売し、さらに10月8日には、人気キャラクター「ガチャピン」の声を元に制作した「VOCALOID2 ガチャッポイド」を発売する予定。また、ビープラッツは「ボーカロイドストア」限定で、ヤマハが開発したキャラ設定のない「VY1」を9月1日に発売する。
このほか、まだ正式発表されていないものの、AHSから、ハローキティ50周年を記念したVOCALOIDが10月に発売されるそうだ。また、自分の声で歌わせることができるフリーソフト「UTAU」も話題になっている。
そのほか、替え歌・オリジナル曲・MADやイラスト・Flashアニメなど、ユーザーが自発的に制作した作品から、フィギュア、グッズ、ゲーム、コミックなどの商業作品まで、多方面に広がっている。PSP用ゲーム「初音ミク -Project DIVA-」からの派生イベントとして、2010年3月9日(ミクの日)には初のソロコンサートも開催された。7月29日にはシリーズ第2弾「初音ミク -Project DIVA- 2nd」が発売され、動画共有サイトには、このゲームの機能を利用して作成されたと思われる動画が多数アップされている。
なぜ、初音ミクがここまで人気を得たのだろうか? シリーズ第1弾のインパクトもさることながら、その声と容姿の奇跡的なバランスのよさにあるだろう。時にキュートで、時にクールな歌声が幅広く受け入れられた。キャラ絵も歌声と同じ。書き手によって、美人にも癒し系の“ゆるキャラ”にも変わる幅に広さが魅力だ。ユーザー投稿型の動画共有サイトは、ニュースや討論など一部のジャンルを除き、“暇つぶし”の側面が強いが、数々のミク動画は、お金をほとんどかけずに楽しめる究極のエンタテインメントだろう。
「初音ミク」をはじめとするパソコンソフトの「VOCALOID」は、データをみる限り、需要が一巡し、頭打ちの感は否めない。今年発表された新しいソフトや、今後登場すると思われるCVシリーズの“新人”に期待したい。とはいえ、VOCALOIDの楽曲自体は、音楽の一ジャンルとして定着しつつある。PCソフトそのものの売れ行きは鈍っても、この3年間で、確実にVOCALOID市場は拡大したといえるだろう。
一方、キャラクターとしての初音ミクは、さまざまな分野を巻き込み、成長を続けている。鏡音リン・レン、巡音ルカなど、他のCVシリーズも、初音ミク同様、キャラクターとして人気を得ている。なかには曲や元となるソフトの存在をまったく知らず、イラストだけのファンもいるだろう。PCソフト発の国民的キャラクターとして、今後もますます広がりを見せそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで129品目を対象としています。
*VOCALOIDソフトは、Webサイト「VOCALOID」で公開されているリストをもとに集計しています。
ボーカロイドで一番売れたのはやっぱり「初音ミク」
はじめに断っておくと、筆者は「初音ミク」の熱心なファンというわけではない。たまに「ニコニコ動画」や「YouTube」を見て、何枚かコンピレーションアルバムを聴いた程度だ。初音ミクの動画を見ると、世の中には才能のある人、センスのある人がたくさんいる、と思い知らされる。お気に入りのオリジナル曲は「supercell」の「ワールドイズマイン」。個性的なサウンドはもちろん、生身の人間では恥ずかしくて歌えないような印象的な歌詞が耳に残る。
まずはBCNランキングのデータに基づいて、発売直後の爆発的な売れ行きとその後のロングセラーぶりを紹介しよう。なお、今後は、PCソフトを指す場合は「初音ミク」、キャラクターを指す場合は初音ミクと表記する。
「BCNランキング」では、作曲やボーカル作成などの音楽制作ソフトと、パソコンやiPodなどに保存した音楽データの管理・バックアップを行うソフトなどをまとめて「サウンド関連ソフト」として分類している。クリプトンは、2007年から3年連続で、カテゴリごとに年間販売数量1位のメーカーを表彰する「BCN AWARD」を受賞。サウンド関連ソフト部門のNo.1に輝いている。その最大の原動力は「初音ミク」だ。
サウンド関連ソフトのうち、ヤマハの音声合成技術「VOCALOID」や「VOCALOID2」を利用したVOCALOIDソフトに絞って、2007年8月から2010年7月まで、過去3年間(36か月間)の累計販売本数を集計すると、「VOCALOID 2 初音ミク」がシェア48.2%でダントツの1位だった。
順位 | メーカー | 品名 | 発売年月 | 販売本数 シェア (%) |
1 | クリプトン・フューチャー・メディア | VOCALOID 2 初音ミク | 2007/08 | 48.2 |
2 | クリプトン・フューチャー・メディア | VOCALOID 2 鏡音リン・レン | 2007/12 | 14.0 |
3 | クリプトン・フューチャー・メディア | VOCALOID 2 巡音ルカ | 2009/01 | 12.1 |
4 | クリプトン・フューチャー・メディア | Vocaloid Kaito | 2006/02 | 7.2 |
5 | クリプトン・フューチャー・メディア | VOCALOID2 鏡音リン・レン act2 | 2008/07 | 6.1 |
6 | INTERNET | がくっぽいど | 2008/07 | 3.8 |
7 | クリプトン・フューチャー・メディア | HATSUNE MIKU APPEND | 2010/04 | 2.7 |
8 | INTERNET | VOCALOID2 Megpoid(メグッポイド) 初回限定版 | 2009/06 | 1.9 |
9 | クリプトン・フューチャー・メディア | MEIKO | 2004/11 | 1.6 |
10 | AHS | VOCALOID2 SF-A2 開発コード miki | 2009/12 | 0.6 |
公式設定によれば、「初音ミク」は16歳、得意ジャンルはアイドルポップス/ダンス系ポップス。声質はキュートでかわいらしい感じのアニメ声。製品パッケージなどに描かれているイラストレーターのKEIさんによる公式イラストとの相乗効果で、キャラクターとしても高い人気を誇る歌姫だ。
2位は、双子の女の子と男の子の2人組「VOCALOID 2 鏡音リン・レン」、3位は日本語と英語の2つの音声データベースを収録したバイリンガル女性シンガー「VOCALOID 2 巡音ルカ」、4位は2006年発売の「Vocaloid Kaito」、5位は、ライブラリを一新した2008年7月発売の「鏡音リン・レン」のバージョンアップ版「VOCALOID2 鏡音リン・レン act2」だった。
クリプトン・フューチャー・メディアのCVシリーズ「VOCALOID 2 初音ミク」「同 鏡音リン・レン」「同 巡音ルカ」
VOCALOIDソフトは、2010年8月30日現在、国内メーカーではクリプトン、インターネット、AHSの3社しか発売していない。VOCALOID、VOCALOID2同士はベースとなる技術は同じだが、歌声データベースが異なるので、声質や歌い方にそれぞれ特徴がある。クリプトンの「鏡音レン」と「Kaito」、インターネットの「がくっぽいど」、AHSの「VOCALOID2 氷山キヨテル」は男性ボーカルで、それ以外はすべて女性ボーカルだ。
インターネットの「がくっぽいど」、AHSの「VOCALOID2 SF-A2 開発コード miki」
「初音ミク」は、発売直後から半年以上にわたり、爆発的に売れた。「ニコニコ動画」などの動画共有サイトに公開された曲に刺激を受け、自分も同じように曲を作って発表しようと、ソフトを買い求める人が続出したからだ。ピークは2007年10月で、「初音ミク」のサウンド関連ソフト全体の販売本数に占めるシェアは57.8%に達した。順位は当然1位だ。その後、シェアは緩やかに低下し、ここ1年間は5~9%の間で推移している。
クリプトンのCVシリーズの販売本数を合算して月別にみると、最も販売本数が多かったのは「鏡音リン・レン」が発売された2007年12月。その後は低下傾向にあったが、2009年1月に「巡音ルカ」が発売されると再び増加し、新製品効果が切れると、元の水準に戻った。今年4月30日発売の「初音ミク」用の拡張音源パック「HATSUNE MIKU APPEND」は、「鏡音リン・レン」や「巡音ルカ」ほど、押し上げ効果はなかったが、それでも2010年4月・5月の販売本数は、それ以前の数か月間よりも多かった。
CVシリーズでも「初音ミク」の人気は、ずば抜けて高い。過去3年間、2007年12月、2009年1月~3月、2009年6月、2010年4月・5月を除くすべての月でサウンド関連ソフト全体のなかで販売本数1位を記録。実に36か月のうち、29か月もトップに輝いた。新しいVOCALOIDが発売されると2位に後退するものの、やがて1位に返り咲く。「初音ミク」は、キャラの人気はもちろん、扱いやすさからVOCALOIDの定番になっており、新たに挑戦する人が今なお絶えないようだ。
過去3年間のサウンド関連ソフトの総販売本数は、VOCALOIDソフトの販売本数にほぼ比例する形で推移している。VOCALOIDソフト自体、過去3年間の累計で8割を占めるクリプトンのCVシリーズの売れ行きに左右されるところが大きく、全体的に大きく伸びているわけではない。
実は、VOCALOIDの“敷居”はやや高め。ソフトを購入すれば、誰でも簡単にボーカル曲を作成できるわけではなく、アカペラでない限り、BGMを作る音楽制作ソフトや機材が必要。何よりVOCALOIDを思いのままに歌わせる“調教”のテクニックが必要となる。とはいえ、DTM自体の敷居の高さやパソコンソフト全般の売れ行き不振を考慮すると、VOCALOIDという新しい分野を確立し、定着させたと断言していい。
「初音ミク」の3周年を記念するかのように、ここにきて、新しいVOCALOIDが続々と発表され、再び盛り上がりつつある。インターネットは、音楽グループ「m.o.v.e」のボーカリストが声をあてた「VOCALOID2 Lily」を8月25日に発売し、さらに10月8日には、人気キャラクター「ガチャピン」の声を元に制作した「VOCALOID2 ガチャッポイド」を発売する予定。また、ビープラッツは「ボーカロイドストア」限定で、ヤマハが開発したキャラ設定のない「VY1」を9月1日に発売する。
CVシリーズのようにキャラクター「Lily」が設定されたインターネットの「VOCALOID2 Lily」と、反対にキャラ設定のない「VY1」(デラックスパッケージ)
このほか、まだ正式発表されていないものの、AHSから、ハローキティ50周年を記念したVOCALOIDが10月に発売されるそうだ。また、自分の声で歌わせることができるフリーソフト「UTAU」も話題になっている。
キャラクターとして、ビジネスとして一人歩きする初音ミク
ここまでは、PCソフト「初音ミク」に関する話。ミクの歌声とかわいらしい容姿のキャラクターは、さまざまな分野で人気を集めている。最も顕著なのは、音楽CDだろう。動画共有サイトで人気の楽曲を集めたコンピアルバムが多数発売され、そのうちの一つ「EXIT TUNES PRESENTS Vocalogenesis feat. 初音ミク」は、2010年5月31日付けのオリコンウィークリーアルバムランキングの1位を獲得した。
そのほか、替え歌・オリジナル曲・MADやイラスト・Flashアニメなど、ユーザーが自発的に制作した作品から、フィギュア、グッズ、ゲーム、コミックなどの商業作品まで、多方面に広がっている。PSP用ゲーム「初音ミク -Project DIVA-」からの派生イベントとして、2010年3月9日(ミクの日)には初のソロコンサートも開催された。7月29日にはシリーズ第2弾「初音ミク -Project DIVA- 2nd」が発売され、動画共有サイトには、このゲームの機能を利用して作成されたと思われる動画が多数アップされている。
PSP用音楽ゲーム「初音ミク -Project DIVA-」のアーケードゲーム版「初音ミク Project DIVA Arcad」の画面イメージ
なぜ、初音ミクがここまで人気を得たのだろうか? シリーズ第1弾のインパクトもさることながら、その声と容姿の奇跡的なバランスのよさにあるだろう。時にキュートで、時にクールな歌声が幅広く受け入れられた。キャラ絵も歌声と同じ。書き手によって、美人にも癒し系の“ゆるキャラ”にも変わる幅に広さが魅力だ。ユーザー投稿型の動画共有サイトは、ニュースや討論など一部のジャンルを除き、“暇つぶし”の側面が強いが、数々のミク動画は、お金をほとんどかけずに楽しめる究極のエンタテインメントだろう。
ミクをきっかけに、音楽の一ジャンルとして定着したVOCALOID
「初音ミク」をはじめとするパソコンソフトの「VOCALOID」は、データをみる限り、需要が一巡し、頭打ちの感は否めない。今年発表された新しいソフトや、今後登場すると思われるCVシリーズの“新人”に期待したい。とはいえ、VOCALOIDの楽曲自体は、音楽の一ジャンルとして定着しつつある。PCソフトそのものの売れ行きは鈍っても、この3年間で、確実にVOCALOID市場は拡大したといえるだろう。
一方、キャラクターとしての初音ミクは、さまざまな分野を巻き込み、成長を続けている。鏡音リン・レン、巡音ルカなど、他のCVシリーズも、初音ミク同様、キャラクターとして人気を得ている。なかには曲や元となるソフトの存在をまったく知らず、イラストだけのファンもいるだろう。PCソフト発の国民的キャラクターとして、今後もますます広がりを見せそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで129品目を対象としています。
*VOCALOIDソフトは、Webサイト「VOCALOID」で公開されているリストをもとに集計しています。