地デジパソコン夏モデル速攻レビュー NEC Lavie Mワイヤレスアンテナモデル

レビュー

2010/06/15 20:42

 Windows 7搭載の最新のパソコンは、すぐれたAV性能を備え、エンタテインメントを存分に楽しめる機種が多い。地上デジタル放送が視聴できる「地デジパソコン」もその一つ。ここでは、大手各社の地デジパソコン夏モデルを使いながら、その特徴やメリットを紹介する。第1回は、NECのノートパソコン、Lavie M「LM370/BS6R」だ。

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アンテナのワイヤレス化と3波対応がポイント



 NECのノートパソコン「Lavie M LM370/BS6R」は、地上・BS・110度CSデジタル放送の3波に対応し、ワイヤレスで地デジが見られることが大きな特徴だ。地デジが視聴できる他のノートパソコンは、地デジのみの対応が多いなかで、3波が視聴できるのはうれしいところだ。付属する「ワイヤレスTVデジタル」ユニットは、BS・110度CSデジタル放送と地上デジタル放送のアンテナを接続するF型同軸端子をそれぞれ一つずつ備えている。これを無線LANで接続することで、地デジ放送が視聴・録画できるようになる。地デジのアンテナ端子がPCの近くになくても問題なし。軽量なので、キッチンやベランダなどアンテナがない場所に気軽に持ち出せる。気になる番組があるときに便利だ。この時期、サッカーワールドカップを視聴&録画したい人もチェックしてほしい。 

NECのLaVie M「LM370/BS6R」

 本体の液晶ディスプレイサイズは13.3型のA4サイズ。最薄部は27mmで、重さは1.6kgとスリムで軽量だ。カラーバリエーションは試用したグロスレッドのほか、グロスホワイトとグロスブラックもある。UV塗装を施した天板は光沢がかかっていて、傷が付きにくい。 

最薄部は27mmでスリム。手前には音声入出力端子とSDメモリーカードスロットを備えている

 CPUは、インテルの超低電圧版のCeleron SU2300を搭載。標準電圧のCPUを搭載したノートパソコンに比べると処理能力は落ちるが、ブラウザやメールソフトなど一般的なアプリケーションなら問題なく操作できる。「Microsft Office Personal 2010」を標準搭載しているので、書類作成などビジネスで使うにも便利だ。しかし、オフィスソフトの重たいデータや、フォトレタッチソフトなどを起動すると、やや反応が悪くなることもある。OSはWindows 7 Home Premium 64ビット版を採用。64ビット版といっても、上級者向けではなく、32ビットと互換性があるので、ふだんは意識せずに使える。 

左側面には電源端子、D-sub15ピン、HDMI、充電機能対応USB、右側面には盗難防止ロック、有線LAN、USB Duet専用端子、USB×2を搭載

 USB2.0を三つ搭載し、このうち左側手前の一つは、パソコンの電源を落としていても、携帯オーディオなどの充電ができる「パワーオフUSB」に対応している。映像出力はRGBとHDMIで、プロジェクターや大画面テレビに接続することも可能だ。右側面には、Mini-B USB Duet端子も備え、他のパソコンにUSBケーブルで接続すると、Lavie MのHDDの一部を外部ストレージとして利用でき、LANや記録メディアを使わずにUSB経由でファイル交換できるようになっている。 

標準的な配列のキーボードを搭載

 キーボードは、キーピッチを19mm確保する余裕の配置。キーストロークは3mmと深い。タイプ感はやわらかく、打ち込んだときの音も小さい。ただ、中央部分を押すと、ややたわむのが気になった。タッチパッドは、手書き入力やジェスチャー機能に対応するNXパッド。サイズは64×39mmと小さめだが、指の滑りはよく操作しやすい。
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簡単セットアップの地デジ視聴



「ワイヤレスTVデジタル」ユニット

 地デジ視聴のセットアップは簡単だ。まずはB-CASカードとアンテナケーブル、電源ケーブルを装着。続いて、視聴ソフト「SmartVision」を起動し、初期設定を行えば、地デジが映るようになる。「SmartVision」は以前から進化を続けてきただけあって、使い勝手は練り込まれている。チャンネルの切り替えもスムーズで、快適に視聴できる。パソコンからは、操作パネルを利用する。すっきりまとめているうえ、表示位置を自由に変えられるので、視聴の邪魔にならない。 

視聴ソフト「SmartVision」を起動し、地デジを視聴する

 付属のリモコンで操作できるのも便利。付属のUSB受信機をパソコンに装着しておけば、リモコンで録画や再生などの操作ができる。「SmartVision」の起動と終了だけでなく、パソコンをスリープ状態にしたり、復帰させたりすることもできる。通信方式は無線なので、赤外線リモコンのようにリモコンをアダプタに向ける必要がなく、使いやすい。 

リモコンだけでなくパソコン画面の操作パネルでも切り替えができる

 気になったのが、「SmartVision」の起動時間。ソフトを起動してから視聴ができるまで、1分近くかかる。他の作業をしながらなら待てる時間だが、気軽に見るには遅すぎる。電源オフの状態からの起動時間は1分強かかるので、スイッチオンですぐに見られるテレビのようには使えない。 

電子番組表に対応

 無線LANは、IEEE802.11n規格の高速通信に対応。同じ部屋に「ワイヤレスTVデジタル」ユニットとパソコンを設置した状態では、104Mbpsの速度が出た。100Mbps以上出ていると、高画質な「通常モード」で視聴できる。通常モードは、全画面表示にしてもくっきりとした映像で快適だ。 

100Mbps以上の通信速度なら「通常モード」で視聴できる
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手持ちのルータにつないで「ワイヤレスTVデジタル」ユニットをアクセスポイントにできる



 「ワイヤレスTVデジタル設定ツール」では、「ワイヤレスTVデジタル」や「SmartVision」の初期設定や状態の確認、詳細設定などができる。ルータの設定を行えば、「ワイヤレスTVデジタル」をアクセスポイントとして利用することも可能だ。

 「ワイヤレスTVデジタル」とパソコンとの間で映像を転送する際は、無線LANを利用するので、通常のインターネットやファイル共有などができない。そこで、既存の無線LANルータの有線端子と「ワイヤレスTVデジタル」の有線端子をLANケーブルで接続すると、ネットワークを共有できる。アクセスポイントとなった「ワイヤレスTVデジタル」に「LM370/BS6R」から接続する仕組みだ。 

ルータと有線LANケーブルでつないで「ワイヤレスTVデジタル」をアクセスポイントにできる

録画番組をメディアにコピーして持ち出せる



 録画番組をSDメモリカードにダビングして持ち出すこともできる。「外でもVIDEO」機能で、ワンセグ画質(320×180ドット)またはSD画質(640×360ドット)でSDメモリーカードに記録できる。気になる番組はとりあえず録画しておいたり、ニュース番組などを通勤中にチェックしたりするという手もある。ダビング10に対応しており、残り回数が1回だったり、コピーワンス番組の場合は、ダビングではなくムーブとなる。ケータイをUSBケーブルでつなぎ、直接転送できる機種もある。NECのウェブサイトで動作確認済みの機種を確認できる。なお、Lavie Mは、BD/DVDドライブを内蔵していない。 

「外でもVIDEO」機能で録画番組を持ち出せる

場所を選ばず使い倒せる地デジパソコン



 無線LANを使い、映像を飛ばすという仕掛けは、ことのほか快適。テレビケーブルという鎖を外して、家中どこでもテレビを楽しめるのは魅力だ。カタログ値で約4.9時間というバッテリ駆動時間は短めだが、家の中ならACアダプタを取りに行くのも、充電するのも簡単だ。視聴ソフトの起動にやや時間がかかるとはいえ、初めて地デジパソコンを買う人でも迷わず操作できる親切設計になっているのもうれしいところ。LaVie M「LM370/BS」は、家庭内モバイルでパソコンを使う人にイチ押しのノートパソコンだ。(アバンギャルド・柳谷智宣)

【LaVie M LM370/BS6Rの主なスペック】
CPU:Celeron 超低電圧版 SU2300(1.20GHz)
OS:Windows 7 Home Premium 64ビット
メモリ:2GB
HDD:約320GB
ディスプレイ:13.3型ワイド低反射TFTカラー液晶(1366×768画素ドット)
本体サイズ:幅330×奥行き220×高さ27.0-30.5mm
重さ:約1.62kg

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