持ち歩ける「マイ無線LAN」、どこでもつながるモバイル・ルータを試した
PCや携帯電話、携帯ゲーム機など、無線LANに対応する機器が増えてきた。無線LANは、高速なWeb閲覧やオンラインでのゲーム対戦、メールの送受信など、自宅では便利に使える。しかし、外出してしまうと、公衆無線LANやPC用のアダプタが必要になるのが面倒。外出先でも自分だけの無線LANが使えれば便利なのに、という人におすすめなのが、通信機能を内蔵するモバイル・ルータだ。11月にイー・モバイルから発売された「Pocket WiFi(D25HW)」(以下Pocket WiFi)は、3G一体型で高速な通信速度がウリ。まだ馴染みの薄いモバイル・ルータの使い勝手と性能を検証しよう。
「Pocket WiFi」は幅48.6×高さ95.5×奥行き14.1mm、重さ約80gとコンパクトで、丸みを帯びたかわいらしいデザインが目を引く。正面上部の液晶画面には各種ステータスを表示し、両サイドに操作ボタンやコネクタ類を配置する。
左側面にはmicroSDカードスロットを備え、PCに接続してUSBメモリとして利用できる。最大16GBのメディアにまで対応し、大量のデータを持ち運べる。
ボタン類はやや小さめで、最初は操作にどまどうかもしれないが、右側面に三つだけというシンプルな構造なので、すぐに慣れるだろう。電源ボタンを2秒ほど押すと電源が入り、オートモードの場合は自動的にインターネットに接続する。初期設定はオートモードだが、マニュアル接続に変更することができる。
無線接続はIEEE802.11b/gに対応。本体にはあらかじめ無線LANの暗号化キーが設定されており、SSIDとWEP Key、WPA Keyが付属の「無線LAN初期設定シール」に記載されている。
各種機器の接続方法は、PCやゲーム機、スマートフォンで無線接続の設定を開いて、「Pocket WiFi」のSSIDを検出できたら、暗号化キーを入力するだけ。複数の機器で試したが、どれも簡単に接続できた。同時に5台までの機器を接続できるので、PCでWeb閲覧しながら、iPod touchでSkype通話しつつ、隣にいる友達と携帯ゲーム機でオンラインプレイを楽しめる。iPod touchで「iTunes Music Store」から音楽を購入したり、「App Store」から大容量のアプリケーションをダウンロードしたりすることもできる。
気になる実効速度を速度計測サイトでチェックしたところ、1-1.9Mbpsの間で、平均では1.2Mbpsだった。光ファイバー通信と比べると遅いように思えるが、実際、Web閲覧やメールの送受信などではストレスのない速度だ。とはいえ、複数台で同時にアクセスすると、当然速度は落ちてしまう。3台以上のPCで接続し、Webを閲覧するのは厳しいだろう。
無線LANを搭載していないPCなら、USBケーブルで接続し、モデムとして動作させることもできる。USB接続すると、自動でドライバのインストールダイアログが開くので、画面の指示に従う。完了すれば、インターネットに接続できるようになる。また、本体の充電も可能だ。ただし、通信中は充電できず、給電のみとなる。USB接続時の通信速度も、無線LAN接続時と同じで1Mbps程度だった。
「Pocket WiFi」は、初期設定のままで普通に利用できるが、設定を変更するならUSB接続する必要がある。ブラウザから設定画面を開き、ユーザー名に「admin」、パスワードに初期設定のWEPキーを入力してログオンする。
設定では、3G通信を手動で接続するようにしたり、データの送受信が途切れたとき自動切断する時間を設定したりできる。暗号化機能の種類も、初期設定のWEPからWPAに変更可能。ただし、強力な暗号化機能を使えば信頼性は向上するが、一部のゲーム機はWEPのみ対応なので、つながらなくなってしまう。利用する機器に応じて設定しよう。
そのほかのセキュリティ機能も充実しており、アクセスポイントの検出を行ってもSSIDを表示しない「ステルスモード」や、無線LANで接続している機器同士の通信を禁止する「プライバシーセパレータ」、起動時にPINコードを求める機能などを搭載する。ネットワークの通信効率を調整するためにMTU(最大転送ユニットサイズ)を変更できるといったマニアックな項目も用意されている。
バッテリ駆動時間は、カタログ値で4時間。実動はもう少し短いという感じだ。充電は付属のACアダプタで約4時間、USB接続で約6時間かかり、駆動時間と比べて長いのが気になった。また、USBでインターネット接続しているときに充電できないのも残念だ。とはいえ、1日で4時間もモバイル通信することはあまりないだろう。もし、そのような使い方をするなら、PCにつないだり、USBケーブルで給電できる汎用バッテリを併用すればいい。
端末価格は3万9580円。2年間の長期契約割引「にねんM」を適用すると3万3600円引きとなり、購入時には5980円を支払えばいい。月額料金は、4種類のデータプランから選べる。例えば「スーパーライトデータ」なら、1400-5380円/月となる。
複数の機器でインターネット接続を利用し、通信費が5000円台で収まるのは大きな魅力だ。例えば、PC用に3G通信やWiMAXを利用し、それとは別にiPhoneなどの携帯電話でパケット使い放題コースを利用。ゲーム機のために公衆無線LANサービスを利用するといったヘビーユーザーなら、大幅なコストカットになる。中でも、iPod touchをiPhoneライクに使えるのは見逃せない。Web閲覧やメールのほか、ネットゲームも問題なし。Skypeを利用すれば通話もできる。もちろん、ほかの機器も同時にインターネットに接続できる。iPhoneは「パケット定額フル」と「S!ベーシックパック(i)」で月額6000円を超えるので、コスト面でも有利だ。
モバイル・ルータというと上級者向けのイメージがあるが、実際は何も設定せずに接続できる。1台の接続にも問題なく利用でき、PC用のモバイル回線を検討しているなら、有力な選択肢となる。また、将来ほかの機器を使うようになっても同じコストで済むというメリットもある。まだ認知度の低いモバイル・ルータだが、大容量バッテリや交換・充電用のアイテムが揃ってくるとブレイクする可能性も大きい。一足早く「どこでもマイ無線LAN」という快適環境を手に入れてみてはいかがだろうか。(アバンギャルド・柳谷智宣)
コンパクトでおしゃれなデザインが○
コンパクトで丸みを帯びたデザイン
「Pocket WiFi」は幅48.6×高さ95.5×奥行き14.1mm、重さ約80gとコンパクトで、丸みを帯びたかわいらしいデザインが目を引く。正面上部の液晶画面には各種ステータスを表示し、両サイドに操作ボタンやコネクタ類を配置する。
左側面にはmicroSDカードスロットを備え、PCに接続してUSBメモリとして利用できる。最大16GBのメディアにまで対応し、大量のデータを持ち運べる。
ボタン類はやや小さめで、最初は操作にどまどうかもしれないが、右側面に三つだけというシンプルな構造なので、すぐに慣れるだろう。電源ボタンを2秒ほど押すと電源が入り、オートモードの場合は自動的にインターネットに接続する。初期設定はオートモードだが、マニュアル接続に変更することができる。
USBポートをふさぐことなく、PCをインターネットに接続できる
機器の接続はSSIDと暗号化キーを入力するだけ
無線接続はIEEE802.11b/gに対応。本体にはあらかじめ無線LANの暗号化キーが設定されており、SSIDとWEP Key、WPA Keyが付属の「無線LAN初期設定シール」に記載されている。
各種機器の接続方法は、PCやゲーム機、スマートフォンで無線接続の設定を開いて、「Pocket WiFi」のSSIDを検出できたら、暗号化キーを入力するだけ。複数の機器で試したが、どれも簡単に接続できた。同時に5台までの機器を接続できるので、PCでWeb閲覧しながら、iPod touchでSkype通話しつつ、隣にいる友達と携帯ゲーム機でオンラインプレイを楽しめる。iPod touchで「iTunes Music Store」から音楽を購入したり、「App Store」から大容量のアプリケーションをダウンロードしたりすることもできる。
PCでの暗号化キー入力画面
気になる実効速度を速度計測サイトでチェックしたところ、1-1.9Mbpsの間で、平均では1.2Mbpsだった。光ファイバー通信と比べると遅いように思えるが、実際、Web閲覧やメールの送受信などではストレスのない速度だ。とはいえ、複数台で同時にアクセスすると、当然速度は落ちてしまう。3台以上のPCで接続し、Webを閲覧するのは厳しいだろう。
USB接続でモデム利用や本体の充電も
無線LANを搭載していないPCなら、USBケーブルで接続し、モデムとして動作させることもできる。USB接続すると、自動でドライバのインストールダイアログが開くので、画面の指示に従う。完了すれば、インターネットに接続できるようになる。また、本体の充電も可能だ。ただし、通信中は充電できず、給電のみとなる。USB接続時の通信速度も、無線LAN接続時と同じで1Mbps程度だった。
PCとUSB接続してモデムとして利用できる
「Pocket WiFi」は、初期設定のままで普通に利用できるが、設定を変更するならUSB接続する必要がある。ブラウザから設定画面を開き、ユーザー名に「admin」、パスワードに初期設定のWEPキーを入力してログオンする。
設定では、3G通信を手動で接続するようにしたり、データの送受信が途切れたとき自動切断する時間を設定したりできる。暗号化機能の種類も、初期設定のWEPからWPAに変更可能。ただし、強力な暗号化機能を使えば信頼性は向上するが、一部のゲーム機はWEPのみ対応なので、つながらなくなってしまう。利用する機器に応じて設定しよう。
そのほかのセキュリティ機能も充実しており、アクセスポイントの検出を行ってもSSIDを表示しない「ステルスモード」や、無線LANで接続している機器同士の通信を禁止する「プライバシーセパレータ」、起動時にPINコードを求める機能などを搭載する。ネットワークの通信効率を調整するためにMTU(最大転送ユニットサイズ)を変更できるといったマニアックな項目も用意されている。
各種セキュリティ設定などが行える
どこでも「マイ無線LAN」を使えるのは便利
バッテリ駆動時間は、カタログ値で4時間。実動はもう少し短いという感じだ。充電は付属のACアダプタで約4時間、USB接続で約6時間かかり、駆動時間と比べて長いのが気になった。また、USBでインターネット接続しているときに充電できないのも残念だ。とはいえ、1日で4時間もモバイル通信することはあまりないだろう。もし、そのような使い方をするなら、PCにつないだり、USBケーブルで給電できる汎用バッテリを併用すればいい。
端末価格は3万9580円。2年間の長期契約割引「にねんM」を適用すると3万3600円引きとなり、購入時には5980円を支払えばいい。月額料金は、4種類のデータプランから選べる。例えば「スーパーライトデータ」なら、1400-5380円/月となる。
複数の機器でインターネット接続を利用し、通信費が5000円台で収まるのは大きな魅力だ。例えば、PC用に3G通信やWiMAXを利用し、それとは別にiPhoneなどの携帯電話でパケット使い放題コースを利用。ゲーム機のために公衆無線LANサービスを利用するといったヘビーユーザーなら、大幅なコストカットになる。中でも、iPod touchをiPhoneライクに使えるのは見逃せない。Web閲覧やメールのほか、ネットゲームも問題なし。Skypeを利用すれば通話もできる。もちろん、ほかの機器も同時にインターネットに接続できる。iPhoneは「パケット定額フル」と「S!ベーシックパック(i)」で月額6000円を超えるので、コスト面でも有利だ。
iPod touchとiPhone、PCを同時にインターネットに接続できる
モバイル・ルータというと上級者向けのイメージがあるが、実際は何も設定せずに接続できる。1台の接続にも問題なく利用でき、PC用のモバイル回線を検討しているなら、有力な選択肢となる。また、将来ほかの機器を使うようになっても同じコストで済むというメリットもある。まだ認知度の低いモバイル・ルータだが、大容量バッテリや交換・充電用のアイテムが揃ってくるとブレイクする可能性も大きい。一足早く「どこでもマイ無線LAN」という快適環境を手に入れてみてはいかがだろうか。(アバンギャルド・柳谷智宣)