見る角度を選ばない液晶ディスプレイ、LEDバックライト搭載の日本サムスン「BX2450」
いま液晶ディスプレイ市場では、LEDバックライト搭載モデルが急速に増えつつある。そんななか、とくに注目株が、日本サムスンが6月中旬に発売した「BX2450」だ。フルハイビジョン(フルHD)の表示やさまざまな機器と接続できる十分なコネクタ類など、これからの液晶ディスプレイに必要な性能をすべて兼ね備えている。その全貌に迫ろう。
液晶テレビで最近よく見かけるようになった「LED」(Light Emitting Diode:発光ダイオード)。実は液晶ディスプレイのバックライトにも広がってきている。これまでの液晶ディスプレイのバックライトは、蛍光管(CCFL)方式が多数を占めていた。しかし、2009年夏頃から徐々にLED搭載モデルが出始め、10年6月の「BCNランキング」販売台数構成比では、CCFL方式の90.5%に対して、LED方式は9.5%と、この1年で約1割の構成比を獲得するほどの勢いをみせている。今後、LEDが勢力を増し、ある時点で逆転することになるだろう。
LEDバックライトを採用するメリットはどこにあるのだろうか。一つは、黒が引き締まり、コントラスト比が大幅にアップすること。メリハリの効いた映像表現を実現する。また、CCFL方式と比べて、省電力であることも挙げられる。さらに、CCFL方式で必要だった電源が背面にいらなくなり、本体を薄く、軽くできることも強みだ。
一方、デメリットとして、以前は製造コストが高く、単価が高くなっていたということがある。しかし、各メーカーの生産体制が確立しつつある現在では、その問題は解決に向かっている。「BCNランキング」6月の税別の平均価格をみると、CCFL方式が2万2000円程度なのに対して、LED方式は2万円程度。いまではむしろ、CCFLよりもLEDの方が価格が安くなっている。
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こうしたさまざまな特徴をもつLEDバックライト搭載モデル。対応製品を積極的に市場に展開しているメーカーの一つが、日本サムスンだ。LED対応モデルのラインアップの拡充として、デザインを追求した薄型の「PX2370」と、中核として位置付けている「BXシリーズ」から「BX2250」「BX2350」「BX2450」の4モデルを6月中旬に発売した。今回は、BXシリーズの中で画面サイズが最大の24型ワイド「BX2450」を紹介しよう。
「BX2450」は、LEDバックライトを採用したことで、すぐれたコントラストを再現するだけでなく、同じ画面サイズの従来モデルと比較して約40%もの消費電力の削減に成功している。また、製造過程でハロゲンフリーや鉛フリーを実現し、使用する部材の環境への負荷を低減している。その性能は、電子製品の米国環境基準であるEPEAT(イーピート、Electronic Products Environmental Assessment Tools)で、最高ランクの「GOLD」を取得するなど、高い評価を受けている。
こうした製造での環境配慮に加え、製品には独自のエコ機能「MagicEco」を搭載。室内の光の状況に応じて、消費電力のレベルを「50%」「75%」「100%」の三つから選ぶことができる。長時間液晶ディスプレイを使うユーザーにとってはうれしい機能だ。また、プライベートだけでなく、あらゆる点で経費節減が求められるビジネスシーンでも活躍する。
日本サムスンのLEDバックライト搭載モデルには、前述した薄さを追求した23型ワイド「PX2370」があるが、「BX2450」も負けず劣らずスリムだ。スタンド部を除いた奥行きはわずか67.54mmと薄く、場所を問わず設置することができる。
デザインもサムスンらしくシンプルで、かつ存在を主張する美しさに溢れている。自室だけでなく、職場の机に置いても違和感なく溶け込んでくれる。一方、対照的に、背面はぬくもりを感じる彫加工を施し、インテリアを強く意識している。ボタン類はすべてタッチセンサーでフレームの右下に集約しており、目立った突起は見あたらない。これがすっきりした外観のポイントになっている。
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肝心の液晶パネルは、1920×1080ドットのフルHDに対応。地上デジタル放送やブルーレイディスク(BD)、デジタルビデオカメラなどのハイビジョンコンテンツを余すところなく映し出す。コントラストは、ダイナミックコントラスト比500万対1という高い比率を実現。引き締まった黒を表現するとともに、鮮明で深みのある色を再現する。
実際、手持ちのモバイルノートPCに収めたデジタルカメラの写真をHDMIケーブル経由で映し出したところ、「これが、PC画面に出力した写真と同じもの?」という言葉が自然と漏れてしまうほど、モバイルノートPCの画面で見るよりもはるかに鮮やかで引き締まった色彩だった。
2msという応答速度も特徴の一つだ。動きの激しいゲームや映画でも、ブレなく輪郭のくっきりした映像を表示する。また、コネクタ類は映像端子として、HDMI端子2基とアナログRGB端子1基を備える。とくにHDMI端子を2基装備する点は、使い勝手の面でポイントが高い。PCのほか、家庭用ゲーム機やBDレコーダー、デジタルカメラやデジタルビデオカメラなど、さまざまな機器を接続することができる。手持ちのAV機器との連携を重視する人にもオススメだ。
このほかユニークなのが、画面を見る角度に合わせて最適な映像を表示する「MagicAngle」機能だ。複数人でディスプレイを見るときに適している「Group View」、サイドから画面が見やすくなる「Side Mode」、リクライニングチェアなどからだを後ろに傾けながら画面を見るときに便利な「Lean Back Mode」があり、視聴シーンによって切り替えることができる。ビジネスシーンなら、「Group View」や「Side Mode」は、画面上の情報を共有するときに重宝することだろう。
前述した「BCNランキング」のデータからわかるように、液晶ディスプレイのバックライトは、これまで長らく主役の座を保ってきたCCFLから、メリットの多いLEDへと方式が移りつつある。来年以降は、より急速にLEDバックライト搭載モデルの割合が増えていくだろう。
鮮やかな映像を表現するフルHD対応液晶パネルや、すぐれた省エネ性、充実したコネクタ類と独自の表示調整機能、飽きのこないデザインなど、これからの時代の液晶ディスプレイに求められるすべての要素を合わせもつ「BX2450」は、いま選んでおいて間違いのないモデルだといえる。新しい液晶ディスプレイを探している人はもちろん、手持ちのディスプレイの映像のクオリティに不満を感じている人は、ぜひ購入を検討したい一台だ。(ITジャーナリスト・市川昭彦)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで129品目を対象としています。
LEDバックライト搭載率がまもなく1割に
日本サムスンの「BX2450」
液晶テレビで最近よく見かけるようになった「LED」(Light Emitting Diode:発光ダイオード)。実は液晶ディスプレイのバックライトにも広がってきている。これまでの液晶ディスプレイのバックライトは、蛍光管(CCFL)方式が多数を占めていた。しかし、2009年夏頃から徐々にLED搭載モデルが出始め、10年6月の「BCNランキング」販売台数構成比では、CCFL方式の90.5%に対して、LED方式は9.5%と、この1年で約1割の構成比を獲得するほどの勢いをみせている。今後、LEDが勢力を増し、ある時点で逆転することになるだろう。
LEDバックライトを採用するメリットはどこにあるのだろうか。一つは、黒が引き締まり、コントラスト比が大幅にアップすること。メリハリの効いた映像表現を実現する。また、CCFL方式と比べて、省電力であることも挙げられる。さらに、CCFL方式で必要だった電源が背面にいらなくなり、本体を薄く、軽くできることも強みだ。
一方、デメリットとして、以前は製造コストが高く、単価が高くなっていたということがある。しかし、各メーカーの生産体制が確立しつつある現在では、その問題は解決に向かっている。「BCNランキング」6月の税別の平均価格をみると、CCFL方式が2万2000円程度なのに対して、LED方式は2万円程度。いまではむしろ、CCFLよりもLEDの方が価格が安くなっている。
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エコロジーをとことん追求! 部材や消費電力を抑える機能など
こうしたさまざまな特徴をもつLEDバックライト搭載モデル。対応製品を積極的に市場に展開しているメーカーの一つが、日本サムスンだ。LED対応モデルのラインアップの拡充として、デザインを追求した薄型の「PX2370」と、中核として位置付けている「BXシリーズ」から「BX2250」「BX2350」「BX2450」の4モデルを6月中旬に発売した。今回は、BXシリーズの中で画面サイズが最大の24型ワイド「BX2450」を紹介しよう。
「BX2450」は24型ワイド液晶を搭載
「BX2450」は、LEDバックライトを採用したことで、すぐれたコントラストを再現するだけでなく、同じ画面サイズの従来モデルと比較して約40%もの消費電力の削減に成功している。また、製造過程でハロゲンフリーや鉛フリーを実現し、使用する部材の環境への負荷を低減している。その性能は、電子製品の米国環境基準であるEPEAT(イーピート、Electronic Products Environmental Assessment Tools)で、最高ランクの「GOLD」を取得するなど、高い評価を受けている。
こうした製造での環境配慮に加え、製品には独自のエコ機能「MagicEco」を搭載。室内の光の状況に応じて、消費電力のレベルを「50%」「75%」「100%」の三つから選ぶことができる。長時間液晶ディスプレイを使うユーザーにとってはうれしい機能だ。また、プライベートだけでなく、あらゆる点で経費節減が求められるビジネスシーンでも活躍する。
「MagicEco」の設定画面
日本サムスンのLEDバックライト搭載モデルには、前述した薄さを追求した23型ワイド「PX2370」があるが、「BX2450」も負けず劣らずスリムだ。スタンド部を除いた奥行きはわずか67.54mmと薄く、場所を問わず設置することができる。
LEDバックライトの採用で薄型ボディを実現
デザインもサムスンらしくシンプルで、かつ存在を主張する美しさに溢れている。自室だけでなく、職場の机に置いても違和感なく溶け込んでくれる。一方、対照的に、背面はぬくもりを感じる彫加工を施し、インテリアを強く意識している。ボタン類はすべてタッチセンサーでフレームの右下に集約しており、目立った突起は見あたらない。これがすっきりした外観のポイントになっている。
ぬくもりを感じる背面の彫加工
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「どこから見てもクッキリ」を実現するMagicAngle
肝心の液晶パネルは、1920×1080ドットのフルHDに対応。地上デジタル放送やブルーレイディスク(BD)、デジタルビデオカメラなどのハイビジョンコンテンツを余すところなく映し出す。コントラストは、ダイナミックコントラスト比500万対1という高い比率を実現。引き締まった黒を表現するとともに、鮮明で深みのある色を再現する。
実際、手持ちのモバイルノートPCに収めたデジタルカメラの写真をHDMIケーブル経由で映し出したところ、「これが、PC画面に出力した写真と同じもの?」という言葉が自然と漏れてしまうほど、モバイルノートPCの画面で見るよりもはるかに鮮やかで引き締まった色彩だった。
スイッチ類は触れるだけのタッチセンサー式
2msという応答速度も特徴の一つだ。動きの激しいゲームや映画でも、ブレなく輪郭のくっきりした映像を表示する。また、コネクタ類は映像端子として、HDMI端子2基とアナログRGB端子1基を備える。とくにHDMI端子を2基装備する点は、使い勝手の面でポイントが高い。PCのほか、家庭用ゲーム機やBDレコーダー、デジタルカメラやデジタルビデオカメラなど、さまざまな機器を接続することができる。手持ちのAV機器との連携を重視する人にもオススメだ。
アナログRGB端子に加え、HDMI端子を2基装備する
このほかユニークなのが、画面を見る角度に合わせて最適な映像を表示する「MagicAngle」機能だ。複数人でディスプレイを見るときに適している「Group View」、サイドから画面が見やすくなる「Side Mode」、リクライニングチェアなどからだを後ろに傾けながら画面を見るときに便利な「Lean Back Mode」があり、視聴シーンによって切り替えることができる。ビジネスシーンなら、「Group View」や「Side Mode」は、画面上の情報を共有するときに重宝することだろう。
「MagicAngle」の設定画面
前述した「BCNランキング」のデータからわかるように、液晶ディスプレイのバックライトは、これまで長らく主役の座を保ってきたCCFLから、メリットの多いLEDへと方式が移りつつある。来年以降は、より急速にLEDバックライト搭載モデルの割合が増えていくだろう。
「Side Mode」ならサイドから見てもくっきり
鮮やかな映像を表現するフルHD対応液晶パネルや、すぐれた省エネ性、充実したコネクタ類と独自の表示調整機能、飽きのこないデザインなど、これからの時代の液晶ディスプレイに求められるすべての要素を合わせもつ「BX2450」は、いま選んでおいて間違いのないモデルだといえる。新しい液晶ディスプレイを探している人はもちろん、手持ちのディスプレイの映像のクオリティに不満を感じている人は、ぜひ購入を検討したい一台だ。(ITジャーナリスト・市川昭彦)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで129品目を対象としています。