もう青色申告は怖くない! 初心者にやさしい「みんなの青色申告」

レビュー

2010/01/26 16:16

 今年も確定申告の季節がやってきた。そこで浮上するのが「白色申告にするか青色申告にするか」という葛藤。「青色申告にチャレンジしてみたいけど、帳簿の記帳が難しそう」「そもそも青色申告のメリットがわからない」等々で青色申告での申請に二の足を踏まれている方も多いことだろう。そうした悩みを一挙に解決するのが、ここで紹介するソリマチの「みんなの青色申告2010」だ。

青色申告は難しくない!



 「個人事業主」の方々は、税務署への提出期限である3月15日に向け、レシートの集計や帳簿の記帳などの作業に追われる日々をお過ごしのことだろう。その際、迷うのが「青色申告にするか、白色申告にするか」。一般的に「課税所得金額が100万円以上なら青色申告のほうがお得」といわれているが、青色申告決算書を作成するには1年分の経費などを細かく帳簿づけしていく必要があり、慣れないとかなり苦労する(慣れていても労力がかさむことには変わりないが)。それ以前に「そもそも青色申告って何? どんなメリットがあるの?」といった疑問をお持ちの方も多いことだろう。

みんなの青色申告2010

 こうした青色申告に関する悩みを一挙に解決してくれるのが、今回紹介するソリマチのソフト「みんなの青色申告2010」だ。青色申告に必要な帳簿の入力を強力に支援するソフトで、あらかじめ登録されている取引内容を選び、日付と取引金額を入力するだけであとは自動で仕訳を行ってくれる。青色申告決算書はそうやって仕訳された帳簿データを元に自動集計した上で作成されるので、簿記の知識なしに青色申告決算書を簡単に作成することができる。もちろん白色申告に必要な収支内訳書の作成も簡単にできることは言うまでもない。

初心者にうれしい「手ほどき本」



 このソフトがなによりも素晴らしいのは、「根本的に青色申告が何なのかわからない」「青色申告をするには何をすればいいのかわからない」といった人々に向けた「手ほどき本」を添付していることだ。

青色申告の疑問を解決する「手ほどき本」付き

 「確定申告ってなに?」「青色申告と白色申告の違いは?」「青色申告のメリットは?」「所得税ってなに? どうやって計算するの?」といった初歩的な疑問から、「食事代は経費になるの?」「自家用車を仕事で使うときは?」といった帳簿上の疑問、「確定申告書はどうやってつくるの?」といった決算・申告上の疑問など、確定申告をしたことのある人なら一度はつまずく疑問をイラストや図解入りでやさしく解説してくれる。いくら操作が簡単なソフトとはいえ、不明瞭な項目はたくさんあるもの。この「手ほどき本」は、こうした不安を取り除き、難しそうな青色申告をより身近なものにしてくれる。

作業の手順が図と文でわかりやすく説明されている

対話形式の操作が、第一歩をやさしく導く



 データの作成には、一つひとつの質問に答えていくことで基本的なフォーマットを作成してくれる「らくらくエスコート」を使うのがオススメだ。必要事項を入力するときはすべてを完璧に入力する必要はなく、現段階でわからない項目は後で設定することができる。いわゆるウィザード形式によるナビゲーション機能だが、「青色申告」という未知の作業を行うとき、非常に大きな安心感を与えてくれる。初めて使う人はもちろん、初めて青色申告をする人は、ぜひこの「らくらくエスコート」の基本データ作成を利用してもらいたい。
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(1)基本情報の入力
(住所や事業所名等の基本情報を入力する)


(2)営んでいる事業に合わせて科目体系を選択
(青色申告はもちろん、一般的な白色申告も選ぶこともできる)


(3)業種を選択
(少しでも正確なコストを分析する可能性がある場合は、製造業を選択するといい)


(4)消費税の申告を選択
(経理方式は「税込」を選ぶのが無難)


(5)該当する主事業の選択
(該当する事業を選択する。2業種以上を営む場合は、主力となっている事業の方を選択する)


(6)作成した基本データの確認
(作成したデータの内容が合っているか確認する)

電子申告にも対応、これで確定申告はバッチリ!



 さらに、ソリマチがホームページで「みんなの青色申告2010」のユーザーに対して無償で提供している(※1)「みんなの確定申告《平成21年度申告版》」をダウンロードすれば、本ソフトを確定申告に利用することができる。

 確定申告をするときには、「みんなの青色申告2010」で作成したデータを取り込むことで、平成21年度分所得税確定申告書A表、B表いずれの書類も印刷することができる。こうした所得税確定申告書の作成は、国税庁Webページの「確定申告書等作成コーナー」で作成可能だが、そのための集計作業や収支内訳書の作成などは自分で行う必要がある。このソフトを使った方がはるかに少ない労力ですむはずだ。

国税庁Webページの「確定申告書等作成コーナー」では集計作業等を自身で行って記入しなければならない

 また、「みんなの青色申告2010」は、国税庁の電子申告システム「e-Tax」と連携しており、そのための電子申告支援ソフト「みんなの電子申告」の無償提供も行っている(※2)。留意しておく必要があるのは、「みんなの電子申告(平成21年度e-Tax連携オプション)」は法人税には対応していないという点。また、オプションソフトを提供するもので、「e-Tax」自体のサポートは行っていないので注意が必要だ。

※1「みんなの確定申告〈平成21年度申告版〉」は、2010年1月25日提供開始
※2「みんなの電子申告(平成21年度 e-Tax連携オプション)」は、2010年2月頃提供予定


「今年こそは青色申告に挑戦」と決めたら



 以上、駆け足で「みんなの青色申告」の特徴を解説してきたが、あらためて感じるのは「青色申告は一筋縄で行かない」ということ。帳簿記入に求められる正確性は白色申告にはないものだし、科目体系や消費税の設定等、各必要項目の入力についてもそれなりの知識が必要だ。もちろんこのソフトを使ったからといって、すべてがいきなりクリアになるわけではないが、「手ほどき本」の存在や初心者に優しい対話形式の操作などによって、確実に青色申告へのハードルを下げてくれることは間違いない。「今年こそは青色申告に挑戦」と決意したら、まずは本ソフトを使うことが成功への近道となるだろう。(ITジャーナリスト・市川昭彦)