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“本気”のハイエンドPCを作りたい人へ――Phenom X6に対応するギガバイトのパワフルマザー

レビュー

2010/06/10 20:24

 好きなパーツを自在に組み合わせて、自分が必要な性能をピンポイントで手に入れられるのが、PC自作の魅力。それだけに、拡張性やインターフェースなど、細部にまで徹底的にこだわって、向こう5年間は買い換える必要がないような“息の長い”マシンを作り上げたい。そこでオススメしたいのが、すべての“最高”を一枚に凝縮したギガバイトのマザーボード「GA-890FXA-UD7」だ。

AMDの最新ハイエンドCPU「AMD Phenom X6 1090/1050」に対応する「GA-890FXA-UD7」

従来よりも長寸のXL-ATX規格を採用、最新のインターフェースを装備



 特徴が、一般的なATX規格よりもサイズの大きいXL-ATX規格を採用する点。305mm×244mmのATXに対し、こちらは325mm×244mmと縦方向に20mm長い。これによって、PCI-Express×16を2スロット、PCI-Express×8を4スロット搭載でき、最大4枚のグラフィックカードを同期して高いグラフィック性能を導き出す「ATI CrossFireX」に対応している。また、前世代の主流カードスロットであるPCIスロットも1基装備。手持ちのPCIカードを生かすことができるのは、自作派にとって大きなメリットだ。

XL-ATX規格のPCケースに組み込んだ

 最新のインターフェースを備えているのもポイントだ。AMDの最新チップセット「AMD 89FX + SB850」を搭載し、最大5Gbpsという高速な転送速度をもつUSB3.0を装備する。HDDインターフェースの主流であるSATAのなかでも、6Gbpsの転送速度をもつ最新のSerial ATA 3.0を搭載しているので、最新規格のストレージ製品のパフォーマンスを余すとこなく引き出せる。ハイビジョン動画など、大容量データを頻繁に転送するような人にとっては、見逃せないポイントだ。

 また、デュアルチャネルアクセスに対応するDDR3-1866メモリ対応スロットを4基装備。最大16GBまで拡張でき、64ビット版OSがもつ潜在パフォーマンスをフルに発揮させることができる。

PCケースはXL-ATX規格対応のものをチョイスする



 一つ注意が必要なのが、このマザーボードと組み合わせるPCケースのサイズだ。基板がATX規格のものより大きいので、従来のATX/MicroATX対応のPCケースでは格納できないことがある。また、十分な冷却性を確保するためには、ケース内にある程度の空間が必要で、この点でも従来のケースでは苦しい。そこで必要なのが、マザーボードと同じXL-ATX規格に対応するPCケース。新たに策定されたXL-ATXだけに、現状で対応するケースはさほど多くはないが、XL-ATXマザーボードの普及とともに、対応ケースも増えていくはずだ。
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“隠しコア”を有効にしてパフォーマンスアップ



 ユニークなのが、AMD製のマルチコアCPUの“隠しコア”を有効にする「Auto Unlock」という機能。これを有効にすることで、隠しコアのあるCPUであれば、なんと2コア仕様を4コア仕様へ、4コア仕様を6コア仕様へとアップグレードできる。ギガバイトのアナウンスによれば、AMD PhenomII X2 255を用いてこの「Auto Unlock」を有効にし、定番の3Dベンチマークソフト「CINEBENCH R10」で測定したとき、デフォルト状態に対して、最大で2倍近くのスコアを記録するという。


 もちろん、搭載するカード類やメモリの搭載量、実行するソフトの種類などによってその効果は変動するだろうが、今までのマザーボードにはない非常にユニークな付加価値だ。こうした“遊び心”をしっかりと盛り込んでくるところは、さすが自作の世界を知り尽くしたギガバイトだといえる。

 こうしたパフォーマンス追求型のマザーボードを使って自作するときに気になるのが、冷却。この点で「GA-890FXA-UD7」は、水冷・空冷を両方サポートする冷却システム「Hybrid Silent-Pipe2」を搭載するほか、さらなる冷却のための「ハイブリッドサイレントパイプモジュールキット」も付属し、抜かりはない。

付属の「ハイブリッドサイレントパイプモジュールキット」を使えば冷却性能がアップ

iPhone/iPad/iPod Touchをスピード充電



 加えて、iPhone/iPad/iPod Touchを「クイック充電」する機能を装備。独自のUSB電力ブースト設計によって、一般的なPCが備えるUSBポートで充電するときに比べて、最大で40%も充電時間を短縮する。動作中はもちろん、スタンバイ、サスペンド、休止中、シャットダウンと、すべての状態でクイック充電できることも大きなポイントだ。

iPhoneを短時間で充電できる

 AMDのPhenom X6 1090/1050という最新かつハイエンドなCPUに対応する点や、USB3.0とSATA3.0など最新のインターフェースを装備する点、ATX規格のマザーボードをはるかに凌ぐ豊富な拡張スロットを備える点に加え、CPUの潜在性能を引き出す「Auto Unlock」や、iPhone/iPad/iPod Touchに対する「クイック充電」など、ユニークな機能を搭載する「GA-890FXAーUD7」。コンシューマ向けマザーボードとしては最高クラスの製品で、XL-ATX規格のPCケースと組み合わせれば驚異的な拡張性を発揮する。「ゲームからビジネス、場合によってはサーバー用途まで、すべてを1台ですませたい」という人や、「せっかく自作するのだから、少しでも長く使い続けられるマシンに仕上げたい」という人にピッタリなマザーボードだ。自作を愛し、自作を知り尽くした人に贈りたい。(ITジャーナリスト 市川 昭彦)