伸びる地デジチューナー、2台目テレビに安価な簡易モデルが人気
アナログテレビと接続すると、地上デジタル放送が見られるようになる地上デジタル(地デジ)チューナーが好調だ。「BCNランキング」で09年1月を基準に販売台数と金額の指数をみると、2010年2月は数量で3.7倍、金額で1.9倍にまで伸びた。これは、アナログ放送が終了する2011年7月が近づいていることはもちろん、機能を絞った低価格モデルが増えていることが大きい。
「地デジチューナーが売り上げを伸ばしている最大の要因は、価格の急速な下落にある」と語るのは、2010年2月の地上デジタルチューナー販売数量シェアでトップに立つマスプロ電工の河合清彦営業部長。
実際、地デジチューナーの税別平均単価の推移をみると、2009年1月の1万4122円から、2010年2月には7623円に下がっている。これは、機能を絞って価格を抑えた簡易チューナーが人気を集めているためだ。
地デジチューナーには、地上デジタル放送のみに対応する1波モデルや、地上・BS・110度CS放送に対応する3波モデルなどがある。簡易チューナーは、基本的にチューナーを地上デジタルだけに絞り、BS・110度CSには対応しない。またD端子を削っているものが多く、表示はハイビジョンではなくSD画質。データ放送や双方向サービスなどにも非対応だ。その代わり、3波対応機などに比べて安く、コンパクトというメリットがある。
地デジチューナー全体で地上デジタル放送のみに対応する1波機の販売数量構成比は、2009年1月では56.5%だったが、2010年2月には78.5%にまで拡大している。また、10年2月の税別平均単価は、3波対応機が1万7618円なのに対し、1波機は5960円とかなり安い。「とにかく安く地上デジタル放送を見たい」という人にはピッタリだ。
機能を絞った簡易チューナーが拡大している理由について、メーカーは「もともと地デジチューナーはアナログのテレビを救済するためのもの。家庭にある2台目、3台目の小型テレビに使われることが多く、ハイビジョン画質よりは、SD画質でも低価格を求める声が主流になってきた」(マスプロ電工の河合部長)、「デジタルチューナーのユーザーは、今持っているテレビを最低限の投資で見続けることを重視している」(バッファローの事業本部 市場開発事業部 次長(兼)デジタルホームマーケティンググループリーダー 製品マーケティング担当の荒木甲和氏)とみている。
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では、どんなモデルが売れているのだろう。地上デジタル放送のみに対応する簡易モデルに絞った2009年2月の地デジチューナーのシリーズ別・販売数量シェアランキングを紹介する。
1位はマスプロ電工の「DT620」で、シェアは21.8%。電子番組表は24時間分のテレビ番組表を表示する。
2位は、バッファローの「DTV-S100」で19.2%だった。画面デザインに、つぶれにくく読みやすい文字フォントや目にやさしい配色を採用し、小型テレビでも番組名やメニューがストレスなく見られるよう配慮した。電子番組表はリアルタイムで放送している裏番組のみを表示する。
3位はDXアンテナの「DIR810」で14.6%。電子番組表は3日分の番組を表示する。
4位はピクセラ「PRD-BT100-P00」で9.8%。小型テレビでも読みやすい文字フォントや大きなアイコンを使用。電子番組表は8日分の番組表を見ることができ、文字のサイズをボタンひとつで切り換えられる。また、1-5位までのなかで、唯一、視聴予約機能を備え、ビデオデッキなどの録画機器で地上デジタル放送を予約録画できる。
これらの表示はすべてSD画質だが、9.2%で5位のバッファロー「DTV-H300」はD端子を備え、テレビが対応していればハイビジョン画質で地上デジタル放送を楽しめる。電子番組表は、2位の「DTV-S100」と同じく、試聴中の番組の裏番組のみの表示だ。
すべて画面拡大機能を備え、縦横比4:3のテレビでも、黒枠のないフル画面で地上デジタル放送を表示する。データ放送や双方向サービスなどには対応していない。
地デジチューナーの急激な伸びには、価格下落のほかにも理由がある。バッファローの荒木氏は、「総務省の生活困窮世帯への簡易チューナー無償配布がメディアで大きく取り上げられ、デジタルチューナーなら地上デジタル放送を安く見られるという意識が浸透してきた」とする。
マスプロ電工の河合部長は、「エコポイント制度で薄型テレビを購入したユーザーがデジタル画質の美しさを体感し、2台目、3台目テレビへのチューナーの需要を喚起した」とみている。
エコポイント制度によって地上デジタル放送自体への認識が高まったことが、地デジチューナーの売り上げ増加にひと役買っているようだ。
2011年7月のアナログ放送終了に向けて、今後、さらに伸びるであろう地デジチューナー。メインのテレビは地デジ対応に買い換えたが、2台目、3台目がまだという人は、地デジチューナーで安く済ませるのも一つの手だ。(BCN・武井美野里)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで127品目を対象としています。
簡易チューナーの拡大で1万円を切った地デジチューナー
「地デジチューナーが売り上げを伸ばしている最大の要因は、価格の急速な下落にある」と語るのは、2010年2月の地上デジタルチューナー販売数量シェアでトップに立つマスプロ電工の河合清彦営業部長。
実際、地デジチューナーの税別平均単価の推移をみると、2009年1月の1万4122円から、2010年2月には7623円に下がっている。これは、機能を絞って価格を抑えた簡易チューナーが人気を集めているためだ。
地デジチューナーには、地上デジタル放送のみに対応する1波モデルや、地上・BS・110度CS放送に対応する3波モデルなどがある。簡易チューナーは、基本的にチューナーを地上デジタルだけに絞り、BS・110度CSには対応しない。またD端子を削っているものが多く、表示はハイビジョンではなくSD画質。データ放送や双方向サービスなどにも非対応だ。その代わり、3波対応機などに比べて安く、コンパクトというメリットがある。
地デジチューナー全体で地上デジタル放送のみに対応する1波機の販売数量構成比は、2009年1月では56.5%だったが、2010年2月には78.5%にまで拡大している。また、10年2月の税別平均単価は、3波対応機が1万7618円なのに対し、1波機は5960円とかなり安い。「とにかく安く地上デジタル放送を見たい」という人にはピッタリだ。
機能を絞った簡易チューナーが拡大している理由について、メーカーは「もともと地デジチューナーはアナログのテレビを救済するためのもの。家庭にある2台目、3台目の小型テレビに使われることが多く、ハイビジョン画質よりは、SD画質でも低価格を求める声が主流になってきた」(マスプロ電工の河合部長)、「デジタルチューナーのユーザーは、今持っているテレビを最低限の投資で見続けることを重視している」(バッファローの事業本部 市場開発事業部 次長(兼)デジタルホームマーケティンググループリーダー 製品マーケティング担当の荒木甲和氏)とみている。
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簡易チューナーの人気モデルは? ハイビジョンモデルも登場
では、どんなモデルが売れているのだろう。地上デジタル放送のみに対応する簡易モデルに絞った2009年2月の地デジチューナーのシリーズ別・販売数量シェアランキングを紹介する。
順位 | メーカー名 | 型番 | 販売台数シェア(%) |
---|---|---|---|
1 | マスプロ電工 | DT620 | 21.8 |
2 | バッファロー | DTV-S100 | 19.2 |
3 | DXアンテナ | DIR810 | 14.6 |
4 | ピクセラ | PRD-BT100-P00 | 9.8 |
5 | バッファロー | DTV-H300 | 9.2 |
6 | アイ・オー・データ機器 | HVT-TL | 5.8 |
7 | ピクセラ | PRD-BT105-P00 | 4.0 |
8 | 山善 | YCD-C10(B) | 3.2 |
9 | アイ・オー・データ機器 | HVT-TLSD | 2.1 |
10 | 恵安 | KTV-DIGIBOX | 2.0 |
「BCNランキング」 2010年2月月次 <最大パネル>
1位はマスプロ電工の「DT620」で、シェアは21.8%。電子番組表は24時間分のテレビ番組表を表示する。
上から時計と逆回りに、マスプロ電工「DT620」、バッファロー「DTV-S100」、DXアンテナ「DIR810」
2位は、バッファローの「DTV-S100」で19.2%だった。画面デザインに、つぶれにくく読みやすい文字フォントや目にやさしい配色を採用し、小型テレビでも番組名やメニューがストレスなく見られるよう配慮した。電子番組表はリアルタイムで放送している裏番組のみを表示する。
3位はDXアンテナの「DIR810」で14.6%。電子番組表は3日分の番組を表示する。
4位はピクセラ「PRD-BT100-P00」で9.8%。小型テレビでも読みやすい文字フォントや大きなアイコンを使用。電子番組表は8日分の番組表を見ることができ、文字のサイズをボタンひとつで切り換えられる。また、1-5位までのなかで、唯一、視聴予約機能を備え、ビデオデッキなどの録画機器で地上デジタル放送を予約録画できる。
ピクセラ「PRD-BT100-P00」とバッファロー「DTV-H300」
これらの表示はすべてSD画質だが、9.2%で5位のバッファロー「DTV-H300」はD端子を備え、テレビが対応していればハイビジョン画質で地上デジタル放送を楽しめる。電子番組表は、2位の「DTV-S100」と同じく、試聴中の番組の裏番組のみの表示だ。
すべて画面拡大機能を備え、縦横比4:3のテレビでも、黒枠のないフル画面で地上デジタル放送を表示する。データ放送や双方向サービスなどには対応していない。
政府施策が地デジチューナーの認知拡大を後押し
地デジチューナーの急激な伸びには、価格下落のほかにも理由がある。バッファローの荒木氏は、「総務省の生活困窮世帯への簡易チューナー無償配布がメディアで大きく取り上げられ、デジタルチューナーなら地上デジタル放送を安く見られるという意識が浸透してきた」とする。
マスプロ電工の河合部長は、「エコポイント制度で薄型テレビを購入したユーザーがデジタル画質の美しさを体感し、2台目、3台目テレビへのチューナーの需要を喚起した」とみている。
エコポイント制度によって地上デジタル放送自体への認識が高まったことが、地デジチューナーの売り上げ増加にひと役買っているようだ。
2011年7月のアナログ放送終了に向けて、今後、さらに伸びるであろう地デジチューナー。メインのテレビは地デジ対応に買い換えたが、2台目、3台目がまだという人は、地デジチューナーで安く済ませるのも一つの手だ。(BCN・武井美野里)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで127品目を対象としています。