2010年上半期、デジタル一眼1位はニコン、ミラーレス好調で変化の兆しも
レンズ交換型デジタルカメラ市場は、フィルムカメラ時代からの高い技術力とレンズ資産をもつキヤノン・ニコンの2社が全体の8割前後を占める「2強」の状態が長らく続いていた。しかし、マイクロフォーサーズ規格などに準拠した「ミラーレス一眼」の台頭で、上位2社の占有率はややダウン。これまでの「2強」対「その他」の構図が変わりそうな兆しが出てきた。
「BCNランキング」によると、従来のデジタル一眼レフカメラとミラーレス一眼を合算した「レンズ交換型デジタルカメラ(デジタル一眼カメラ)」の2010年上半期のメーカー別販売台数1位は、エントリー向けからプロ向けまで幅広く展開するニコンが獲得。2009年の年間1位だったキヤノンは2位に後退した。シェアはニコンが34.0%、キヤノンが31.4%。わずか2.6ポイント差だった。
3位はパナソニック(10.9%)、4位はPENTAXブランドのHOYA(7.8%)、5位はオリンパス(7.7%)、6位はソニー(7.5%)だった。4位から6位までのシェアの差はわずか0.3ポイント。3位と4位の差も3.1ポイントとそれほど離れておらず、この4社をまとめて「3位グループ」とみなしていい。
2009年の年間データでは、キヤノンがシェア39.1%で1位、ニコンが31.3%で2位で、両社のシェアの合計は70.4%だった。2009年と2010年上半期を比較すると、ニコンのシェアは若干上がったものの、キヤノンのシェアが下がり、上位2社の占有率は65.4%と、5ポイントダウンした。代わってパナソニックをはじめとする3位グループが追い上げている。
上位6社のうち、ニコン、キヤノン、HOYAは「ミラーレス一眼」と呼ばれるタイプのカメラを製品化していない。ミラーレス機を主力にしているのはパナソニックとオリンパス。ソニーは、“α” Aマウントのデジタル一眼レフと“α” Eマウントのミラーレス一眼の両方をラインアップする。
2010年上半期の月ごとのデジタル一眼のメーカー別販売台数シェアは、2010年3月以外はすべてニコンがトップ。しかし、直近の6月はニコン(30.8%)、キヤノン(26.6%)に続き、6月に発売したミラーレス機「NEX-5」「NEX-3」が好調のソニーがシェア19.4%で3位に食い込んでいる。デジタル一眼全体の販売台数に占める「ミラーレス一眼」の比率も、5月の18.8%から6月は32.5%と大幅に上昇。ミラーレス一眼の存在感は日を追うごとに増している。
ちなみに、カラーバリエーションや付属レンズの違いなどを合算した2010年上半期のデジタル一眼カメラのシリーズ別1位はニコンの「D90」、2位はキヤノンの「EOS Kiss X3」、3位はニコンの「D5000」だった。ソニーのミラーレス機「NEX-5」は12位、「NEX-3」は22位。主に「NEX-5」がソニーのシェアアップの原動力になっている。
デジタル一眼はモデルチェンジのスパンが長く、発売からかなり年月が経ったモデルでも、人気があれば売れ続ける。逆に、価格が下がって値頃感が増し、売れ行きが加速するケースもある。各メーカーの販売中の主力モデルや、今後登場する新製品の売れ行き次第では、2010年の年間データは、今回紹介した上半期のデータから順位とシェアが大きく変わる可能性は高い。特に、ミラーレス一眼の比率が3割になるほどソニーのミラーレス一眼が売れたことで、先が読めなくなってきた。ニコンとキヤノンの1位争いはもちろん、3位争いも激化しそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで129品目を対象としています。
ニコンがトップを獲得、昨年1位のキヤノンは2.6ポイント差で2位
「BCNランキング」によると、従来のデジタル一眼レフカメラとミラーレス一眼を合算した「レンズ交換型デジタルカメラ(デジタル一眼カメラ)」の2010年上半期のメーカー別販売台数1位は、エントリー向けからプロ向けまで幅広く展開するニコンが獲得。2009年の年間1位だったキヤノンは2位に後退した。シェアはニコンが34.0%、キヤノンが31.4%。わずか2.6ポイント差だった。
順位 | メーカー名 | 販売台数 シェア(%) | 2009年度の順位 | 2009年度の 販売台数シェア(%) |
1位 | ニコン | 34.0 | 2 | 31.3 |
2位 | キヤノン | 31.4 | 1 | 39.1 |
3位 | パナソニック | 10.9 | 3 | 8.7 |
4位 | HOYA | 7.8 | 6 | 6.4 |
5位 | オリンパス | 7.7 | 5 | 6.6 |
6位 | ソニー | 7.5 | 4 | 7.7 |
「BCNランキング」2009年 年次、2010年1月~6月 月次<最大パネル>
3位はパナソニック(10.9%)、4位はPENTAXブランドのHOYA(7.8%)、5位はオリンパス(7.7%)、6位はソニー(7.5%)だった。4位から6位までのシェアの差はわずか0.3ポイント。3位と4位の差も3.1ポイントとそれほど離れておらず、この4社をまとめて「3位グループ」とみなしていい。
2009年の年間データでは、キヤノンがシェア39.1%で1位、ニコンが31.3%で2位で、両社のシェアの合計は70.4%だった。2009年と2010年上半期を比較すると、ニコンのシェアは若干上がったものの、キヤノンのシェアが下がり、上位2社の占有率は65.4%と、5ポイントダウンした。代わってパナソニックをはじめとする3位グループが追い上げている。
初のミラーレス機を投入したソニー、6月はトップ3に食い込む
上位6社のうち、ニコン、キヤノン、HOYAは「ミラーレス一眼」と呼ばれるタイプのカメラを製品化していない。ミラーレス機を主力にしているのはパナソニックとオリンパス。ソニーは、“α” Aマウントのデジタル一眼レフと“α” Eマウントのミラーレス一眼の両方をラインアップする。
ニコンのデジタル一眼レフカメラ「D90」(左)と、ソニーのミラーレス一眼「NEX-5」(右)
2010年上半期の月ごとのデジタル一眼のメーカー別販売台数シェアは、2010年3月以外はすべてニコンがトップ。しかし、直近の6月はニコン(30.8%)、キヤノン(26.6%)に続き、6月に発売したミラーレス機「NEX-5」「NEX-3」が好調のソニーがシェア19.4%で3位に食い込んでいる。デジタル一眼全体の販売台数に占める「ミラーレス一眼」の比率も、5月の18.8%から6月は32.5%と大幅に上昇。ミラーレス一眼の存在感は日を追うごとに増している。
ちなみに、カラーバリエーションや付属レンズの違いなどを合算した2010年上半期のデジタル一眼カメラのシリーズ別1位はニコンの「D90」、2位はキヤノンの「EOS Kiss X3」、3位はニコンの「D5000」だった。ソニーのミラーレス機「NEX-5」は12位、「NEX-3」は22位。主に「NEX-5」がソニーのシェアアップの原動力になっている。
順位 | メーカー名 | シリーズ名・型番 | 対応マウント | 画素数 (万) | 動画機能 | 販売台数 シェア (%) |
1 | ニコン | D90 | ニコンF | 1230 | あり | 13.0 |
2 | キヤノン | EOS Kiss X3 | キヤノンEF | 1510 | あり | 11.5 |
3 | ニコン | D5000 | ニコンF | 1230 | あり | 10.6 |
4 | キヤノン | EOS Kiss X4 | キヤノンEF | 1800 | あり | 9.7 |
5 | ニコン | D3000 | ニコンF | 1020 | なし | 7.9 |
6 | HOYA | K-x | ペンタックスK | 1240 | あり | 6.3 |
7 | パナソニック | LUMIX GF1 | マイクロフォーサーズ | 1210 | あり | 6.1 |
8 | オリンパス | OLYMPUS PEN Lite E-PL1 | マイクロフォーサーズ | 1230 | あり | 4.6 |
9 | キヤノン | EOS 7D | キヤノンEF | 1800 | あり | 3.5 |
10 | キヤノン | EOS Kiss X2 | キヤノンEF | 1220 | なし | 3.1 |
11 | パナソニック | LUMIX G1 | マイクロフォーサーズ | 1210 | なし | 2.7 |
12 | ソニー | NEX-5 | ソニーE | 1420 | あり | 2.0 |
13 | キヤノン | EOS 5D MarkII | キヤノンEF | 2110 | あり | 1.8 |
14 | キヤノン | EOS 50D | キヤノンEF | 1510 | なし | 1.7 |
15 | ソニー | α550 | ソニーα | 1420 | なし | 1.5 |
16 | ソニー | α330 | ソニーα | 1020 | なし | 1.4 |
17 | オリンパス | OLYMPUS PEN E-P2 | マイクロフォーサーズ | 1230 | あり | 1.3 |
18 | パナソニック | LUMIX G2 | マイクロフォーサーズ | 1210 | あり | 1.3 |
19 | ニコン | D300s | ニコンF | 1230 | あり | 1.3 |
20 | オリンパス | OLYMPUS PEN E-P1 | マイクロフォーサーズ | 1230 | あり | 1.1 |
※カラーバリエーションは付属レンズの違いは合算して集計
※太字はミラーレス
※太字はミラーレス
「BCNランキング」2010年1月~6月 月次<最大パネル>
デジタル一眼はモデルチェンジのスパンが長く、発売からかなり年月が経ったモデルでも、人気があれば売れ続ける。逆に、価格が下がって値頃感が増し、売れ行きが加速するケースもある。各メーカーの販売中の主力モデルや、今後登場する新製品の売れ行き次第では、2010年の年間データは、今回紹介した上半期のデータから順位とシェアが大きく変わる可能性は高い。特に、ミラーレス一眼の比率が3割になるほどソニーのミラーレス一眼が売れたことで、先が読めなくなってきた。ニコンとキヤノンの1位争いはもちろん、3位争いも激化しそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで129品目を対象としています。