LCDに広がるテレビの最新技術、LEDに超解像技術、3Dを手軽に体感!

特集

2010/08/27 18:45

 液晶ディスプレイ市場が活性化している。「BCNランキング」2010年7月の前年同月比は、数量・金額ともにマイナス幅は縮小し、回復の兆しがみえる。注目は、LEDや超解像技術、3Dなど、テレビの技術を取り入れてきていること。手持ちの地デジチューナー内蔵PCと接続すれば、テレビと比べて圧倒的に安く最新の技術を体感できる。最近の液晶ディスプレイ市場の動きをまとめた。

参入メーカーぞくぞく、LEDバックライト搭載モデルが10%超え



 液晶ディスプレイの前年同月比は、2010年に入ってから数量・金額ともに下降傾向が続いていたが、7月は、数量で0.3%減、金額で0.2%減と、ともに前年を割り込んだもののマイナス幅は小さくなり、回復傾向にある。 


 現在の液晶ディスプレイのトレンドは、LEDや超解像技術、3Dなど、テレビで浸透しつつある技術を搭載していること。中でもLEDバックライト搭載モデルは、LEDテレビの人気もあって注目を集めている。

 LED液晶ディスプレイは、09年6月にLGエレクトロニクスが普及価格帯で初めて投入。その後、サムスン、BenQジャパン、日本エイサーが続き、今年に入ると、アイ・オー・データ機器、マウスコンピューターなどが製品を発売した。液晶ディスプレイ全体のLEDモデルの販売台数構成比は徐々に拡大。7月は13.2%と初めて10%を超えた。

 LEDモデルだけで7月のメーカー別・販売台数シェアをみると、LGエレクトロニクスが43.4%で1位を獲得している。豊富なラインアップと、7月の税別平均単価で約2万円という手頃な価格帯であることが人気を集めているようだ。 


 LGエレクトロニクスは、「今後の新製品はすべてLEDバックライトを採用していく」(梁盛植・マーケティングマネージャー マーケティング企画)としていて、国内での液晶ディスプレイ全体の中でのLEDバックライト搭載モデルの販売台数構成比は、「10年中には15%、11年中には30%超えるだろう」(同)とみている。 

LGエレクトロニクス「W2486L-PF」

 海外メーカーが先行するLEDモデルだが、三菱電機も「今年の秋には投入したい。LEDには長所と短所があるので、高速応答などの長所を生かした製品作りを進めたい」(村田光司・デジタルメディア事業部 モニター事業センター長)とする。今後、国内メーカーが参入すれば、LEDモデルはさらに拡大していくだろう。

超解像技術や3Dモデルも登場、最新技術を安価に楽しめる



 低解像度の映像を補正して解像感を高める超解像技術も、まずテレビで始まり、昨年から液晶ディスプレイに流れてきている機能だ。初めて市場に投入したのは、三菱電機。09年5月に超解像技術搭載モデル「RDT231WM」「RDT231WM-S」を発売。11月には超解像技術に加えて視野角が広いIPSパネルを採用した「RDT231WM-X」を投入したことで、販売台数シェアを伸ばした。三菱電機の3万円台後半という実勢価格に対して、LGエレクトロニクスは、10年4月に超解像技術搭載モデル「E2350VR」「E2250VR」を実勢価格2万円台前半で発売し、市場にインパクトを与えた。 

三菱電機「RDT231WM-X」

 そして、今、テレビで話題の最新技術といえば、3Dだろう。液晶ディスプレイとしては、LGエレクトロニクス、日本エイサー、サムスン、ザルマンなどが販売している。液晶ディスプレイ全体の中での3Dモデルの販売台数構成比は、7月の時点で1.1%とまだ小さいが、TWOTOP秋葉原本店では「入荷すると売れていく状態。120Hz倍速駆動で、2Dの映像も滑らかに表示するので、今すぐ3Dを見たいというよりは、パネル自体の性能のよさで売れている」(鈴木浩二スタッフ)という。 

ザルマン「ZM-M215WGD」

 7月の3D液晶ディスプレイの税別平均単価は3万円台後半。3D対応グラフィックスなどを別途購入しても、テレビより手軽に3Dを楽しめる。

 高コントラスト比と省電力、薄型などがメリットのLEDバックライト採用モデルも、平均単価は約2万円。画面サイズはテレビに比べると小さめだが、最新の技術を手軽に試したいのなら、液晶ディスプレイを選択するのも一つの手だ。(BCN・武井美野里)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで129品目を対象としています。