BCN、iPadの立ち上がりは好調、市場拡大の鍵は競合製品の登場
BCNは、6月9日、3D対応テレビやiPadが市場に与えるインパクトをテーマに記者発表会を行った。全国の家電量販店から薄型テレビやPCなどのデジタル家電の実売データを集計した「BCNランキング」で、市況を分析したもの。
PC市場が快復し始めている。対前年同月比(2009年5月-2010年5月)で、2010年3月から販売台数・金額ともに前年超えに転じた。5月は販売台数108.3%、販売金額106.8%だった。09年は、ネットブックの成長で販売台数は好調だったが、販売金額では低迷していた。しかし、10年春はPCが春モデルから夏モデルへと切り替わったほか、デスクトップPCの伸長や、ノートPCに分類するiPadが好調なスタートを切ったことなどが要因となり、伸びを示した。
タイプ別の構成比では、デスクトップPCが09年11月以降、販売台数・金額、いずれも前年と比べてプラスで推移している。5月は販売台数で107%、販売金額で108.3%だった。デスクトップPCは、PCのなかでの販売台数構成比は17.2%(5月)と市場規模は小さいが、市場に与える影響力としては健闘している。この動きは、メインマシンがWindows XPやVistaだったユーザーが、09年秋に登場したWindows 7に切り替えたことが背景にあるとみられる。
08年から一世を風靡した感のあるネットブックだが、構成比は下がり続けている。ノートPCをタイプ別にみると、09年6月の33.1%がピークで、10年5月は販売台数12.3%まで落ち込んだ。一方、メインマシンとして使える「スタンダード」は、同月73.6%と存在感を示している。iPadを含む「その他」は8.2%だった。
5月28日発売のiPad。立ち上がりは、予想どおり好調だった。「iPhone 3G」の発売日(08年7月11日)の販売台数を1として、そのほかの主なスマートフォン「iPhone 3GS」「Xperia」と販売累計台数を日次で比較すると、発売日から10日後はiPhone 3Gが2.3倍、iPhone 3GSが3.3倍、Xperiaが3倍、iPadは7.3倍だった。iPadは発売日当日で2.8倍を記録しており、勢いをみせた。
こうしたiPadの販売動向の背景には、通信方式が「Wi-Fi(無線LAN)」と「Wi-Fiと携帯電話の3G回線」の2種類があることで選択肢が広がり、これまで手に取らなかったユーザーも購入しやすくなったと考えられる。
iPadは、通信方式や容量で6モデルがある。通信方式別では「Wi-Fi+3G」モデルがやや優勢で、発売から10日後(6月6日)の構成比では55%だった。また機種別では、容量が最も大きい「iPad Wi-Fi+3G 64GB」が売れており、発売から10日後には35.2%を記録している。
端末にキーボードがなく、タッチパネルを搭載する板状のデバイスは、iPadを皮切りにこれから続々と登場する。iPadだけでは市場の広がりは見込めないが、今後参入メーカーと競合製品が増えることが、こうした「モバイルタブレットデバイス」の市場を活性化する鍵となる。
スマートフォンは、携帯電話市場で構成比が増え続けている。新しい端末が発売になるたびに大きく伸長し、08年7月のiPhone 3G発売時には6.5%、iPhone 3GS(09年6月発売)では9.5%。XperiaとDesire(10年4月発売)では17.5%と盛り上がりをみせる。
ただ、現在検討されているSIMロック解除への動きが今後の市場に影響するとみられ、販売動向は予測しづらい状況にある。6月24日に発売する「iPhone 4」によってある程度の成長は見込めるものの、新機種の発売月が過ぎると構成比は下がる傾向にあり、継続して好調な販売台数を維持できずにいる。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで128品目を対象としています。
*BCNでは、08年以降に発売された製品で、液晶ディスプレイが12.1型以下、CPUにAtom系の低電圧CPUを搭載する製品を「ネットブック」と定義しています。
PC市場は堅調 ネットブックの構成比は1割程度に
BCN記者発表会の様子
PC市場が快復し始めている。対前年同月比(2009年5月-2010年5月)で、2010年3月から販売台数・金額ともに前年超えに転じた。5月は販売台数108.3%、販売金額106.8%だった。09年は、ネットブックの成長で販売台数は好調だったが、販売金額では低迷していた。しかし、10年春はPCが春モデルから夏モデルへと切り替わったほか、デスクトップPCの伸長や、ノートPCに分類するiPadが好調なスタートを切ったことなどが要因となり、伸びを示した。
タイプ別の構成比では、デスクトップPCが09年11月以降、販売台数・金額、いずれも前年と比べてプラスで推移している。5月は販売台数で107%、販売金額で108.3%だった。デスクトップPCは、PCのなかでの販売台数構成比は17.2%(5月)と市場規模は小さいが、市場に与える影響力としては健闘している。この動きは、メインマシンがWindows XPやVistaだったユーザーが、09年秋に登場したWindows 7に切り替えたことが背景にあるとみられる。
08年から一世を風靡した感のあるネットブックだが、構成比は下がり続けている。ノートPCをタイプ別にみると、09年6月の33.1%がピークで、10年5月は販売台数12.3%まで落ち込んだ。一方、メインマシンとして使える「スタンダード」は、同月73.6%と存在感を示している。iPadを含む「その他」は8.2%だった。
発売日、iPhone 3Gの2.8倍売れたiPad
5月28日発売のiPad。立ち上がりは、予想どおり好調だった。「iPhone 3G」の発売日(08年7月11日)の販売台数を1として、そのほかの主なスマートフォン「iPhone 3GS」「Xperia」と販売累計台数を日次で比較すると、発売日から10日後はiPhone 3Gが2.3倍、iPhone 3GSが3.3倍、Xperiaが3倍、iPadは7.3倍だった。iPadは発売日当日で2.8倍を記録しており、勢いをみせた。
主要スマートフォンとiPadの販売累計台数指数推移
こうしたiPadの販売動向の背景には、通信方式が「Wi-Fi(無線LAN)」と「Wi-Fiと携帯電話の3G回線」の2種類があることで選択肢が広がり、これまで手に取らなかったユーザーも購入しやすくなったと考えられる。
iPadは、通信方式や容量で6モデルがある。通信方式別では「Wi-Fi+3G」モデルがやや優勢で、発売から10日後(6月6日)の構成比では55%だった。また機種別では、容量が最も大きい「iPad Wi-Fi+3G 64GB」が売れており、発売から10日後には35.2%を記録している。
端末にキーボードがなく、タッチパネルを搭載する板状のデバイスは、iPadを皮切りにこれから続々と登場する。iPadだけでは市場の広がりは見込めないが、今後参入メーカーと競合製品が増えることが、こうした「モバイルタブレットデバイス」の市場を活性化する鍵となる。
スマートフォンは、携帯電話市場で構成比が増え続けている。新しい端末が発売になるたびに大きく伸長し、08年7月のiPhone 3G発売時には6.5%、iPhone 3GS(09年6月発売)では9.5%。XperiaとDesire(10年4月発売)では17.5%と盛り上がりをみせる。
スマートフォンの販売台数構成比推移
ただ、現在検討されているSIMロック解除への動きが今後の市場に影響するとみられ、販売動向は予測しづらい状況にある。6月24日に発売する「iPhone 4」によってある程度の成長は見込めるものの、新機種の発売月が過ぎると構成比は下がる傾向にあり、継続して好調な販売台数を維持できずにいる。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで128品目を対象としています。
*BCNでは、08年以降に発売された製品で、液晶ディスプレイが12.1型以下、CPUにAtom系の低電圧CPUを搭載する製品を「ネットブック」と定義しています。