リニアPCMレコーダーでせせらぎの音を拾ってきた! 鳩ノ巣渓谷「生録」挑戦記
CDより高音質な音を録ることができる「リニアPCMレコーダー」。このポータブル録音機を使って音を集める、いわゆる「生録(なまろく)」ブームが再燃しているという。列車の走行音や駅のアナウンスなどの録音マニア「録り鉄」をはじめ、鳥のさえずりなど自然の音を収める野外録音、バンドによる楽器の生演奏の収録など、その目指す“目標”はさまざま。今回は、ローランドが4月23日に発売する「<a href="http://bcnranking.jp/news/1003/100331_16772.html">R-05</a>」を使って、東京・奥多摩町の鳩ノ巣渓谷でせせらぎの録音にチャレンジした。
プロ用音響機器で知られるローランドが、2004年、初めてコンシューマー向け製品として発売したリニアPCMレコーダーが「R-1」だった。「R-05」は、そこから数えて4代目にあたる。あらかじめ楽器を演奏して、それに合った最適な入力レベルを自動で設定する「リハーサル機能」を備え、これまで英語表記だったメニューが日本語にするなど、初めて使う人でも操作しやすい初級機だ。ただ、操作ボタンは英語のままだが……。
鳩ノ巣渓谷に出発する前に、ざっと「R-05」をチェックしておこう。前面には、ファイルの消去や移動、コピー、名前の変更をする「ファインダー」、録音、再生、入力などの各種設定をする「メニュー」など、上半分に6個のボタンを配置。下半分には、録音、再生、停止、早戻し・早送りや画面上の選択項目を変更する十字キーがある。その左右には、録音時の入力レベルを調整する「インプット」、イヤホンやヘッドホンで聴く音の大きさを決める「ボリューム」のボタンがある。
背面左上部には、マイクの入力感度をL(低感度)とH(高感度)に切り替える「マイクゲイン」を配置。さらに、入力時の音が大きすぎたときに、適度なレベルまで圧縮して歪みを抑える「リミッター」、低音域をカットしてノイズを抑える「ローカット」のスイッチを備える。これら二つのスイッチは、通常はオフにしておく。電源は単三形乾電池2本。三脚用の穴が付いている。
実際に基本操作をして便利だなと感じたのは、ちょっとしたことだが、側面をぐるっと囲むラバー素材。ボタン操作時や音源に本体を向けている録音時など、滑りにくくしっかりと本体をホールドできる。また、「インプット」は0-80、「ボリューム」は0-60と、それぞれ微調整できるのもいい。
逆に不便な点は、「戻る」と選択項目の「決定」専用ボタンがないこと。前者は同じボタンをもう一度押す、後者は録音ボタンを押して操作するのだが、取扱説明書を見ない状態だと、どこを押せばよいのか迷ってしまった。「決定」ボタンについては、例えば、メニューで録音設定をするとき、物理的にボタンを押さないと、「サンプルレート」「録音モード」などの変更した項目が確実に設定されたのかどうか、不安になった。
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「R-05」の最大の利点は、一度の録音で形式の異なる「WAV」と「MP3」二つのファイルを同時に作成できること。この機能があれば、例えばバンド演奏のとき、正規に保存するファイルはWAV、メンバーに音をメールで添付して送付するのはMP3、といったようにシーンによって形式を使い分けることができるのだ。ファイル形式の変換を手動でする必要がなく、管理が手軽になる。もちろん、WAVとMP3、それぞれ個別に録ることもできる。各形式の最大のサンプリング周波数は、WAVが96kHz/24bit、MP3は48kHz/320kbps。
ここで、再生時の画面を例に、モニタの基本情報を確認する。最上部にはファイル名、その下の数字と帯は経過時間を示している。「L」「R」は、録音時なら左右のマイクの入力レベル、再生時なら出力レベルをそれぞれ指す。帯の右側の「P」はピークの略。このピークに達してしまうと、マイク入力の最大音量を超したことになり、音源本来の音質や音量で記録されない。ピーク手前の、できるだけ大きな音で録音するよう心がけよう。ピークは、画面上のレベルメーターのほか、液晶画面右上に「PEAK」と表示のあるインジケータの点灯でも確認できる。
付属品は、ウインド・スクリーン、容量2GBのSDカード、USBケーブル。08年3月発売の「R-09HR」に付属していたリモコンや専用カバーは付いていない。このほか、機能面で「R-09HR」と異なる点は、本体にスピーカを内蔵しないこと、楽器録音向けのチューナー機能、メトロノーム機能が非搭載であることが挙げられる。実勢価格は2万5000円前後の見込みだ。
お出かけ前チェックの最後は、ちょっと変わった別売アクセサリを紹介しよう。ヘッドホンやイヤホンで聴くことを前提とした録音形式「バイノーラル録音」ができる、専用のイヤホン型マイク「CS-10EM」だ。バイノーラル録音とは、耳にマイクをもってくることで、通常われわれが耳で聴いている状態と近い音声が集音でき、立体的な音が記録できるというもの。
「CS-10EM」は、ケーブルが二つに枝分かれした先にコネクタを備え、ブラックがイヤホン端子、レッドがマイク端子になっている。それぞれを本体に挿入し、イヤホンを耳に付けて録音する。価格は9400円。「R-05」で使うときは、入力設定で「録音モニタ」をオン、「外部マイクタイプ」をステレオ、「プラグインパワー」をオンにして使用する。今回のレビューでは、音源から距離があるときに使った。
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それでは、鳩ノ巣渓谷で録った音を聴いていこう。今回の録音は、WAVとMP3を同時に記録する機能を使った。各ファイル形式のサンプリング周波数は、WAVが44.1kHz/16bit、MP3が44.1kHz/128kbps。ウェブで公開することを考慮し、ファイル容量が抑えられるサンプリング周波数に設定にした。記事中で公開している音はWAV形式。なお、バイノーラルマイクで録音した音源については、ヘッドホンかイヤホンで試聴してほしい。
鳩ノ巣渓谷は、東京都奥多摩町の多摩川の清流が美しい観光スポット。最寄り駅はJR青梅線の鳩ノ巣駅。駅の標高は310mで、川まではかなりの高低差があり、遊歩道を歩いて下る。まずは渓谷を一望する橋の上から、バイノーラルマイクで音を録った。遮るものが何もなく、風は強い。入力レベルの調節が難しく、一部ピークまで振り切れてしまった。風音も時々入っている。はるか下に流れる多摩川と、渓谷の空間の広がりを感じることができる。
【音声1:橋の上から鳩ノ巣渓谷を臨む】
川辺を目指して遊歩道を歩いていると、どこかで鳥が鳴いている。あわてて録音スタート。こちらもバイノーラルマイクを使用した。遊歩道は観光客がときどき通って話し声や物音が入ってしまい、何度か録音をやり直した。音声は、駅のそばの国道を走るバイクの音まで入ってしまったが、後で聴くと、こうしたハプニングもなかなか楽しい。
【音声2:遊歩道で鳥と出会う】
川のほとりに到着。流れを観察しながら録音場所をハンティングした結果、流れに段差のある岩場で2パターン録音することにした。一つは、バイノーラルマイクを使って、流れのすぐ横の岩に座って録音。もう一つは、できるだけ本体を流れに近づけて、水が岩に当たる音を内蔵マイクで録音した。
【音声3:水が激しく流れ落ちる】
【音声4:岩に水が勢いよくぶつかる】
いずれも水のすぐ近くなので、入力レベルがピークに達しないよう調節するのが難しかった。前者は、水ではなく、何かの工場でフィルムかテープがスピーディに巻かれているような、無機質な音にも聞こえる。後者は、水が勢いよくぶつかっている様子がよく現れている。
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さらに音のバリエーションを求めて周囲を見渡したら、本流に注ぎ込む小さな支流を見つけた。おそらく湧き水だろう。この流水音を内蔵マイクで録ることにした。支流は、岩壁から水が細く伝って流れ落ちているところと、水量が多くなって小ぶりの滝となって流れ落ちる手前の2箇所で録音した。
前者は、あまりに本体を水に近づけすぎて、水しぶきがマイクにかかってしまい、その音がそのまま入っている。後者は、小川のようなせせらぎが頭に浮かぶ、とてもさわやかな音が収録できた。いずれも流れのすぐそばで録音したので、背景にかすかに聴こえる本流の音がそれほど気にならない。
【音声5:水が岩壁を細く伝い落ちる】
【音声6:支流が滝となって本流と合流する】
このように、渓谷でさまざまな流水音を録音したが、同じ水の音を録っているにもかかわらず、すべて異なる音色が得られたのは興味深い。ただ、野外録音ならではの留意点がいくつかあることがわかった。
まずは、先にも触れたとおり、なるべく近くで録音したいという気持ちから、本体を水に近づけすぎて水しぶきがかかってしまうことがあった。場合によっては本体の故障にもつながるので、十分気を付けよう。
もう一つは、入力レベルの調節。「L」「R」それぞれのレベルを見てピークに達しないよう、できるだけ大きなレベルで録ろうとするが、風や水の流れ方によって、どうしても予測できない音量になってしまう。録音をスタートする前に、時間をかけて適切なレベルに合わせるのがいいだろう。
野外録音で、渓流音の収録に初めて挑戦したが、想像していた以上に楽しめた。それは、渓谷という一つの場所で水の音だけを録っても、これだけ変化に富んだ音を集めることができた驚きと感動があったからだ。
写真を撮るように、音もまたその時々で録音しておけば、耳で思い出を振り返ることができる。写真がなくても、音だけで雰囲気を味わい、その場の風景をイメージするのは楽しいものだ。今年のゴールデンウィークは、デジカメに加え、リニアPCMレコーダーをポケットに忍ばせて、「生録」に挑戦してはどうだろうか。(BCN・井上真希子)
日本語表記で使いやすい初級機 別売のバイノーラルマイクも登場
プロ用音響機器で知られるローランドが、2004年、初めてコンシューマー向け製品として発売したリニアPCMレコーダーが「R-1」だった。「R-05」は、そこから数えて4代目にあたる。あらかじめ楽器を演奏して、それに合った最適な入力レベルを自動で設定する「リハーサル機能」を備え、これまで英語表記だったメニューが日本語にするなど、初めて使う人でも操作しやすい初級機だ。ただ、操作ボタンは英語のままだが……。
リニアPCMレコーダーで野外録音に挑戦
鳩ノ巣渓谷に出発する前に、ざっと「R-05」をチェックしておこう。前面には、ファイルの消去や移動、コピー、名前の変更をする「ファインダー」、録音、再生、入力などの各種設定をする「メニュー」など、上半分に6個のボタンを配置。下半分には、録音、再生、停止、早戻し・早送りや画面上の選択項目を変更する十字キーがある。その左右には、録音時の入力レベルを調整する「インプット」、イヤホンやヘッドホンで聴く音の大きさを決める「ボリューム」のボタンがある。
R-05
背面左上部には、マイクの入力感度をL(低感度)とH(高感度)に切り替える「マイクゲイン」を配置。さらに、入力時の音が大きすぎたときに、適度なレベルまで圧縮して歪みを抑える「リミッター」、低音域をカットしてノイズを抑える「ローカット」のスイッチを備える。これら二つのスイッチは、通常はオフにしておく。電源は単三形乾電池2本。三脚用の穴が付いている。
ボタンはすべて英語表記。背面には「マイクゲイン」「リミッター」「ローカット」のスイッチがある
実際に基本操作をして便利だなと感じたのは、ちょっとしたことだが、側面をぐるっと囲むラバー素材。ボタン操作時や音源に本体を向けている録音時など、滑りにくくしっかりと本体をホールドできる。また、「インプット」は0-80、「ボリューム」は0-60と、それぞれ微調整できるのもいい。
側面には(写真上)電源スイッチ、電源端子、(同下)イヤホン端子、ミニUSB端子を備える
逆に不便な点は、「戻る」と選択項目の「決定」専用ボタンがないこと。前者は同じボタンをもう一度押す、後者は録音ボタンを押して操作するのだが、取扱説明書を見ない状態だと、どこを押せばよいのか迷ってしまった。「決定」ボタンについては、例えば、メニューで録音設定をするとき、物理的にボタンを押さないと、「サンプルレート」「録音モード」などの変更した項目が確実に設定されたのかどうか、不安になった。
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「R-05」の最大の利点は、一度の録音で形式の異なる「WAV」と「MP3」二つのファイルを同時に作成できること。この機能があれば、例えばバンド演奏のとき、正規に保存するファイルはWAV、メンバーに音をメールで添付して送付するのはMP3、といったようにシーンによって形式を使い分けることができるのだ。ファイル形式の変換を手動でする必要がなく、管理が手軽になる。もちろん、WAVとMP3、それぞれ個別に録ることもできる。各形式の最大のサンプリング周波数は、WAVが96kHz/24bit、MP3は48kHz/320kbps。
SDカードスロットは上面に搭載
ここで、再生時の画面を例に、モニタの基本情報を確認する。最上部にはファイル名、その下の数字と帯は経過時間を示している。「L」「R」は、録音時なら左右のマイクの入力レベル、再生時なら出力レベルをそれぞれ指す。帯の右側の「P」はピークの略。このピークに達してしまうと、マイク入力の最大音量を超したことになり、音源本来の音質や音量で記録されない。ピーク手前の、できるだけ大きな音で録音するよう心がけよう。ピークは、画面上のレベルメーターのほか、液晶画面右上に「PEAK」と表示のあるインジケータの点灯でも確認できる。
基本画面(再生時)
付属品は、ウインド・スクリーン、容量2GBのSDカード、USBケーブル。08年3月発売の「R-09HR」に付属していたリモコンや専用カバーは付いていない。このほか、機能面で「R-09HR」と異なる点は、本体にスピーカを内蔵しないこと、楽器録音向けのチューナー機能、メトロノーム機能が非搭載であることが挙げられる。実勢価格は2万5000円前後の見込みだ。
ウインド・スクリーンが付属する
お出かけ前チェックの最後は、ちょっと変わった別売アクセサリを紹介しよう。ヘッドホンやイヤホンで聴くことを前提とした録音形式「バイノーラル録音」ができる、専用のイヤホン型マイク「CS-10EM」だ。バイノーラル録音とは、耳にマイクをもってくることで、通常われわれが耳で聴いている状態と近い音声が集音でき、立体的な音が記録できるというもの。
「CS-10EM」は、ケーブルが二つに枝分かれした先にコネクタを備え、ブラックがイヤホン端子、レッドがマイク端子になっている。それぞれを本体に挿入し、イヤホンを耳に付けて録音する。価格は9400円。「R-05」で使うときは、入力設定で「録音モニタ」をオン、「外部マイクタイプ」をステレオ、「プラグインパワー」をオンにして使用する。今回のレビューでは、音源から距離があるときに使った。
別売のバイノーラルマイクロホン・イヤホン「CS-10EM」
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さまざまな水の流れを見事にキャッチ! ただし水しぶきにはご用心
それでは、鳩ノ巣渓谷で録った音を聴いていこう。今回の録音は、WAVとMP3を同時に記録する機能を使った。各ファイル形式のサンプリング周波数は、WAVが44.1kHz/16bit、MP3が44.1kHz/128kbps。ウェブで公開することを考慮し、ファイル容量が抑えられるサンプリング周波数に設定にした。記事中で公開している音はWAV形式。なお、バイノーラルマイクで録音した音源については、ヘッドホンかイヤホンで試聴してほしい。
鳩ノ巣渓谷
鳩ノ巣渓谷は、東京都奥多摩町の多摩川の清流が美しい観光スポット。最寄り駅はJR青梅線の鳩ノ巣駅。駅の標高は310mで、川まではかなりの高低差があり、遊歩道を歩いて下る。まずは渓谷を一望する橋の上から、バイノーラルマイクで音を録った。遮るものが何もなく、風は強い。入力レベルの調節が難しく、一部ピークまで振り切れてしまった。風音も時々入っている。はるか下に流れる多摩川と、渓谷の空間の広がりを感じることができる。
【音声1:橋の上から鳩ノ巣渓谷を臨む】
川辺を目指して遊歩道を歩いていると、どこかで鳥が鳴いている。あわてて録音スタート。こちらもバイノーラルマイクを使用した。遊歩道は観光客がときどき通って話し声や物音が入ってしまい、何度か録音をやり直した。音声は、駅のそばの国道を走るバイクの音まで入ってしまったが、後で聴くと、こうしたハプニングもなかなか楽しい。
【音声2:遊歩道で鳥と出会う】
川の両側にある遊歩道をつなぐ吊橋
川のほとりに到着。流れを観察しながら録音場所をハンティングした結果、流れに段差のある岩場で2パターン録音することにした。一つは、バイノーラルマイクを使って、流れのすぐ横の岩に座って録音。もう一つは、できるだけ本体を流れに近づけて、水が岩に当たる音を内蔵マイクで録音した。
【音声3:水が激しく流れ落ちる】
【音声4:岩に水が勢いよくぶつかる】
いずれも水のすぐ近くなので、入力レベルがピークに達しないよう調節するのが難しかった。前者は、水ではなく、何かの工場でフィルムかテープがスピーディに巻かれているような、無機質な音にも聞こえる。後者は、水が勢いよくぶつかっている様子がよく現れている。
激しく流れる多摩川
___page___
さらに音のバリエーションを求めて周囲を見渡したら、本流に注ぎ込む小さな支流を見つけた。おそらく湧き水だろう。この流水音を内蔵マイクで録ることにした。支流は、岩壁から水が細く伝って流れ落ちているところと、水量が多くなって小ぶりの滝となって流れ落ちる手前の2箇所で録音した。
本流に注ぎ込む支流(左下)
前者は、あまりに本体を水に近づけすぎて、水しぶきがマイクにかかってしまい、その音がそのまま入っている。後者は、小川のようなせせらぎが頭に浮かぶ、とてもさわやかな音が収録できた。いずれも流れのすぐそばで録音したので、背景にかすかに聴こえる本流の音がそれほど気にならない。
【音声5:水が岩壁を細く伝い落ちる】
【音声6:支流が滝となって本流と合流する】
このように、渓谷でさまざまな流水音を録音したが、同じ水の音を録っているにもかかわらず、すべて異なる音色が得られたのは興味深い。ただ、野外録音ならではの留意点がいくつかあることがわかった。
まずは、先にも触れたとおり、なるべく近くで録音したいという気持ちから、本体を水に近づけすぎて水しぶきがかかってしまうことがあった。場合によっては本体の故障にもつながるので、十分気を付けよう。
「R-05」は野外録音が手軽に楽しめる
もう一つは、入力レベルの調節。「L」「R」それぞれのレベルを見てピークに達しないよう、できるだけ大きなレベルで録ろうとするが、風や水の流れ方によって、どうしても予測できない音量になってしまう。録音をスタートする前に、時間をかけて適切なレベルに合わせるのがいいだろう。
鳩ノ巣駅
野外録音で、渓流音の収録に初めて挑戦したが、想像していた以上に楽しめた。それは、渓谷という一つの場所で水の音だけを録っても、これだけ変化に富んだ音を集めることができた驚きと感動があったからだ。
写真を撮るように、音もまたその時々で録音しておけば、耳で思い出を振り返ることができる。写真がなくても、音だけで雰囲気を味わい、その場の風景をイメージするのは楽しいものだ。今年のゴールデンウィークは、デジカメに加え、リニアPCMレコーダーをポケットに忍ばせて、「生録」に挑戦してはどうだろうか。(BCN・井上真希子)