ソニー、「α」の普及機“スピード一眼”、高速連写やAF動画など手軽さを追求

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2010/08/24 21:02

 ソニーは、8月24日、デジタル一眼カメラ「α」の新製品として、レンズ交換式デジタル一眼カメラとして世界で初めて光を通す「透過ミラー」を採用したAマウントの普及機「α55」と「α33」を、9月10日に発売すると発表した。価格はオープン。


透過ミラーを採用した「α55」

 デジタル一眼カメラの一般的なミラーの代わりに、光を通すミラーを用いたことで、常にAFセンサとイメージセンサに光を同時に当てる「Translucent Mirror Technology」を搭載。シャッターを切った時のミラー部分のアップダウンがなくなることで、1秒間に最高10コマの高速連写を実現した。静止画でも動画でも、TTL位相差検出方式AFで瞬時に被写体を捉え、ピントを合わせる。

 動画撮影は、被写体が前後に動いてもピントを合わせ続ける「クイックAFフルHDムービー」を装備。マニュアルでピントを合わせる必要がなく、解像度1920×1080のフルハイビジョン動画を手軽に撮影することができる。

α55

 従来モデルからの「クイックAFライブビュー」を進化させ、ファインダー、液晶モニタとも、高精細なライブビュー撮影ができる。ファインダーには100%の視野率を実現した電子ビューファインダー「Tru-Finder」を採用。液晶モニタはバリアングルチルト式で、ハイ/ローアングルなどさまざまな撮影スタイルが楽しめる。

 撮像素子にはAPS-CサイズのCMOSセンサ。画像処理エンジン「BIONZ」と組み合わせることで、高精細な写真を撮影することができる。上位モデル「α55」には、新開発の「Exmor APS HD CMOSセンサー」を採用し、感度を約20%向上したほか、ノイズレベルを約30%低減した。

α33

 撮影機能として、高速で連続撮影した6枚の写真を重ね合わせて一枚の写真を合成し、ノイズを低減する「マルチショットNR」、手ブレやノイズを抑えた夜景撮影が楽しめる「手持ち夜景」、広がりのある風景などをワイドな画角で収めることができる「スイングパノラマ」「3Dスイングパノラマ」などを備える。

 「α55」はGPS機能を搭載し、写真に撮影場所の位置情報を記録することができる。同社のテレビ「ブラビア」のフォトマップ機能を使えば、撮影場所を地図に表示することが可能。

従来の一眼レフカメラとの構造の違い

 記録フォーマットは、静止画がJPEGとRAW、JPEG+RAW、動画がAVCHD/MP4。メモリカードは、メモリースティック PRO デュオ、メモリースティック PRO-HG デュオ、SD/SDHC/SDXCカードに対応。ボディは「Translucent Mirror Technology」の採用がミラーボックス内の機構の削減と簡素化につながり、小型化に成功した。サイズは、幅124.4×高さ92×奥行き84.7mm。本体重量は「α55」が約441g、「α33」が約433g。カラーはともにブラック。

ボディの内部構造(α55)

 ラインアップと実勢価格は、有効約1620万画素「α55」のボディ「SLT-A55V」が9万円前後、交換レンズ「DT18-55mm F3.5-5.6 SAM」をセットにしたズームレンズキット「SLT-A55VL」が9万5000円前後、「SLT-A55VL」に「DT55-200mm F4-5.6 SAM」をセットにしたダブルズームレンズキット「SLT-A55VY」が11万5000円前後の見込み。

 有効約1420万画素の「α33」は、ボディのみの「SLT-A33」が7万5000円前後、「DT18-55mm F3.5-5.6 SAM」をセットにしたズームレンズキット「SLT-A33L」が8万円前後、「SLT-A33L」に「DT55-200mm F4-5.6 SAM」をセットにしたダブルズームレンズキット「SLT-A33Y」が10万円前後の見込み。

α55に搭載する「Translucent Mirror Technology」

 同時に、交換レンズの新製品として、35mm判に対応するカールツァイスの「Distagon T* 24mm F2 ZA SSM」、エントリー向けの「はじめてレンズ」として「85mm F2.8 SAM」「DT35mm F1.8 SAM」を発表。「Distagon T* 24mm F2 ZA SSM」が9月17日、「85mm F2.8 SAM」が9月10日、「DT35mm F1.8 SAM」が10月の発売予定。また、アクセサリとして、動画撮影向けのステレオマイクロホン「ECM-ALST1」とショットガンマイク「ECM-CG50」を発売する。

勝本徹事業部長

 発表会の挨拶で、パーソナルイメージング&サウンド事業本部イメージング第3事業部の勝本徹事業部長は、普及機に新技術の「Translucent Mirror Technology」を採用した理由について、「高速連写やライブビュー撮影など、誰にとっても使いやすく、わかりやすいカメラを作りたかった」と説明。「α55」「α33」は、初めて一眼カメラを買った後、撮影スキルが向上しても使い続けられ、かつ満足できるものを目指したという。

 また、Eマウントレンズを採用するミラーレス一眼「NEXシリーズ」を「小型一眼」としているのに対し、「α55」と「α33」は「スピード一眼」と位置づけた。「Aマウントは引き続き基本性能、撮影機能を高めていく。AマウントとEマウントの二つで、『α』のラインアップを強化する」と製品戦略を語り、「デジタル一眼カメラの世界にまだないものを投入し、市場全体を活性化していきたい」と今後の方針を述べた。